超豪華メンバー集結!新作ダークファンタジーJRPG『Under Mythos』は探索と温泉経営、そして「狂気」のゲーム―プロデューサー・宮路洋一氏インタビュー | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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超豪華メンバー集結!新作ダークファンタジーJRPG『Under Mythos』は探索と温泉経営、そして「狂気」のゲーム―プロデューサー・宮路洋一氏インタビュー

にしだあつこ氏・実弥島巧氏・岩垂徳行氏という超豪華メンバー!

連載・特集 インタビュー
超豪華メンバー集結!新作ダークファンタジーJRPG『Under Mythos』は探索と温泉経営、そして「狂気」のゲーム―プロデューサー・宮路洋一氏インタビュー
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『グランディア』『LUNAR』など、長年JRPG制作に携わってきたゲームプロデューサー・宮路洋一氏は、新会社「KADATH(カダス)」の設立と、新作JRPG『Under Mythos(アンダー ミュトス)』をPC(Steam)/ニンテンドースイッチ向けに2028年リリースすることを発表しました。

KADATHは、宮路洋一氏を中心に、国内外のゲーム開発会社やクリエイターとの連携のもと、日本発のJRPGとオリジナルIPを世界へ届けることを目指して設立されたゲーム企画・プロデュース会社です。

第一弾の『Under Mythos』では、『ポケットモンスター』『テイルズ オブ ジ アビス』『GRANDIA』『LUNAR』シリーズなど、日本を代表するゲームシリーズに携わってきたクリエイター陣が参加。異界の温泉宿を舞台に、日常が狂気へと変異していくダークファンタジーとして、ダンジョン探索と経営要素を組み合わせた作品です。

Game*Sparkでは今回、KADATHの代表および『Under Mythos』のプロデューサーを務める、宮路洋一氏に『ぎゅわんぶらあ自己中心派』に続いてインタビューを実施。謎の多い新作プロジェクトについて、たっぷりと内容をお聞きしました!

なお、宮路洋一氏の過去の経歴などについては、『ぎゅわんぶらあ自己中心派』のインタビューを併せてご覧ください。

穏やかな日常が「狂気」になる母探しの物語

本作の主人公は、「マザー」を探して異界へ迷い込んだ一匹の猫です。猫は異界の住人が湯に安らぐ不思議な温泉宿へとたどり着き、マザーとの再会を願い温泉宿で働くことになります。訪れる客をもてなす穏やかな日々が続きますが、その穏やかな日常は、少しずつ姿を変え、やがて世界は予測不能な「狂気」へと染まっていきます。

ゲームは「温泉宿経営シミュレーション × エクストラクション」というジャンル。プレイヤーは、異形と化した存在とのアクションバトルが待ち受けるダンジョンを探索しながら、食材や資源を持ち帰ります。持ち帰った素材を使って宿を発展させることで、新たな出会いや発見が生まれ、新たな探索へと続いていきます。

キャラクターデザインは『ポケットモンスター』で多くのポケモンをデザインしたことでも知られる、にしだあつこ氏が担当。シナリオには実弥島巧氏(『テイルズ オブ ジ アビス』など)、音楽には岩垂徳行(『グランディア』『逆転裁判』など)を起用するなど、超豪華なメンバーが集結しています。

『Under Mythos』とは何か?宮路洋一氏インタビュー

――本日はよろしくお願いします。まず、宮路さんが新たに設立した「KADATH(カダス)」について教えてください。

宮路氏:KADATHは2026年1月に設立した会社で、活動自体は2月ぐらいから始めていています。現在は第1弾プロジェクトとして『Under Mythos』の開発を進めていますね。

設立の理由なんですが、まず、KADATHの事務所はマトリックスさんの中にあるんです。(事務所がある)ビルの中は他にもJRPGを作ってきた開発会社やチームが集まっていて、みんなで「オリジナルのIPとかJRPGを作っていこう」という話になって、みんなで作った形ですね。

だから所属しているのは、他の会社に在籍しているメンバーばかりで、会社には社員が存在していないんです。KADATH自体はIPを創出するプロデュース会社で、プロジェクトの資金を集めたり、プレスリリースを作ったりするのがメインです。

実際にゲームを作るのは、それぞれ他の会社からメンバーを集めてきて進行するような形ですね。クリエイターを含めて、プロジェクト志向型で「オリジナルIP、JRPGを作っていこうぜ」みたいな会社なんですよ。

――なるほど。

宮路氏:KADATHの一番の目的としてはJRPGを作ることです。昔で言えばRPGって『ドラゴンクエスト』『ファイナルファンタジー』みたいなゲームがたくさんあって、それってそもそもオリジナルIPだったじゃないですか。いまは大手が大型化したのもあって、簡単にオリジナルを作れなくなっています。

今も世の中にでている作品はあるけど、決して多いとは言えません。今JRPGってジャンルは強くて、去年も『Clair Obscur: Expedition 33』のような作品が出てきましたけど、ほとんどが「海外製のJRPG」なんですよね。これは由々しき事態だな、と考えて立ち上がったのがひとつの経緯ですね。

僕らは立ち位置としてインディーであろうと考えています。インディーの良さとして、企画の立ち上げ段階からファンと交流しやすいというのがあります。ファンコミュニティと交流しながらゲームを作っていくというのを基本にして、個人や少人数で時間をかけて作ることができるんです。

ちょっと懐かしい話ですが、メガドライブとかの時代は、メーカーとファン、メディアの距離感ってすごく近かったと思うんですよ。これからは、その近さが重要になってくると思います。その「原点回帰」もKADATHの考え方になっています。

――メディアやファンと一緒にゲームを作っていく、という考えでしょうか。

宮路氏:そういう時代になって来てると思うんです。一緒にIPを育てて、それを還元したり、メディアだったら利益をシェアする、みたいな。

『ぎゅわんぶらあ自己中心派』でクラウドファンディングを実施して理解したことなんですけど、一緒に開発に絡みたいファンの人も多いんですよ。だから、僕らとしてもファンに絡んでいこうよ、という風に考えていきたいんですね。

だからキャラクターなんかも、同人レベルならUGCを認めようとホームページには記載するつもりです。みんなでオリジナルIPを作りたい、盛り上げたいんです。過去作で言えば『グランディア』なんかも発売の1年前くらいに雑誌で発表して、ディープなファンやコミュニティと盛り上がっていったんです。

今は“ニッチ”が主流になる可能性がある時代でもあると思うし、すごく面白い時代になってきたと思います。少人数で作りたいものを作ろう、ファンと盛り上がっていこう、それを昔の感覚でやっていこう!というのがKADATHの狙いですね。

あとは、やっぱり「日本のJRPG」を取り戻しに行くぞ!みたいな気持ちもあります。

――今は海外製「JRPG」ってどういうことなんだろう、みたいな話も良く出てきますね。

宮路氏:この間もスペインの開発者が『グランディア』に影響を受けたJRPGを作っているというので見てみたんですけど、クラウドファンディングで1億円近く集めたことを知りました。これはもうすごい勢いですよね。

だからこそ、本家本元がやらなきゃいけないとも感じました。にしださん、実弥島さん、岩垂さんとも「色々やりたいことがあるよね」って話をして、我々プロがインディーとして結果を出すのも面白いんじゃないかなと思います。

インディーでもあるので、単純に商業的なゲームじゃなく、ちょっと変化球のゲームを作るのもいいのかなと考えています。素晴らしいクリエイターの方もたくさんいるので、KADATHとしてはそのサポートもできればいいな、とも考えていますね。

――今後も驚くようなメンバーのゲームが出る可能性もあるんですね。

宮路氏:そうですね、ただ、基本的には「物語のあるキャラクターJRPG」を作りたいと思っています。もしかしたらシミュレーションのときもあるかも知れないけど、その場合でもシナリオがちゃんとしたやつですね。例えば『ファイアーエムブレム』のようなゲームかな。

――KADATHの名前の由来について教えてください。

宮路氏:カダスの由来はクトゥルフ神話の「未知なるカダスを夢に求めて」に由来しています。最初は「ドリームチーム」とかを考えていたんですけど、ほとんど商標を取られていたんですよ。

『Under Mythos』もクトゥルフ神話をベースにしていますし「カダス」っていろいろな神が集まる場所でもあるので、それなら「ドリームチーム」の意味としても使えるなと考えました。

クトゥルフ神話って、一般人は知らないけどマニアは知っているような、ちょうどいいIPなんですよね。「這いよれ! ニャル子さん」のような作品もありました。『Under Mythos』も主人公の猫はニャルラホテップです。

――では、あらためて新作ゲーム『Under Mythos(アンダー ミュトス)』について、どのようなゲームか教えてください。

宮路氏:まだ完全にシナリオは出来上がっていないので、これは初期設定のお話になります。まずアザトースが目覚めたことでビッグバンのような現象が発生して宇宙が生まれて、星々も誕生します。

その中で世界も出来上がっていって、主人公のニャルも目覚める。それでお母さんを探すことになるんですが、これって創造主であるアザトースのことなんですよ。ニャルはアザトースの声に導かれるんですが、ここが狂気山脈で、そこでなぜか日本風の温泉旅館を発見してしまう。

宿の主人からは「ここで一生懸命働いたらお母さんに会わせてやる」という話をされて、それでニャルは温泉旅館で働き始める、というのが基本的なストーリーです。

――狂気山脈に温泉旅館!いきなりインパクト抜群ですね。

宮路氏:面白いですよね、これもちゃんと設定があって、ゲームを進めていけば理由も明らかになっていきます。

ゲームとしては、経営シミュレーションではなくて『デイヴ・ザ・ダイバー』のように、ダンジョンで食材や素材を集めていく形です。料理人から食材が足りないからとお願いされたり。この世界にはゲートがあって、そこを介して色々な世界に飛ぶことができるんです。

温泉宿には色々なお客さんがいて、最初は幽霊のような姿なんですが、交流や湯治を通じて真の姿になっていく。真の姿がわかるようになれば、そこで「〇〇を倒してほしい」みたいなイベントも発生して、ボスとの戦いに発展することもあります。

クトゥルフ神話でもあるので、立場の違いで考え方や善悪なんかの見方も変わっていきますよね。その辺りの面白さを、シナリオの実弥島さんがどうやって料理していくのかが、僕としても楽しみなんですよ。

――ゲームサイクルとしては探索、温泉の発展、住人との交流、そしてボス戦という感じでしょうか。

宮路氏:そうですね。ダンジョンは食材・素材集めとボス討伐でミッションが異なります。材料集めの時は、どれだけ我慢して探索を続けていくか、というのが重要です。あくまでローグライクではなくエクストラクションなので、そのヒリつくような感覚を楽しんでほしいですね。

クトゥルフ神話って知識を得ることも面白いものなので、ダンジョンで「こんな知識を手に入れてしまった!」となるのも楽しいかなと考えています。その体験を大事にしたくて、経営パートでも、あくまで他の従業員の手伝いをする、というくらいの感覚にしています。

――「温泉宿経営シミュレーション × エクストラクション」というジャンルの組み合わせを選んだ理由を教えてください。

宮路氏:インディーゲームで遊んでいて、最初に『アンダーテール』は懐かしいだけじゃなく、面白いバランスで作られているなと感じました。戦闘が面白いじゃないですか、あれはもう好きなものを作っているんだな、と感じました。

その後に遊んだ『デイヴ・ザ・ダイバー』も面白かったですね。こういうゲームは、面白い要素を組み合わせて作っているものが多くて、その面白さを多くのユーザーが楽しんでいるんです。だから、僕も組み合わせの面白さという意味で、作ってみたくなったんです。

異質の組み合わせって面白いじゃないですか。『Under Mythos』は可愛いキャラクターと狂気だったり、温泉宿とダンジョンだったり、色々な組み合わせを作っています。今は色々なコンテンツに飽きている時代でもあると思います。

例えば作品にドラゴンを出すなら、見た人が「何でここにドラゴン!?」と思うようなことをやりたいんです。ストーリーを含めて、まったく予想がつかないようなものが作れれば嬉しいですね。

――驚くような展開が待っていそうですね。

宮路氏:発想の起点としては、一般に刺さらなくてもいいから「あっと言わせたい」という感じですね。今回目指したいことは、本当に誰も見たことがないようなものです。

『Under Mythos』は温泉が最初に出てくるんですけど、それもゲームの設定としては意味がわからないと思うんです。あるパブリッシャーさんに見せたら「誰に売るんですか」って言われたんですよね。ユーザー未定という、これもある意味褒め言葉なんじゃないかなと思いました(笑)。

ゲームとしては全体的に明るくするんですけど、シナリオは間違いなくダークなものになりますよ。そこはやっぱり実弥島さんの作るものなので『テイルズ オブ ジ アビス』シリーズファンの人にも期待してほしいですね。にしださんのかわいいキャラクターとのギャップを使った面白さも目指していきます。

『アンダーテール』って、ボス戦とかで音楽がキャラクターの心情を表現していますよね。岩垂さんとは付き合いが長いので「このシーンにあった音楽を」とか「セリフの代わりに伝わる音楽を」とか、かなり無茶振りしています。だから僕も完成が楽しみなんです。

面白いキャラクター・曲・シナリオが三位一体になるようなゲームを作りたいなっていうのを考えています。

――今作の超豪華な開発メンバーは、プロジェクト開始時点で決まっていたことなのでしょうか?

宮路氏:企画自体は2年くらい前から動いていて、そもそも「にしださんのオリジナル代表作を作りたい」「JRPGを作りたい」というところから始まっているんですよ。

それで『ポケモン』フォロワーを作っても面白くないので、むしろダーク路線にしようと。クトゥルフ神話のキャラクターなんかを書いてもらっている中で、にしださんが友達の実弥島さんをシナリオとして推薦してくれました。

だいたい1年くらい前に実弥島さんと話をしてて、最近大きくその話が動いた感じですね。岩垂さんにも、そういった企画の話をしながら参加してもらっています。

――ものすごいサラッとスターが集まってますね。

宮路氏:プログラマーもマトリックスさんやリズさんのメンバーが集まってくれていて、とても心強いですね。僕としても久々になるんですが、ちゃんとしたJRPGを作っているなと感じています。

――作品として「狂気」がテーマになっています。トレイラーではキャラクターが変化する様子もありますが、どのようにゲームに関わるのでしょうか?

宮路氏:「変異(ミューテーション)」がゲームの大きなギミックになっています。キャラクターたちは温泉に入ると変異して、主人公もかわいい猫の姿から大きく変化します。姿が変わればスキルや能力も変わるので、アクションとしても変化します。

ダンジョンで温泉に入れる素材を集めることで、お客さんにも色々な変異が発生します。素材は同じものを入れても毎回結果が異なり、そこにランダム性も生まれます。未知のアイテムを温泉に入れたらどうなるか、という部分のワクワク感もエクストラクションとしての面白さが出せるんじゃないかと思っています。

エクストラクションで、奥へ進んでいくことで報酬が高ければ高いほど盛り上がるじゃないですか。そこでリスクとリターンをちゃんと設定できるので、温泉というシステムを入れたんです。

でも、常に遠くへ行くことで強い武器が手に入るだけだと、ちょっとつまらない。だから、ランダム性があった方が面白いかなと思ったんですね。

――ランダム性という意味では、ハズレのような状態もあるのでしょうか。何度挑戦しても目的のものが出ないと、嫌がる人やテンションが下がる人も出てきそうです。

宮路氏:僕もいわゆるガチャゲーをいくつか遊ぶんですけど、そこの感覚はわかります。でも『Under Mythos』は、ガチャというよりミューテーションに近いもので、どんなものを入れたらどんな結果が得られるんだろう、というワクワク感を得られるバランスにしたいですね。

当たりの確率は決して低くないので、何回か遊んでいれば出るようはなっています。あと、買い切りのゲームでもあるので、いわゆる天井のようなものを用意しようかな、とも考えていますね。遊ぶ人に嫌なフィーリングを与えないように調整しますよ。

――『ぎゅわんぶらあ自己中心派』のインタビューでも、宮路さんはフィーリングという言葉を大切にしていましたね。

宮路氏:僕はゲームのプレイフィールがすごく重要だと思っています。遊ぶ人に嫌な思いをさせるのは、あまり良くない。これは難しいところなんですけどね。

先日も実弥島さんと話していて、シナリオで「嫌な思いしながらも、そうでもない部分もある」という塩梅が難しいよねという話をしていました。そういうギャップがないと面白くないんですよ。

戦闘でも、ものすごく強い相手と戦いながら、ギリギリで勝つのってすごく気持ちいいじゃないですか。ただ、純粋なアクションゲームだとプレイヤースキルに依存しすぎて、誰でもクリアできるゲームではなくなってしまうんです。

そういうプレイヤーのため、戦闘を重ねてレベルアップすれば、簡単になるような設計にする。だから、この作品はJRPGになっているんですよ。レベル上げをすれば、誰でもきっと遊べるほどに簡単になる。

さっきの温泉のランダム性も、ハズレを引いても無駄にならないし、何回もやれば確実に当たりは出てくる。そういう調整にしようと考えています。

――宮路さんの作品はテストプレイを繰り返して磨いていく、というのも前回のインタビューでお伺いしました。

宮路氏:ゲームは本当にバランスなので、とにかくテストプレイをすることが大切なんですよね。

そのためには仕組みの設計も重要で、最初の時点で各種のパラメータを全て後から調整できるように作っておけば、あとはテストプレイとパラメータ調整でなんとかなるんです。でも、そうなっていないと、何かあれば大幅な改修を余儀なくされてスケジュールの大幅な遅延を招いたり破綻しちゃう。

今回で言えば、温泉での変異システムについては、あらかじめしっかり決めていきたい。その上で、テストをして調整していく。『ディアブロ』でレアな物を拾うと嬉しいじゃないですか。その感覚を温泉に集約していきたいんです。

――温泉で、ものすごくラッキーな結果が出てくる、ということもあり得るんですね。

宮路氏:それもありますよね。それはサブクエストとして入れてしまうとか、そういう使い方にしてしまうかも知れませんね。当たったからサブクエストで遊べるみたいな。こうやって話しながら、今後はファンの方とも交流して、どんどんゲームを改良していけたらいいですよね。

「完成版があるから買ってください」じゃなく、作ってるところからエンタメ化したいというのが僕のイメージにあります。こういう作り方も、これからのトレンドとして面白いんじゃないかなと考えています。

『Under Mythos』はJRPGなので、まずシナリオが大切です。シナリオやキャラクターを大切にしながら、手触りの良いゲームにしたいと考えて、戦闘はアクションにしているんですよ。戦闘で一回一回ゲームが止まると、このゲームではテンポや手触りが悪くなってしまうと考えました。

海外のクリエイターの方がインスパイアされてる時代のJRPGも、実際かなりアクション要素の高い作品も多いですよね。JRPGの定義って難しいんだけど、しっかりと一本のストーリーがあることじゃないかなと思います。

――ストーリーの分岐などは存在するのでしょうか?

宮路氏:これはまだ詳しく言えないけど、いわゆるループ物のような作品になりますね。例えば1人のキャラクターがいて、出会いだけじゃなく、さまざまな関係がシナリオの中で深堀りされていく。

ゲームとしてはちょっと違うんだけど『エルデンリング』なんかもそうじゃないですか。最初の印象が、知っていく内にどんどん変わっていく。実弥島さんとも、そんな感じのシナリオにしたいよねという話もしています。

ちなみにループ物といっても、ストーリーとしての繰り返しにはならないですね。それが死に戻りとしても、戻ったあとの世界は設定は時間は戻っていても、ストーリーは進んでいます。だから、キャラクターとの関係も、進んでいくんですよ。それがキャラクターの深みにも繋がると思います。

ループ物の面白さとして「想像できないエンディングを作れる」というのがあります。ストーリーの大枠として、お母さんを探すという目的はブレません。実弥島さんは色々と構想を練っているようなので、そこは楽しみにしていてください。ストーリーが分岐するのか、一本道になるのか、というのはまだ僕も聞いていません。

あと、単純にエンディングを迎えるんじゃなく、コージーな「エンディングを迎えない」という遊び方を入れたいなとも考えています。飽きさせないために、温泉に次々と従業員を投げ入れて化け物に変異させるとか、そんな遊びができても面白いですよね。

――主人公の戦闘能力について教えてください。武器やスキルの要素や、変異による強化はどのような感じなのでしょうか?

宮路氏:実はまだ戦闘の詳細に関しては細かく決定していないんですが、武器に関しては用意しようかなと考えています。ステータスなら、HPや攻撃力を上げていったり、SAN値が上がっていったりとか、色々なことを考えて設計していますね。

――やはりSAN値はあるんですね。

宮路氏:これは絶対に入れなきゃダメですよね。狂ってくれないと(笑)

攻撃やジャンプなどのアクションは直感的にやれるようにしていますし、特殊攻撃なども入れたいですよね。変異については、猫の状態だとできない「ダッシュ」や「2段ジャンプ」はニャル形態なら使える、という変異は考えています。

今悩んでいることがあって、変異は「変身なので3分しか使えない」とか、くだらないことを考えているんですよ。エクストラクションで強い状態の制限時間があったら、ハラハラして面白いんじゃないかと思うんです。

でも、これもアイデアだけ面白くて、実際遊んでみるとつまらないかも知れない。変異を基準に手触りの良さやバランスの面白さを調整していきたいですね。

――ボス戦だったら、なんとか苦労して3分以内に到着して倒せ!という感じですね。

宮路氏:それで、もしかしたらボスエリアの近くに隠れ温泉もあるかも知れない。温泉旅館があるなら、どこかに同じ源泉がある可能性もある。こういうのを隠し要素として入れたら面白いかな、とも考えています。

どうやってボスを倒すんだと考えた末で、隠れ温泉を見つけられたら、これは見つける楽しさにもなりますよね。今だとサイトとかですぐ隠し要素ってバレちゃいますけど、それでも遊ぶ人が「えっ?」と思うような要素を入れていきたいですね。

――宮路さんのRPGだと、そういった驚きの要素って用意されている印象です。

宮路氏:そうそう。『LUNAR2』のエンディングの仕掛けとかもそうですよね(笑)

――エクストラクション部分のゲーム時間はどれくらいになるのでしょうか。

宮路氏:ゲームプレイの長さってとても重要な部分ですよね。簡単な食材集めなんかは10分とか15分くらいで簡単に回れるようにしたいんですけど、本格的な探検になると、もっと時間をかけてもいいんじゃないかと思っています。

『ぎゅわんぶらあ自己中心派』のときには、麻雀は半荘で10分くらいでサクサクなのが楽しい、という話もしましたが、エクストラクションでは逆なんです。未知のものや、まだ行っていない場所を探索するなら時間はかかるようになるし、その分リスクは高まっていきます。

死んだらすべてを失う中で、1時間探索して、当然この先はもっと厳しくなっていくけど進むのか。失うものはダンジョン入ってからの時間なので、やっぱりすべてを失えば嫌がる人も出かねない。だから、もしかしたら1時間のうち(変異できる)3分が重要になるかも知れません。

この1時間は許容できる範囲で、ミスってしまっても、ちょっとショックを受けて「もう一回やるぞ!」かも知れない。その許容範囲は30分くらいまでの可能性もあるんですよ。そこら辺の見極めと調整は大切ですよね。

『ウィザードリィ』で未知のエリアを探索するときって、すごいドキドキするじゃないですか。今の体力で無事に戻れるのかとか、色々考えます。この感覚を『Under Mythos』でも大切に残していきたいんです。もちろん、救済措置に関しても考えてはいます。

――クトゥルフ神話は本作の大きな要素になりそうですが、知識がなくても楽しめるのでしょうか?

宮路氏:当然ですが、クトゥルフを知らなくても面白いようなゲーム設計にしています。先程言ったようにJRPGとして、誰でもクリアしやすいようになっていますし、シナリオも別に詳しくなくても楽しめるような内容になっています。

その上で、もし興味を持ったら調べてくれれば嬉しいですよね。クトゥルフ神話って大きいコンテンツだから、気になった単語があれば、調べればすぐに解説されている。これは、今作が完全なオリジナルコンテンツじゃないことの良さでもあると思います。

もちろん色々なキャラクターには元ネタもありますし、知るとまた違う楽しみ方も生まれます。ニャルが主人公なんだから、あの鳥はシャンタク鳥なんだろうな、とか、深きものはどこに出るんだろうな、とか。その意味でも、キャラクターゲームになっているんじゃないかな。

――そのキャラクター達が、にしだあつこさんのデザインなんですよね。

宮路氏:いろいろな解釈で楽しくなるものを作れれば、それは絶対楽しいじゃないですか。料理人がいて、こいつがすごい出汁を取っているんだけど、じゃあ何で出汁を取っているんだよ?となったり、深きもので出汁取ったらどうなるんだろうねとか。

なんか「ダンジョン飯」みたいな話になっちゃいますけど、これもダンジョンで食材集めという意味では影響を受けているのかも知れませんね。

――(笑)

宮路氏:今公開しているグラフィックだと、まだまだ背景は普通なんですけど、もっと個性的なものにしていくつもりです。狂気が進んでいくことで、どんどんヤバくなっていくんですよ。

先日チームで「この世界の人間はどうなっているんだろう」と話になったんですよ。ゲームには出てこないだけで生きてるかも知れないし、もう滅んでるのかも知れない。このあたりの情報も、今後ゲーム内には出てくると思います。

僕もまだ実弥島さんがどういうシナリオを出してくるかわからないので、これは今後の展開を楽しみにしてほしいですね。

――完成は2028年と、かなり先の予定です。現時点でもある程度プレイアブルなように見えますが、どのように開発を進めていく予定なのでしょうか?

宮路氏:今作っているのは温泉とダンジョンの一部だけです。温泉旅館とエクストラクション部分を完成させないと、そもそものゲームのサイクルが成立しないので、まずはそこの完成を目指しています。

2027年2月を目処に、いわゆるバーティカルスライスの手前まで作るというのが今のマイルストーンですね。今は実弥島さんがシナリオの土台を作ってくれているので、キャラクターなども進めていきたいですね。しっかりと土台を作ってから、味付けしていきます。

2027年にはテストプレイの実施も考えています。これはオープンテストでの開催も計画しています。まだ時期は未定ですがDiscordチャンネルも開設すると思います。

――最後にメッセージをお願いします!

宮路氏:『Under Mythos』を期待していただきたいのと同時に、ファンの皆さんと一緒にゲームを作りたいというのが、今の僕の気持ちです。

今後のゲーム内容やキャラクターなどの情報は、公式XSteamでの開発ログなどを出していく予定なので。気になる人は是非チェックしてみてください。

――ありがとうございました!


『Under Mythos』は、PC(Steam)/ニンテンドースイッチ向けに2028年リリース予定です。

《Mr.Katoh》

酒と雑学をこよなく愛するゲーマー Mr.Katoh

サイドクエストに手を染めて本編がなかなか進まない系。ゲーマー幼少時から親の蔵書の影響でオカルト・都市伝説系に強い興味を持つほか、大学で民俗学を学ぶ。ライター活動以前にはリカーショップ店長経験があり、酒にも詳しい。好きなゲームジャンルはサバイバル、経営シミュレーション、育成シミュレーション、野球ゲームなど。日々のニュース記事だけでなく、ゲームのレビューや趣味や経歴を活かした特集記事なども掲載中。

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