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派手な戦闘はないけれど…かわいいヤモリになって世界をよじ登れる『ゲッコー・ゴッズ』開発者インタビュー

“登ること”そのものを面白さに。

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派手な戦闘はないけれど…かわいいヤモリになって世界をよじ登れる『ゲッコー・ゴッズ』開発者インタビュー
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派手な戦闘はないけれど、気づけば歩き続けてしまう――そんな不思議な引力を持った作品があります。小さなヤモリとなり、遺跡や断崖をよじ登りながら島々を巡る探索アドベンチャー『ゲッコー・ゴッズ』です。

なぜ“ヤモリで登る”という発想に至ったのか。なぜ派手な戦闘を排し、それでも成立するゲームを目指したのか。本稿では、開発者のLouis Waloschek氏に話を伺いながら、『ゲッコー・ゴッズ』の設計思想と、その独自の体験がどのように形作られたのかを紐解いていきます。

ヤモリであることの楽しさ

――まず最初に、『ゲッコー・ゴッズ』というプロジェクトはどのようなきっかけで始まったのでしょうか?このゲームを作ろうと思った最初のインスピレーションについて教えてください。また、なぜ主人公にヤモリを選んだのでしょうか?

Louis Waloschek:『ゲッコー・ゴッズ』の制作を始めたのは、2020年のロックダウン中、大学の学部課程に在籍していた頃でした。私と数人の友人だけが大学に残っているような状況で、当時は「Avant Garden」と呼んでいた植物育成/管理ゲームに取り組んでいましたが、そのプロジェクトにはやや興味を失ってしまい、モロッコの川沿いの渓谷を美術的なインスピレーションとした、『ゼルダ』風の戦闘ゲームのコンセプト作りを始めました。

ある友人が私にプログラミングを教えてほしいと頼んできて、彼女が「ヤモリを出してみたらどうか」と提案してくれました。それで、ヤモリを動かして移動するシンプルなタイルベースのゲームを一緒に作りました。

その後、渓谷を舞台にしたゲームを開発している中で、重要な問題に直面しました。二足歩行のキャラクターでは、その環境の急峻な渓谷をうまく移動できなかったのです。そこで、友人と作ったヤモリのゲームを思い出し、「この渓谷にヤモリを登場させたらどうなるだろう」と考えました。そして数週間かけて最初のプロトタイプを制作したところ、すぐにこれはうまくいくと実感しました。

――ヤモリを主人公にしたことで、従来の3Dアドベンチャーとはどのように異なる体験を作れると考えましたか?

Louis Waloschek:主な目標は、人工的な制限を最小限に抑えることで、プレイヤーに自由の感覚を与えることでした。プレイヤーはあらゆる場所を歩けるべきであり、環境にあるすべてのものが、実際に登ることのできる「世界の一部」であるべきだと考えました。

――『ゲッコー・ゴッズ』は、戦闘よりも移動や探索、発見、そして世界そのものとのインタラクションを重視している印象があります。開発初期にはどのような体験を目指していましたか?

Louis Waloschek:このゲームは最初から非常に『ゼルダ』に影響を受けていましたが、開発初期の段階では、より多くのステルスやサバイバル要素も含まれていました。たとえば、餌を食べたり、鳥から身を隠したりするといった要素です。しかし、開発を進めながら「ヤモリであることの楽しさ」に焦点を絞っていく中で、最終的にはオリジナルの設計にあったパズルや神殿的な要素に、より強く集中するようになりました。

戦闘は、もともと特に難しくする意図はありませんでした(途中のある段階では、神殿の一部を投げつけてくる精霊と戦うプロトタイプもありましたが)。最終的に戦闘は、ゲームのリラックスした要素に対して、テンポやアクセントを与えるためのものとして機能する形に落ち着きました。

――移動は本作の大きな魅力のひとつであり、壁や崖などを登れる点が特徴的です。移動そのものを楽しいものにするために、どのような点に注力しましたか?

Louis Waloschek:移動の設計において中心となった目標のひとつは、完全にカメラ基準で操作できるようにすることでした。私は『スーパーマリオギャラクシー』のような重力を扱うゲームが好きなのですが、そういったゲームではカメラが常にプレイヤーに合わせて動きます。

この問題は非常に難しく、かつ興味深いものでした。解決方法は技術的なものというよりも、直感的なものであることが多かったです。

キャラクター操作を滑らかに感じさせるのは、多くの小さな判断の積み重ねだと思っています。特に、ジャンプから走行へ、走行から水泳へ、水泳から登攀へといったような、さまざまな移動状態の切り替えや、その境界条件をどのように処理するかが重要です。これらを見つけて対応していくことが、ヤモリの操作システム開発の大きな部分を占めていました。

――小さなヤモリが主人公であることで、世界の見え方やスケール感は大きく変わると思います。その点はどのように設計しましたか?

Louis Waloschek:最初は通常サイズのキャラクターを前提に世界を設計し、その後でヤモリのサイズに合わせて小さな通路を切り出していく形で制作しました。『ゼルダ』や『トゥームレイダー』のように、現実に存在する文明を探索しているような感覚を呼び起こしたかったのですが、その探索者が英雄ではなく、小さなヤモリであるという点が特徴です。

――群島や古代遺跡の静かで神秘的な雰囲気が印象的です。世界観や雰囲気にはどのような影響がありますか?

Louis Waloschek:環境の最初のインスピレーションはモロッコの川沿いの渓谷から来ていましたが、コンセプトを進めるにつれて、マヤやアステカの芸術や遺跡、そしてインド・マハーラーシュトラ州の寺院にも強く惹かれるようになりました。

その後、環境アーティストとしてAli Eserが参加しました。彼はトルコで育ったため、建築デザインにイスラム的な影響も取り入れられ、結果としてさまざまなルーツが融合した、より興味深い世界が生まれました。

――本作は「かわいい」だけでなく、不思議さや神秘性も感じられます。このバランスはどのように作りましたか?

Louis Waloschek:最初から「かわいくしよう」と考えていたわけではなく、結果的にそう感じられるものを目指していました。環境を有機的かつ反復的に構築していくことで、プレイヤーにとって現実に存在するような世界に感じられることを期待していました。

――パズル要素も重要な役割を果たしているように見えます。探索とパズルの関係についてどのように考えていますか?

Louis Waloschek:レベルデザインにおいては環境優先のアプローチを取りました。そのため課題もありましたが、結果的にパズルを環境の中に深く統合することができました。プレイヤーが長時間何も見つけられない状況を避けつつ、同時にエリアが過密にならないような距離感も維持するようにしました。

――プレイヤーが「発見した」と感じる瞬間はどのように定義していますか?

Louis Waloschek:プレイヤーが何を満足のいく発見と感じるかを知るのは非常に難しいことです。というのも、プレイヤーが環境を見る頃には、私たちはすでにそれを何千回も見ているからです。

できるだけパズルを環境の中に組み込み、それが後から置かれたものではなく、誰かが実際にそこに作ったもののように感じられるようにすることを心がけています。

――静かで穏やかなゲームは、プレイヤーの関心を保つのが難しいこともあります。本作では何がプレイヤーを前に進ませる原動力になると考えていますか?

Louis Waloschek:開発初期には、プレイヤーへの明確なガイドを設けず、環境デザインだけで導くことを試みていました。しかし実際には、プレイヤーごとに異なる動機があることが分かりました。ヤモリとして動く体験そのものを楽しむ人もいれば、達成感を求める人、世界や物語の謎に惹かれる人もいます。

予想以上に多くのプレイヤーが、明確な目標や達成感を求めていることが分かったため、マップ兼ガイドとなるシステムを追加しました。また、壺を壊す、虫を捕まえる、鳥と会話するといった小さな要素も、プレイヤーの関心を維持するうえで非常に有効でした。

――どのようなプレイヤーに遊んでほしいと考えていますか?

Louis Waloschek:独自の雰囲気や明確な個性を持つ世界を好むプレイヤーに、特に楽しんでもらえたら嬉しいです。

――日本のプレイヤーに向けて、特に響いてほしいポイントはありますか?

Louis Waloschek:私自身が日本のゲームやゲーム開発に大きな影響を受けてきたので、その要素は本作のさまざまなデザイン選択に表れていると思います。特に、自由な移動とゲーム全体の構造とのバランスは、その影響が強く出ている部分です。

――最後に、本作があなたにとってどのようなゲームになってほしいと考えていますか?

Louis Waloschek:壁面を移動できるというユニークなアプローチに加え、オープンワールドとより構造的なジャンルの橋渡しをするような作品になっていると思います。最終的には、この作品を通じて私たちが作り上げようとした独特の雰囲気を楽しんでもらえたら嬉しいです。


『ゲッコー・ゴッズ』は、PC(Steam)/PS5/ニンテンドースイッチ向けに配信中です。

ライター:みお

ライター/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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