終末系青春ADV『ペンギンウォーズ』が切なすぎて、涙腺崩壊。地球滅亡までの「最後の一週間」を追体験する大注目の短編ゲーム【プレイレポ】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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終末系青春ADV『ペンギンウォーズ』が切なすぎて、涙腺崩壊。地球滅亡までの「最後の一週間」を追体験する大注目の短編ゲーム【プレイレポ】

少女の揺れ動く心情を繊細に描く探索型ADV。

連載・特集 プレイレポート
終末系青春ADV『ペンギンウォーズ』が切なすぎて、涙腺崩壊。地球滅亡までの「最後の一週間」を追体験する大注目の短編ゲーム【プレイレポ】
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皆さんは、「ノストラダムスの大予言」を覚えていますか?

1999年7の月(あるいは8月)に、空から「恐怖の大王(アンゴルモア)」が降りてきて世界が滅亡する”という予言で、とりわけ当時の日本で社会現象になるほど一大ブームとなった都市伝説です。

今考えると実に馬鹿らしいんですが、オウム事件や神戸連続児童殺傷事件など、90年代半ば~後半にかけての暗澹たる世相だったせいか、この時期に少年時代を過ごした筆者は、ノストラダムスの予言を本気で信じていましたね。  

では、恐怖の大王なんて抽象的なものではなく、空から大量の「ペンギン」が降ってきたとしたら?しかもそれが原因で地球が滅亡するとしたら…。

今回ご紹介するゲームは、ノストラダムスのような悲壮感はなく、むしろ思いっきりエモーショナルで切ない「地球滅亡までの一週間」を瑞々しく描いた終末系青春アドベンチャーゲームです。物語、世界観、ビジュアル、音楽、すべてのピースが素晴らしく、プレイ中は本当に良い歳こいて涙腺が緩みっぱなしでした

というわけで、個人制作チーム・しゃちクマずが手がけ、PC(Steam)向けに2026年2月20日に発売した『ペンギンウォーズ』のプレイレポートをお届けいたします!
なお、本稿はストーリーやゲーム内容について触れています。ネタバレには十分ご注意意ください。

◆ギター少女が過ごす“地球滅亡までの一週間”を追体験しよう

本作は、物語重視の探索型アドベンチャーゲームです。プレイヤーは、アパートにひとり暮らしする少女の視点を通して、ゆっくりと確実に滅びゆく世界を舞台に、「最後の夜」を迎えるまでの一週間のあいだ、行きたい場所や話したいひとを自由に訪れて過ごしていきます。どんなふうに日々を過ごすかはプレイヤーの選択次第です

本作には、現時点でオプション機能はなく、画質の設定や音量の調整などはできません。ニューゲーム、ロードゲーム、スペシャルコンテンツだけのシンプルなスタート画面ですが、余計なものが無いぶん世界への没入感がより深い気がしました。

紙芝居風のあらすじが流れて本編が始まります。ある日とつぜん地球に、宇宙から「お星さま」が降ってきたのですが、その正体はなんと「ペンギン」に似た可愛らしい鳥の塊でした

その上、鳥たちはこれから大量に地球へと降ってくることが判明します。とはいえ、たかがペンギンに似た鳥、大した事ないだろう……人々はそう思っていました。

しかし研究の結果、飛来した物体はただの鳥ではなく「宇宙生命体」であることが分かります。この謎の生命体は体長が平均60cmほどで色は黒白、質量はかなりの重さになるとのこと。

また、目視できないレベルで浮遊していること、どんな過酷な環境下でも影響を受けないことから「不変の生命体」として、“Persistent Extraterrestrial Non-biological Guardian Unaffected In Nature”のイニシャルを取って通称「P.E.N.G.U.I.N(ペンギン)」と名付けられるほど、可愛らしい見た目とは裏腹に人類にとって脅威的な生物なのです。

そして、「ペンギン彗星」と呼ばれる流星群が落下し地球は滅亡することが判明します。その期限があと一週間しかない、というのがあらましです。

オープニングが終わってプレイアブルに。「また今日もいつもと同じか―。」そうベッドから呟くのは、本作の主人公である「原田こころ」という女性。あまり活発ではなく、なんだか無気力な印象を受けますが…。

まず魅力的に映ったのが、このアニメ風のビジュアルスタイル。シンプルかつ柔らかな漫画っぽさが、瑞々しさと青春のジュブナイルを予感させ、とても惹かれました。UIも最小限に抑えられて画を邪魔しておらず、物語に没入できる設計なのも非常にグッド。ポラロイド写真を切り取ったような画面のサイズと余白もオシャレで良かった点です。

ゲームプレイは基本的にポイント&クリック形式で、気になる場所にカーソルを合わせインタラクトしながら進めていきます。たとえば、ランプの下の引き出しをクリックすると中に入っているさまざまモノが閲覧可能に。

色々なものを調べることで「過去」が語られていく

そのひとつに彼女の「学生手帳」があり、これを調べてみると回想が始まります。約1年前、普段通り大学へ行ってみたところ、どうやら今回のペンギン騒動のせいで講義が「無期限休講」になることが判明します。それをまったく知らなかったこころは、自分を「不気味な愛想笑いしかできない友達ゼロのコミュ障」で「SNSやテレビにも疎い」からだと自嘲するのですが……。

こういった風に、さまざまな場面で主人公自身の「過去」や「人柄」がモノローグ的に語られ、彼女が「どのように生きてきたのか」が明示されていく構造になっており、その演出の巧みさがプレイヤーの感情をより強く揺さぶります。

引き出しの中には、彼女が愛用するエレキギターの新しい弦も置いてあります。弦を張り替えて心機一転、最後の一週間を充実させたいと願うこころ。

本作において、「エレキギター」や「音楽」は切っても切れない重要なファクターのひとつ。実はこころは、大学の講義終わりによく路上ライブをしていた、ギターロック少女だったようです。ギターを弾くことで、いつもの現実が別世界に感じられる瞬間がたまらなく好きだと。

路上ライブ中のこころ

回想が始まると同時に、瑞々しいアルペジオが奏でられ、そこから一気に弦をストロークして、感情が爆発するかのような青々とした絶妙なギターフレーズが流れ出します。

このような感情を揺さぶる音楽が、サウンドトラックとなって物語をよりエモーショナルに仕立てあげているのが特に印象的でした。

活力をほんの少し取り戻した様子の彼女の部屋に、なんと「ペンギン」がやって来ました。彼らは動かせない以外には基本無害なので迎え入れることに。
こうして、滅亡の原因でもあるペンギンとの奇妙な「共同生活」が始まります。なぜこころを訪問したのか、なんの目的があるのか…それが実は物語を紐解く大切なカギでもあります。

ここからは、この世界での一日の過ごし方を見ていきます。まず、こころの生活は昼夜逆転しているため、実際に活動する時間帯は常に夜間です。けれども、それゆえに「最後までの時間」が一段と神秘的でセンチメンタルものになるのでしょう。

矢印マークをクリックすれば目的地が表示されるので、好きなところへ行くことができます。たとえば、トイレは彼女のお気に入りスポットのひとつらしく、じっくり物思いにふける姿が垣間見えます。脱衣所では、洗濯機のグルグル回る様子や、そばにあるゴミ箱まで調べることが可能で、その作り込みの細かさが発見する喜びにつながっていました

リラックス

さまざまな場所を訪れて、こころの生活様式を知っていきます。大半は、大筋のゲーム進行に関係ないものですが、お風呂に入ったときだけは、たいてい「明日のご飯」のことを考えているみたいで、食べたいものをコンビニへ買いにいく、という物語に関する新たなフラグがたちます。

冷蔵庫

たしかに、キッチンへ移動して冷蔵庫を調べてみると、中身は空っぽ。これは買いに行かねば……。

しかし、久々にやる気がみなぎったとはいえ、疲れたので初日はこれくらいで就寝することに。地球滅亡まで、あと残り6日間。

階段エリア。こころの表情が良い

そして、迎えた6日目は外出することにします。玄関を出て、アパートの踊り場へ。その前に少し「屋上」へ寄り道してみましょう。

アパートの屋上は、街を一望することが可能な、こころが最も大切にしている場所。普段のデフォルメされた立ち絵もゆるカワで好きなんですが、時折見れるリアル調の一枚絵も本当に素敵です。筆者は、この屋上のシーンがおそらく一番好きで、「こころ」というキャラが持つ、「儚げな可憐さ」を巧みに表していると感じました。

作中、一番好きなシーンかも

加えて、このゲームが素晴らしいのは、「感情を表現するセンス」が非常に高いことです。変に難解な文学的な言い回しでもなく、いわゆる厨二病的な独善的なアバンギャルドっぽさのない、飾り気のない心情の吐露は、彼女が感じていることが素直に伝わってきます。

──私はここからの景色が大好きだ。

何気ないモノローグですが、このストレートな表現が画と相まってめちゃくちゃエモいです。

ほかのシーンでも、「――両手で感じる微かな風が、私を夜に溶け込ませる」と、残り少ない夜の景色を慈しむように表現しているのが秀逸。こころが呟くいくつもの言葉たちは、青春のきらびやかさと哀愁を感じさせ、とてつもなく切なくて心を締め付けられます

さて、晩御飯を買いに地元のコンビニ「ニャミリーマート」へやって来ました。すると、高校の時の同級生「とおる」に再会。「話し込む」を選択すれば、じっくりと会話できるようになり、その人物との関係性が生まれ、ストーリーの結末に影響を与えることになります

「最後の夫婦喧嘩」をする老夫婦
「林檎書店」の店主・リンゴ

ユニークなキャラクターがたくさん登場するのも本作の魅力。関係性を築いていけば、会話が弾み次の目的地や会うべき人物の情報に繋がります。つまり、さまざまな人とコミュニケーションを取ることによって「探索範囲」が広がっていく仕組みなのです。

このゲームは、気ままに一週間過ごすことも可能ですが、それとは別に、コミュ障であるこころが、「人間関係を克服すること」「一歩踏み出す勇気」をメタ的なテーマとして盛り込んでいます。

一通り探索を終えたら、アパートへ帰って就寝。これが大まかな一日のサイクルです。初日以降は、寝る前にスマホのアプリ機能を使用できるようになります。

マップ
日記
ゲーム「居合切り」

周辺のお店や施設の位置を「マップ」で確認してみたり、「日記」で登場キャラとの関係性を把握してみたり、はたまた激ムズアプリゲーム「居合切り」で遊んでみるのも良し、とバラエティに富んでおりユーザーの補助機能がしっかりと盛り込まれていました。

本作は雰囲気が抜群に素晴らしいゲームですが、探索やアイテム収集など、ゲームプレイそのものも楽しくて満足度は高いです。たとえば、1日に1回だけ購入できる「自販機」は、炭酸コーヒーやチーズジュースといった珍しい缶ジュースばかりが出てくる変な自販機。驚きながらも、平気でガブガブ飲み干すこころの姿にクスッときますね。果たしてコンプリートできるのか……?!

ほかにも、正しいパスワードを入力する謎解きや、一日の記憶を素早く整理するパズルなど、遊び心溢れるミニゲームが用意されているのにも好感が持てました。

こうして滅亡までの逼迫した状況とは裏腹に、行きたい場所や会いたい人を徐々に増やしていくこころでしたが……。

そして最後に、筆者がプレイ中とくに感動したポイントを2つ紹介します

まず最初は、主人公の過去についてのお話。本作は、「家族愛」がひとつのテーマにあります。というのも、実はこころはさまざまな家庭の事情が重なり、母親との喧嘩が絶えず家出し、長い間音信不通でした。

しかし、こころはある出来事がキッカケで母親との関係を修復しようと決意するのですが、その対話シーンがもう涙なしでは見れません。長い間お互いに言えなかったこと、言いたかったこと、そして「これからの未来」について――。母親と娘、かけがえのない家族が「滅亡寸前の地球」で再び絆を取り戻していく様子は、筆者の涙腺を見事に決壊させたのでした……

ふたつ目は、やはり「地球最後の日」を迎えたときの雰囲気でしょうか。ネタバレになるので詳細には書けませんが、最終日の探索も、いつもと変わらないサイクルで淡々と進めていく感じです。

友人のとおるやリンゴに会いに行くと、みな一様に悲壮感がありません。しかし、なにげない会話の中で、これまで生きてきた思い出や、出会った人々への感謝の言葉が語られていることに気が付きます。この最後まで健気に人生を全うする姿勢と、すべてを受け入れたような明るさのギャップに、心の底から悲しみが襲ってきました。

もちろん、こころの日常的なモノローグも一層エモーショナルに響きます。とくに、彼女がずっと心に秘めていた「最後の時間の過ごし方」が判明した瞬間、良い年こいたオジサンの目から大粒の涙が溢れたのでした…マジで

無気力だったこころが本当にやりたい事を見つけ、残り少ない「生」を諦めたくないと、懸命に生きようと変化していく姿は、何よりも感動しました



いかがだったでしょうか。本作は、一周のクリア時間は約1時間~2時間程度のカジュアルに遊べる短編ゲームで、マルチエンディングのためリプレイ性もあります。

繰り返しになりますが、キャラ、ビジュアル、世界観、ストーリー、サウンド、ゲームプレイ、どれをとっても個人制作とは思えないほどクオリティが高く、筆者的には現時点のGOTYと言えるほどの青春アドベンチャーの傑作だと思っております。

お値段も現在765円と破格なので、ぜひともこの機会に体験して欲しい一品です!

  • タイトル:『ペンギンウォーズ』

  • 対応機種:Windows PC(Steam)

  • 記事におけるプレイ機種:Windows PC(Steam)

  • 発売日:2026年2月20日

  • 著者プレイ時間:8時間

ライター:DOOMKID,編集:みお


ライター/心霊系雑食ゲーマー DOOMKID

1986年1月、広島県生まれ。「怖いもの」の原体験は小学生の時に見ていた「あなたの知らない世界」や当時盛んに放映されていた心霊系番組。小学生時に「バイオハザード」「Dの食卓」、中学生時に「サイレントヒル」でホラーゲームの洗礼を受け、以後このジャンルの虜となる。京都の某大学に入学後、坂口安吾や中島らもにどっぷり影響を受け、無頼派作家を志し退廃的生活(ゲーム三昧)を送る。その後紆余曲折を経て地元にて就職し、積みゲーを崩したり映像制作、ビートメイクなど様々な活動を展開中。HIPHOPとローポリをこよなく愛する。

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編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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