
7月18日から20日にかけて「BitSummit the 13th(以下、BitSummit)」が開催されました。京都、平安神宮のほど近く、みやこめっせで行われるインディーゲームの祭典には、発売前、発売後問わず今後話題となるであろうゲームがずらりと並びます。
本稿では、その中のひとつ『オバケイドロ2』ブースレポ&開発者インタビューをお届けしていきます。
シンプルな“ケイドロ”が楽しい!敷居が低くサクッと遊べる『オバケイドロ2』
フリースタイルが手掛ける『オバケイドロ2』は、その名の通り「ケイドロ(ドロケイ)」をモチーフにした、非対称型対戦おにごっこゲーム。2019年に発売され人気を博した『オバケイドロ!』の正統続編です。非対称型PvPの面白さと、“ケイドロ”らしいシンプルな魅力はそのままに、続編として新要素などが追加されたタイトルです。
別のブースでは3vs1でのマッチも行われていたとのことですが、今回筆者が訪れたフリースタイルブースでは「ニンゲン側6人、オバケ側2人」でのマッチが体験できました。『オバケイドロ2』では前作のベースとなった3vs1マッチだけでなく、6vs2マッチも前面に押し出されているのです。

『オバケイドロ2』のルールは『オバケイドロ!』と同様にシンプルで、校舎(試遊版では「デル~ゾ学校」)の中心にある「捕まったニンゲンが入れられる檻」にニンゲン側が全員捕まえられれば「オバケの勝ち」、そして制限時間まで“ひとりでも”つかまっていなければ“ニンゲンの勝ち”です。前作はと違い、今回は日本が舞台とあって“学校の怪談”のようなテイストですね。

オバケは壁をすり抜けたりと追い詰める側としての有利さを持っていますが、ニンゲンは二つのボタンを押すことで檻につかまった全員を開放することができます。このボタン、初期位置は檻についているのですが、時間経過で移動するため「ボタンを押してニンゲンを開放するか、あえて押さずに逃げ回るか」などの駆け引きが生まれるわけですね。

ニンゲン側には新規要素として、「よびかけ」という協力アクションが用意されています。オバケから逃げまわりつつも仲間を探して協力することで、生存率があがるわけです。もちろん、ひとりで見づらい場所に隠れたりするのもいいでしょう。

オバケ側の新要素には、溜めを必要とするものの、範囲攻撃のように複数人一度に捕まえることすらできる「スーパーキャッチ」。オバケ側にもテクニックに依存した、「追いかけっこでの選択肢」が増しています。

実際にニンゲン側で遊んでみると、人数が多いことから最後の最後まで「逆転の目」があるのが嬉しい。オバケは新要素「スーパーキャッチ」などでかなりド派手にこちらを追い詰めてきますが、ニンゲン側としては「追われている状況は、つまり囮になっている時間」と思えるので逃げる時にも貢献感があります。

オバケ側は壁をすり抜けられたりと無敵感がありますが、上手いプレイヤーには翻弄されてしまいます。たとえば「オバケが壁をすり抜けられること」を逆手にとって、壁沿いの物陰に隠れられ、うっかりスルーしそうになってしまったり。新要素「スーパーキャッチ」を、これまた新要素「かいひ」で避けられてしまったりしたときは素直に悔しい!
今現在は非対称型PvPも増え、「定石」を必須とするような複雑なシステムをもつものも多かったりするわけですが、『オバケイドロ2』は(もちろん定石はあるでしょうが)他タイトルと比べても敷居が低く、気楽に遊べるシンプルさを持っています。アクションのテクニックや、オバケの意識の外をつくようなプレイが重要となるでしょう。

ニンテンドースイッチ2専売とあって、ローンチタイトルではないものの「パッと理解できて気楽に遊べるタイトル」になることは間違いないはず。後述するインタビューでは、「メインターゲット層は3歳から中学生まで」とされているものの、興味を持った方はスイッチ2のライブラリに入れてみるのもアリですね!
続いては、プロデューサー兼ディレクターの田中克功さんへのインタビューをお届けしていきます。
スイッチ2だから実現できた“大人数での追いかけっこ”
――まずはあらためて、『オバケイドロ2』についてお聞かせください。
田中克功さん(以下、田中):『オバケイドロ2』は『オバケイドロ!』の正統続編で、ニンテンドースイッチ2専売タイトルです。前作から引き続き「オバケとケイドロをする」という根本の部分は変えず、続編ということでオバケ、ニンゲン両サイドに新要素を加えて“遊びの幅を広げる形の進化”を施しました。
――今回試遊したのは6vs2という、『オバケイドロ!』でオーソドックスとされていた3vs1とは違う形式でしたね。
田中:別ブースでは3vs1も用意されているのですが、6vs2マッチというものは前作ではイベントなどで、「ワイワイマッチ」として限定的に遊べただけでした。しかし今回は6vs2という形式を初めから遊べるようにしようと導入しています。これはゲームを遊ぶ時には「大人数で遊んだほうが面白い」という考えから来ています。
実は当初からこの「大勢で遊ぶ」というのは意識していて、6vs2という大人数でのゲームモードを望んでいました。スイッチ2でスペックが向上したことなどを含めて、『オバケイドロ2』で実現できたのです。
――『オバケイドロ2』での新要素についてお聞かせください。

田中:「逃げつつも仲間を檻から開放していく」という遊び方に大きな変化はないのですが、ニンゲン側から言いますと新要素として協力アクションの「呼びかけ」などを追加しています。ただしこれは「勝つには絶対に協力が必要なゲームシステム」というガチがちの協力要素ではなく、他のプレイヤーと一緒にボタンを長押しするだけで、ちょっと協力アクションができるよ、という緩めの要素ですね。
さらには素早く2回ボタンを押すことによって発動できる「かいひ」の導入など、“テクニック面での選択肢を増やす”方向性で遊びの幅を広げています。

オバケ側の新要素には「スーパーキャッチ」があります。“溜め”が必要な、「オバケ固有の捕まえ方」が追加されるのです。複数人を一気に捕まえたりすることなどが可能になって、追う側にもテクニック面での選択肢が増えています。さらに体が大きくなることで、ビジュアル的にも“ニンゲンを追い詰める感じ"が出せていると思います。
――プレイしていて、戦術よりも直感的なプレイスキルが必要となるシーンが多く、遊びやすい印象を受けました。
田中:前作『オバケイドロ!』は、元から「遊ぶための敷居を下げる」という方向で開発していました。リリースしてからもう6、7年が経ちますので、“プレイスキルの面での遊び方拡張”ということを実施するのなら、「『オバケイドロ!』アップデートではなく次回作『オバケイドロ2』のタイミングで」と考えていましたね。
――スイッチ2専売にあわせて、「スイッチ2だからこそ実現できること」についてお聞かせください。
田中:スイッチ2の機能としてゲームチャットなどがありますので、これはぜひフレンドマッチなどで使えるようにしたいです。
『オバケイドロ!』で、友達、フレンド間でコミュニケーションをとる時にはゲーム外ツールを使うユーザーさんなどもいらっしゃいましたが、今回はゲームチャットなどを使って「スイッチ2上でのやりとり」が行えるようになるように考えています。
――PvPタイトルというのはコミュニケーションの距離感の“バランス取り”が重要になってくると思いますが、どうお考えでしょうか。
田中:知らない人とのコミュニケーションは結構感情のぶつけ合いになりやすかったりしますよね。そういういがみ合いみたいな要素はあまり入れたくなかった。ですので最初からオンラインでのボイスチャットやテキストチャットは廃して、モーションのみでのコミュニケーションをとるように意識しました。

檻につかまった時にモーションを行えるとか、そういうジェスチャーでコミュニケーションが取れるようになっています。今回の試遊では実装されていませんが、オバケ側でもモーションを用意する予定です。キャラクターを可愛く作ることにも力を入れているので、ぜひそう言ったところもチェックしていただきたいですね!
――『オバケイドロ2』のメインターゲット層についてお聞かせください。
田中:『オバケイドロ2』のターゲット層は、その敷居の低さから考えると3歳から中学生ぐらいまでがメイン層です。しかし『オバケイドロ!』の時代から遊んでくれているユーザーにも、もちろんプレイしてほしい。
『オバケイドロ!』リリースからもう6年経っているので「久々に遊んでみたけど、やっぱり面白いな!」と感じてくれれば幸いです。既存ユーザーさんには「前に遊んでいた『オバケイドロ!』がこうやって拡張されているんだ」と感じてもらいつつ、昔培ったテクニックなどを工夫しつつ実行してもらえるようなゲームシステムになっています。
――新しい層も視野に入れたうえで、前作のファンも喜べる仕組みになっているのですね。

田中:そうですね。また、自分たちがちょっと狙っているのは「オンラインでもお子さんと一緒にあそべる」という仕掛けです。同じ陣営であれば「オバケ側でも一緒の陣営で遊べるようにする」だとか。そういう機能もスイッチ2だからこそ入れやすくなった点です。
――最後に『オバケイドロ2』について意識しているところや、読者に向けてのコメントなどをお願いします。
田中:6年、『オバケイドロ!』をアップデートし続けてきた中で「新しく実装する要素は『オバケイドロ2』として出すべきか、あるいはアップデートの範疇なのか」という判断がすごく難しかったです。同時に、ユーザーさんに楽しんでもらえる範疇での“遊び幅の拡張”を作り出すのも苦心した点です。
「どう受け止めてもらえるか」というところをハラハラドキドキしながら、日々テストを重ねています。ですのでBitSummitなど、発売前に遊んでもらえるのが非常にありがたくうれしいことなのです。プレイした感想などSNSなどに上げてもらえれば観させていただくので、意見をもらえるのを楽しみにしています!
――今回は、ありがとうございました。
『オバケイドロ2』は、ニンテンドースイッチ2向けに2025年内に発売予定です。
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