
Game*Spark PublishingよりPC/ニンテンドースイッチ向けに配信中の3DダンジョンRPG『ウィザードリィ外伝 五つの試練』。シンプルかつ高速、ハードコアなRPGが楽しめる同作ですが、Steam版購入者のみが触ることのできる、同作の大きな特徴であるシナリオエディタ機能について、大型のアップデートが今秋に予定されています。
そこで、今記事ではシナリオエディタの大型アップデートでどのような機能が追加されるのかについて、大まかな内容を複数回に分けてご紹介していきたいと思います。(開発中のため、本記事で説明する内容、特に語句の名称などについては変更されることがあります)
シナリオエディタ機能そのものはSteam版購入者限定ですが、それにより作られたシナリオは大型アップデートで追加される機能を含めてスイッチ版でももちろん遊ぶことができます。今後どのようなシナリオがユーザーの手によって登場するかにも注目です。
待望の新機能「連続イベント」とは
第1回では、大型アップデートの中でも最大の目玉である、「連続イベント」について紹介します。今までのエディタでは、元々用意されている約150種の単純な動作をするイベントから、使いたいイベントを1マスにつき1つだけ配置することしかできませんでした。
そのため、複雑な処理のイベントを作ったり、複数のイベントを任意の順に組み合わせたりすることはできませんでした。
一方、新たな「連続イベント」では、29種類の条件分岐と、30種類のコマンドを自由に組み合わせ、ユーザー自身が好きなイベントを作れるようになっています。また、該当する座標の情報を色々書き換えることもできます。
例えば、「フラグがOFFの時は普通の壁、フラグがONの時は看板が表示され、ランダムエンカウントは発生せず、地図で詳細を確認するとMのアイコンが表示される」などの細かい設定も可能です。
連続イベントは、イメージ的には以下のような構成になっています。
起点となるイベントを作成します。開始条件も複数あり、座標への侵入で開始したり、ドアのように、特定の座標から特定の座標へと移動しようとすることで開始したりを選べます。また、このイベントを作成した座標が、「連続イベントが実行される座標」となります。
連続イベントの中身となる条件分岐とコマンドを、そのイベント用に選んだマップ番号の任意の(他のイベントが配置されていない)箇所に別途配置しておき、起点から順次呼び出していきます。
例えば下記のように分岐とコマンドを設定することで、
起点で北を向いている状態でサーチしたらイベントA1を呼び出す。南を向いている状態でサーチしたらイベントB1を呼び出す。それ以外の向きでは何もしない
イベントA1では、フラグの状態を調べ、フラグがONならイベントA2を呼び出す。フラグがOFFなら何もしない
イベントA2では、メッセージを表示して終了する
イベントB1では、敵との戦闘を行う
特定の場所で北を向いてサーチすると、フラグがONの時だけヒントメッセージを表示する。南を向いてサーチすると敵との戦闘が発生する
というイベントを作ることができます。

また、これら連続イベント用の条件分岐とコマンドになるイベントは、連続イベントの最中でなければ動作しないため、仮に「メッセージを表示する」というコマンドに使用した座標にプレイヤーが侵入しても、メッセージが意図せず表示されることはありません。
「連続イベント」の作り方
連続イベントの中身になる分岐とコマンドを1つ1つ配置していくのは非常に大変なので、連続イベントを作成するための専用の機能「連続イベント作成」も提供されます。


この機能を用いれば、感覚的にイベントを配置し、処理を分岐させたり呼び出したりすることが可能です。
では次に、具体的な連続イベントの作り方を、「連続イベント作成」機能を用いた実例と共に紹介します。
作成するのは、先ほども例として挙げた下記のイベントです。
北を向いてサーチすると、フラグがONの時だけヒントメッセージを表示する。南を向いてサーチすると敵との戦闘が発生する

今回は、2x2の小部屋の右上のマスに連続イベントを作成することにします。
「部屋の構造を見る」の中に「連続イベント作成」という項目が追加されていますので、これを選択し、連続イベントの起点を作成したい座標をクリックします。

ウィンドウが開くので、「イベント制作(STEP1)」として、侵入と同時にイベントを開始する「エリア型」か、移動しようとしたときにイベントを開始する「ドア型」かを選びます。

次に進むとエリア型、ドア型のうち選んだほうの起点イベントの初期設定画面が表示されます。ここで、連続イベントの起点イベントそのものの細かい情報を指定することができます。

次に進むと「イベントフローチャート」が表示されます。
ここでは、グラフィカルな形で連続イベントの具体的な中身を作成できます。

画面中央の「START」の隣から隣へと、順にコマンドを必要な流れで配置します。
今回の例だと、「START」の上、「N」と書いてある隣のマスに配置されたコマンドは、北を向いてサーチした際に最初に実行される、という挙動です。この先はサーチをしたときに何が起こるか、コマンドを思うがままに繋げていきましょう。

「連続イベント作成」を用いる場合は以上ですが、完全に手作業で配置する場合についても、同様のイベントを例に簡単な流れをここで紹介しておきます。
まずは新たにイベント一覧に増えた「【連 起動】【連 判定A】」というグループの中に「【連 起点】エリア型」というイベントがあるので、このイベントを起点としたい座標(今回の例であれば小部屋の右上)に配置し、細かい設定を行います。
次に、同じく「【連 起動】【連 判定A】」グループの中にある「【連 起点】START POINT」を配置します。これは、エリア型またはドア型の起点から最初に必ず呼び出す必要があるイベントで、プレイヤーの向きに応じて、次にどのイベントが呼び出されるかを指定するためのイベントとなります。
あとは、「連続イベント作成」機能のSTEP3に近い形で、連続イベントの中身を個別に配置していくことになります。例えば、START POINTのX1とY1で指定しておいた座標に、「【連 判定】フラグ」イベントを配置する、といった形です。

全てを自分で作成する場合の利点は、マップの余っている領域に好きなように連続イベントの中身を配置して、組み合わせることができる点です。
慣れてくれば、マップの隙間に上手く連続イベントの中身を配置することで利用できるイベントの量を飛躍的に増やしたり、ループ処理などを実現したりもできるようになるでしょう。
新たに作れるようになるイベントたち
さて、それでは最後に、連続イベントに存在する機能の一部を紹介します。今までの例でお見せしたように、フラグによる分岐や、メッセージの表示、敵との戦闘など、既存のイベントで行う事ができた条件分岐・イベント内容はほぼ全て用意されています。それに加え、連続イベントにより新たに作れるようになったイベントも多数存在しますので、ここではそれらの新規イベントを紹介していきます。
【連 判定】確率
1~100の乱数が生成され、指定された値以上か、未満かによって分岐させることができます。
【連 判定】アイテム所持数
パーティー全体のアイテム欄を確認し、空きが1つでもあるか、無いかによって分岐させることができます。
【連 判定】モンスター討伐
対象となるモンスターを討伐したことがあるかどうかによって分岐させることができます。
【連 判定】魔法効果
指定した魔法効果を持つアイテムを所持しているかによって分岐させることができます。
【連 分岐】AUTOMAP
指定した座標に侵入したことがあるかどうかによって分岐させることができます。
【連 分岐】呪文を習得済み
指定した呪文をパーティーの誰かが覚えているかどうかによって分岐させることができます。
【連 分岐】最大レベル
パーティー全体で、指定したレベル以上のキャラクターが居るかどうかによって分岐させることができます。
【連 分岐】最大特性値
パーティー全体で、指定した値以上の特性値を持つキャラクターが居るかどうかによって分岐させることができます。魔法効果による補正を含むかどうかも選択できます。
【連 実行】アイテム削除
アイテム削除自体は従来からあるイベントですが、指定したアイテムを削除する際、「手持ちにある全てを削除」か「1つだけ削除(傷薬などのスタックできるアイテムの場合、複数あるうちの1つだけ削除)」か「1スタックを削除(傷薬などのスタックできるアイテムの場合、1スタック分だけを削除)」かを選べます。
【連 実行】向き移動
座標はそのままで、パーティーが向いている向きだけを変更します。この際、アニメーション演出は無しで固定されます。
【連 実行】セーブ
強制的にオートセーブを実行します。例えば、お金を失うイベントの後にセーブを行い、リセットしても戻れないようにしたりできます。
【連 実行】金額を手に入れる
指定した金額を入手することができます。全員が指定した金額を入手することも、指定した金額をパーティーで分割して入手することもできます。
【連 実行】経験値を手に入れる
指定した経験値を入手することができます。全員が指定した値を入手することも、指定した値をパーティーで分割して入手することもできます。
【連 実行】特定のSPを解放する
指定したSPの効果を、ランダムな対象、あるいは指定した対象(先頭からn人目、という指定になります)に対して発揮させます。
【連 実行】魔法効果削除
戦闘の監獄で追加された、「魔法効果を削除する」機能を呼び出します。実行するために必要な金額を指定することができ、また、何度でも続けて実行できるか、1回だけ実行できるかを指定できます。例えば、事前に特定のアイテムを持っているかどうか判定し、持っていれば1回だけ実行でき、実行した後はそのアイテムを削除する、という連続イベントを組むことで、「特定のアイテムを持っている数だけ削除を実行できる」というイベントが作れます。
【連 実行】魔法効果合成
戦闘の監獄で追加された、「魔法効果を合成する」機能を呼び出します。その他の詳細は魔法効果削除と同様です。
【連 選択】選択肢A[who]
「誰を?」という選択肢を表示し、パーティーメンバーの中から1人を選ぶことができます。何番目のキャラクターが選ばれたかによって、最大で6通りにまで次の連続イベントが分岐します。先に紹介したSPを解放する対象を選ぶ用途などに使えます。
【連 選択】選択肢C[Max6]
指定されたメッセージの内容を元に、最大で6つまでの選択肢を表示し、選ばせることができます。

特に魔法効果の削除や合成は、戦闘の監獄で追加されて以降、待ち望まれていた機能でしょう。残念ながら、「武器は武器としか合成できない」などの制限をかけることはできませんが、先述の通り、「1回だけ実行できる」設定と組み合わせることで、特定のアイテムやフラグを要求するように作ることは可能です。
また、確率分岐や、特定モンスターの討伐、特定座標への侵入による分岐など、今までのイベントでは実現が不可能、あるいは難しかったイベントも作成できるようになっています。
第1回となる「連続イベント」の紹介は以上です。より自由度が増したイベントにご期待ください。次回は「背景画像の追加」について紹介します。
『ウィザードリィ外伝 五つの試練』は、PC/ニンテンドースイッチ向けに配信中です。












