
2026年5月22日から23日にかけて、京都・みやこめっせにて日本国内最大級のインディゲーム展示会「BitSummit PUNCH」が開催されました。
本記事ではviviONブースにて出展されていたDLsiteレーベル作品『Lil'tlilia リトリリア - 泉の女神と森の魔女 -』の開発者インタビューをお届けします。

『Lil'tlilia リトリリア - 泉の女神と森の魔女 -』は日本のインディ開発チームINAZUMA GAMESが開発を進めているゲームです。
このゲームは同チームがDLsiteを利用しセルフパブリッシングしていたゲーム『フォレスティア~ちいさな町の牧場ライフ~(以下フォレスティア)』を前身としています。
自然豊かな街「ココタウン」で牧場主として生活を送り、街の人々と交流、ヒロインたちと恋愛をする牧場生活シミュレーションゲームで、プレイヤーはひょんなことから牧場主をすることになった主人公・フィロとなって、寂れた牧場を立て直していきます。同作はDLsiteにて「DLsiteアワード2025」を獲得するまでの高い評価を持つゲームです。
そんな作品がDLsiteのサポートを受け、Steamへと進出することが2026年2月に発表されました。
装いも新たにSteamで世界に大きく打って出る『Lil'tlilia リトリリア - 泉の女神と森の魔女 -(以下リトリリア)』。その狙いや開発状況について、パブリッシングを手がけるDLsiteの協力も得て開発者の方にインタビューをいたしました。
偉大な名作への強い思い。『Lil'tlilia リトリリア - 泉の女神と森の魔女 -』の目指すものとは?

ーー『リトリリア』のことやINAZUMA GAMESについてご存じない方もいらっしゃると存じます。ゲームとチームの簡単なご紹介をいただけますか?
shun氏:そもそも触れないわけにはいかないんですけど、ワタシたちは『牧場物語』シリーズやその派生作品である『ルーンファクトリー』シリーズ、もちろんそのフォロワー作品である『Stardew Valley』などなど、そういったゲームがとにかく好きなんです。
自分たちもそんなゲームを作りたい。そういう思いから活動を始め、それを聞きつけて同じようにあんなゲームを作りたい!という仲間が集まってできあがったのが今のINAZUMA GAMESになります。
ーー何人ぐらいのチームになるんでしょうか?
shun氏:開発を始めたときは自分とプログラマー、イラストレーター、あとライターもいたか。その4人ぐらいで始めたんです。けれど、開発が進んでいく中で、いろんな方々にご協力をいただけることになり、ボリュームをもっと出したいと外注の方にも仕事をお願いするようにもなり……今関わっている人数だとコアメンバーは6人、外部の方を入れると10人以上に関わっていただいているんじゃないでしょうか?
ーー多くのファンが『リトリリア』がSteamで発売されることとなったきっかけを知りたいのではと感じます。まず同作がSteam向けのDLsiteレーベルに加わることとなった経緯をお聞かせ願えますか?
shun氏:多くの方に遊んでいただくためにはやっぱりSteamでの販売は欠かせないだろうという考えがあって。チームの、そしてこのゲームの次の一歩としてSteam配信を視野に入れました。
というのもまだまだこのゲーム自体も満足ができるクオリティ・ボリュームにはなっていないという思いが強くあります。ですので今後もどんどんとアップデートを続けていきたい。ですがそうなってくると、やはり資金の確保をどうするのかということも考えなくてはなりません。
最近はSteamで(私たちの作っているような)ゲームを出すということが本当に普通になっていて。ならばSteamに販路を広げることで、ゲームをよりよいものにしていきたいなと。
それで、DLsiteさんにお願いしました。あとその理由としては、やっぱり日本語でのやり取りがしやすいだろうというところがありました。

ーー海外のパブリッシャーではなく、国内パブリッシャーのほうがよいと。
shun氏:実は海外のパブリッシャーと別の作品を出したことがあるんです。ですがそのときユーザーから翻訳がイマイチだったよというフィードバックをいただいた経験がありまして。そこのクオリティのコントロールといいますか、要望を出しやすいのは日本のパブリッシャーだろうと。やっぱり近しい距離感の方々とやるほうが信頼感もあるしいいだろうと、DLsiteさんにお願いすることにしました。
ーーちなみに今回のDLsiteレーベルでのパブリッシングはINAZUMA GAMES側からDLsiteに依頼したのでしょうか?それともDLsite側からご提案があったのでしょうか?
shun氏:最初はDLsiteに配信作品の翻訳サービスというのがあって、それを利用させていただいたんです。で、そのサービスの一環としてSteam展開もワンセットでやりましょうということになりました。
配給を別の会社に頼むことも当然できたとは思うのですが、せっかく翻訳をいろいろやってくれているわけだし、お願いしないわけにはいかないよな……みたいなところはありました。
ーー翻訳サービス利用からの流れでそのまま……というわけですね。先ほどお話された日本のパブリッシャーという希望にも合致していた点もありますが。
shun氏:そうですね。ただ、なんとなく決まったような感じはありますけど(笑い)
あと、日本のパブリッシャーさんにはがんばってほしいなという思いもありましたね。それで一緒にやっていきたいねとDLsiteさんにお願いしたというのが経緯になります。

ーーちなみにDLsite側としてはアワード受賞作でもあるヒット作の『フォレスティア』からSteam展開の打診があったとき、どのようにお考えだったのでしょうか?
DLsiteレーベル 池田氏:INAZUMA GAMESさんからお声がけ頂いた当時、弊社としてはまだSteam事業に関して今ほど拡大していない状態でした。
ですので、やはり社内の中でもこの作品をパブリッシングするのかどうか、いろいろと議論にもなりました。議論の結果、いい作品であるのは間違いなく、せっかくここまで翻訳などでも関わらせていただいたのですから、もう1歩踏み込んでパブリッシングをしよう、と決まりました。
パブリッシング側が「ぜひやらせてください!」と強くお願いするという形も多くあると思うのですが、このゲームについてはINAZUMA GAMESさんがおっしゃっていたような、自然と流れで決まっていったような印象がありますね。
ーーなるほど。配信サービスの運営と利用者というそれまでの関係性があったからこそレーベル加入、パブリッシングへの流れが生まれたわけですね。ちなみに、今は『リトリリア』のリリースに向けてどのような作業をされているところですか?
shun氏:一番はDLsiteさんに翻訳作業を続けていただいています。『リトリリア』はとにかく文章量が多くて、しかも、こちらが遠慮なくそれを追加するものですから……。
ーーたしか今は冬のイベントアップデートの準備をされておられると聞いております。イベント追加となれば当然テキストは増えてしまいますね。
shun氏:あと、『リトリリア』のリリースに向けてやっていることとしては……前身の『フォレスティア』を遊んで頂いた方には『リトリリア』のサブタイトルに疑問があると思うんですよ。泉の女神は分かるけど魔女って誰なんだよという。
このゲームは現状メインストーリーと呼べるものがまだありません。そこをちゃんと作ろうと準備を進めています。現在の構想として、女神様が中心となったストーリーを展開し、その対となる魔女の存在が登場します。
『リトリリア』はSteamでのリリースタイミングでは翻訳の都合もあり、早期アクセスのような形でメインストーリーの始めの魔女が登場するぐらいまでを実装し、徐々にアップデートを重ねていく形となります。
『牧場物語』シリーズを遊んだことのある方なら分かっていただけると思うんですが、女神と魔女というのが基本ワンセットになっているのが定番と言いますか……。
あの体験で育ってきている身としては、それを追わないわけにはいきません。……これ、怒られないですかね?

ーーいえ。リスペクトされていることがよく伝わってまいります。
shun氏:あとそういう部分について付け加えておきたいこともあって。このゲームは以前から『ルーンファクトリー』シリーズとよく比較されているんですけれど……。
ーーああ。最初にカブを育てるところからスタートしますしね。
shun氏:でもこれは言っておきたいんですが、カブは初期の『牧場物語』シリーズから出てきますからね!
ゲームシステム的には初期のシリーズの体験を元にゲームを作っているので、そこをもっと見ていただけたらなと。
ーーゲームシステムのお話が出たところで、メインストーリーという大きなアップデートが待っていることがわかりましたが、ゲームシステム面でのアップデートはどうでしょうか?
shun氏:そこはやはりSteamの目の肥えたユーザーに満足してもらうために、ボリューム面・システム面の強化は必要だと感じています。また、最近イベント追加などのアップデートを行ったばかりなので、翻訳作業中に翻訳対象を増やしてしまうわけにもいきませんから、あまり翻訳の負担にならないシステム側の強化を次の作業として取り組んでいるところです。例えば遊びやすさの向上としてキーコンフィグの追加などを予定しています。
あとはボイスについては『リトリリア』については最初から入れた状態にしようと考えています。
ーー『フォレスティア』ではDLCとして販売されているボイスパックが同梱になるんですね。
shun氏:はい。ただDLCとして販売しているものでもあるので、そこのバランスを見ながらになるとは思いますが。ただ、このゲームの価格、おそらく『リトリリア』も3000円程度になると考えていますが、それで販売するとなると、ボイスですとかスチルの枚数ですとかをしっかりしておかないと、世界のプレイヤーに満足いただけるものにはならないんじゃないかと。そこに見合うアップデート・ボリュームアップはしていきたいなと考えています。

ーー『リトリリア』がSteamで販売されるにあたって、前身となる『フォレスティア』から大きく変わった点についてもうかがいたいです。例えば、『フォレスティア』には街で女の子にぶつかるとラッキースケベイベントが発生するような要素もありますが……。
shun氏:露出の高いキャラクターに関しては衣装のリデザインを行っています。例えば旅館の主であるよしのは袴を履くデザインに。あと、鍛冶屋のナーザさんについては、すみません、服を着ることになりました。


ラッキースケベもそうですが、全年齢向けの牧場生活ゲームとしてはそういうのが好きなユーザーもいれば好きではないプレイヤーもいることは当然分かっていますので、『リトリリア』としてみなさまにお届けする以上、多くの方が(男性向け由来の要素を意図せず強く目の当たりにして困惑することなく)楽しく遊んでもらえるよう手を尽くしています。
ーー『リトリリア』にあって『フォレスティア』にはない要素を実装されるご予定はありますか?
shun氏:いえ、基本的にアップデートはどちらにも反映させる予定ではいます。どちらかが不利益になる……というようなことは考えていません。
先の衣装のデザインの違いのように変更するところにしても、しっかりと練ってやっつけにならないようデザインし直し、どちらもいいよねと言ってもらえるようにがんばっています。
ーー『リトリリア』のリリース時期はいつ頃になるでしょうか?
shun氏:そうですね。そもそも、アップデートのために販路を拡大したいという狙いがあるので、できる限り早く展開したいと考えています。
リリース時に実装したいテキストの翻訳作業が完了した後、全年齢向けの最終ブラッシュアップや審査対応もあるため、まだ具体的な日付は出せませんが、2027年内には問題なく出せると思います。
ーー最後にこのゲームのファン、そして新しくこのゲームを知った方に一言いただけますでしょうか?
shun氏:早期アクセスのような継続したアップデートでコンテンツを拡充していくスタイルは信頼が大事だと思います。すでにこのゲームをご購入頂いた皆さまは本当にありがたく思っていますし、それによって今アップデートが続けられている状況ですから、皆さまの信頼を失わないよういいものにしていきたいと思います。引き続き応援よろしくお願いします。
『リトリリア』、そしてその前身となる『フォレスティア』はとにかく優しい世界にしようと作っています。この手のゲームって、けっこう遊んでみるとリアルで生々しい田舎の辛さみたいなものが描かれていることがあります。それはそれでとても面白いのですが、私たちはやっぱり優しい世界がいい。優しいゲームを遊びたい方はぜひ遊んでいただければと思います。
DLsiteレーベル 池田氏:あわせて、INAZUMA GAMESさんはゲームのアップデート作業について弊社のプラットフォームであるCi-enや、SNSで積極的に発信されています。ゲームの今後や現在の状況について知りたい方はぜひこちらをチェックしてください。
ーー今回はお時間をいただきありがとうございました。
『リトリリア』について、すでに大きなヒットとなっているゲームがSteamに移植されるんだな、そんな印象を持っている方が多いでしょう。
しかし、開発者へのインタビューで、今後さらなるアップデートで作品をよりパワーアップさせる予定と、そのためのSteam展開ということが分かりました。まだまだこのゲームは完成には至っていません。情熱を持ってゲーム制作に取り組んでいることも伝わってきました。
ぜひ今後の動向にもチェックし、その情熱の行く末に注目してください。












