オープンベータテストも終了し、いよいよ10月のリリースが迫る『BF』シリーズ最新作の『バトルフィールド 6(Battlefield 6)』。ユーザーの注目も集まるなか、エレクトロニック・アーツによるオープンベータの統計情報なども公開されています。
大盛況だったオープンベータの後、エレクトロニック・アーツのスタジオであるRipple Effectでテクニカルディレクターを務め、『BF6』のエンジニアリング業務を統括するChristian Buhl氏へのメディア合同インタビューが開催されました。
「BF Labs」開催の経緯やオープンベータテストの手応え、最新のグラフィック技術など、最高のゲームプレイ体験を目指すなかで意識したことを語っていただいたので、その様子をお届けします。
パフォーマンスやチート対策など、『BF6』では“最高のゲームプレイ体験”を目指す―「BF Labs」開催の経緯も
ーーDLSSやFSRなど、グラフィックスにおける最新技術の導入へのフィードバックはどのようなものがありましたか。
Christian Buhl氏(以下、Christian):フィードバックは比較的良かったです。本作ではDLSSやFSR、XeSSとほぼすべてのGPUベンダーをカバーしていますし、オープンベータでDLSSの問題が一部発生しましたが、それもすぐに修正されました。
それ以降のフィードバックも良いものが多く、ゲームのグラフィックも良好で、全般的に見てユーザーに良い体験を提供できたと感じています。

ーーウィーク2での不具合の修正もすぐに解消されて驚きました。
Christian:『BF6』における私達のゴールは、「推奨スペックのなかであれば、ローエンドからハイエンドPCまでのあらゆるレンジで最高のパフォーマンスを提供すること」です。パフォーマンスといっても、例えばフレームレートを重視したいユーザーもいるでしょうし、画質などクオリティを重視する人もいるでしょう。
いずれにせよ、プレイヤーそれぞれに合ったパフォーマンスを提供したいと考えています。オプションは柔軟に幅広く用意されており、項目のスライダーによって“演出とグラフィック中心”、“フレームレート中心”などの設定ができます。
ーーNVIDIAの「DLSS 4」や「NVIDIA Reflex」、AMDの「FSR 4」「Anti-Lag 2」などもサポートされていますか。
Christian:DLSSやFSRなど、今挙げられていた全ての技術がサポートされています。

ーー本作ではオープンベータテストだけではなく、「Battlefield Labs」を開催することでユーザーからの意見を取り入れる試みが見られました。こういった取り組みを行うことになった経緯などはありますか。
Christian:オープンベータではゲームの安定性やパフォーマンスなど、非常に良い結果を出すことができ、大成功だったと思います。そして、その成功に大きく貢献したのが「BF Labs」の存在です。
『BF2042』では多くの学びがありました。この学びを次作にどう生かすかと考えたときに、「できるだけユーザーに対して早い段階から本作を見てもらい、実際にプレイしてもらうことで、そのフィードバックをどんどん集める」という方針になりました。
本作ではプレアルファの、作品がまだ全然出来上がっていない段階からユーザーを交えたテストを行っていました。当然、そこにはバグもありましたし、クラッシュも頻繁に発生しました。ゲーム内のアセットすらまだ仕上がっていない状態でしたが、実際にプレイしてもらうことでパフォーマンスやサーバーなどのデータが取れました。

さまざまなフィードバックに基づいてパフォーマンスをかなり向上させることができましたし、何よりも実際にゲームを遊んでいただくことで、ゲームプレイのフィードバックを得ることができたのが大きかったです。「BF Labs」でテストを開催するたびに貴重なデータが集められ、Discordチャンネルに寄せられたフィードバックも参考にしました。
「BF Labs」を開催することで早い段階で失敗してミスを発見でき、それらを修正することで、オープンベータでは大きな問題を潰した状態のものを多くのユーザーに届けられたと思います。

ーー『BF2042』をプレイすることで『BF6』向けの特典を受け取れる、という施策はユーザーからどのような反響がありましたか。海外では「面倒だ」との声もみられまししたが、個人的には硫黄島での戦いで久々の『BF 2042』を楽しめました。
EA:『BF2042』のアップデートを行い、新しいコスメアイテム付きのバトルパスが追加されています。このバトルパスでは『BF 6』で使える武器やキャラクターのスキンが獲得でき、「リンクス」スナイパーライフルなども使用可能になります。
Christian:前作の『BF2042』は過去数年間にわたって、さまざまな面でのパフォーマンス向上を図ってきました。ここまで苦しい時もありましたが、ずっとプレイしてくれたユーザーのために何かしたい気持ちがありました。
この先の『BF2042』も、『BF6』も楽しんでいただければと思います。


ーー本作ではセキュアブートが必須になるなど、今までよりも強固なチート対策が見られます。どのような経緯でこのチート対策を採用したのでしょうか。
Christian:私達が常に優先順位を高く持っていたのが、「チーターのいない環境でのゲームプレイ体験を楽しんでもらうこと」です。しかし、それを実現するためにはユーザー側で何らかのアクションをとってもらう必要があり、そのあたりのバランスをとることが重要だと考えています。
個人的な見解としては、本当はセキュアブートなしで普通にプレイしていただけるのが一番です。しかし、そうするとチーターがやりたい放題になってしまいます。チーターとは“いたちごっこ”の状況で完全にゼロにはできないものの、セキュアブートを導入することで、かなりチーターが減った環境でゲームを楽しんでいただけると思っています。
ーーこれまで実際に、どれぐらいチーターを検出したかなどは分かりますか。
EA:チート対策チームのほうから、チート検出に関する数字の統計情報が共有されています。
※オープンベータ以来、33万件のチート行為やアンチチートシステムの改竄を検出。チーター疑惑の報告は初日に4万件、8月9日早朝までに追加で6万件。
ーー本作における「BF Portal」の開発ツール、マップエディターはゲーム本編とは別のアプリとして起動するのでしょうか。 また、こちらの詳しい動作環境について教えていただければと思います。
Christian:開発ツールは本作のリリース後、Web上から入手するかたちになります。スペックについては、今後詳細なアナウンスをする予定です。
ーー本作では建物の大規模な破壊表現も大きな特徴だと思います。グラフィックや演出を進化させるにあたって、技術的に苦労した点などはありますか。
Christian:『BF』シリーズではFrostbiteエンジンを使用しており、15~20年と長い年月の間、作品と一緒に成長してきたと言っても過言ではありません。パフォーマンスとグラフィックのバランスにはトレードオフの関係がありますが、Frostbiteエンジンは非常に優秀で、私達が実現したかった破壊表現を満足のいく形で表現できています。
特に本作では、建物を破壊するとマップの進路が塞がったり開かれたりと、マップ構造自体が変わってしまう要素もありますし、敵が壁の向こうにいる場合には壁をぶち壊して奇襲をかけるなど、これまでの作品では見られなかったこともできるようになっています。
苦労した点としては、破壊表現について本当に多くのテストを重ねてきました。何かを破壊すると色々な選択肢が生まれる中で、「ここを壊したらどうなるのか」「全部壊したらどうなるのか」など、あらゆるシナリオを試すことに多くの時間を使いました。

ーーPCの最適化について、さまざまなベンダーと協力したお話があったと思いますが、その中で印象に残っているエピソードはありますか。
Christian:最近の例では、DLSSが作動していなかったタイミングが一時期ありました。しかし、すぐにNVIDIAの担当者に連絡を取って対応してもらい、猛スピードで修正されたことが印象に残っています。
開発期間全般でみると、NVIDIA、Intel、AMD各社の担当者と密に連携をとりながら、問題が起きたときや、起きそうなときにすぐに連絡を取って対応していたことが印象的です。
ーー最後に、本作のリリースを楽しみにしている日本のコミュニティやユーザーへのメッセージをお願いします。
Christian:私自身も『BF』が大好きなので、この楽しさが同じように皆さんに伝わればと思います。本作には破壊表現をはじめ、ビークルやマルチプレイなど、楽しめる要素がたくさんあります。
本作を世界中のファンに楽しんでいただきたいですし、スムーズなゲーム体験を提供するために、世界各地にサーバーを用意しています。日本だけでなく地球のどこにいても、ゲーム体験を楽しんでいただけると思うので、ぜひよろしくお願いします!

ーー本日はありがとうございました!Thank You!
『バトルフィールド 6』はPC(Steam、Epic Gamesストア、EA app)/PS5/Xbox Series X|S/向けに10月11日に発売予定です。















