GAME STARTとジー・モードは、田舎暮らしシミュレーションゲーム『にほんの田舎ぐらし』のSteam/ニンテンドースイッチ版をリリースしました。
本記事では、GAME STARTの藤田武男氏(以下、藤田)とジー・モードの竹下功一氏(以下、竹下)へのインタビューをお届けします。
「ドット絵」という強みを活かす世界観探しから生まれた企画
――本作の企画はどのように生まれたのでしょうか?「にほんの田舎ぐらし」をゲームにしようと思ったきっかけを教えてください。
藤田: GAME STARTと合計3名のスタッフで「弊社の強みであるドット絵が映えるような世界観は何か」と探すところからスタートしました。例えば、宇宙だったり海底だったりと色んな案が出たのですが、「日本の田舎を舞台にしたゲームって意外とないんじゃないか」というとこらから、ドット絵を描き下ろしてSNSに投稿したところ反響が良かったので開発を進めていきました。

――実際に遊ばせていただいてドット絵のグラフィックがとても綺麗だと感動したのですが、本作のビジュアル表現で特にこだわっているポイントはどういったところでしょうか?
藤田:藁葺き屋根ですね。ドット絵を描かれてた方もここを特に見てほしいとおっしゃっていて、ここまでドット絵で表現するのはなかなか苦労されて、何度も描き直したとのことで……。線で書き込むとよりリアルにはなるのですが、ドット絵感が出過ぎるので出来るだけ塗りだけで表現することで可愛らしさを残すことにこだわりました。

――なるほど、確かにプレイしててどこに行ってもビジュアルが可愛らしくて癒される世界観ですよね…!
竹下:そう!いろんな場所にいった時の四季の変化も美しいですしね。
藤田:日本といえば四季だろうということで(笑)。SNSでも雪や夜の表現が美しいとユーザー様から言ってもらうことが多いですね。
SNSの反響が後押ししたマルチプラットフォーム展開
――Apple Arcadeでの展開を経て、あらためてニンテンドースイッチ版、Steam版をリリースすることになった背景を教えてください。
藤田:元々弊社がスマホゲームを出していたので今回もスマホで出そうかなという話だったのですが、SNSに掲載した一枚絵が横画面だったからかスイッチやコンソール機で出してほしいという声も頂きました。そんな時にAppleさんから連絡を頂き、まずはApple Arcadeでリリースしました。そこから2年経ち、iPhoneユーザー以外のお客様からの要望に応えるために今回ニンテンドースイッチ版、Steam版のリリースに踏み切りました。
――Apple Arcade版では実際どのくらいのユーザーに遊ばれたのでしょうか?
藤田:日本、米国でランキング1位を獲ったり、主要国ではベスト5に入るくらいたくさんの方に遊んでいただいています。各国のレビューでも世界平均4.8、さらにアメリカや韓国では4.9という高い評価もいただいております。
――すごい高評価ですね……!その中でも特に印象的だった反響はありますか?
藤田:一番大きいものだと「日本の文化を勉強できた」という声がありました。また、日本語を教えている方から、本作を題材にして日本語を教えていますというお話も伺いました。
――逆に日本のユーザー様からの反応はどういったものでしたか。
藤田:「本当の日本の田舎はこんなに優しくないよ」という厳しい声も頂きましたが(笑)。それを抜きにすれば非常に好評でした。
――リアルな田舎といえば、NPCと主人公のなんともいえない距離感が絶妙だな~!と思いましたが、そこは意識されていたんでしょうか?
藤田:台詞の点では、主人公に合わせて男性と女性どちらでも捉えていただけるような言い回しになるように気をつけました。海外の翻訳によっては仕方なく男性寄りになっている部分もあるのですが……。そういった点がほどよい距離感に繋がっているのかもしれません。よくユーザー様から「結婚システムがほしい」とのご要望もいただくのですが、主人公に合うような年齢のNPCがいなくて……。
竹下:確かにお年寄りの方との出会いは多いですよね
藤田:そうですね、廃れてしまった田舎で主人公が頑張るというのは一つの大きなテーマとしてありますね。

信頼と開発力が支える二人三脚のパブリッシング
――ジー・モードさんと組むことになった経緯を教えて下さい。数あるパブリッシャーさんの中でも、ジー・モードさんに決めた理由は何でしょうか?
藤田:パブリッシャーにお願いする際に情報を集めまして、インディー業界に進出しているパブリッシャーの中でも知っている人からお声かけしてみようと考えました。竹下さんとは十数年前から何度か交流があり、ゲームを大切にして頂けるんじゃないかと思いました。ジー・モード、というより竹下さんにお願いしてみたという感覚です。
また、ジー・モードさんは自社で開発されているという部分も大きいです。Apple Arcade版ではスマホのタッチ機能を想定して作られていたので、コントローラー対応を含めてしっかり開発してくれる所がいいなと思っていました。ジー・モードさんは『空気読み。』等も自社で出されていて開発力も強いのだろうなと。
竹下:藤田さんとはスマートフォンというものが出たての頃にアプリ開発で大変お世話になったり、共通のお友達もたくさんできたりと、前々から親交があったんです。 GAME STARTさんとココソラさんで開発されたゲームもAppStoreのマーケットで大ヒットしていて「遠い人になってしまったな」と(笑)。きっと今回も引く手数多であったと思うのですが、一番最初に声をかけてくださってすぐに決めて頂いたのはとても嬉しかったです。
――パブリッシャー視点でジー・モードさんが今作の惚れ込んでいる点はどこですか?
竹下:これまでに培われた実力で作り上げられたゲームの見事さですよね。ドット絵のグラフィックも素晴らしい上に、導入からとにかくお客様を迷わせないような作りであったり、やることが尽きないゲーム性や、丁寧さなど……。プレイしていて「とんでもないな」と思いました。いい意味で狂気を感じるほどでした(笑)。我々も事前の映像などをたくさん用意しようと思っていますが、プレイしていただけたら奥深さが伝わるのではないかと思います。
――開発・パブリッシングの面で、ジー・モードさんが関わったことで助けられた点や、印象に残っているエピソードはありますか?
藤田:やはりパブリッシャーさんといえば宣伝まわりですかね。イベント出展やSNSでの宣伝なども有料で売っていく面で力を入れたいなと思っているのでお任せできるのはありがたいと思っています。あとは重複してしまいますが、コントローラー対応をして頂けるのもありがたいです。普通だったら仕様書等いると思うのですが全くなく、たくさんやりこんでくれたのかなと……。
竹下:めっちゃやり込みました(笑)。担当のエンジニアとプランナーが、ここに行くと実はこんなイレギュラーな操作のミニゲームがあるんだっていうのをひとつずつプレイしながらコントローラーに最適化していく作業を行っていますね。
最初は一部カーソル移動がApple版のままだったのですが、そこもちゃんとクイックに方向キーで選べるように対応していきました。うちは自社で開発をしているので、パブリッシングを担当させていただいているゲームのサポートは技術面でも手厚くできるというのが強みになっています。

完成されたゲームを、さらに遊びやすく
――ニンテンドースイッチ版、Steam版をプレイするユーザーに向けて、遊びやすさの面で意識した点があれば教えてください。
竹下:実はメイン画面の大きさはより遠くまで見えるtvOS版(※Apple TV向けOS)を採用しているのですが、メニューやメッセージはtvOS版だと携帯モードで遊んだ時に小さくなり過ぎてしまうのでスマホ版の大きさにして組み合わせています。あとはコントローラーの最適化です。ゲームの内容は完成されきっているので、ジー・モードとしてはいかにストレスなくプレイできるかを追求しました。
――すでにApple Arcade版を遊んだ方が、ニンテンドースイッチ版、Steam版でも新鮮に感じられる要素はありますか。
藤田:基本的には忠実な移植を想定していますが、「もっと早く走りたい」というご要望をいただいておりましてダッシュができるようになりました。のんびりとしたゲームなので走力を上げることやワープ能力の追加予定はなかったのですが、今回買い切りということで気持ちよく遊んでほしいと思い追加しました。ダッシュすると時間も早く経過するので、プレイスタイルに合わせて使ってほしいです。

――ニンテンドースイッチ版、Steam版でのリリースによって、新たに届いてほしいユーザー層はありますか。
藤田:まず機種等の関係で一度遊ぶのを諦めた方達には届いてほしいですね。あとは、もっともっとたくさんの方々に届いてほしい気持ちはあるのでそこはジーモードさんにお願いしたいです。
竹下:海外を含め、大きなメディアにもたくさん取り上げていただいています。何より、 GAME STARTさんのSNSアカウントにファンがついていることが大きいですね。ゲームとクリエイターさんをセットで好きでいてくれていることもあると思うので、ファンの方々とコミュニケーションをとってくれているのは大変ありがたいです。また、ジー・モードとしてはお子さんなど低年齢層にも波及してくれればいいなとも思っております。
文化と遊びやすさのあいだで
――現代の田舎を舞台にされているということで、取材や参考にされたものはありますか。
藤田:実は、ないんですよね……。ユーザー様からもよく聞かれるのですが、色々な田舎を参考にして制作しているんです。できれば宮崎駿監督のアニメのように「この場面ってこの場所のことじゃない?」みたいな感じでどこか似た景色を勝手に見つけて頂けるくらい売れたら嬉しいですね(笑)。神社のドット絵に関しては、我々が埼玉で開発しているので神社は氷川神社の影響を受けているかも?

――主人公の家のお隣の神社ですね!
藤田:そうですね。神社といえば、参拝できるミニゲームがあるのですが、海外のユーザー様から宗教上ゲームとしても参拝などは省いてほしいというご意見もありました。
――そういったご意見も……!私も実際に参拝のミニゲームをプレイしましたが、恥ずかしながら二礼二拍手一礼の順番を覚えておらず、まごついてしまいました。
藤田:海外の方は「初見でわかるのかなぁ?」と思いますよね。実はヒントがあるのですが。
竹下:これをきっかけにどういう作法なのか検索して調べてほしいですね。
藤田:コミュニティでも盛り上がってほしいです。

――他にも現実の要素から影響を受けた部分はありますか?
藤田:ガイドブックに記載されている年中行事ですかね。月によってイベントが盛り込まれていて、大体がミニゲームに落とし込まれています。
竹下:ガイドブックを見ているだけでも「陶芸ってなんだろう」とか「ホタルは綺麗だろうな」とかワクワクしますよね。
藤田:逆にリアルにしないようにした点として作物があります。シーズンごとに育てられる作物を絞った方がよりリアルではあるのですが、ユーザー的にはネックかなと考え成長速度も揃えて好きに育てられるようにしました。


――最後に、読者の皆様に向けてコメントをお願いします。
藤田:初期から待っていただいた方々には大変お待たせいたしました。とてもボリュームある内容になっていますので、ぜひ手に取って遊んでいただきたいです。Apple Arcade版は引き続き自社でアップデートを行いたいと思っていますが、スイッチ版のアップデートもご要望があればジー・モードさんも頑張って続けて頂けると思うので、よろしくお願いします!
――ありがとうございました!

『にほんの田舎ぐらし』は、PC(Steam)/ニンテンドースイッチ向けに発売中。美しい景観に囲まれながらの暮らしが気になった方は、この機会にぜひ手に取ってみてください!













