好きこそが最強の原動力!ジー・モードが提唱する「好き好きドリブン!」なパブリッシングの真髄とは【インタビュー】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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好きこそが最強の原動力!ジー・モードが提唱する「好き好きドリブン!」なパブリッシングの真髄とは【インタビュー】

「好き」を原動力にパブリッシング事業を行うジー・モードへインタビュー。開発力を活かした移植や伴走支援、作品愛溢れる情熱でクリエイターとファンに寄り添う独自のパブリッシング哲学を語っていただきました。

連載・特集 インタビュー
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『みんなで空気読み。』シリーズや、フィーチャーフォンの名作を現代に蘇らせる『G-MODEアーカイブス』など、一貫した独特のセンスによりファンから「一生箱推し」とまで言わしめる信頼感を誇るゲームメーカー・パブリッシャーのジー・モード。近年、インディーゲームのパブリッシング事業において独自の存在感を放っています。

展示会で一目惚れした作品の元に足繁く通ったり、長文メールで想いを伝えたり……。クリエイターへの愛と敬意の根底にあるのは、好きを原動力とした「好き好きドリブン!」という独自の哲学です。

本記事では、同社の竹下功一氏、八田祐希氏、渡辺天音氏そして新川宗平氏に実施したインタビューをお届けします。国内外問わず様々なパブリッシャーがひしめく中で、なぜこれほどまでに「好き」を突き詰められるのか。その裏側にある熱量と、ジー・モードが見据える未来について語っていただきました。

左から新川氏、渡辺氏、竹下氏、八田氏

自社開発も行っているからこその強み

ーーそもそもパブリッシャー事業に力を入れていこうとしたきっかけを教えてください。

竹下氏:コンシューマー向けゲーム事業の立ち上がりは、2018年にニンテンドースイッチ向けに自社で開発した『みんなで空気読み。』が第一弾のパブリッシングタイトルでした。お陰様でこれが運よくそれなりにヒットしまして。そこからしばらくは自社開発のタイトルや、2020年からはフィーチャーフォンのゲームを復活させる『G-MODEアーカイブス』プロジェクトを続けていました。

色々やっていく中で、社外のクリエイターさんから「自分の作ったタイトルをスイッチで出したいがどうしたらいいか」とか、「パブリッシングしてもらえないか」というご相談もいただくようになりました。その一番最初はRucKyGAMESさんというクリエイターの方のタイトルだったんですけど、そこから始まってだんだん相談を受ける機会も増えていきました。

『OU(オーユー)』

こうした外部のクリエイターさんとの取り組みで転換点となったタイトルは、2023年に出した『OU(オーユー)』だったと思います。それまで『みんなで空気読み。』や『G-MODEアーカイブス』など基本的に社内で全て開発をやってましたが、何か新しいことを始めようということで、かねてからお付き合いがあったり「いつか一緒に何か作りたいですね」と言っていたroom6さんや幸田御魚(こうだおさかな)さんという外部の方と一緒に『OU』のプロジェクトを立ち上げました。インディーゲームのイベントなどに出るようになったのも『OU』がきっかけでしたね。

ーーroom6さんとは元々繋がりがあって、パブリッシングのお話になったんでしょうか?

竹下氏:room6代表の木村さんとは、もう10数年以上前からの付き合いで、自分がジー・モードに入る前からの知り合いだったんです。ずっと「いつか何か一緒にやりましょうよ」と言っていて、いよいよその時が来たなと思いました。その時に「ヨカゼ」レーベルなどでroom6さんがインディーゲームの取り組みをされていましたから。

幸田御魚さんは、元々ジー・モードのフィーチャーフォンアプリのゲームをたくさん作っていたクリエイターです。そのタイトルがどれも尖ってたものが多くて「この人のゲームは面白いな」とか「いつかこの人の新作を作りたいな」ということをずっと思ってました。木村さんと何か一緒にやろうと言う話になった時に、「幸田さんっていうすごいクリエイターさんがいるので、この人のゲームを一緒に作りませんか」というところで立ち上がったプロジェクトが『OU』でした。

ーー「好きなことを押し出していく」という方針として「好き好きドリブン!」を提唱していると伺いました。好きを押し出すことと事業として成立させることとのバランスはどのように取っているのでしょうか?

竹下氏:私たちの場合は「このクリエイターさんいいな」とか「この作品すごい好きだな」っていうのがきっかけで始まることが多いです。好きなクリエイターさん、作品なので、売るためには何でもしたいし、出来ることは何でもやるんですが、事業として継続できないといけないので、ただ単にお金をかけるだけではなく、私たちならではの強みを活かした事を、バランスをとりながら取り組んでいるつもりです。

竹下 功一(たけした こういち)氏 ジー・モード取締役、パブリッシング事業全体を統括

ーーそうしたバランスを見てやっていくにあたって、どういった苦労や逆にこの方針でやっていて良かったなという部分があれば教えてください。

竹下氏:ジー・モードのパブリッシャーとしての特徴や強みは、パブリッシングだけじゃなく開発もやっているところにあると思っています。今までずっと自社開発でゲームを作ってきて、その開発チームが中にいるので「ニンテンドースイッチで出したいけど自分たちでは開発や移植ができない」という人たちからもお任せしてもらえれば全部やりますっていうのができるし、実際にやってるっていうところですかね。

ーー「好き」で選ぶというのは竹下さんの好きが反映されるのか他の方の好きが反映されるのか、どちらですか?

竹下氏:主に自分ですが、他のメンバーも「このゲームめっちゃいいんですよ」っていうことがあればお声がけしに行くとか、そういったパターンもありますね。そればかりじゃなくて、逆にクリエイターの方からご相談をいただいて進めるパターンももちろんあります。

ーーPC版を出して精一杯っていう開発者の方も多いと思うんですが、コンソール(移植)もできるというのは大きな強みですよね。

竹下氏:『にほんの田舎ぐらし』のインタビューをしていただいた時にGAME STARTさんからおっしゃっていただいたことがまさに表していると思います。とにかく「基本、丸投げでオッケーです」と。あとはコントローラーへの最適化なども自分たちで開発をやってるからできる強みかなと思います。

ーーコントローラーへの最適化も長年の知見があるからこそ分かるといったことなのでしょうか?

竹下氏:『みんなで空気読み。』シリーズもそうですし、『G-MODEアーカイブス』などでとにかくたくさんのタイトル移植を手がけてきたので、その技術といろいろなノウハウの積み重ねは大きいかなと思います。『G-MODEアーカイブス』だけでも、なんと6年で141本出してますから(笑)。その移植をするっていう技術面のところでも、自社開発やアーカイブスをやってきた蓄積があって、今それが生きていると思います。

ーー『日本事故物件監視協会』は元々マウス向きのゲームだったと思いますが、コンソールへの移植の際もそういった強みが活かされていると感じました。

竹下氏:『日本事故物件監視協会』においては、コントローラーとスイッチならではのタッチ操作もちゃんと対応させています。クリエイターさんに実際に触ってもらったらすごく喜んでもらえました。

『日本事故物件監視協会 -Japan Stigmatized Property-』

選定基準は「インパクトとユニークさ」

ーーパブリッシングタイトルを見つけるにあたっての選定基準はありますか?

竹下氏:例えば『コメンテーター』が初めて発表されたのを見た時に、まずキービジュアルを見て「なんだこのおじさんは!」となりました。「世論操作系報道ノベルゲーム」というような、ゲームのテーマを1行、2行で聞いて「何これ!?」「面白そう!」と思わされるものに強く惹かれます。インパクトというか、ユニークさ、まず「面白そう!」と思わされる事が重要だと思ってます。

『コメンテーター』

他に、自分が好きになったパターンとしては、ニンテンドースイッチ2専用で『元祖 落とし寿司 めびうす』という、寿司のいわゆる落ち物マージゲームを出したんですが、これめちゃくちゃ面白いんですよ。初めて展示会でPC版が出ていた時にやってみたら、私がハマりにハマってですね。その展示会中に何回も何回もブースに通い詰めました。

「竹下さんどこ行ったの?」「また寿司落としに行ってますよ」って、ほぼほぼブースにいなかったり。出展していたクリエイターの飛竜さんからは「竹下さん、また来たんですか!?」他に試遊待ちのお客さんもいるので「ビルド渡しますから、後で好きなだけやってください。」と言われて(笑)。インパクトやユニークさの他、さらに実際にやってみての手触り、「面白そう」の次は「面白い!」が大事だと思っていて、そういうもので気に入って好きになるのも多いですね。

『元祖 落とし寿司 めびうす』

ーー展示イベントで見つけてパブリッシングしたいなと思うパターンも多いのでしょうか?

竹下氏:イベントでたまたま見かけてというのもありますし、XなどのSNSで流れてきたものを見て、などもあります。メディアさんの紹介記事でも、見出しやポストの数行を読んでいいなと思わされたものは、それがきっかけになって勇気を出してお声がけしに行ったりします。

前に一度「いいな、好きだな」と思っていたタイトルが「どうせダメだろうな」と思って何も行動しないでいるうちに他のパブリッシャーさんに決まってたという事がありました。それ以来「好きになったらすぐ告白する!」って決めて、なるべくすぐ行動するように心がけています。『日本事故物件監視協会』の時はまさにそうで、すぐに連絡しました。スピードも大事だし、想いは言葉にしないと伝わらないなと実感しています。

ーー『里山のおと 春さんぽ』のパブリッシングをジー・モードさんが担当すると発表された時は驚きました。どのような経緯で決まったのでしょうか?

『里山のおと 春さんぽ』

竹下氏:発表した後に、パブリッシャーがジー・モードで良かったという風に言ってくださっている方がいて、一定の信頼感とか安心感みたいなのは持ってもらえるようなところには来てるのかなとは思っています。

実は里山のおとさんとの出会いもかなり古くて、まだ『OU』が出る前(2022年頃)からなんです。展示会で出してる時に「自分たちも今、手描きのゲームを作ってるんです」と来てくれたんです。幸田さんもすごく興味を持って紹介してくれました。以来、イベントに出展される時は私もご挨拶に行ったり、試遊版を遊んだり。里山さんは『OU』のイベントや、完成報告会イベントにも来てくれてて。余談ですがその発表会では「たけP」とか「ジー・モード推し」みたいなうちわを持って応援してくださる方もいて(笑)。

『G-MODEアーカイブス』で『探偵・癸生川凌介事件譚』シリーズなどが復活して、「一生ジー・モードさんを箱推しする!」って言ってくださってる方がいたんです。そういう応援をしてくれているような方がいるのを見て、ジー・モードがすごく愛されているとか、ジー・モード自体にファンがいるっていうところを里山さんが見てくれてたんですよね。それも最終的にお願いしたいと思ってくれた決め手だったのかなと思ってます。

ーーそのような推され方も国内パブリッシャーだからこそというか、「好き好きドリブン!」に通じるところがあると思います。

竹下氏:『G-MODEアーカイブス』を始めて、他社さんのタイトルを「G-MODEアーカイブス+(プラス)」という形で始めるとなった時から、復刻希望タイトルのリクエストを募ってるんですよ。リクエストは基本的に全部目を通していて、順番にメーカーさんとかに当たってくといった感じで。リクエストを元にとにかく動く!……。だから「G-MODEアーカイブス」は「リクエスト・ドリブンです」って、イベントや生放送でずっと話しています。

復刻だけではなく「パッケージ版が欲しい!」というリクエストが多かったので3年越しぐらいで『探偵・癸生川凌介事件譚』シリーズをパッケージ化したり、コラボカフェをやって欲しいと言う声もあったので本当にやったりしました。そういったリクエストをしてくれる人がいるってことは、そこにお客さんが一人は絶対にいるってことなんで。今私たちがパブリッシングで動いてる原動力ってなんだろうと考えた時……G-MODEアーカイブスは「リクエストがあるから」で動いてきた「リクエスト・ドリブン」なら、「好きだから!」で動いているのは、これって「好き好きドリブン!」だよねと。そのままいくと「好きドリブン」なんですが、リズム感がいいんで「好き好きドリブン」にしました。大事な事なので2回言っています(笑)。

『G-MODEアーカイブス+ 探偵・癸生川凌介事件譚 コレクション コンプリートセット』

クリエイターに寄り添うパブリッシングのあり方

ーー特にインディーゲーム業界では、ゲームの本数の増加に伴いパブリッシャーも増えているのが現状です。そんな中でパブリッシャーとして活動していくにあたって意識していることや方針はあるのでしょうか?

竹下氏:今は毎月1000本どころじゃない、それ以上のゲームがリリースされますよね。けど、クリエイターさんにとって自分がつくったゲームは1000分の1なんかではなくすごく大事な”1分の1”だと思います。その気持ちになって私たちも一作一作しっかり向き合って大事にしていくというのが方針です。リリースから時間が経っても機会があればイベントなどにも出していくし、何か合うキャンペーンがあったら打ち出していきます。それこそ普段お世話になってるメディアさんに取り上げていただけるかはすごく大事ですね。ニュースリリースとかメディアさんへのご連絡はしっかりやっていこうと思っています。

あとはXでもしっかり私たちの情報を出しています。タイトルの周年の時には必ずやろうねと言ってて。「今日はこのゲームが出て〇周年です!」と。「誕生日おめでとう」って言われて嫌なひとは基本的にいないと思っています。、作ったクリエイターさんだけでなく、そのファンの方も喜んでくださったり。『オホーツクに消ゆ』リメイクの1周年でニュースリリースを出した時は、逆にこんなに喜んでもらえるんだ、お祝いしてよかったと嬉しく思いました。「こういう時にちゃんと出してくれるからジー・モードさんは信頼できるよね」といったSNSの投稿も見かけて、すごく嬉しかった事を覚えています。今スイッチだけで180タイトル以上出ているので、いまや1年の3分の1以上…、ほぼ毎日が記念日です(笑)。

『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ ~追憶の流氷・涙のニポポ人形~』

Steamだけで、この6ヶ月でゲームが1万2,000本も発売されたというニュースがありましたよね。ファミリーコンピュータの総ソフト本数が1,000本強であることを考えると、ファミコン全ソフト分がわずか1ヶ月ぐらいで出てる、どう考えてもタイトル過多ですよね。そのゲームの良し悪しや面白さっていう問題だけではなく数が多すぎる、プレイヤーのみなさんにもゲームできる時間には限りがありますし……。

そんな中で自分たちがどう目立っていくかというと、メディアさんとしっかり連携させていただくのもそうですし、タイトルに合わせたプラットフォーム選定やその担当者の方との日々のコミュニケーションも大事だと考えています。また『みんなで空気読み。』のおかげでいろんな配信者さんとのつながりもあるので、新作リリース時にはお知らせしたり、そうした地道な活動が大事だと思っているのでしっかりと漏らさずやっています。

ーーパブリッシングしてみたいタイトルなど、今後の展望を教えてください。

竹下氏:ジー・モードは「カジュアル・ユニーク・グローバル」をスローガンに事業展開をしています。パブリッシングしたいタイトルも、ユニークで「面白そう!」と思えるもの、プレイして「面白い!」もの、そしてプレイした人が「面白かった」と人に伝えたくなるような。そんなタイトルをグローバルに届けていきたいと考えています。私たちの人数と時間に限りがある中ではありますが、これからも「いいな」と思ったタイトルやクリエイターさんにお声がけさせていただくというスタイルは変わらないと思います。この記事を読んで「ジー・モードに任せてもいいかも」と思った方は、ぜひご連絡いただけると嬉しいです。

ーー開発者さんにお声がけするのは、発表した時やSteamで注目を集めている時など、どのくらいの段階が多いのでしょうか?

竹下氏:これは本当にまちまちなんですよね。あるタイトルはSteamで発売したばかりぐらいの時にちょうどイベントに出されてて、テーマが面白そうだと思って試遊させてもらって「ぜひうちでスイッチ版を!」っていうパターンとか。あるいは『コメンテーター』とか『里山のおと』みたいにまだ発売されてない段階からもありますし、Steam版の発売から随分時間が経っているけどまだコンシューマ展開が決まってないと聞いてお声がけしたタイトルもありました。

タイミングとかご縁とか、その時の状況によって様々ですね。場所もイベント会場でお話しすることもあれば、SNSなどのネットでのやり取りから始まることもあります。繰り返しになりますが「好きだな、いいな」と思ったら、恥ずかしがらずにすぐ連絡するように心がけています。なので、もし突然ジー・モードから連絡がきたとしても「あ、勇気をだして連絡してきたんだな」と思っていただけると有難いです。

ーー竹下さんが中心になってるからこそフットワーク軽く動ける部分があるのでしょうか?

竹下氏:そうですね。ジー・モードの強みとして、このフットワークの軽さ、判断の早さがあると思います。私が取締役で事業責任者なので、私の裁量で決められる部分が多いです。私と、あとは当社の代表に話してOKであれば、すぐに決められます。

ーーパブリッシングしているタイトルは国内のものが多い印象です。海外の方の開発チームにお声がけすることもあるのでしょうか?

竹下氏:数は多くないですが、海外クリエイターの作品もいくつかパブリッシングしています。任天堂さんのインディーワールドでも取り上げられた『Timelie - タイムライ』や、最近はフランスのクリエイターが手掛けた『ネロ&サイ』というタイトルがあります。けどやはり今は国内が多いですね。あと『みんなで空気読み。』は実は中国や韓国といったアジア圏でも知られていて結構人気なんです。中国向けのSNSアカウントを立てて発信することもやっています。欧米圏に関して私たちはまだ強くはないのですが、日本国内と、中国、韓国、アジア圏には一定の実績があるので、まずはここからしっかりやっていこうと思っています。他のパブリッシャーさんだと日本語しかないゲームや、日本語でないと成立しないゲームを敬遠される事があるかもしれないですが、逆に私たちは「しっかり日本向けにニンテンドースイッチや、任天堂さんと連携して打ち出していこう」という事ができるのは特徴であり強みかなと思っています。

『ネロ&サイ 「Néro & Sci ∫ Integral Edition」』

ーープロモーションなどはクリエイターさんと相談してやられているのでしょうか?

竹下氏:はい。発表タイミングやプロモーションの内容、スケジュール、ニュースリリースやイベント、SNSでの発信など、私たちで作成してクリエイターさんにはその確認や監修をしてもらって進めています。イベントも私たちのブースで出します。クリエイターさん自身でイベントへ出たいと相談されることはありますが、基本的にそういった活動を反対することはなくて、むしろ自由にどんどんやっていただいて良いと考えています。ジー・モードでは出展していないイベントの時でも、お手伝いに行くこともあります。私たちも結構インディーゲーム関連のイベントにはマメに出展してるのですが、いつも同じメンバーがいるので最近は「なんか実家のような安心感がありますね」と言われます(笑)。

それまで個人でイベントに出ても、ワンオペで食事もトイレも休憩もできないような状態から私たちがシフトで交代できたりとか、そこもすごく感謝されたりもします。『コメンテーター』の開発者さんも「パブリッシャーさんに出してもらえて、こんなに楽だと思いませんでした」と言ってくださいました。

ーー作る方に専念したいという方もいらっしゃるので、手伝ってもらえるのはありがたいと思います。

竹下氏:イベント出展に関しては任せてください。また、作るところも一緒にやることも結構あります。例えば『里山のおと』は、私が「創風」という支援プログラムのメンターをやってるんですけど、そこで専属メンターとして担当になったんです。約1年間ぐらい最新のビルドをオンライン越しにプレイして伝わりにくい箇所などをやり取りしてました。意外と自分たち以外の人にプレイしてもらうのを見る機会がなかなかないと思うんです。

だからみんなゲームのインディーイベントとかに積極的に出して、いろんな人に試遊してもらいたいと思うんですけど。その試遊役をずっと伴走してやったりもしています。

ーージー・モードさんに開発者の方がゲームを持ち込むこともあると思いますが、どういった作品が相性が良いと思いますか?

竹下氏:私たちもそんなに大規模な会社ではないので、超大型タイトルのご相談はされてもなかなか期待に応えられないかなと思います。ここまでお話ししてきた事も、私を中心に数名のチームでやっていますので。ただ個人や小規模、少人数で作られてて、面白いゲームのアイデアや良いテーマはあるけど、一人で完成させるところでちょっと苦労してるとか、それこそスイッチ向けにどうしていいか分からないっていう方の力にはなれると思うので、ぜひ相談してほしいですね。

ゲームのコアの部分さえできていれば、あとは一緒に……実は今途中から開発を引き継ぐパターンも出てきたんです。一部開発を請け負ったりなど開発により入り込んでやるというタイプが最近増えてきてます。とにかくその熱い想いを持った方、熱い衝動を持った方が大好きですね。

ーー「ジー・モードといえばこういう作品を出している」というような、今後ユーザーに対してどのようなイメージを持ってほしいと考えていますか?

竹下氏:私たちジー・モードは「カジュアル・ユニーク・グローバル」をスローガンに掲げています。「カジュアル」はカジュアルゲームしかやらないという意味ではなく、より広く老若男女問わず、様々なゲームファンの方に遊んでいただく事が目標であり、「ユニーク」は「なにこれ!?」「面白そう!」と思ってもらえる事や、他ではやっていないような事…フィーチャーフォンのゲームを復刻する『G-MODEアーカイブス』もこの「ユニーク」軸だと思っています。そして、私たちやクリエイターさんが作った、カジュアルでユニークなものを「グローバル」に届ける。こういった私たちの指針、想いをこのスローガンに込めています。

色々なジャンルやテイストのゲームが並んでも「ジー・モードだったらありだよね」と思ってもらえるような、おもちゃ箱のような、わくわくする駄菓子屋さんの店先のような、そんな場所にできればと、そうなりたいと思っています。『OU』があってその隣に『元祖 落とし寿司 めびうす』があって、その横に『にほんの田舎ぐらし』があって…今のジー・モードはそういうバラエティ豊かな感じが逆にカラーになってる気もしています。

ジー・モードはどんなものが来てもワクワクされる会社でいたいなと思いますね。私たちはやっぱりパブリッシングだけじゃなく開発もやってるので、あえて自分たちのことをパブリッシャーと名乗るよりも「ゲームメーカーです」って言っていきたいですね。開発も配信もしてるトータルでやってるゲームメーカーですよ、と。

ーービジュアルやコンセプトなどのインパクトの強い作品を広く届けるために、どのような工夫をされているのでしょうか?

竹下氏:Xやゲームメディアでは情報がものすごく流れてくるじゃないですか。でもそのポストの中で皆さんが手を止める、目を止めるものとそうでないのがあると思うんですよね。パッと目を引くキービジュアルと、1、2行で「なんだこれは」と思わせるゲームのコンセプト。最近はいろんな方もおっしゃられてますけど、ゲームが面白い・面白くない以前に、面白そうってまず思ってもらえないと立ち止まってもらえないなと思ってます。

インディークリエイターの方たちもその辺を考えられていると思いますが、逆にそんなの関係なしに、遊んだらこれ物凄い歯ごたえがあるみたいなものも作っていいし、作れるのがインディーゲームのいいところだと思うんですよ。普通の企業さんとかでそういうの提案しても通らないだろうなという企画でも、個人で自分のペースで作っていける、ある意味何を創ったって自由ですから。

ジー・モード流!面白いゲームの見つけ方とは

ーー様々なイベントに参加されているとのことですが、プライベートを含めてどういったところで作品を見つけているのでしょうか?

八田氏:社内のメンバーも基本的にすごくゲームをやるので、プラットフォームのストアで見つけたゲームがきっかけになることもあります。あとは配信者さんやVTuberさんが配信されているゲームで面白そうなものや、その類似タイトルもそこから知ることは多いです。

八田 祐希(はった ゆうき)氏 開発ディレクター、パブリッシング事業開発担当

ーーパブリッシングするしないに関わらず、今注目しているゲームシーンやジャンル、コミュニティはありますか?

竹下氏:最近だと『めっちゃカメレオン』ですね。あのヒットは凄まじいと思いました。

『8番出口』が出た後に、こんなメガヒットはもう10年は出ないかなと思っていたんですが、易々とそれを乗り越えるものがありましたね。自分たちが知らない、まだ分かってないだけで、『フォートナイト』や『Roblox』といったプラットフォームやコミュニティにまだとんでもない人が実はいるんじゃないのかなと思ったりしますね。なかなかそこまで辿り着けてないんですけど。

八田氏:自分としては、偉そうなことを言うわけじゃないんですが、「自分たち自身」なんですよ。ジー・モードは個人的には結構注目しています。

ジー・モードって元々フィーチャーフォンのアプリをずっと作ってきたんです。携帯って当時はみんなが持っていて、手のひらの中に遊べるコンテンツが詰まっていて誰でもできるっていうのがウケた要因だったと思うんですよね。他の会社さんも有名な作品をたくさん出していたと思うんですが、ジー・モードは携帯アプリに特化したカジュアルなコンテンツがすごく多かったんです。これっていう色や枠を決めずに、どんな人でも楽しめるコンテンツを作ってきたメーカーだと思っています。

『空気読み。』もそうですし、そこから色々なきっかけで一緒に取り組んでくださるクリエイターさんや支えてくださるお客様がいて、ここ何年かで、多彩なゲームを皆さんにお届けできる立場にようやくなってきました。今まさに、昔あったジー・モードカラーみたいなものを取り戻してきているのかなと感じています。

渡辺 天音(わたなべ あまね)氏 マーケティング部、プロモーション・SNS担当

渡辺氏:私はXで情報収集をすることが多いのですが、その時にすごくビジュアルが好きなゲームが流れてきて。そこからゲーム内容も見てみたらすごく面白そうだったんです。

「これは人気でるぞ…!」とポストをブックマークしてたんですが、あとで見てみたら2000リポスト近くされていて。ユーザーの反応を見るとビジュアルで惹かれて気になっていた人が多かったんです。それをみて私は「ほら、いいじゃん」と思わず腕組みしちゃったんですよ(笑)。

たとえば、SwitchやSteamのストアページでゲーム一覧が表示されたとき、私はビジュアルで惹かれてクリックすることがほとんどで、そこからゲーム情報を見て面白そうだなってなるんです。

Xも同じで、画像や動画は一番最初に入ってくる情報だと思っていて、数あるポストの中から目を止めて情報を知ってくれるきっかけになる“大事な要素“だと思っています。

ちなみに、そのゲームがイベントで初めて試遊版を出すことになり、「これは行かねば!」と、イベント開場時間にすぐにブースへ向かいました。試遊をしたあと「ここすごく面白かったです」「Xで見かけたときから絶対試遊したいと思ってました」など開発者さんに感想を伝えたら、「実は、試遊1人目だったのでドキドキしてましたが、とても嬉しいです!」とすごく喜んでくれたんです。
そのとき「好き好きドリブン」してよかった…と思いました(笑)。

竹下氏:私の教えがちゃんと活きてる(笑)。

渡辺氏:竹下も言ったとおり「好き!」と思ったら、すぐ伝えたほうがいいというのはその時すごく思いました!

竹下氏:ご本人もブログで書かれていましたが、『コメンテーター』も最初はすでに他のパブリッシャーさんと話が進んでいたそうです。私は別にジー・モードパブリッシングではなくても、『コメンテーター』と開発者のヒヅメさんのファンになったので、関係無しにこれからも応援しますよ!ということで、その後もイベントに出されていたら試遊しに行ったり、また仕事の話は無しに何度か飲みに行ってお互いの話とかをして。そしたら大分時間が経ってからですが「ジー・モードさんにパブリッシャーをお願いしたいんです」ということになりました。出会って、飲みにいって、なんだかんだ2年越しくらいでパブリッシングが決まりました。テバサキゲームズのヒヅメさんから、最終的には最初の頃から応援してくれてたジー・モードに決まったので「恋愛ゲームでいえば幼馴染エンドです。」と言ってくださいました(笑)。叶わない恋、とどかない想いだな…って思っていても、「好きだ」と言い続けていれば、こんな奇跡も起きるんだな…と思いました。

新川 宗平(にいかわ そうへい)氏 合同会社スーパーニッチ代表、ジー・モードでは顧問・外部プロデューサー担当

新川氏:私の場合はちょっと皆さんと立ち位置が違うと思っています。今私はジー・モードさんの顧問、外部プロデューサーとしてお手伝いをしているんですが、私は遊ぶよりも作るほうが好きな人間なので、注目しているとか目線っていうところであれば、1つは渡辺さんと一緒なんですけど、パッと見てこれ面白そうと思ったらまずそこには注目をします。特にイベントで生で見てっていうところが大きいと思ってますね。

もう一つは「1人で作ってる人」、1人で作ってる人にすごく興味があるんです。1人で作るって相当だと思っていて、労力的にもよほど好きじゃないとできないと思うんですよ。そういう人を見つけて、ビジュアルやキャラクター、ストーリーのもっと強化したいところを「じゃあよかったら一緒に何か新作をやりませんか?」って声をかけて一緒に作るということをやってるんです。今それで4本ぐらいプロジェクトが立ち上がってるんですが、そのうちのいくつかをジー・モードさんにパブリッシングしてもらいたいなと考えています。

ーー珍しい動き方ですよね。

新川氏:そうですね。珍しい動き方だとは思います。まぁ、そういう動き方してる人はいないかもしれないし、いるとしたら多分怪しい人です。気をつけてね。怪しいと思ったらもうやめたほうがいいよ。世の中には悪い大人もいますから(笑)。

渡辺氏:新川さん、イベントで気になったゲームのクリエイターさんに話しかけてましたよね。「これ1人で作ったんですか?すごいですね、応援してます!」って新川さんに言われたクリエイターさんがすごく嬉しそうな顔をしていたのをよく覚えています。
クリエイターの方って自分の作品に全てを注ぎ込んでいる方が多いと思っていて、作品への思いとか熱量をすごく感じますね。

新川氏:1人で作っていると妥協するポイントが少ないんですよね。複数で作っていると、どうしても誰かの意見を採用しようみたいなことが結構あるんですけど、1人で作っていたら妥協するとしたら自分の時間とお金だけですし。でもインディーだと大体そこは妥協せずにやっちゃうんですよね。そういう意味では一人で作ってる人の熱量ってやっぱすごく高いと思っています。それをもっと活かすことができないかという目線で自分は見ていますね。

――最後に、ジー・モードを知るためにやってほしい・おすすめしたいタイトルがあれば教えてください。

竹下氏:うちでリリースしてるタイトル大体全部になるんですけど……難しいですね。とにかく遊んでもらえれば必ずどのタイトルもそれぞれの面白さがある作品がいっぱいなんで、全部やってほしいんです。

八田氏:「好き好きドリブン!」でこれからも頑張っていくので、ぜひジー・モードを箱推ししてくださいっていうのと、関わってくれているクリエイターさんのことをぜひ皆さん一緒に応援してくださいっていうのをとにかく伝えたいです。僕らもクリエイターの皆さんのことが好きでやってますし。新川さんも然り、このグループでチーム一丸となって好きなものをお届けしていきたいので、ぜひ応援してください。

ーーありがとうございました!


このインタビューが行われた後、8月5日に、ジー・モードのパブリッシングタイトルを紹介するYouTube特別番組「G-MODE NEXT PREVIEW(ジー・モード ネクスト プレビュー)」が開催され、『ミカクテイ事件の観測者』など全9タイトルの情報が公開されました。ぜひこちらもご覧ください。

株式会社ジー・モード (G-MODE Corporation)公式サイトG-MODE公式X


ライター:ほろすけ,編集:みお

ライター/メトロイドヴァニアは心の鍛錬 ほろすけ

気づいたらインディーゲームの世界にのめり込んでいた生粋のインディーゲーマーでありぼっちプレイヤー。たまに配信もやる。 TGS2025でブーススタッフを経験。好きなジャンルは2Dアクション(メトロイドヴァニア)、謎解き、パズルなど。「ウィッシュリストに入れるのはタダ」をモットーに軽率に入れているが、順調に積みゲーを増やしている。

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編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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