ゲーム開発者と映像マンがぶつかる環境で『タイニーメタル2』のQOLは磨かれる…「AREA 35」由良浩明氏がゲームに込める“こだわりの源泉”とは?【BitSummit PUNCH】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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ゲーム開発者と映像マンがぶつかる環境で『タイニーメタル2』のQOLは磨かれる…「AREA 35」由良浩明氏がゲームに込める“こだわりの源泉”とは?【BitSummit PUNCH】

「AREA 35」の代表であり、ヴァイオリン奏者・音響監督・コンテンツプロデューサーとマルチに活躍する由良浩明氏にインタビュー。懐かしいゲームへの情熱が3つの個性的な作品を生み出しています。

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ゲーム開発者と映像マンがぶつかる環境で『タイニーメタル2』のQOLは磨かれる…「AREA 35」由良浩明氏がゲームに込める“こだわりの源泉”とは?【BitSummit PUNCH】
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2026年5月22日から24日にかけて、京都・みやこめっせにて国内最大級のインディゲーム展示会「BitSummit PUNCH」が開催されました。

昨年のBitSummitでは、新プロジェクトとなる4人対戦アクションシューティング『PROJECT BLITZ(仮)』を公開した「AREA 35」は今回、同作に加えて『タイニーメタル2』『フェリシティーズ・ドア』の試遊デモを出展。バリエーションに富んだタイトル群を、連日多くのゲームファンが楽しみました。

なかでも世界観を同じくする『タイニーメタル2』『PROJECT BLITZ(仮)』は、全世界でシリーズ累計15万本を超えるヒットを記録した戦略シミュレーション『タイニーメタル』の血を引く、同社の肝入りタイトル。

特に前者はクオリティの向上を理由に、2026年内から2027年春にリリース時期延期の発表がされており、目下慌ただしく開発に注力しているであろうことは想像に難くありません。

そこで今回は、「AREA 35」や映像制作会社「SAFEHOUSE」の代表であり、先述した3タイトルのプロデューサー&ディレクターを務める由良浩明氏へインタビューを実施。ゲーム作品それぞれが持つ個性や開発状況について詳しく伺いました。

“反戦”を掲げるためには戦争を知ってもらう必要がある

――よろしくお願いします。Game*SparkではTGS2025ぶりのインタビューとなりますが、改めまして今回出展している3タイトルについてご紹介をお願いします。

由良浩明氏(以下、由良氏):『タイニーメタル2』は、戦略シミュレーションゲームです。私たちは『ファミコンウォーズ』が大好きで、小さい頃はずっとプレイしていたのですが、そのようなゲームが最近少ないよねということで、9年前に『タイニーメタル』をリリースしました。本作はその“超アップグレード版”と考えてください。

次に見下ろし型アクションシューター『PROJECT BLITZ(仮)』。私がオーストラリアに住んでいた幼少時代、母と一緒に『ボンバーマン』ばかり遊んでいたんですよ。そこまでゲーム好きではない母ですが、同作だけは一緒にプレイしてくれまして。そんな風にライトユーザーでもコアユーザーでも楽しめるゲームを目指しています。

そして、『フェリシティーズ・ドア』は音楽ゲームなのですが、一番の特徴は“本物の楽器を弾くような手触り”になっている点です。私のキャリアはほとんど音楽から形成されているのですが、今まで一緒にお仕事をさせていただいた作曲家の方々に協力いただいて制作したゲームです。

――聞くところによると、由良さんは幼少期に「ゲームは1日30分まで」というご家庭で育ったのだとか。やはりその原体験が、作りたいゲーム像を形づくっているのでしょうか?

由良氏:そうですね。もちろんオリジナルを生み出したいという気持ちもあるのですが、まずは私たちが熱中していたような、かつ現在では見かけなくなったゲームを作りたいと思っています。

――それに関連して、出展タイトルのうち2作品は“ミリタリー”がベースになっています。そちらも幼少期の経験が影響しているのでしょうか?

由良氏:私自身がミリオタなので……と言うと熱心なミリオタの方々に怒られてしまうかもしれませんが、1987年頃にオーストラリアから日本の情報を得るには、百科事典や父が持っていた帝国陸軍・海軍の写真資料に頼るしかなかったんです。

そんな幼少期の影響もありつつ、そのようにして日本の歴史を学びながら、私がオーストラリアの西洋式な教育を受けて育ったことも大きいです。

由良氏:オーストラリアやアメリカは軍隊を世界中に派遣をしていて、そのなかで怪我人や死者が出ることも少なくありません。

『タイニーメタル』は大戦争が起こった後の世界を描いており、大戦争の時期に生まれた子どもたちがこれからの時代をどう動かしていくのか……という話なんですよ。戦争がどんなに良くないものなのかをアピールするためには戦争自体を知ってもらう必要があるので、それを作品づくりのテーマにしていますね。

――重厚なストーリーを持つ『タイニーメタル2』は、直接的に“反戦”がテーマになっていると思います。対して『PROJECT BLITZ(仮)』は、かなりエンターテインメントに振り切っていますよね。同じマルチプレイ型のミリタリー作品でも、そのコントラストが面白いなと感じました。

由良氏:おっしゃる通り『PROJECT BLITZ(仮)』はパーティーゲームではあります。まだ発表していませんが、実は同作は“誰も死なない”という設定なんです。

オリンピックのように競い合っているだけで、キャラクターは撃たれれば倒れるものの死んではいません。実際に「ミリタリーワールドゲームズ」という軍人によるオリンピックのような競技大会があるんですよ。そんなイメージで先述したテーマを盛り込んでいます。

――軍人によるオリンピックが実在するとは知りませんでした……! ところで『タイニーメタル2』はリリース予定日が延期となり、先月4月にはプレイテストを実施されていましたが、現在はどのような調整に注力されているのでしょうか?

由良氏:QoL(Quality of Life)のアップデートがほとんどです。日本の会社として「おもてなし」が大事だと思っていまして、しっかり作り込んでいくことに取り組んでいます。それとBGMやSEなどサウンド全般も、今までのやり方ではダメだと感じる部分が多く、特にフォーカスをして改善を進めています。

――UIやゲームバランスなどに留まらず、音楽周りを含めて総合的にクオリティの底上げを進めているんですね。

由良氏:それはシナリオにも関わります。例えばキャラクターの登場のさせ方など、もう少し“ケア(CARE)”を持って作ったほうがいいよねと。

――とはいえ、TGS2025時点で『タイニーメタル2』はかなり完成されているように見受けられました。部分部分のテコ入れが全体へ大きな影響を与えるのがゲーム制作ですが、開発チームのモチベーションについてはいかがですか?

由良氏:人それぞれではありますが、“良い作品を生み出す”という点では全員が賛同しています。そのために頑張ろうという体制ではあるのですが、「予算内かつスケジュール内に良い作品を作ること」を正義と捉えるメンバーがいれば、「時間をかけてでも納得できるものを作ろう」というメンバーもいます。

私はプロデューサーという立場でありながら、残念ながら後者タイプの人間なので「どうにか制作費は確保するから……!」と説得することが多いですね。


――『PROJECT BLITZ(仮)』は、昨年の「BitSummit the 13th」から続いての出展となります。それから、どんなアップデートが施されているのでしょうか?

由良氏:調整を行ったのは“感触”です。ただライトユーザーでも遊びやすいというわけではなく、ハードコアなゲーマーでも楽しめる仕様になっています。

例えば、溜めて射撃をすると弾速が早くなるなど、細かな動きの改善に時間をかけていますね。モードを増やすこと自体は簡単なのですけれど、大元のゲームシステムをちゃんとしなければ二度手間になってしまうので、約1年間を通して磨き上げてきました。


従来のリズムゲームを正すために生まれた『フェリシティーズ・ドア』

――次に『フェリシティーズ・ドア』についてお尋ねします。本作は一般的なリズムゲームとは異なり、ゲームプランナーではなく音楽家が「ノーツ」の譜面作りを調整しているのが特徴ですよね。個人的な考えを伺うようで恐縮ですが、既存の音ゲーマーをターゲットにせず、より茨の道に見える本格派のシステムを採用するに至ったのは何故でしょうか。

由良氏:Blizzard Entertainmentにいたとき、7~8歳のアメリカ人の子どもが『ギターヒーロー』をとても上手に演奏しているのを見かけたんです。そんなに練習しているなら本物のギターを演奏できるのに……と思ったことが原体験にあります。

また、学生時代のクラスメイトにジャズドラマーの大村亘さんがいるのですが、一緒にゲームセンターに行った際、特にゲーマーではない彼が『DrumMania』をプレイしてみたんです。そうしたらスコアが低くて、「どこかにボタンの掛け違いがあるのでは?」と思いました。

僕はピアノの演奏自体がゲームループのようなものだと思っています。ピアノは鍵盤を押せば、ゲームはタップすれば音が出ますが、そのタイミングがズレているのは健全ではありません。それを正したいと考えたのが、『フェリシティーズ・ドア』の開発に繋がっています。

――つまり、従来のリズムゲームを“是正”したかったんですね。

由良氏:はい。だからこそ別にリズムゲームが得意な人を満たすようなものは目指していなくて、音を鳴らすことに対して「本当はこういう感触なんだ」「正しい感触はこんなに気持ちがいいんだ」と皆さんに思ってもらうことを重視しています。

音ゲーマーのなかには、目でトラッキングをしていて音を聴いていないという人も少なくありません。対して本作は、ちゃんと耳でメロディや伴奏を捉えながらでないと演奏しづらい仕様になっています。

――裏を返せば、従来のリズムゲームに慣れきったプレイヤー目線ではとっつきにくいのではと思うのですが、その点についてはどう向き合っているのでしょうか?

由良氏:弊社のプロジェクトマネージャー2人が、すごくハードコアな音ゲーマーなんです。ABテストを繰り返して、彼らがこれなら大丈夫と思えるバランス調整を行っているのでご安心いただければと思います。

――本作はApple Arcadeにて配信中ですが、今後対応プラットフォームを増やしていく想定はありますか?

由良氏:はい。ニンテンドースイッチやPS5などのコンシューマ機でも遊べるようにしたいと考えており、コントローラーでプレイする場合の設計も一応できています。

『タイニーメタル2』の開発状況と拡大するチームゆえの苦労

――現状の『タイニーメタル2』『PROJECT BLITZ(仮)』の完成度について教えてください。

由良氏:『タイニーメタル2』はこんなに完成しているように見えてまだアルファです。今回の試遊デモはバーティカルスライスなんですよ。『PROJECT BLITZ(仮)』も同様で、プロトタイプ版が終わったばかりといった感じです。

――まだまだ開発の余地を残しているなかで、TGS2025では大きく『タイニーメタル2』を出展されていました。それほどまで早いアプローチをされた意図はどんなものでしょうか?

由良氏:それはプレイテストのためです。弊社の特性なんですが、映像などのゲームのアセットは「機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム」の制作や、映画「鬼滅の刃」シリーズの一部制作協力などを手掛けるSAFEHOUSEが作っていて、それらが先に出来上がることも珍しくありません。

多くの方に「目に入る要素がこんなに綺麗だったら、ほとんど完成しているのでは?」と思われるのですが、中身のゲームデザインが本当にこれで良いのかを突き詰めてからリリースしたいと考えています。そのために、より多くの人にプレイをしていただきたかったんです。

言うなれば私たちはBlizzard Entertainmentの残党なので、QA(Quality Assurance)の時間は長目に長目に取りたいと思っています。

――初代『タイニーメタル』を制作されていた頃に比べ、開発チームの規模は何倍にも大きくなり、今回3タイトルを出展されているように制作ラインも増えています。そのように組織が拡大するうえでの苦労を教えてください。

由良氏:リアルなお話をすると、AREA 35とSAFEHOUSEで思想が違っていて、前者に所属するスタッフは“ゲームクリエイター”で、後者は“映像マン”なんですよ。

みんな同じフロアで仕事をしているものの、「こだわりは死んでも死守する」という映像マンタイプと、「こだわり過ぎはバーンアウトに繋がるので取捨選択をする」ゲームクリエイタータイプがぶつかることは多いですね。

――それに対して由良さんは、どうバランス調整を行っているのでしょうか。先程はこだわりが強いタイプと自己評価されていましたよね?

由良氏:完璧には調整し切れていないというのが正直なところです。ただ言えるのは、弊社はクオリティを上げることに対して支出は惜しみません。それとフラットな社風ではあるので、よくスタッフから怒られます(笑)。ちゃんと反省して、スケジュールを組み立て直すこともあれば、お金周りの調整が必要になることもありますね。

――そうなんですね(笑)。お話しいただきありがとうございました。最後に、読者へメッセージをお願いします。

由良氏:いつも同じことを言っているようですが、「頑張って作ったのでぜひプレイしてください」というのが一番伝えたいメッセージです。加えて今回は「仲間が増えた」というのをキーワードにしていまして、例えば声優のキャスティングであれば、もともとすごい方々にご出演をいただいているので、新たにキャラクターを追加するとしても、同じレベルの方をCVに起用しないとバランスが悪くなってしまうんです。

声優に限らず開発クリエイターの面でも、「どうしてこんなすごい方が参加したんだ?」と思っていただけるようなアナウンスをしていくので、そちらにも目を光らせていただきたいです。


リズムゲーム『フェリシティーズ・ドア』は、Apple Arcadeで現在配信中。戦略シミュレーション『タイニーメタル2』とアクションシューター『PROJECT BLITZ(仮)』は鋭意制作中です。

最後に由良氏がコメントに残したように、AREA 35のさらなるパワーアップにも注目しながら続報を待ちましょう。


ライター:Game*Spark,編集:八羽汰わちは


編集/ 八羽汰わちは

はちわたわちは(回文)Game*Sparkの共同編集長。特技はヒトカラ12時間。

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