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Game*Sparkレビュー:『スターフォックス』原作が目指した“遊べるスペースオペラ映画”の側面を完成させた実直なリメイク作

原作よりもモフモフで生意気になったフォックスのこともだんだんと好きになってきます

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Game*Sparkレビュー:『スターフォックス』原作が目指した“遊べるスペースオペラ映画”の側面を完成させた実直なリメイク作
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NINTENDO 64の名作シューティング『スターフォックス64』のリメイクである『スターフォックス』がニンテンドースイッチ2にて発売となりました。

大部分では原作の操作感、体験をそのまま再現したような忠実なリメイクでありつつも、大幅なグラフィックの向上、キャラクターデザインの刷新、新たなシネマティックの追加やテキストの調整などによって、特に国内のファンにとっては新鮮な『スターフォックス』世界が描かれる作品になっています。

このリメイクを遊んで感じるのは、本作は、原作が“目指していたもの”をあらためて完成させた作品なのではないか、ということです。開発元Velan Studiosの優れた手腕のリメイク作『スターフォックス』をレビューしていきます。

“遊べるスペースオペラ映画”として完成した『スターフォックス』

『スターフォックス』のモチーフの大部分に「スター・ウォーズ」の存在があることは言うまでもありません。スペースオペラ映画の傑作である「スター・ウォーズ」が国内にもたらした影響ははかりしれず、『スターフォックス』もまた例外ではないのです。というより、タイトルからして完全にパロディですよね。

とはいえ、主人公の「フォックス」が使うのは、“フォース”のような不思議な力ではなく、あくまで「アーウィン」という高性能な戦闘機。「スター・ウォーズ」に登場した戦闘機同士でのドッグファイトを、この手で、3D空間で縦横無尽に動かせたら……なんていうロマンが詰まった作品が原作『スターフォックス64』なのです。

そのリメイク作である『スターフォックス』は、そんな原作の遊びを忠実に再現した作品であるのと同時に、グラフィックを素直にフォトリアルに描きこむ方向性の新たなアートによって、より「スター・ウォーズ」らしい画作りが実現された作品にもなっています。

惑星地表から反射する光に照らされた、母艦「グレートフォックス」の表面の細やかな質感は、まるで映画のCGのようなディテ―ルを持っています。その周りに飛ぶスペースデブリや、敵味方の軍艦入り乱れる戦場、飛び交う光線、それをドラマチックに移すカメラワークは、まさに原作が目指していたであろうスペースオペラ映画の画作りそのものをついに完成させたかのようです。

そこを縫うように飛んでいく4機のアーウィンのうちの1機を、プレイヤーは操作することになります。ステージは主に、決められたルートを自動で進んでいく「レールシューター」型のものと、前後左右に自由に飛んで目標の達成や敵機とのドッグファイトを目指す「オールレンジモード」の2つに分けられます。

その中でも特に、レールシュータータイプのステージは、もともとそういった映画的な画作りや展開に向いています。決められた脚本に沿ってダイナミックに展開するステージの中で、敵やオブジェクトをかいくぐって飛んでいく体験はまるで映画のスタントをしているかのようです。

そうなれば、よりスマートでかっこよくアーウィンを操縦したくなります。アーウィンの操作は、任天堂の他のアクションゲームとくらべるとかなり複雑。単なる左右移動をとってみても、機体を傾けなければ最高速の旋回はできなかったり、背後にいる敵をやりすごすために宙返りやブレーキ、Uターンといった操作をとっさに判断して行う必要があったり、特にオールレンジモードでは熟練度の差は歴然になります。

それでも、本格的なフライトシミュレーターなどと比べれば操作は簡略化されています。特に宙返りやUターンに関しては、ワンボタンでアーウィンが最適な動きをしてくれるわけで、ドッグファイトの純粋な駆け引きのみが楽しめる形です。

そういった熟練度の差が、ステージのルート分岐に影響する作りになっているのも面白い仕組みです。多くのステージは、ステージクリア時に満たしている条件によってルートが分岐するのですが、大抵の場合は条件を満たす場合がより難しくなるようにデザインされています。条件を満たさない場合には次のステージは比較的簡単なものになりがちです。

そうして自分だけのルートで、最後のステージにたどり着き、ゲームを一度クリアしても、さらなるルートの探求、ハイスコアの更新のために再びはじめからプレイすることになります。そうして同じステージや新たなステージにたどり着くなかで、確実に自身の上達を実感するようにデザインされているのです。

新たなモード「チャレンジモード」&「対戦モード」

今回のリメイク版では、ハイスコアの更新を目指すだけではない新たな要素「チャレンジモード」も追加されています。このモードは、一度クリア済みのステージにいつでも挑戦できるモードであるのと同時に、ステージごとに設定された複数のチャレンジをクリアすることを目指す遊びでもあります。

たとえば、最初のステージである「コーネリア」には、「3分以内にミッションクリア」、「クランガの破壊可能部位をすべて壊す」、「一度のチャージショットで、敵を3体以上まとめて撃破する」などのミッションが存在。難易度「ノーマル」をクリアすると「エキスパート」が解放され、さらに難易度の高いミッションにも挑戦できます。

原作で「バトルモード」として収録されていたモードは、「対戦モード」という名称で刷新されました。このモードでは、チーム「スターフォックス」と「チームウルフ」の4vs4に分かれ、制限時間内に相手よりも多くのポイントを稼ぐことを目指します。

ステージは「コーネリア」、「フィチナ」、「セクターY」の3種類で、それぞれポイント入手のためのルールが異なります。コーネリアは、区切られたエリア内を相手よりも長く確保し続けることを目指すルール。フィチナは定期的に降り注ぐ隕石の落下地点にある「エナジークリスタル」をなるべく多く集めるルール。セクターYは、定期的に現れるスペースパイレーツを倒し、持っている貨物を奪取して自陣地に持ち帰ることを目指すルールです。

当然ながら、エリア確保や貨物奪取は相手も狙っており、条件達成を目指せば必然的に相手と衝突します。各ステージのメイン目標とは別に、敵機の撃墜も大きいポイントになるため、しっかりと相手を処理しつつ、目標達成も並行して目指したいところ。どのルールもしっかりと駆け引きがあり、アーウィンの操縦の腕も試されます。さすが『ノックアウトシティ』を手掛けたVELAN Studios。

対戦モードは、BOTと戦うシングルプレイ、プライベートマッチでのフレンドとの対戦、野良でのオンラインマッチがあります。フレンドをルームに誘って同チームでの野良マッチに潜ることなどもでき、対戦モードに欲しい基本的な機能がしっかりと備わっていました。

新たなイベントシーンと細かな設定文がコーネリアをより重厚な世界に描く

原作が目指したであろう映画的な画作りを完成させたリメイク版『スターフォックス』。それは、単に強化されたグラフィックによってのみもたらされているものではなく、新たに追加された数々のカットシーンによるものでもあります。

特に大きな追加要素といえるのは、ステージ開始前の「ブリーフィング」にてキャラクター同士の掛け合いやアニメーションが描かれるようになったこと。原作でも、ステージ開始前には、これから行くステージについて、雇い主である「ペパー将軍」と短いやり取りをするブリーフィングのシーンがあったのですが、今回はそこをカットシーンにして新たに描いています。

フォックスがペパー将軍と作戦内容を確認する中で、メカニックの「スリッピー」が好奇心からこれからの出来事に興奮する様子を見せたり、エースパイロットである「ファルコ」がリーダーのフォックスをライバル視するような軽口を叩いたり、フォックスの父親の同僚であった「ペッピー」がフォックスに父親の面影をみたりと、スターフォックスの面々らしいやりとりが存分に描かれる形です。

それらのシーンは上述したルート分岐ごとにそれぞれ用意されており、これから行くステージに関するやりとりだけでなく、たった今クリアしたステージで起きた出来事に関してもスターフォックスの面々は反応をしてくれます。

一方で、これらのリッチなアニメーションの存在によって、原作から変えざるを得なくなった部分もあります。本作のキャラクターは、原作日本語版に準拠しているテキストよりも、海外版に合わせたテキストに修正になっている部分が多いです。特に、主人公フォックスの性格についてはわかりやすく、これまでの日本版で描かれていたような正義感の強い真面目くんなキャラクターではなく、金にがめつく利己的な側面を持つ海外版の性格に統一されました。

これらの変更と合わせて、上述したようなアートスタイルの雰囲気から、原作のテキストの中でも特にコミカルなものについてはトーンが抑えられている印象です。

原作で印象的な1面ボスのやられセリフ「アンドルフさま~~!ごめんちゃい!」の「ごめんちゃい」がなくなっていたり、ファルコの旧友である「キャット」のテキストから「お顔をナメナメしてあげるわ」といったノリがなくなっていたり、コミカルな側面をある程度脱臭したいという意図が伝わります。ここに関しては、原作に思い入れのある人ほど寂しさを感じる部分かもしれません。

これは、本作が過去作以上にアニメーションやフェイシャルでキャラクターの感情が伝えられるようになったことも起因しているように思います。キャラクターの性格をより忠実に再現できるようになったアニメーションに対して、テキストのノリが大きく違えばその齟齬を埋めることは困難になってきます。今回、「ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー」と合わせて、日本版のキャラクターにリブランディングがなされたのにはそういった事情もあるのかもしれません。

一方で、『スターフォックス』の世界が好きな人にとっては嬉しい、本作ならではの新たな要素も存在しています。さまざまなステージで特定の条件を達成することで手に入る報酬「ホロメモリ」は、このSF世界をより重厚なものにしてくれました。

ホロメモリは、世界観設定が細かに書き記されたデータベースです。登場するキャラクターや惑星、メカや敵などのバックボーンや詳細が、かなりの分量で書き記されています。

そこで語られる設定は、これまで明かされてこなかったものや、これまでのシリーズでも断片的に語られてきたものがあらためて整理されたものなど、SFとしてうれしいものばかりです。これらのホロメモリが、チャレンジモードなどゲームのやりこみ要素の報酬となっているため、やりこみのモチベーションもグッと上がります。

ずっと「リブート」し続けるシリーズの未来は

原作『スターフォックス64』の魅力を丁寧に抽出しつつ、原作が目指したであろう画作りを実現した今回のリメイク。開発元の丁寧な仕事ぶりに間違いはありません。しかし、そもそもとして今回のプロジェクト自体にファンとしては疑問を感じざるをえない部分もあります。

まず、原作『スターフォックス64』は、それ自体がSFCの初代『スターフォックス』のリブート的立ち位置の作品になっています。おおむね同じストーリーの構図、コーネリア→ベノムといったステージの流れ、チャージショットなど新たなシステムが導入されたものの、ベースは同じです。

そして、この『スターフォックス64』も、3DSで『スターフォックス64 3D』として一度リメイクされています。さらには、Wii U『スターフォックス ゼロ』もまたストーリー構造やステージ構造の面で『スターフォックス64』のリブートとしての側面を持っています。

そのうえで、今回『スターフォックス64』2回目のリメイクである『スターフォックス』が登場する……という流れを経ており、シリーズはまるで一生リブート作品を作り続けているかのようです。

ゲームキューブ時期には、レア社開発によるアクションアドベンチャー『スターフォックスアドベンチャー』や、『スターフォックス64』の正当な続編といえる『スターフォックスアサルト』が出たほか、DSではタッチパネルによる独特な操作とマルチエンディングのシステムのある『スターフォックスコマンド』も出ています。

しかし、結局のところこれらの野心的試みは売上や評価の面で芳しい評価をあげたとは言えず、結果的に『スターフォックス ゼロ』以降、シリーズは休止状態にありました。

そういう意味で、長らく新作を待ち望んでいたファンとしては、今回の久々の『スターフォックス』がリメイクであるというのは率直に残念に思ってしまいます。アート面で大幅なグレードアップはあっても、結局のところ登場するステージ、ストーリー、キャラクターのほぼすべては、すでに何度も見たことのあるものなのです。それに、『スターフォックス64』の原作はすでに「NINTENDO 64 Nintendo Classics」にて、現行機で遊べます。

一方で、映画「ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー」や『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』などでフォックスらの存在を知ったユーザーにとっては、シリーズに触れるきっかけとして、名作であることが保証されている『スターフォックス64』のリメイクはよい選択肢になります。

これが次回作以降のシリーズの新たな展開へとしっかりと繋がってくれるならば、その足がかりとしてこれ以上のものはないかもしれません。


原作の魅力を損なわず、かつ原作が目指していたものをあらためて完成させたといえる今回のリメイク。この美麗なアートでありながら、WQHD&60FPSをキープするパフォーマンスも素晴らしく、全体として開発元Velan Studiosの優れた手腕を感じさせる作品でした。

一方で、アニメーションやフェイシャルがより細やかになったゆえに、原作から大きくノリが変えられてしまったテキストには寂しさも感じます。また、ひさびさのシリーズ展開でありながらまたしても「リメイク」、「リブート」の立ち位置の作品であるために、あらたなストーリーやステージ、キャラクターが楽しめないというのもファンとしては悲しい部分です。

とはいえ、名作である『スターフォックス64』が鮮やかに蘇った本作は、『スーパーマリオギャラクシームービー』や『大乱闘スマッシュブラザーズ』でシリーズを知ったプレイヤーがはじめて触れるには最適な作品です。これが今後のシリーズのさらなる展開の足がかりとなることを願っています。

Game*Spark レビュー 『スターフォックス』 ニンテンドースイッチ2 2026年6月25日

原作の目指したものを引き継ぎ、“遊べるスペースオペラ映画”として完成させたリメイク

GOOD

  • 原作プレイヤーにはスッと手に馴染む忠実に再現された操作とステージ
  • “遊べるスペースオペラ映画”と呼べるほどに美しく宇宙を描くアートとシネマティック
  • SF世界に嬉しい細かな設定群が存分に見られる報酬「ホロメモリ」
  • 熱い駆け引きを持つ「対戦モード」

BAD

  • 新しいものは見られない。幾度目のリメイク・リブートな企画



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