今やPC/コンソール/モバイルそれぞれのプラットフォームでサバイバルジャンルの作品は定着していて、多くのプレイヤーがさまざまな世界を舞台にサバイバルを楽しんでいます。
Game*Sparkでは【クラフトサバイバル名鑑】として、同ジャンルが好きな筆者が、定番作品を中心にクラフトサバイバルジャンルの作品の魅力を紹介・解説しています。今回紹介するのは、2024年5月30日にSteam早期アクセスを開始した機関車運転シミュレーションサバイバル『Trans-Siberian Railway Simulator』です。

過酷なシベリア鉄道で貨物業務
『Trans-Siberian Railway Simulator』は、ポーランドの開発スタジオPentacleが手がける作品。パブリッシングはPlayWayが担当しています。Pentacleの創設者であるPaweł Cincioは過去に『GET EVEN』(The Farm 51)などの作品に携わっているほか、2018年には『The Works of Mercy』をリリースしています。
ゲームが発表されたのは今から6年前の2019年に遡ります。当初は2020年に早期アクセスでリリースする予定でしたが、ゲームの安定性改善やバランス調整のために延期が続き、2023年にはテストプレイと体験版配信を実施。2024年1月には本作のプロローグ版をリリースし、Steamユーザーレビューで“非常に好評”の評価を受けています。
本作の舞台となるのは、1980年代後半のソビエト連邦。プレイヤーはシベリア鉄道の運転手となって、クラシックな電気機関車であるVL10で貨物の仕事をこなしながら、過酷な環境で生き抜いていくのが目的です。早期アクセス時点ではノヴォシビルスクからクラスノヤルスクまでの840キロの道のりを1:1の縮尺で運行可能です。
シミュレーターの名の通り、ゲーム内で機関車を動かすためには細かな操作が必要なほか、運行中に疲弊・故障したパーツを交換する必要もあります。また、極寒の地を生き残るために寒さ対策をしたり、長旅に備え食糧や水などの準備も欠かせません。機関車シミュレーターとサバイバル要素を兼ね備えた作品です。



早期アクセス版でも機関車の運転やサバイバルなど、基本的なメカニズムは体験可能です。これまでのアップデートでは路線の延長や昼夜・天候システムの追加のほか、ゲームエンジンのバージョンをアップして最適化するなど、さまざまなゲームコンテンツの追加や安定化が行われています。



まずは必ずチュートリアルを遊びましょう
本作にはストーリーモード、サバイバルモード、シミュレーターの3つのゲームモードが用意されています。この中でシミュレーターだけはプレイヤー自身のサバイバル要素がないモードで、機関車の運行や管理をメインで楽しめます。なお、いずれのモードでも最初は必ずチュートリアルで遊ぶのをおすすめします。
ゲーム内では、まず相棒でもある電気機関車VL10を起動することが最初のタスクとなります。列車を運行可能にするためには、コンプレッサーや制御装置、進行方向への信号機作動、パンタグラフの展開による電気の確保など、細かなスイッチの操作が必要です。また、チュートリアルで壊れた装置の確認や交換方法も学べます。




チュートリアルではそのほか、安定した運行をするためのブレーキと気圧の関係、エンジンの調整、機関室内の温度なども教えてくれます。ゲームの操作はかなり細かいようですが、一度覚えてしまえば運行自体はそこまで難しくありませんし、マニュアルでいつでも確認できます。
また、ストーリーとサバイバルでは飢えや渇き、二日酔い(アルコールを飲めば減少)などのサバイバル項目があるため、駅のショップで食糧や酒を買い込む必要があります。気温や病気(ダメージ)など各種ゲージが最高になってしまえばゲームオーバーになるので、なるべく余裕を持った物資や環境の確保は必須です。




食糧や修理用のパーツを買う資金は、ゲーム内でのミッションを達成することが主な獲得方法です。まずは最初の駅で貨物を連結し、目的地まで運びましょう。





ルールを守ってシベリアの旅を
1:1の縮尺でのシベリア鉄道の旅は長いものです。機関車の運行中は吹雪で視界を遮られたり、速度制限などの区間ルールに従わなければペナルティを受けたり、ときには列車の外で熊や狼に襲われてしまうことも決して珍しくありません。
運行区間には色々な標識があり、40キロ以内の速度制限があったり、パンタグラフを畳まなければならなかったりといったルールがあります。この標識を無視すると機関車のパーツが破損してしまい、最悪の場合では走行できなくなってしまう可能性もあるので注意が必要です。




幸いそれぞれの区間には準備する時間もあり、何をすればいいのかがしっかり書かれているのでそこまで難しいものではありません。また、狭い路線では対向車両と正面衝突してしまうこともあるので、信号を見て減速や停止、路線の切り替えなどもしっかり対応しましょう。路線変更は自分で歩いてスイッチを切り替える必要があります。
現在のビルドではかなりUIもわかりやすく、次の駅やショップやバンカーといった施設までの距離も表示されます。列車の各パーツの消耗も運行中に確認できるので「次の駅にバンカーがあるからパーツ交換しようかな」などの計画も立てやすいデザインです。もちろん、買い物できるお金はしっかり稼ぎましょう。




お金稼ぎには「狩猟」も便利です。線路外には森や平原があり、そこには鹿や熊などの生き物も生息しています。ゲーム内では銃を購入できるので、動物を狩って毛皮や肉を売ることでもお金を稼げます。また、消耗した機関車パーツを買い取ってくれる店もあるので、色々な駅や施設を訪ねてできることをしっかり学んでおくことが大切です。




ストーリーモードでは危険な仕事も
ストーリーモードでは、シベリア鉄道での貨物業務だけでなくマフィアからの指令を達成するクエストも用意されています。主人公は実は最近まで収容所に入れられていた人物であり、このモードでは二足の草鞋を履くことでお金を稼ぐこともできます。
マフィアからの指令は派手なものが多く、一番最初から鉄道橋を爆破するというものも。マフィアミッションは基本的に機関車の進行上に目的地があって、例えばとある駅で爆弾を受け取って、次の駅に向かう途中に仕掛ける……というイメージです。一部のミッションを除き、貨物運搬と並行して進められます。





ゲームが進んでいくと列車外の仕事も増え、密造酒工場を襲撃したり、迫りくる敵を撃退したりと、機関車シミュレーターではなくFPSのような戦いも増えていきます。当然ながらヘッドショットも有効です。なお、人が多い場所で射撃すると最悪の場合駅の人間全員を敵に回すことになるので気を付けましょう。
ストーリーモードの良いところとして、ゲームにメリハリが付けられることがあります。機関車運転自体はとても楽しいのですが、運ぶ、修理する、運ぶという繰り返し作業であることは否めません。ここにイリーガルなミッションが加わることで、機関車運転士としての仕事をやりながら、ときにリフレッシュもできるのです。




元々狩猟要素などもあるゲームなので、システム的にも違和感はありません。もちろんこういったFPS要素よりも鉄道旅がしたいんだ!という人は、サバイバルやシミュレーターモードで遊ぶこともできます。どのモードでもゲームの醍醐味である機関車の運転と管理はしっかり楽しめます!



『Trans-Siberian Railway Simulator』は、本格的な電気機関車シミュレーターをベースに、過酷な環境のシベリア鉄道でのサバイバル要素を見事に融合している作品です。操作系統などは難しいようですが、不思議と慣れてくれば鼻歌交じりで標識に対応し、すれ違う同業者にホイッスルで挨拶する余裕すら生まれます。
個人的にはストーリーモードのミッションが、しっかりと運行方向に合わせた形で楽しめるというのが評価したい点。リアルスケールの840キロの旅を飽きさせない工夫でもあり、どこか懐かしい感じのFPSの戦いが楽しめるのも嬉しい部分です。




そして記事制作中に配信されたアップデートで、なんと機関車運転を大幅に簡単にする「制御モジュール」が実装されました。これは走行や停止はもちろん、電気の展開などゲームで必要な操作をワンタッチで行えるというもの。チュートリアルを終えた時点で入手できるので、よりカジュアルにゲームを遊びたい人にもピッタリですね!
早期アクセス段階ではありますが、基本的なゲーム要素はしっかりと楽しめます。一風変わった題材で、運転中にウォッカを飲めるような自由(?)さもありますが、こだわったゲーム性と遊びやすさはオススメの一作です!













