Game*Sparkと4Gamerによる合同イベント「キャリアクエスト」が2026年6月13日に東京都立産業貿易センター浜松町館で開催された。
ゲーム業界への新卒就職を目指す就活生を対象としたこのイベントは、業界への高い熱意を持った学生と、新卒採用に意欲を持ったゲーム関連企業のマッチングを図ろうというものだ。第4回の開催となった今回は、10社のゲームメーカーと1000名超の就活生が会場に集まり、各ブースの催しに耳を傾けていた。
本稿では、このイベントに合わせて取材した、各社の現場で実際に働いている若手社員へのインタビューをお届けする。
今回話を聞いたのは、ソニックシリーズの開発に携わってきたという、セガのプログラマAさんだ。自身が学生時代に何を考え、就活時に何を心がけていたかを聞いたので、ゲーム業界を目指す学生の皆さんは、ぜひ参考にしてほしい。
なお、本稿はGame*Sparkと4Gamerの合同企画となっている。本稿(社会人編)の前編となる「就活編」は4Gamerに掲載されるので、併せてご一読いただきたい。
ゲーム業界就活イベント「キャリアクエスト」公式サイト
とある若手社員の事例に見る、ゲームプログラマという働き方
4Gamer:改めまして、自己紹介をお願いします。
Aさん:2019年入社で今年8年目になるAと申します。セガ第2事業部のプログラマで、現在は3Dアクションゲームの開発に携わっています。
4Gamer:プログラマというと、なんとなく「ずっとPCに向かってコードを書いている」イメージですが、実際はどういった働き方をしているのでしょうか。
Aさん:もちろん実際に形にする場面では、集中してPCに向き合っている時間が長いです。ただ常に1人でコードを書いているわけではなくて、例えばゲームの内容を考える段階や、ブラッシュアップの提案をするときなどは、企画やデザインの担当者と話し合うことも多いですね。
4Gamer:ほかのパートのスタッフとのやり取りや、ミーティングが多いですか。
Aさん:今はプレイヤーパートのリーダーという立場ですので、会議は結構ありますね。ほかのパートとの折衝のほか、曖昧なところやスケジュール上のリスクを潰していくような感じです。
4Gamer:現在はパートリーダーとのことですが、入社した当時はどんな仕事からスタートしましたか。
Aさん:そのときどきのプロジェクトの状況にもよりますが、自分の場合は「新サクラ大戦」の開発最終盤に配属されて、いわゆるデバッグ業務に携わりました。すでに新しい仕様を追加していく時期ではありませんでしたので、完成したゲームをプレイして、想定した動きになっているかを確認していましたね。
4Gamer:デバッグ業務のあとは、どういった業務を担当したのでしょうか。
Aさん:デバッグをしていた期間は1か月ほどで、それが終わるとすぐに「ソニックフロンティア」(PC / PS5 / PS4 / Xbox Series X|S / Xbox One / Switch)のプロジェクトに移り、開発に携わるようになりました。そこで比較的簡単な動きをするステージギミックなどを作りながら、ゲームエンジンの使い方を学んでいった形です。

4Gamer:では、これまでで一番苦労したことはなんでしたか。
Aさん:自分にとっては、ゲーム制作以外の部分が一番しんどかったりします。
例えば人事評価の一つに、半年ごとに設定が設定が必要な「成果目標」というものがあり、これを文章で提出しなくてはならないんですね。“今期はどのような業務に取り組み、どのような目標を達成するのか”みたいな。目の前のことに取り組むことは得意なのですが、毎回自分自身のキャリアや将来に向き合う必要があり、自分自身の計画力のなさを痛感しています。
4Gamer:ああ。てっきりマスターアップ直前のエピソードとかが来るのかと思ってました(笑)。
Aさん:もちろんそういう時期が大変なのは間違いありません(笑)。ただゲーム制作には欠かせないものですし、ゲームがそもそも好きなので、自然と乗り越えられます。それが「好きなことを仕事にする」最大のメリットなんじゃないでしょうか。
4Gamer:逆に嬉しかったことや、楽しかったエピソードは何かありますか。
Aさん:月並みですが、自分が開発に関わった作品が世にリリースされたときの喜びはひとしおです。「ソニックフロンティア」のときは周りの友達まで買って遊んでくれて、スタッフロールで名前を見つけて報告までしてくれて、すごく嬉しかったですね。
あとはゲームショウなんかで、自分が作ったゲームをお客さんが実際にプレイしているのを見たときも、「それ僕が作ったやつ!」って心の中で叫んでました(笑)。

4Gamer:発売後に、ネットでプレイヤーの反応を見たりはしますか。
Aさん:わりと見るほうだと思います。ポジティブな意見がSNSに書いてあったら嬉しいですし、お客さんに届いたんだって実感が得られますので。
4Gamer:反対にネガティブな意見もあったりするんじゃないかと思うのですが、そこは気にならないですか。
Aさん:もちろん悲しくはなりますけど、そこは受け止めるようにしています。あとジャンルにもよると思うんですよね。とくにPvPの対戦ゲームなんかは、ゲームバランスなどで不満が出がちですけど、自分はまだそういったタイトルには関わったことがありません。その影響もあってか、今のところ批判をフィードバックとして受け止められているのかもしれないです。
4Gamer:同人ゲームを作っていた学生時代と比べて、ゲーム作りへの取り組み方が変わったところはありますか。
Aさん:大きく変わったと思います。当時は個人制作でしたし、そもそも売ってお金を稼ぐことは考えていませんでしたし、だからこそいろんなものを度外視して、自分が作りたいものを突き詰めていけました。
でも仕事としてのゲーム作りは、先ほども言いましたがチームが当たり前ですから、それぞれの役割の中でいいものを作り上げていかなくてはなりません。その考え方や立ち回り方といったものは、社会人になってから得られたものだと思っています。
4Gamer:アマチュアとプロの違い、といったところでしょうか。
Aさん:そうですね。皆さんに買ってもらって利益を出さなくてはならない以上、日々の業務は決断の連続です。こだわり抜く箇所はどこなのか、スケジュールや予算の枠内に留めるためには何を採用して何をカットするか、というようなことにも意識が向くようになりました。
4Gamer:学生時代から、チームでのゲーム制作を経験しておいたほうがよかったと思いますか。
Aさん:いえ、そうは思いません。私自身、チーム制作の経験がないせいで苦労したことはありませんでしたから。むしろ当時の自分にアドバイスするとしたら、「1人でやれる今だからこそ、全力でやりたいことをやっておいたらいいんじゃない?」って言うと思います。
4Gamer:新卒から順調にステップアップして、今はパートリーダーを務められているとのことですが、この先のキャリアパスを何か考えていますか。
Aさん:まだぼんやりとですが、自分は業務を管理したり、組織を動かしたりするマネージャー的な立ち位置よりは、この先も最前線で手を動かして、モノを作り続けたいという気持ちが強いです。
4Gamer:となると、裏方としてプログラミング技術を極めたいという感じでしょうか。あるいはエンジン開発などを手がける研究開発方面とか。
Aさん:根底にあるのはゲームが好きという気持ちなので。社内にはいろんなキャリアの先輩方もいらっしゃいますし、その背中を見ながら自分の道を模索しているところですね。

4Gamer:分かりました。そろそろお時間のようなので、プログラマ志望の学生に向けたアドバイスをいただきたいのですが、例えば「こんな人はセガに向いてる」といった助言はありますか。
Aさん:そうですね。仕様書に書かれているとおり機械的に作るのではなく、実際にそれを作って遊んでみて、そのうえで意見や提案を出せる人は現場で歓迎されます。「こうすればもっと良くなる」を常に考えられる人は、きっとこの仕事に向いていると思いますよ。
4Gamer:プログラマから仕様に意見して構わないのですか。
Aさん:もちろん合意は必要ですが、仕様書にすべてが書かれているわけではないですし、仮に書かれていたとしてもその通りに作るのがベストとは限りません。むしろ仕様書の隙間を埋めるのがプログラマの腕の見せどころでもあるので、職種を越えたコミュニケーションはむしろ推奨されています。
自分自身、「ソニックフロンティア」で提案が採用されたことが何度もありますし、若手であっても良い意見は積極的に採用する環境ですので、臆せず発言すべきだと思います。
4Gamer:最後にAさんが考える、ゲームプログラマという仕事の魅力を教えていただけますか。
Aさん:一番の魅力は「最初に完成形が定まっていない」ところですね。ゲーム作りには正解がないので、全員が手探りしながら試行錯誤して作り上げていく必要があります。だからこそ大変でもあって、これは表裏一体なんですが、ゆえにこそのやり甲斐、面白さがある。そこに共感できる人は、ぜひセガの門戸を叩いてみてください。
4Gamer:本日はありがとうございました。









