古さを超えてなお強烈。『CoD: BO』キャンペーンが描く、“真実”を揺さぶる物語体験は今も色褪せない【特集】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

古さを超えてなお強烈。『CoD: BO』キャンペーンが描く、“真実”を揺さぶる物語体験は今も色褪せない【特集】

00年代『CoD』の到達点、ここから『CoD』シリーズは大きく変化していくことになる

連載・特集 プレイレポート
古さを超えてなお強烈。『CoD: BO』キャンペーンが描く、“真実”を揺さぶる物語体験は今も色褪せない【特集】
  • 古さを超えてなお強烈。『CoD: BO』キャンペーンが描く、“真実”を揺さぶる物語体験は今も色褪せない【特集】
  • 古さを超えてなお強烈。『CoD: BO』キャンペーンが描く、“真実”を揺さぶる物語体験は今も色褪せない【特集】
  • 古さを超えてなお強烈。『CoD: BO』キャンペーンが描く、“真実”を揺さぶる物語体験は今も色褪せない【特集】
  • 古さを超えてなお強烈。『CoD: BO』キャンペーンが描く、“真実”を揺さぶる物語体験は今も色褪せない【特集】
  • 古さを超えてなお強烈。『CoD: BO』キャンペーンが描く、“真実”を揺さぶる物語体験は今も色褪せない【特集】
  • 古さを超えてなお強烈。『CoD: BO』キャンペーンが描く、“真実”を揺さぶる物語体験は今も色褪せない【特集】
  • 古さを超えてなお強烈。『CoD: BO』キャンペーンが描く、“真実”を揺さぶる物語体験は今も色褪せない【特集】
  • 古さを超えてなお強烈。『CoD: BO』キャンペーンが描く、“真実”を揺さぶる物語体験は今も色褪せない【特集】

7月10日に突如として配信されたTrayarch開発のCoDシリーズ過去作であるPS5/PS4移植版『コール オブ デューティ ブラックオプス』(以下、CoD: BO)。本作は元々PS3/Xbox 360/PC向けに2010年11月に発売された同名の作品を現行PSプラットフォーム向けに移植したものです。

基本的にはグラフィック表現を含めオリジナルの『CoD: BO』と変わりません(日本語版は四肢欠損や拷問シーンなどが削除された規制版)。ジャイロエイムもなければアダプティブトリガーも実装されておらず、スティックエイムのみの構成はさすがに10年以上前の作品であることを強く感じてしまいます。

しかしながら、PS5にてキャンペーンをプレイしてみると、あらゆるものを死に追いやる毒ガスNOVA6を巡る物語の緊迫感は今でも古びていないと感じました。本稿は、『CoD: BO』がシリーズとしてどういった立ち位置に存在していたかを筆頭に本作が持つ特徴に触れる内容となります。

シングルプレイFPSの成熟が見え始めた2010年前後のゲームシーン

本作を語る前に、2010年前後のシングルプレイFPSシーンをおさらいしておきましょう。ゲームのマルチプラットフォーム化が進んだ2005年以降のPS3/Xbox 360世代のFPSは、グラフィックの進歩だけでなくストーリーテリングに関しても大きな進歩を遂げました。例えば2007年の『コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア』のようにシングルプレイFPSの冗長だった部分が段々と制御できるようになり、手に汗握る映画的なドラマチックさを一人称でも表現出来たことが挙げられます。

『CoD』シリーズに至っては、『CoD4』が当時として『GTA』シリーズに並び立つような累計1,000万本を突破する前代未聞の大ヒットを記録しIPとして大成長を遂げていました。

こうして『CoD』シリーズは、翌年の2008年にもTreyarch開発の『Call of Duty: World at War』をリリース。『CoD』のメインシリーズがWW2に見切りをつけて現代戦へ行ったのに、再びWW2に戻って来てしまったことにファンから戸惑いの声もありましたが、シリーズ初のキャンペーンCo-opやゾンビモードの実装など、人気モードを生み出したことで結果的に受け入れられていました。

一方でInfinity Wardは2009年に『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2』にてシリーズ初の続編もののストーリーとなりました。前作より冗長な場面は薄れると共に劇的な場面を描き、00年代におけるシングルプレイFPSの到達点と言うべきドラマチックなゲームプレイを描けました。

この頃になると、ゲームプレイの劇的さだけでなく、個性的なアートスタイルを持った作品や、オープンワールド的な性質を持ったタイトル、ストーリーとしてもキャラクターに強い個性を持たせ名前と顔が理解できるような作品も多く出始めています。

その一例として2007年にリリースされたCrytechの『Crysis』はFPSとしてオープンフィールドな自由攻略の面白さを前面に出した作品でしたし、Irrational Gamesの『バイオショック』ではこれまでのゲームで定番だった「指令に逆らうこと無く進行する」という定型を逆手に取り、従順にミッションを進行していたら悪者の手によってプレイヤーが利用されてしまうという、踏み込んだ表現も可能となっていました。

続いて2008年に登場したUbisoftの『Far Cry 2』はオープンワールドFPSでありながら選択のどれを選んでもバッドエンドと言えるような後味の悪さを描いていました。2009年発売のFPSにRPG要素を持たせたGearboxの『ボーダーランズ』はアートスタイルで他のタイトルと差別化を図った筆頭です。

さらに2010年3月にはEAからシリアスさがありつつもコメディ要素を持った『バトルフィールド バッド カンパニー2』がリリース。このように当時のFPSは、映画的演出だけでなくゲームデザインや物語表現も多様化していました(また2007年の『S.T.A.L.K.E.R.』や、2008年の『Fallout 3』も含めシューター+RPGという他ジャンル合体や、ポストアポカリプス的な世界を舞台にしたタイトルも目立ち始めてきた)。

こうしたシングルプレイFPSが成熟するに従って、磨かれ続けたストーリーテリングとアートスタイルの一つの到達点となったのが『コール オブ デューティ ブラックオプス』と言えます。2009年5月には早くも本作の噂が登場し、2010年4月に発表された『CoD: BO』は、冷戦時代が舞台ということで大きな注目を集めました。

時のTreyarchのスタジオヘッドMark Lamia氏のインタビューによれば、『CoD: BO』がストーリー性を重視した作品でありプレイヤーに新しい体験を提供したい方向性と合致したことから、これまで聖域を打ち破り「キャラクターに声を与える」(プレイキャラが喋る)ことが重要であったと語っています。他にも、本作のストーリーの着想は、SOGの退役軍人から話を聞いたことで生まれたとも語っており、プレイヤーが特殊部隊の隊員となり「指示を受ける側」から「指示を与える側」へと転換させることはパラダイムシフトでもあるとも加えています。

一方で、日本においてはローカライズが注目されていました。日本国内では2008年12月にActivision Japanのオフィスが閉鎖されたあと、『CoD』シリーズを含めたActivisionタイトルをローカライズする会社が決まっていませんでした。当時の海外ゲームは、大作タイトルであっても日本を含めた世界同時発売を実現するタイトルが少なく、多くは発売から1~2カ月ほど時間を要していました。そのため、その合間にリリースされた『Call of Duty: World at War』はローカライズされておらず、海外版を買うしかありませんでした(現在ではMS StoreでPC版が購入可能)。

こうした状況のなか2009年2月にスクウェア・エニックスがActivisionと提携し、販売権を獲得すると共に、海外ゲームのローカライズを手掛けるという発表がありました。初めにゲーム版『007/慰めの報酬』の日本語版を発売するという段階を踏まえたうえで、コアゲーマーの期待作である『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2』を発売するという段取りだったのです。

ローカライズされた『MW2』は日本国内でも30万本を出荷するほどヒットしましたが、ユーザーの反応は芳しくありませんでした。これまで英語音声日本語字幕で表現されていたタイトルを吹き替えにすることへの戸惑いだけでなく、翻訳自体の質も所々疑問視される箇所が散見されたからです。余談ではありますが、PC日本語版『MW2』はSteam販売が無くパッケージのみで販売されたこともあり、PCユーザーから不信感も抱かせてしまうほどでした。

こうした問題の後に続く『CoD: BO』のローカライズでは、かつて公開されていたスクウェア・エニックス エクストリームエッジのブログによるとアンケートの結果から、全体の60%が英語音声日本語字幕を、残りの40%が日本語吹き替えを希望していることが判明したため、字幕版を先行で発売し、後に音声を含めた吹き替え版を発売するという販売形態となりました。

前作『MW2』で賛否両論だった吹替え声優の評判を取り入れたのか、出演声優陣もハドソン役に井上和彦さんやメイソン役に堀内賢雄さん、ウッズ役に小山力也さんを起用するなど、当時の洋画吹き替え声優の大御所が起用されるほどでした。

大御所声優を起用したことが結果的にゲームの質を高めることに繋がった

こうして『CoD: BO』は海外で2010年11月に、日本で字幕版が2010年11月18日に、吹き替え版が2010年12月16日に発売。『MW2』と全く異なるアプローチから高い評価を得る作品となりました。

本家を踏襲しつつ一歩踏み込む『CoD: BO』のゲームプレイ

筆者が本作を改めてプレイするのは約10年ぶりで、グラフィック自体はほぼオリジナル版そのままというところで、字幕が少し大きくなったことを除けば大きな変化がありません。テクスチャはその時代相応の解像度ですし、3Dモデルやアニメーションもそのままです。特にゲームバランスに関しても同様で、敵CPUと対峙した時に予備動作も無く攻撃されて弾が当たる瞬間は理不尽さを感じてしまいます。

一方で、壁が近ければ伏せられないという身体の存在と、走りながら飛び込めるダイブ動作ができることから、アクションの外連味とリアリティを両立させようとする施策も強く感じました。

それでも、本作が持つストーリーや演出自体は今でも驚きに満ちており、尋問室から飛んでくる焦りを持ったセリフの数々はオリジナルの発売から十数年経った現在でも惹きつけられます。プレイヤーの感情を揺さぶりながら物語を進める『CoD』というメジャーなIPで、よくここまで踏み込んだな演出やストーリー展開ができたのかと感心してしまいます。

では、その演出を支えているストーリーを見ていきます。CIAの暗殺チームに所属していたアレックス・メイソンが、ピッグス湾事件において自らを犠牲にして仲間を脱出させるも共産陣営に捕まり、ソ連の強制収容所ヴォルクタにて洗脳を受けてしまうというもの。そして洗脳の裏に隠された数列の謎を巡り、暗い尋問室にて謎の人物からの問いかけに応じて過去の体験を掘り起こしていくというものです。

全ての始まり。小さなライターの火を発端にじわじわと物語が動いていく
三人称の視点から、主人公メイソンの顔が映されるのも大きな変化だった

トレイラーの説明と同じように、冷戦中期における隠密作戦と破壊工作がメインの戦いとなる物語で、ベトナム戦争での激戦に参加するものの、表立って名のある戦いに身を投じるという展開がありません。そうした内容を象徴するように、アメリカに帰還したメイソンはケネディ大統領から命じられた任務へ向かいます。

冷戦を舞台にしたスパイ色の強い設定だけを見ると、Infinity Ward製『CoD』と大きく異なるように感じますが、実際には映画のようなドラマチックな展開もありますし、プレイキャラも進行に応じて変わるだけでなく、登場キャラクターも個人的な理由で戦いに身を投じますし、時系列も途中で前後します。こうした物語のドラマチックさと操作キャラ変更は『CoD』の基本として数えられますし、より前衛的な『CoD: BO』でも外していません。『CoD』シリーズに求められる要素は、ちゃんと取り込んだ上で表現方法に関しては一歩ハードな方面に踏み出していました。

Treyarch製『CoD』の前作に当たる『CoD: World at War』では、味方キャラや敵キャラ含め四肢の欠損表現があり、そうした要素は海外版のみですが『CoD: BO』にも実装されていました。ただ、直接的な欠損表現だけでなく、敵をカランビットナイフで刺すシーンやロープを使って首を絞めるシーンも存在しており、欠損シーンがなくとも惨さを感じるほどです。

演出面だけでなくゲームプレイ面でも、過去作の戦車パートを発展させたようなヘリ戦パートや、ミッション10「CRASH SITE」ではローリング・ストーンズの「悪魔を憐れむ歌(Sympathy For The Devil)」に合わせてボートで川を遡上するパートが用意されていることも象徴的です。さらに、時代は1946年にも遡り前作『CoD: World at War』のソ連パートでプレイキャラだったディミトリ・ペトリェンコも登場。前作キャラを登場させることや英SASとストーリー上敵対してしまうことを含め、既存『CoD』から別方面で踏み込んだ描写をしていました。

ここの川上りは「地獄の黙示録」を感じさせるが、原作小説「闇の奥」は次作の『BO2』で引用されることになる
前作『CoD WaW』ソ連パートの主人公。前作主人公を無慈悲に殺すというのはこころから目立ち始めた
『CoDBO』では実写映像も多用していた。また、スパイの暗号通信で使われる乱数放送をストーリーに組み込んでおり、様々なミッション合間に数字が聞こえるようになっている

本作のストーリー要素として特筆すべきはミッション3「U.S.D.D.」とミッション14「REVELATIONS」でしょう。特にミッション14では、プレイヤーが1発の銃弾を撃つことなく、物語の全貌や危機が明らかになります。ある種シリーズでも特にストーリー性の強い『CoD』として印象付けることに成功したのがこの2つのミッションであり、物語を追う面白さを『MW』シリーズとは違う形で表現したと言っても良いほどです。

現代戦の対となる一昔前の冷戦、1兵士よりさらに踏み込んだ1個人に焦点を当てたストーリー、実写映像の使用、『MW』シリーズとは異なる乗り物パート、幻覚表現、信用出来ない主人公など…、本作独自のアプローチを挙げればキリがないほどです。

隠されているものは何なのか―真実を揺さぶり続ける『CoD: BO』の語り方

『CoD: BO』はこれまでの『CoD』シリーズが表現してこなかったものに対して果敢に挑戦した作品であり、映画的な表現方法もより切り込んだものとなっていました。背景で人物や時代背景を示すのが尋問室に置かれた多数のモニターに映る映像でしょう。その映像には、問いかけの内容に応じて映像が流れることで簡単な状況説明を行っていますが、その人物のバックボーンとなるものも同時に語っています。

特にミッション3「U.S.D.D.」でケネディ大統領と会うときは、背景のモニターに目を向けると、暗殺の実行犯と言われるリー・ハーヴェイ・オズワルドの写真が映し出されている点です。ここでも時系列を乱すように、スローモーションが起こり会話が途中で飛ぶことで、何が真実かがわからないようにさせています。

回想であるために、背景のモニターには人物に関連した映像が流れるが、部屋の壁にはリンカーン大統領の肖像画もあり、どれも暗殺に纏わる内容なので薄気味悪さを感じる。最後に全てのモニターに映るのは、大統領葬儀の時の大統領夫人ジャクリーン・ケネディ。
よく見ると、この部屋のプロジェクターにはバイコヌール基地の地図が映し出されている。先の出た制服の2人は大統領に細かな作戦説明を行っていたのかもしれない。

加えて、ミスリードの一つとしてメイソンがドラゴヴィッチ暗殺に関してマクラマラ長官に問いかけますが、長官はメガネを外すだけではっきりとした返事をしていません。大統領は「ドラゴヴィッチだ」と指し示しただけです。ドラゴヴィッチ暗殺がミッション内容だと思えてしまいますが、次のミッション4「EXECUTIVE ORDER」のロードでの説明では、フラッシュポイント作戦の目的がドラゴヴィッチ暗殺でなく、長距離ミサイル計画の破壊であることが告げられます。

気付きにくいのですが、ここでもメイソンは面会の時でも洗脳の影響がはっきりと表れており、ドラゴヴィッチや名前を聞いたり写真を見ただけで条件反射のように暗殺を示唆する回答や衝動を表してしまっているのです。

ケネディ大統領との面会は密室に2人だけいるように思えるが、実はメイソンの衝動を表したシーン最初の数フレームにだけ長官の脚が見えている。実は3人あの部屋にいたのだ。

ミスリードだけでなく過程や結果を曖昧にさせる描写は『CoD: BO』だと特に多く、レズノフ絡みのイベントはもちろんそうですが、ミッション13「REBIRTH」におけるクラフチェンコとウッズの死闘の結果も『CoD: BO』の時点では確定していないことも含めてです(ゲーム内のコンピューターでは生存が示唆されていたぐらい)。このように、「なぜ」が連続する『CoD』は初めてのことですし、プレイヤーに向けて感情や真実を揺さぶり続けることが、この『CoD: BO』のテーマなのではないかと思います。

次回作での結果はともかく、この時点でウッズとクラフチェンコは生死不明だった

それを表すように、キャンペーンクリア直後の映像では、過去のケネディ大統領のパレードにおいてメイソンらしき姿が見えるシーンがあり「「もしかしたら……」と思わせる演出まで徹底しています。一方で本作には、機密ファイル(インテル)を集めるとテキストの黒塗りが解放されて、人物設定などが観覧できるようになっています。こうした仕掛けを踏まえると、本作の謎を解くのはプレイヤーであると問いかけられているようにも感じます。

ゴミ箱に捨てられている機密ファイルから、このインテルはどういったもののメタファーであるかが推測できる
『CoD』のインテルに初めて意味が与えられた瞬間だった
様々な内容が示唆されたが、結局は続編の『BO2』や外伝作において特に言及されることなくなってしまった
メニュー画面で拘束を解き、コンピューターに座って操作すると本編の補足も兼ねた様々なテキストを読むことができる。

こうした内容から『CoD: BO』発売当時は、キャンペーンの内容にまつわる様々な事柄に対して分析と考察が繰り広げられました。特に数字を使った暗号に関しては、ユーザーやメディアでも様々な記事が登場。ヒントとなる情報は多く込められていたものの、次回作でいくらか謎が明らかになるのではないかと期待の声もあったのです。

また本作のモチーフという点においては、『CoD』シリーズは数多くの戦争映画などから一部シーンが数多く引用されてきました。本作にももちろん「地獄の黙示録」や「ディアハンター」、「ハンバーガーヒル」など多くの戦争映画から一部シーンが引用されていますが、その中でも1962年に公開された映画「影無き狙撃者(The Manchurian Candidate)」という作品の存在は外せません。

「影無き狙撃者」は、朝鮮戦争において捕虜となった兵士が、共産陣営の洗脳を受けて帰国するも国内にいるスパイの指示によってダイヤのクイーンを見ると催眠状態となり、知らずに指令を受けて暗殺を実行してしまうというもの。メイソンの設定もそうですが、こうした類似点を見ると原作小説か映画を再解釈したような内容となっていることに気付かされ、本作の構成意図がより理解しやすくなります。映画それ自体は、1960年代の作品とはいえ凝った構図が多く、感心させられるシーンも度々あり、アメリカン・ニューシネマ突入前夜的な雰囲気を持ち合わせた作品です。2004年のリメイク版「クライシス・オブ・アメリカ」もあるので興味がある読者は見てみるのも良いでしょう。

こうした大々的な映画の引用は本作でやり遂げてしまったのか、以降の作品になるとぱったりとその数が少なくなってしまっています。そうした一面を含めて、00年代のゲームシーンの締めくくりと言える作品なのかもしれません。

キャンペーンは今でも遊ぶ価値がある『CoD: BO』

『CoD: BO』は00年代のシングルプレイFPSのある種完成形を見せてくれたタイトルであり、プレイヤーに向けて何が真実かを揺さぶる内容は2026年現在でも古びていません。『CoD: BO』はメイソンの謎というミステリーと、毒ガス攻撃の危機が明らかとなるサスペンス、そして時代に応じた激闘の3軸で構成されており、どれも高い水準で絡み合い融合している作品です。しかしながら、実質ベタ移植であるために、『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア リマスタード』のようにグラフィックの刷新など行われなかったのは残念でもあったと思えてしまいます。

プレイヤーに対して揺さぶりをかけた作品は『バイオショック』や『Far Cry 2』に続き、『CoD: BO』もまたFPSで描ける物語の幅を広げたと言える作品でした。一方で現在の視点から振り返ってみれば、『MW2』も仲間からの裏切りやテロの一部を担う描写など既存の枠を超えようとした描写もあり、重要視した要素や分野が違っていただけで、大まか方向性はほとんど同じだったようにも思えてしまいます(そもそも『MW2』はタイトルに『CoD』という名前すら外そうとするほど一歩踏み出そうとしていた)。

この移植が実現したことで触れやすくなったことは間違いありません。かつてプレイしたユーザーも改めて遊ぶことで発見がありますし、新規ユーザーにはこの前衛的なキャンペーンを体験するには絶好の機会です。この夏プレイしてみてはいかがでしょうか?

PS5/PS4移植版『コール オブ デューティ ブラックオプス』は5,900円(税込み)で販売中です。

Sympathy For The Devilはエンディングにも流れたため『CoDBO』の印象を強くした楽曲だ
ライター:G.Suzuki,編集:みお

ライター/ミリタリーゲームファンです G.Suzuki

ミリタリー系ゲームが好きなフリーランスのライター。『エースコンバット』を中心にFPS/シムなどミリタリーを主軸に据えた作品が好みだが、『R-TYPE』シリーズや『トリガーハート エグゼリカ』などのSTGも好き。近年ではこれまで遊べてなかった話題作(クラシックタイトルを含む)に取り組んでいる。ゲーム以外では模型作り(ガンプラやスケモ等を問わない)を趣味の一つとしている。

+ 続きを読む

編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

+ 続きを読む

編集部おすすめの記事

連載・特集 アクセスランキング

アクセスランキングをもっと見る

page top