2025年9月19日、Steamにて新作ローグライクアクション『Megabonk』がリリースされました。本作は「ローグライク系のサバイバルゲーム」であり、いわゆる『Vampire Survivors』風な3Dアクションゲームです。
9月21日時点でSteamでのレビューは「圧倒的に好評(1,597)」で、同時プレイヤー数はピーク時に12,300人を突破(Steam Chartsより)。日本語をサポートしていることから、国内のインディーゲームファンの間でも熱が高まってきています。

本作では、プレイヤーは無限に押し寄せる敵の大群を撃退しながら、ランダム生成されるマップを奥深くまで探索し、生き延びることを目指します。
「3Dのヴァンサバライクって過去にもあったような……」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、『Megabonk』には一言で説明できない不思議な魅力が秘められているのです。
『Megabonk』のゲームプレイ

ゲームプレイの要となるのは「ランダム生成のマップを駆けながら、オート攻撃で敵の群れを蹴散らし、経験値やお金を集めて自身をアップグレードしていく」というもの。『ヴァンサバ』ライク作品としては、非常にオーソドックスです。
プレイヤーの目標は、マップのどこかに配置されている「ボス」の撃破。撃破後は更に難度が高まったマップに移動して、果ての見えない戦いに身を投じていくことになります。

「アップグレード」の手段には、経験値で上げるレベルアップのほか、集めたお金を使って解放する「宝箱」や「怪しい男(ショップ)」、一定時間近くに留まることで利用できる「祭壇」などが用意されています。


武器を強くしたり増やしたり、発射弾数やクールダウンを高めたり、クリティカル発生率を上げたり……と、強化される要素も『ヴァンサバ』プレイヤーにとっては最早おなじみです。

ゲームプレイには10分間の制限時間が設けられており、終盤には本気でプレイヤーを倒しにくる強敵がうじゃうじゃと出現。そんな強敵をも蹴散らし続けていくと、恒久アップグレードに必要な資源(シルバー)がどんどん集まりやすくなり、次のゲームプレイへのモチベーションを高めてくれます(とは言え、十数分もやってれば最終的には倒されます)。
『Megabonk』は、簡単に説明してしまえば『ヴァンサバ』×『Risk of Rain 2』な新作インディーゲームです。しかしなぜだか、遊べば遊ぶほどキャラクターやオブジェクトのビジュアル、演出効果などから不思議な魅力が感じられるのです。
『Megabonk』の“異質さ”とは

いったい“『ヴァンサバ』×『Risk of Rain 2』な新作インディーゲーム”のどこに異質さが秘められているのか。まずはSteamストアページを見てみましょう。
トレイラー映像に現れるのは「満面の笑みでミサイルをばら撒く上裸のおじさん」「スケボーに乗って大ジャンプするガイコツ」「砂漠の遺跡で戦う忍者」「アヌビス神と戦うロボットカウボーイ」など、ゲームプレイとはうってかわってオーソドックスとは言い難い珍妙なキャラクターばかりです。

キャラクターはちょっとしたフレーバーテキストで設定が語られるのみで、それぞれ独自のストーリーを持っているわけではありません。これはこれで『ヴァンサバ』風ではありますが、詳細が気になるラインナップです。
初期プレイアブルキャラクターの「フォックス」は“足が速くて、妙に運がいい”という素朴な説明のみ。トレイラー映像でイケイケにジャンプしていたガイコツも、“カルシウム”という名のスケボー野郎であることしか分かりません。


この「軽いノリ」はキャラクターの紹介テキストに留まりません。「宝箱」演出が『ヴァンサバ』に意図的に強く寄せたようなものであったり、なぜか「モアイ像に相談する」ことでアップグレードできたり、アクティベートしても意味があるのかどうか分からない「ラジカセ」がマップに配置されていたり……とにかく、『Megabonk』はすべてにおいて軽いノリなのです。

この軽いノリは、『ヴァンサバ』ライクなら必要不可欠のアップグレード要素にも表れています。前述したように本作は3Dアクション。そのため「多段ジャンプ」「ジャンプ距離の向上」といったアップグレード要素を選択できますが、こう見えて高所からの落下ダメージがシステム的に用意されているため、調子に乗ってジャンプを伸ばすとオブジェクトや敵の攻撃も相まって、簡単に自滅します。
その他にも「エリート級の敵が、雑魚の頭の上に乗って歩いてくる」といった不具合に近い挙動も起きたりするのですが、これらの現象は不思議とストレス要素になりません。ビジュアルから興味を持った方なら、特にプレイを始めた数時間のうちはゲラゲラ笑っていられるかもしれません。


キャラクター設定や投げやり気味で笑ってしまうテキストなど「軽さ」が充満しているゲームであることは、本作がストレスフリーである理由のひとつ。加えて、本作は操作性やオプション、演出やプレイヤーのモチベーションを高める要素を丁寧に作り込んでいて、さまざまな先達から得た学びが生かされているように感じます。
チープなゲームに見えつつも、オプション面ではさまざまな調整が可能。モーションブラーのオンオフやクロスヘアのセッティング、視点スムージングやfps/処理速度/RAM使用率のオーバーレイなども設定できます。

また、アップグレードやそれらのシナジーは意外にもインフレしにくく、プレイヤーの技術介入度もそれなりに備えられています。ゲームが進むにつれて展開は厳しくなり、ともすれば理不尽な局面や「不要な武器」「必須のアップグレード」なども見えてくることでしょう。

また、「宝箱」を開けるためにはお金が必要であるため、ゲーム内オブジェクトのどれを優先するべきかの判断力も求められます。「祭壇」か「宝箱」か、お金などが詰まった「壺」か、「モアイ」か……少ないヒントから「勝つ確率を高める行動」を選ぶのは、ローグライトの醍醐味ですね。
現在はリリース直後ということで、手練れのプレイヤーが触れば「お決まりのパターン」が生まれやすいかもしれません。しかしカジュアル志向のゲーマーや「見た目が気に入った!」という方にとっては、間違いなくお値段分の価値があるでしょう(約1,000円)。


荒削りな部分は見え隠れするけれど……スケボーに乗ったガイコツを操作してアヌビス神やゴーレムと戦っていると、なんだか「細かいことはもうなにも考えなくていいのかも」と開き直って楽しめる『Megabonk』は、真剣にアップグレード構成を考えて遊ぶも良し、ただただ珍妙なキャラクターと挙動を見て笑うも良しな、不思議な魅力を備えたゲームです。
間違いなく本邦初の『Megabonk』開発者インタビュー。実は来日経験もある
『Megabonk』を手掛けたのは、「vedinad」というノルウェーのクリエイター。YouTubeではその名もずばりの「Megabonker」というチャンネル名で、クリエイターとしての素性はまだまだ謎に包まれています。
ゲームクリエイターが謎に包まれているなら解き明かすのがゲームメディアの役目。ということでここからは、Game*Sparkが実施したvedinad氏へのミニインタビューをお届けします!
ーー『Megabonk』の発売、おめでとうございます! 日本のコアなゲーマーは既にあなたの作品についてチェックしていて、さまざまなレビューを寄せています。日本の『Megabonk』ファンに向けて、メッセージをいただけますか。
vedinad: ありがとうございます! まず最初に、日本のみなさんには心からの感謝を伝えたいと思います!私のゲームを温かく迎え入れてくれて、本当に感謝しています。実は先日、Hulututigamerさんの『Megabonk』日本語実況プレイ動画を観ていました。素晴らしい内容でした!(詳しくはあまり理解できませんでしたが :D)
『Megabonk』には、ちょっとした面白いエピソードがあります。実は私は、2024年に日本に訪れていました。本当に素晴らしい旅でしたよ! 日本という国と、そこで生活する礼儀正しい人々は本当に大好きです。その旅行中、私はニンテンドースイッチ版『Vampire Survivors』を購入しました。それが『Megabonk』を作るきっかけとなったのです! ノルウェーの自宅に帰ったら、すぐに『Megabonk』の開発に取り掛かりました。ある意味、日本に行かなければこのゲームを作ることはなかったでしょう!
ーー今後の『Megabonk』の展開についてお聞かせください。アップデート方針については、どのように考えていますか?
vedinad: しばらくの間、ゲームをアップデートし続けていく予定です。もちろんアップデートは完全無料で、たくさんの計画があります。日本のゲーマーの皆さんからのご提案やフィードバックも、ぜひお聞かせください。
ーー最後に、『Megabonk』の目標についてお聞かせください。クリエイターとして、どのようなゴールに向かって進もうと考えていますか?
vedinad 『Megabonk』における私の唯一の目標は、「人々が楽しめるゲームを作ること」。それだけです!

『Megabonk』はPC(Steam)向けに販売中。10月3日までは1,020円で購入できるセールを実施しています。無料デモ版も配信されているので、興味が湧いた方はひとまずプレイしてみてはいかがでしょうか!
タイトル:Megabonk
対応機種:PC(Steam)
発売日:2025年9月19日
価格:1,200円(10月3日まで1,020円のセール中)
日本語:あり











