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タッチペンで心霊写真を除霊!DSならではの“触れる恐怖”を追求したホラーゲーム『みてはいけない』を振り返る【特集】

「DSならではのゲームシステム」が直接恐怖に繋がったホラーゲームを再発見しよう。

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タッチペンで心霊写真を除霊!DSならではの“触れる恐怖”を追求したホラーゲーム『みてはいけない』を振り返る【特集】
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2000年代後半、ニンテンドーDS(以下、DS)はゲームシーンの中心にいました。『脳を鍛える大人のDSトレーニング』をはじめとする「脳トレ」や、2画面とタッチペンを活かした「間違い探し」「パズルゲーム」が空前の大ヒットを記録し、普段ゲームを遊ばない層までがDSを手に取っていた時代です。

今回紹介するのは、2008年に発売された『みてはいけない』です。本作は、2008年8月にディンプルから発売されたニンテンドーDS用ホラーアドベンチャーゲーム。心霊写真に隠れた霊をDSのタッチペンで探してなぞり、除霊していくというシンプルなゲーム内容が特徴となっています。

本記事では、ストーリー、ゲームシステムなど、「DSならではの恐怖」を実現した本作の魅力を振り返りたいと思います

歪んだ日常が生み出す恐怖 。ストーリーと世界観の魅力

『みてはいけない』は、単に不気味な写真を並べただけの「心霊写真集ゲーム」ではなく、意外なほど不気味な世界観が構築されています。

まず本ゲームは、「心霊写真モード」と「ノロイの家モード」という2つのパートが組み合わさって進行します。プレイヤーは心霊写真に潜む霊を探し出して除霊していくのですが、その裏で、主人公の家族が暮らす「ノロイの家」に恐ろしい異変が起こり始めます。

「ノロイの家」モード

「ノロイの家」は、ある家族が呪われていく過程を描いたストーリーを進行させるモードで、『かまいたちの夜』風のビジュアルノベルADV形式です。

新居の一軒家に引っ越してきた平凡な4人家族(主人公、妻、娘、息子)を中心とした物語になります。家の中に、なぜか最初から置いてあった「心霊写真のアルバム」をプレイヤー(主人公)が手にしてしまったことから、家族の日常が狂い始め、アルバムの心霊写真を除霊すればするほど、連動して家や家族が怪異に蝕まれ、精神的・肉体的に狂っていく姿が描かれます。

メインである「心霊写真モード」で霊をタッチペンで塗りつぶして除霊を成功させることが、このモードの進行フラグになっています。そのため、本来ならお祓いをしているはずが、なぜか家の中の呪いが悪化していくという、不条理な設定が特徴でした。

また、本作のビジュアルは、2000年代後半にテレビで盛り上がっていた「心霊特集番組」や、当時一世を風靡した「ほんとにあった!呪いのビデオ(ほん呪)」シリーズのような、独特の実写・ローポリゴン感も魅力的でした

登場する心霊写真の多くは、昭和から平成初期の匂いが残る日常生活の一コマや観光地の写真なとこも非常に良い。あえて少しチープに作られた合成写真の質感や、ノイズの入った不気味なグラフィックが、かえって「本当にどこかの誰かが撮ってしまった写真なのではないか」という生々しいリアルさを醸し出していました。

◆「探す」こと自体が恐怖 。ゲームシステムと「DSホラー」としての独自性

心霊写真はやっぱ怖い

本作の核心となるのが、「心霊写真モード」における「直感操作による除霊アクション」です。そしてこのシステムは、DSというハードの特性と、当時の「DSホラーゲームブーム」と深く結びついています。

基本ルールは、DSの上画面に表示されるナレーションやヒント文を参考に、下画面の写真から霊が潜む場所を探し出し、タッチペンでその部分をゴシゴシと「塗りつぶす」ことで除霊する、というシンプルもの。

しかし、この「タッチペンで塗りつぶす」という行為が、恐ろしい心理的効果を生み出します。

本来、人間は気味が悪いものや恐ろしいものから距離を置きたがるものですが、クリアするためには画面上の不気味な霊を「直接タッチペンで触れ続けなければならない」わけです。プレイヤーの指先と画面の距離が数十センチしかないというDSの距離感が、「直に触れている」ような生理的嫌悪感と恐怖を増幅させました

また本作は、霊の位置判定が非常にピンポイントで設定されており、「あそこに霊がいる!」と分かっていても、塗りつぶす範囲や位置がわずかにズレているだけでミスになります。その上、 制限時間が近づくと画面に強いノイズが走り、不穏な効果音が大きくなります。そしてタイムオーバーになった瞬間、画面全体に恐ろしい霊のアップ画像と大音量の悲鳴が響く、いわゆる「ジャンプスケア」演出が挿入されていました

「見たくないのに、細部までじっくり見つめなければいけない」という矛盾した状況へ追い込まれるシステム設計は、心理的ホラーとして秀逸でした。と同時に、「心臓に負担がかかる」など批判される要素でもあります。

実は2008年前後のDS市場は、メーカー各社がDSのギミックを活用したホラーゲームを競い合うように投入していた「DSホラーの黄金期」でもありました。

  • 『ナナシ ノ ゲエム』(スクウェア・エニックス / 2008年7月):DS本体を「縦持ち」させ、右画面と左画面を「現実」と「呪いのゲーム(8bit風RPG)」に見立てて探索させる画期的なホラーアドベンチャー。

  • 『DEMENTIUM 閉鎖病棟』(インターチャネル / 2008年6月):DSのタッチペンで視点移動と照準合わせを行い、3Dの暗い廃病院を探索する本格FPSホラー。

  • 『トワイライトシンドローム 禁じられた都市伝説』(スパイク / 2008年7月):横持ちと縦持ちを切り替えながら、心霊写真撮影や怪奇現象を追体験する名作ホラーのDS版。

このように各社が「3Dグラフィック」や「縦持ち」「FPS」といったアプローチで恐怖を描くなかで、『みてはいけない』はあえて「脳トレ・間違い探し」という最もカジュアルなジャンルのフォーマットで制作されました。

時代が生んだ怪作の記憶

本作は、当時のDS市場における一種の異端児であり、同時にハードの可能性を象徴するような挑戦作でした。

「脳トレ」や「間違い探し」といったライト層向けのゲームが棚にずらりと並んでいた時代に、その直感的なインターフェース(タッチパネルや2画面)をあえて「恐怖と生理的嫌悪感」へと昇華させた発想は、今振り返っても非常に先鋭的です。

判定のシビアさやストーリーの唐突さなど、ゲーム作りの面で粗削りな部分があったことは否めません。しかし、その「不親切さ」や「理不尽さ」すらも、どこか怪しげなB級アジアンホラーのような独特のリアリティとなり、当時プレイしたユーザーの心に深く刻み込まれました。

最先端の美麗な3Dグラフィックで描かれる現代のホラーゲームとは一味違う、タッチペンを通じて伝わってくるような「あの頃の生々しい恐怖」は今なお色褪せません。もし押し入れの奥に眠るDSを見つける機会があれば、ぜひ一度プレイしてはいかがでしょう。

みてはいけない
¥9,800
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
ライター:DOOMKID,編集:みお


ライター/心霊系雑食ゲーマー DOOMKID

1986年1月、広島県生まれ。「怖いもの」の原体験は小学生の時に見ていた「あなたの知らない世界」や当時盛んに放映されていた心霊系番組。小学生時に「バイオハザード」「Dの食卓」、中学生時に「サイレントヒル」でホラーゲームの洗礼を受け、以後このジャンルの虜となる。京都の某大学に入学後、坂口安吾や中島らもにどっぷり影響を受け、無頼派作家を志し退廃的生活(ゲーム三昧)を送る。その後紆余曲折を経て地元にて就職し、積みゲーを崩したり映像制作、ビートメイクなど様々な活動を展開中。HIPHOPとローポリをこよなく愛する。

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編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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