2026年5月22日から3日間にかけて京都・みやこめっせで開催された日本最大級のインディーゲームの祭典「BitSummit PUNCH」。数多くの出展作品から気になったものをピックアップしてご紹介!
本記事では、日本語学習とJRPGを融合させた独創的なシステムが特徴の3DダンジョンRPG『SHUJINKOU2』の試遊レポと開発者インタビューをお届けします。

前作から圧倒的パワーアップ!JRPG愛が炸裂するゲームシステム
日本語を学びながらRPGを楽しもうというコンセプトのもと、2025年2月13日にリリースされた『SHUJINKOU』。弊誌では以前に開発者へのインタビューを実施し、ゲーム制作に対する熱い想いを語っていただきました。「2024年一番"いいね"したくなるゲーム開発者インタビューだった」とも評されたインタビューも併せてご覧ください。
本作は、引退した侍「シュウ(主)」、呪われた住居から解放された風変わりなキツネ「ジン (人)」 、独自の野心を持つ聡明な王女 「コウ(公)」 の3人が、知的で言語を貪る「アクマ」から故郷を救うために様々な国へと旅をする物語となっています。

試遊を始めてまず目を奪われるのが、その卓越したビジュアルセンスです。本作はダンジョンの探索は一人称視点、敵との戦闘シーンになると三人称視点に切り替わり、カメラワークやモーションなど画面構成の端々から『ペルソナ5』に近い洗練されたモダンな雰囲気が漂っています。それもそのはず開発者のJulian氏は大のアトラス作品ファン。しかし、そのリスペクトは単なる模倣に留まりません。



注目すべきは、日本語学習とJRPGという異色の要素がより深く絡み合う独自のターン制コマンドバトルです。攻略のカギは漢字の意味を理解すること。各キャラクターが持つ「アラワス」という特殊攻撃を使用して、敵との相性を予測しながら的確な行動を選択していきます。学習の成果がダイレクトにバトルや探索の有利不利に影響するため、ゲームとしての面白さと学びのモチベーションが見事に融合しています。


ストーリー性も深みを増しており、会場でも配布された読み切り漫画の脚本を『ペルソナ5』のプランナーであるMatsushita Asuto(遊馬タツトシ)氏が手がけたという点からもその本気度が伺えます。同氏は本作の日本語対応などにもアドバイザーとしても関わっているとのことで、英語から日本語への翻訳クオリティも抜群です。日本語とJRPGへの緻密なこだわりにより、単なる学習ゲームを超えた至高の作品として、前作以上の興奮を約束してくれる仕上がりとなっていました。



『ペルソナ5』開発スタッフとの奇跡の邂逅!モダンとクラシックの融合が生む独自の世界観
ここからは開発者であるRice Games代表のJulian Rice氏へのインタビューをお届けします。
――まずはあらためて、開発チームを含めた自己紹介をお願いします。
Julian Rice氏(以下、Julian氏):私はRice Gamesの創業者であり、ゲーム監督、そしてソロ開発者です。チームメンバーはイラストレーター、作曲家、QA、そして私の書いたシナリオを魅力的な会話に落とし込んでくれるライターなど、世界中のさまざまな国から参加してもらっている大切な仲間たちです。
――『SHUJINKOU2』について簡単にご紹介いただけますでしょうか?
Julian氏: まず『SHUJINKOU』シリーズは3部作を予定しており、昨年『1』を海外のSwitch、PlayStation 5、Steamでリリースしました。今回の『2』は、『1』の結末の直後からストーリーが始まり、主人公とその仲間たちが「フブキ」という雪の国を訪れるところから展開していきます。
そこでの目的は雪の国のリーダーと交渉することなのですが、一筋縄ではいかない様々な問題が発生します。そのため、色々な場所を巡りながら道を開拓していくことになります。その過程で「フブキ」の住民たちと絆を深めていく必要があるのですが、感覚としては完全に王道少年漫画のイメージです。新しい土地へ行き、新しい仲間や強大な敵と出会う。前作を未プレイの方でも、完全に独立した新しいゲームとして楽しんでいただける作品を目指しています。
――実際にプレイさせていただいて、やはり『ペルソナ』シリーズへの強い愛を感じました。やはりそういった作品が元々お好きで制作されたのでしょうか?
Julian氏: 大好きですね! チーム内でもよく「『ペルソナ5』に似ている」と言われます。私にとって一番大好きなゲームを挙げるなら『世界樹の迷宮』シリーズや、もう少しクラシックな『真・女神転生 STRANGE JOURNEY』、あるいは『真・女神転生IV』ですね。もちろん『ペルソナ4』も大好きです。
本作は三人称視点を採用していますが、一人称視点のバトルも好きなんです。よりダイナミックで面白いカメラワークやモーションを表現したいと考え、キャラクターの背中が見える画面構成に挑戦した結果、偶然にも『ペルソナ』に近いモダンな雰囲気が生まれました。ビジュアルのスタイル面でも、アトラス作品のモダンなセンスから大きなインスピレーションを受けているのは間違いありません。さらに、インクのアートが美しい『大神』や『ダンガンロンパ』のキーアートに見られるような力強い墨の表現も大好きなので、それらの要素を融合させてモダンとクラシックが同居する独自のスタイルを追求しています。
――影響を受けた作品というと、今挙げていただいた作品が中心になるのでしょうか。
Julian氏: アトラスさんの作品ばかり出てきてしまって恐縮なのですが(笑)、実は『ファイアーエムブレム 覚醒』も本当に大好きです。特にキャラクターのアートスタイルはコザキユースケさんのイラストから多大な影響を受けています。
私の根底にあるのは『ファイアーエムブレム 覚醒』や『世界樹の迷宮IV』といった作品群です。また、日本ファルコムさんのゲームも大好きなので、音楽の面では「ファルコム作品に似ている」と言われることもあります。そうした自分が愛するゲームから最高のインスピレーションを受け取りつつ、自分だけの創造的な新機能を取り入れることで、唯一無二のユニークな作品を作ろうとしています。
――今回の「BitSummit」への出展にあたり、日本語版をプレイしたユーザーからはどのようなリアクションがありましたか?
Julian氏: すごく熱心にハマってくれた方が一人いらっしゃって、本当に感動しました。日本語に対応して本当に良かったなと心から思いましたね。実は前作の日本語対応も進めてはいるのですが、当時の私の荒削りなプログラムコードのせいでローカライズにものすごい時間とコストがかかってしまっていて(苦笑)。そのため『2』では、前作をプレイしていなくても最初から100%楽しめるようにゲームを設計しました。まずはこの『2』を、英語と日本語で同時に世界へ発売したいと考えています。
――Matsushita Asuto氏が読み切り漫画に携わるようになったのは、どのようなキッカケがあったのでしょうか?
Julian氏: これには明確な理由があります。どうしても本作は「語学学習ゲーム」としての側面としての認知が強く、ゲームとしての純粋なストーリーを深く見てもらう前に敬遠されてしまうことがあったんです。「それなら、学習要素を一切排除した純粋なエンタメ作品を作ろう」と考えたのが始まりです。
もう一つの理由は、私の大好きなジャンルであるJRPGが持つテンポ感にあります。JRPGは街の探索やダンジョン攻略のための往復など、どうしてもストーリーの進行がゆっくりになりがちです。しかし、私がプレイヤーに届けたい魅力的な世界観やキャラクターたちのドラマは、何も80時間ゲームをプレイしなければ伝わらないものではありません。ゲームを起動せずとも、この素晴らしい世界と愛すべきキャラクターを瞬時に理解してもらえる媒体は何かと考えた時に「漫画しかない」という結論に至りました。今回の小冊子は読み切りのオリジナルシナリオで、最初の国「ゲンヤ」の終盤、主人公のシュートジンやコウたちが全員集結した後に起こるエピソードを描いています。
――どちらからアプローチされたのですか?
Julian氏: 私からです! とあるゲーム開発者のネットワーキングイベントに参加した際、偶然にも「『ペルソナ5』のプランニングを担当した人を知っているよ」という方に出会い、紹介していただいたのがキッカケです。実際に土下座こそこしていませんが(笑)、心の中では全力で土下座するほどの熱意でアプローチしました。
「私は『ペルソナ5』が本当に大好きなんです!一緒に面白いものを作りましょう!」と必死に想いを伝えたところ、なんとか説得に応じ手伝ってくださることになりました。そこから作画を担当してくれた非常に才能のあるクリエイターを加えた3人で、約3週間半という短い期間で必死にこの漫画を作り上げました。さらに背景や着色を担当してくれるアシスタントも3名加わってくれて、非常に密度の高い作品になりました。
――まさに熱意が呼び寄せた奇跡的な繋がりだったのですね!
Julian氏: 本当にありがたいことです。最初から『SHUJINKOU』という作品のコンセプトやゲームプレイに強い興味を持ってくださいました。当時はゲームがまだ英語でしかリリースされていなかったにもかかわらず自らゲームを購入し、漫画の脚本を完璧に仕上げるために英語のままプレイして研究してくださったんです。そのプロフェッショナルな姿勢には、本当に激しく感動しました。
――最後にメッセージをお願いします。
Julian氏: 一番の願いは、本当に「全員に遊んでほしい」ということです。そのために、様々な難易度オプションやアクセシビリティの機能を充実させ、誰もが気軽に触れられる敷居の低さを目指しています。
また、価格面でも手に取りやすい設定にする予定です。前作の開発には6~7年ほどかかり、その間は様々なトラブルが重なって本当に死に物狂いの苦しい時期でした。その経験を糧にした今回は、非常にスムーズかつ効率的な開発体制を構築できています。開発の苦労による“重いストーリー”を価格や仕様に引きずることはありません。およそ50時間から、じっくりやり込んでも100時間前後で最高の体験ができるボリューム感を想定しています。価格もお手頃に抑え、RPGが好きな人なら間違いなく『SHUJINKOU2』の虜になってもらえるような、純粋に面白い作品を届けます。ぜひ期待して待っていてください!
――ありがとうございました!
『SHUJINKOU2』はPC(Steam)向けに開発中です。独創的なアイデアと確かなゲームクオリティが融合した本作の、今後のさらなる続報を楽しみに待ちましょう。












