ジャズや南インド伝統音楽、ケモノフュージョン、64時代の名機などゲーム音楽の個性派紹介! 【音楽からゲームをはじめてもいいんだよ #1】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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ジャズや南インド伝統音楽、ケモノフュージョン、64時代の名機などゲーム音楽の個性派紹介! 【音楽からゲームをはじめてもいいんだよ #1】

ゲームをプレイしていなくても、サウンドトラックだけを聴いていい!

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ジャズや南インド伝統音楽、ケモノフュージョン、64時代の名機などゲーム音楽の個性派紹介! 【音楽からゲームをはじめてもいいんだよ #1】
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あえて、ここで言い切ってしまいましょう。ゲームをプレイしていなくても、サウンドトラックだけを聴いていいのだと。

ハードコアゲーマーたちはお気に入りの開発者やスタジオを追ってゲームを選ぶことも多いと思います。その判断基準の一つに「コンポーザー(作曲家)」を加えてみてはいかがでしょうか?

ゲームの音楽を作るコンポーザーにも、当たり前ではありますが確固たる作家性が存在します。そして、コンポーザーが生み出す特有のサウンドが、ゲームのトーンやシステムそのものを大きく左右することも決して珍しくありません。

さらにゲーム音楽には、その作品の根底にある独自のカルチャーや、伝統的な要素が色濃く反映されるという面白さもあります。例えば今回ピックアップした『Dosa Divas』のように、南インド文化からの強烈な影響を独自のサウンドへと昇華しているケースなどがまさにそれです。

本連載では、誰もが知るヒット作から、多くの人が取りこぼしてしまった作品まで、「ゲーム音楽」という評価軸で、毎月さまざまな作品を紹介していきます。Steamではなく、Bandcampからゲームを探す面白さを是非ご堪能下さい

(※もし、さらに深くゲーム音楽のディグに勤しみたいという方がいらっしゃいましたら、筆者の著書『海外ゲーム音楽ガイドブック ビデオゲームからたどる古今東西の音楽』もぜひお手に取っていただけると幸いです。)

『ムーミントロール:冬のぬくもり』

ノルウェーのインディースタジオHyper Gamesが手がけた、「ムーミン谷の冬」をベースとするパズルアドベンチャー『ムーミントロール:冬のぬくもり』。

まず特筆すべきはエンディングテーマのキャスティング。アニメ映画「時をかける少女」の主題歌「ガーネット」で知られる奥華子と、アニソンカバーで頭角を現し、TVアニメ「骸骨騎士様、只今異世界へお出掛け中」のOPテーマも担当したPelleK(ノルウェー出身)が歌唱を担当しています。

トイピアノやアコーディオンといった楽器を主軸に展開する優しくゆったりとした曲調は、ピアノの弾き語りを身上とする奥華子にはまさに適任。一方で、普段メタル調のアレンジを主体とするPelleKの起用は意外に思えますが、アコースティックなサウンドの中でこそ、彼の透き通ったピュアな歌声が際立っています。

たどたどしい日本語で「いっしょに、旅に行こうか」と語りかける導入部は、bo enの「My Time」(『OMORI』提供曲の原曲)が持つ独特な魅力を彷彿とさせます。

ゲーム本編のOSTは、前作『スナフキン:ムーミン谷のメロディ』でもサウンドデザインを務めたJoar Renolenが担当。冬眠で誰もいなくなり、色彩を失った「冬のムーミン谷」が舞台のため、全体を通して静謐で落ち着いたトーンが貫かれています。

アコースティックギターの音色はミニマルにまとめられ、弦を滑る指の摩擦音(フィンガリングノイズ)すらもじっくりと噛みしめながら聴かせてきます。切なさや孤独感、そして寒さまでもが音響として端的に表現された一枚となりました。

なお、Joar Renolenはクラウトロック、ガレージサイケ、シューゲーザーを融合させたバンド「Porto Geese」のメンバーとしても活動しています。こちらのサウンドも非常に秀逸なので、あわせて是非!

『MOUSE:やとわれの探偵』

1930年代のディズニーを彷彿とさせるルックとアニメーションで注目を集め、瞬く間に大ヒットを記録したFumi Games開発のFPS『MOUSE:やとわれの探偵』。1930年代をリファレンスしている通り、楽曲も同年代の音楽から色濃く影響を受けています。

30年代のアメリカといえば、ジャズがよりダンサブルな「スウィング・ジャズ」へと流行が移行したまっただ中。本作も4拍子を基調とした、自然と身体が揺れるようなグルーヴ感が輝きます。

ジャズのエッセンスを取り入れたゲーム音楽の名盤として『Grim Fandango』『Psychonauts』、あるいは最近の『Mewgenics』などが知られていますが、本作のサウンドはそれらに比べてもよりストレートなジャズが展開。純度の高いジャズを求めるプレイヤーにうってつけの一作です。

もちろんジャズだけでなく、バンジョーをかき鳴らすカントリーやフォーク的なエッセンスを取り入れた楽曲も多数収録されており、当時のアメリカの空気感を忠実に再現するためにトーンを統一しようとする徹底したこだわりがうかがえます。

一方で、単なるレトロ回顧に留まらないアプローチも見事。ジャズにハウスやEDM要素を取り入れた「エレクトロ・スウィング」の代表的バンド・Caravan Palaceも楽曲「Good Mouse」を提供しており、ポップなとっつきやすさもしっかりと兼ね備えています。

『Fashion FUPA』

fufroomが開発を手掛けた『Fashion FUPA』は、FUPA(女性の下腹)の着せ替えに特化するという、ストイックかつニッチな内容のインディーゲーム。

肌や下着の色を組み合わせ、アクセサリーをドラッグ&ドロップで配置していくファッションゲーム要素に加え、『マリオペイント』をオマージュしたハエたたきミニゲームも搭載。その異様なテンションとキュートなアートワークが目を引く一作です。

ポップでビビッドなビジュアルに引けを取らないサウンドトラックですが、その制作において特筆すべき点があります。それは、サウンドモジュール(鍵盤を持たず音源部に特化したシンセサイザー)であるローランドの名機「SC-88」(厳密にはM-GS64)が使用されていることです。

このサウンドモジュールは『ポケモンコロシアム』『スーパーマリオサンシャイン』『ゼルダの伝説 風のタクト』など、90年代後半から00年代の数多くの人気作のサウンドを支えてきたことで知られています。

『Fashion FUPA』の楽曲群は、その特有の音色に「Wii」のBGMが持つエッセンスをブレンドして構築されています。とりわけ2曲目の「Plaza del Fupa」は「Wiiチャンネル」のテーマを色濃く彷彿とさせ、結果として任天堂の90年代から00年代を横断するような特異なサウンドスケープを展開しています。

ゲーム自体は中々知名度が低いものの、こういったゲームにも凄まじい楽曲が隠されているなんていうことはいくらでもあるのです。

『Dungeon Gals』

「ケモノ×レズビアン」をテーマにした2Dプラットフォーマーとして、Furryコミュニティでも話題を呼んだインディーゲーム『Dungeon Gals』。開発者であるDoricDreamが、自らコンポーザーも兼任している作品です。

サウンドトラックは、SFC(SNES)時代の2Dプラットフォーマー、RPGを彷彿とさせるド直球なテイスト。全53曲という大ボリュームの中でも特に際立っているのが、フュージョンのエッセンスを取り入れた変拍子の楽曲群です。

「A Cry From Below」「Humidity」「YOU ARE NOT WELCOME HERE」「Libera Me」といった楽曲は、ゲーム音楽としては中々長い6~7分という長尺で構成。しかも、単調なループに終始するのではなく、ダイナミックかつテクニカルな展開を見せ続けます。

同じく「ケモノ×レズビアン」をテーマにしたRPGに『Super Lesbian Animal RPG』というインディーゲームがあります。あちらがポップパンクや、Aivi & Surasshuが提唱する「digital fusion」といった現代的なジャンルを多く取り入れているのに対し、『Dungeon Gals』はより古風なゲーム音楽の文脈をストイックに突き詰めています。

ポップなアートワークでまとめ上げながらも、ゲームデザイン(DoricDreamは『LA-MULANA 2』を好きな作品に挙げている)と音楽の両面において「古き良きスタイル」を貫き通す、その骨太で渋いアプローチに脱帽です。

『Dosa Divas』

北米やイギリスなどに点在するインド系開発者が集結したインディースタジオ・Overloop Gamesが手掛ける、ボリウッド風味の“お料理JRPG”『Dosa Divas』。

インド系のキャラクターたちが料理をテーマに踊りながらロボットと戦うという、同スタジオの前作『Thirsty Suitors』の系譜を色濃く継ぐユニークな作品です。

サウンドトラックを担当するのは、『Boyfriend Dungeon』や前作『Thirsty Suitors』でコンポーザーを務めるMarskye(Ramsey Kharroubi)。

音楽面でも前作のアプローチを踏襲しており、南アジアの伝統的な楽器や、アラブ文化に影響されたパーカッションとリズムをふんだんに使用しています。そこにドラムンベースブレイクビーツヒップホップメタルといった多彩なジャンルを巻き込みながら出力していくミクスチャーな手腕は、「シャンティ」シリーズのサウンドを手掛けたJake Kaufmanを彷彿とさせます。

これほどの完成度と個性を誇りながら、現状あまり話題になっていないことが不思議でならない、強烈なエネルギーを放つ必聴の一枚です。

ライター:タナカハルカ,編集:みお

ライター/気さく タナカハルカ

インディーゲームデベロッパー・よんとんトマチンのメンバー(ヤムニャン学園)として『ふりかけ☆スペイシー』を開発。著書『海外ゲーム音楽ガイドブック ビデオゲームからたどる古今東西の音楽』『楽曲派アイドル・ガイドブック ももクロ以降のアイドルソング再考』。寄稿『ユリイカ2025年12月臨時増刊号 総特集=大貫妙子』『DAWN N°2』など。毎週新高円寺で会える。

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編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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