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台湾、韓国、タイ、ベトナム……「ここでしか生まれない恐怖」を味わえる“アジア産”ホラゲー10選【特集】

アジア圏ならではの恐怖を味わえるおすすめホラゲーを厳選ピックアップ!

連載・特集 特集
台湾、韓国、タイ、ベトナム……「ここでしか生まれない恐怖」を味わえる“アジア産”ホラゲー10選【特集】
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ホラーゲームにおける「恐怖」は、決して万国共通ではありません。

薄暗い学校、先祖を祀る祭壇、人気のない農村、病院の廊下、葬儀、そして決して破ってはいけない土地の禁忌など─。私たちが暮らすアジアには、その土地の歴史や宗教、民間信仰、都市伝説と密接に結びついた独特の“怖さ”があります。

『返校 Detention』

そして2017年発売の台湾産ホラー『返校 Detention』を皮切りに、近年において韓国、中国、タイ、インドネシア、ベトナムなど、各国のクリエイターが自分たちの文化を武器に、実に個性的なホラーゲームを生み出しており、「アジア圏」のホラーが今一番アツい!と筆者は思っています。

本稿では、そんな「アジアだからこそ生まれた恐怖」を存分に味わえるホラーゲームを国・地域別に10作品ピックアップ。幽霊に追われる恐怖から、歴史そのものがじわじわと迫ってくる恐怖まで、Steamで楽しめる“アジアンホラー”の世界へご案内します。

◆台湾:歴史と民間信仰、都市伝説が交差する恐怖

★『返校 Detention』

台湾ホラーを語るうえで、まず触れておきたいのがRed Candle Gamesの『Detention(返校)』です。

2017年に発売された本作は、1960年代の台湾をモデルとした架空の学校を舞台にした2Dホラーアドベンチャーです。プレイヤーは誰もいなくなった学校を探索しながら、そこに隠された出来事を少しずつ紐解いていきます。

本作を特別なものにしているのは、単なる「学校の怪談」で終わらないところです。

作中には一膳飯、廟宇、神壇など台湾の宗教・風習に由来するモチーフがふんだんに取り入れられていますが、その背後に横たわっているのが、1960年代の戒厳令下の台湾という歴史的背景です。

史実として台湾は、実に38年間ものあいだ戒厳令下にあり、いわゆる「白色テロ」と呼ばれる、中国国民党政権は反体制派やスパイをあぶり出す名目で市民の言論や思想を厳しく弾圧していた歴史があります。

つまり、本作は単なる心霊ホラーではなく、「実在した政治的弾圧の歴史」が真の恐怖の根源として描かれているのです。

学校を徘徊する怪異も十分に恐ろしいのですが、物語を進めれば進めるほど、もっと恐ろしいものが人間の記憶や社会の中から浮かび上がってくる。この「怪談から歴史へ」という恐怖の広がりこそ、本作最大の魅力でしょう。

2019年には、映画版「返校 言葉が消えた日」が台湾で公開され、同年の台湾映画興行収入1位を記録する歴史的な大ヒット作となりました。台湾ホラーに初めて触れる人にも、ぜひ遊んでほしいオススメの一本です。


★『女鬼橋 開魂路』(The Bridge Curse Road to Salvation)

もうひとつ台湾から紹介したいのが、SOFTSTAR ENTERTAINMENTによる『女鬼橋 開魂路(めききょう かいこんろ)』です。

2022年に発売された一人称視点のステルスホラーで、台湾映画「呪われの橋」を題材としています。物語の中心となるのは、大学に伝わる「女鬼橋」の怪談で、プレイヤーは6人の学生たちがキャンパスで怪奇現象に巻き込まれていく様子を追体験していきます。

ゲームとしては探索と謎解きに加え、襲い来る女性の幽霊から隠れながら進むステルス要素が中心。薄暗い大学構内を逃げ回るだけでも相当に怖いのですが、本作の魅力は「学生なら一度くらいやってしまいそうな肝試し」が本物の怪異へつながってしまう生々しさにあります。

日本にも学校の七不思議や大学の怪談がありますが、「学生たちの間で語り継がれてきた都市伝説」という感覚は台湾でも驚くほど身近。その“近さ”こそ、本作の恐怖を一段と強くしています。

また、謎解きもホラー演出の質もかなり出来が良く、Steamでの評価も「非常に好評」と高いので、ホラー好きにもおすすめできるタイトルです。


◆韓国:日常の学校が一夜にして“異界”へ変わる

★『The Coma 2: Vicious Sisters』

夜の学校ほど、「昼間は何でもなかった場所」が恐ろしく変貌する空間は他にないでしょう。

そんな学校という日常的な場所を異界へと塗り替えてしまうのが、韓国のDvora Studioが開発した『The Coma 2: Vicious Sisters』です。

前作『The Coma: Recut』の続編にあたり、美しくもダークな手描きイラストのビジュアルと、執拗な追跡者から逃げ延びる緊張感が特徴です。

2020年に正式リリースされた本作は、横スクロール型の学園サバイバルホラーアドベンチャーです。プレイヤーは、主人公のセファ高校に通う女子高生ミナ・パクとなり、現実世界と酷似しながらも、異形の生物や亡霊が蠢く闇の領域「コーマ界(昏睡界)」を探索し、現実への帰還を目指します。

本作では、探索範囲がセファ地区全体へと広がり、警察署や市場などを巡りながら、現実世界と表裏一体になった異界の秘密へ迫っていきます。

探索によってアイテムや手掛かりを集め、ときには危険な状況を切り抜けるための準備を整えながら進んでいきます。敵に見つかれば逃走し、隠れる場所を探して身を潜めるという、サバイバルホラーならではの緊張感がしっかりと味わえることが魅力。

何より印象的なのが、その独特なビジュアルです。コミック調のキャラクターと背景によって描かれる世界は、非常にスタイリッシュで世界観に引き込まれます。それだけに、血にまみれた校舎や異形の存在が現れた瞬間、その落差が強烈な不気味さを生み出します。

『The Coma 2』が描くのは、もっと直接的な「日常の裏側に異界が存在していたら」という恐怖。そんな“学園サバイバルホラー”の王道的な怖さを、さらに磨き上げたおすすめの韓国産ホラーゲームです。

◆中国:農村、葬儀、古い屋敷…生活のすぐ隣に存在する怪異と恐怖

★『花火(Fireworks)』

近年ゲーム業界において、ひときわ存在感を増している中国発のホラーゲームも見逃せません。

まず紹介するのは、『花火(Fireworks)』という作品で、中国のインディーゲームスタジオShiying Studioが開発し、2021年に発売された2Dホラーサスペンス・謎解きアドベンチャーゲームです。

プレイヤーは、死後の世界とコンタクトが取れる特殊な能力を持った新人警察官「林理洵(リン・リスン)」となり、人里離れた山間の村で起きた葬儀での不慮の火事をきっかけに、一家惨殺事件の再調査を行うことになります。

呪いや超能力といったオカルト的な現象そのものが事件の真相ではなく、当時の中国社会の背景や人間の業、現実の重いテーマを描いたスリリングな心理サスペンスとなっています。

2004年の中国の田舎町が舞台となっており、当時のポスターや家具、迷信深い人々の思想など時代背景のリアルさが特徴です。

また、中国の水墨画や水彩画を思わせる、どこか懐かしくも不気味なビジュアルが、ゲーム特有の陰鬱で哀愁漂う雰囲気を完璧に表現しているのが魅力でもあります。

謎解きの難易度はマイルドで、ヒントも豊富です。パズルを解くこと自体がストーリーの進行や、キャラクターの過去を知る手がかりに直結しているため、テンポを崩さずに物語へ没頭できます。

重厚なストーリーや涙する人間ドラマを楽しみたい人や、アジアンホラー・サスペンス好きにオススメする一本です

★『Dread Flats(凶寓)』

きらびやかな大都市でも、歴史ある古い屋敷でもない。もっと身近で、生活臭の染みついた集合住宅そのものを恐怖の舞台にしているのが、Ghostcase開発の『Dread Flats(凶寓)』です。

2025年7月にSteamで発売された本作は、一人称視点のサイコホラーゲームです。

プレイヤーは、曰く付きの古びたアパート「凶楼」へと足を踏み入れ、そこで発生した失踪事件の謎と、建物に潜む異様な存在の正体を追っていくことになります。

本作の魅力は、90年代中国の生活感を再現した圧倒的な「グラフィックの生々しさ」と、逃げ場のない「閉鎖空間でのジワジワと忍び寄る恐怖」にあります。

たとえば、狭い廊下に積み上げられた荷物、壁に貼られた古い広告やカレンダー、色あせた緑色の壁など、当時の中国の集合住宅(団地)の雰囲気が驚くほどリアルに再現されています。

日常に近い「団地」という空間が舞台だからこそ、そこに漂う違和感や、突如として現れる血痕・怪異といった非日常的な恐怖がより一層際立ちます。

また、プレイヤーを恐怖のドン底に落とすのが、 どこからともなく現れ、執拗に追いかけてくる「異形の老婆」の存在。

ふとベッドの下を覗き込むと、すぐ至近距離に老婆が潜んでおり、プレイヤーが「隠れよう」「安全だ」と思う心理の裏をかく演出が絶望感を誘います。懐中電灯の狭い光の中に、突如として彼女の顔が浮かび上がる瞬間は、心臓が止まるほどのインパクトがあります。

90年代中国の生々しい廃墟団地を舞台に、武器なしで息を潜めるステルスや、ベッドの下から迫る老婆のジワジワ寄る恐怖を味わいたい人、断片的な手がかりから猟奇事件の真相を考察したいホラーファンにオススメの傑作ホラーゲームです。

◆タイ:神話と精霊が現代の生活へ忍び込む

★『Home Sweet Home』

タイ産ホラーの代表格として紹介したいのが、YGGDRAZIL GROUPの『Home Sweet Home』です。

本作は2017年に発売された一人称ホラーアドベンチャーで、Steam公式では明確に「タイの神話と伝承」をベースとした作品と説明されています。

プレイヤーは主人公のティムとなって、邪悪な悪霊や恐怖が蠢く不条理な空間を探索し、襲い掛かる危険から逃れながら、謎の失踪を遂げた妻の行方と、この家から脱出する手がかりを追うことになります。

武器を持たないステルス型で、悪霊から「隠れる」「逃げる」といった行動が基本です。家の中に残された日記や新聞を集めて物語の真相を解き明かしたり、仕掛けられたパズルを解いたりしながら進行します。

ジャパニーズホラーのような精神的恐怖と、タイ独特の不気味な世界観が融合しているのが特徴です。

タイの神話や信仰を背景とした怪異は、日本の幽霊とも欧米の悪魔とも少し違います。その「何者なのか完全には理解できない」という、タイならではの恐怖を味わえるオススメの傑作ホラーです。

★『ARAYA』

2016年発売の『ARAYA』は、MAD Virtual Reality Studioが開発した一人称視点のホラーアドベンチャーです。舞台はタイの病院で、プレイヤーは3人の異なる登場人物の視点を切り替えながら、怪死した少女「アラヤ」をめぐる謎めいた殺人事件の真相を追います。

誰もいない病室、蛍光灯に照らされた廊下、薄暗いバックヤード……。ただでさえ怖い「夜の病院」というシチュエーションに、タイならではの空気感が重なります。

最大の特徴と魅力は、「タイ独自のホラー文化」と「VRによる圧倒的な没入感」が融合した、心臓をえぐるような恐怖体験にあります。

東南アジア特有のジメジメとした空気感や仏教的な死生観、独自の呪術信仰(怪談)がベースにあるため、「何かが出るかもしれない」という精神的な恐怖を感じやすい。

また、本作はVR(バーチャルリアリティ)に完全対応しており、突然背後や目の前から襲いかかってくる怨霊の恐怖は、ゴーグル越しでプレイすると「本当にそこにいる」かのような極限のパニック感を味わえます。もちろんモニター単体でも十分怖いですが。

濃厚なタイ文化とホラーのちょうど良いバランスが楽しめる、オススメの一本です。

◆インドネシア:スマホ、禁忌、土着の幽霊─“未知の怪異”が怖すぎる

★『DreadOut』

アジア産インディーホラーを語るなら、Digital Happinessの『DreadOut(ドレッドアウト)』も欠かせません。

本作は、2014年に発売された三人称視点のホラーアドベンチャーゲームで、インドネシアの都市伝説や民間伝承をテーマにしています。

プレイヤーは、女子高校生のリンダを操作して、恐ろしい怪異が潜む異世界のような空間を捜索し、さまざまな怪異と対峙しながら脱出を目指します。

『Dreadout』シリーズは、日本の名作ホラーゲーム『零』シリーズに強い影響を受けていることが特徴の一つです。

たとえば、リンダは武器を持っておらず、頼りになるのは、所持しているスマートフォンやデジタルカメラです。襲い来るインドネシア特有の幽霊や悪霊たちに対し、カメラファインダーを覗いて撮影(除霊)することでダメージを与えて撃退します。

また、欧米や日本のホラーとは一味違う、東南アジア特有の生々しい恐怖と民俗信仰も魅力です。

頭に布を巻いた遺体の姿をした「ポチョン(Pocong)」や、逆さ吊りの女霊「クンティラナック(Kuntilanak)」など、現地で本当に恐れられている独自のクリーチャーが多数登場したり、じっとりと汗ばむような空気感、スコール(豪雨)の音、不気味な伝統音楽(ガムランなど)が、独特な恐怖の世界観を作り出しています。

インドネシアという、普段の生活ではあまり馴染みのない文化と土着の背景など、「未知の恐怖」を味わう事のできるオススメのホラーゲームです。

★『Pamali: Indonesian Folklore Horror』

次に紹介するのは、Storytaleが開発し、2018年に発売された一人称視点のナラティブホラー『Pamali: Indonesian Folklore Horror』です。

本作は、インドネシアの文化やタブー(禁忌)をテーマにしていることが最大の特徴で、プレイヤーは日常の何気ない行動や禁忌を破ることで恐怖が引き起こされる、インドネシア特有の価値観を体験できます。

たとえば、プレイヤーは家の中で「物を調べる」「掃除をする」「悪口を言う」「ドアを乱暴に閉める」といった様々な行動が取れますが、文化的に不謹慎な行動(例:散らかった部屋をそのままにする、遺品を雑に扱うなど)をすると、家主である幽霊の怒りゲージが上がり、怪奇現象がエスカレートしていきます。

このように、プレイヤーの行動によって結末が細かく変化し、「どれだけ文化や幽霊に敬意を払っているか」が焦点となる非常に面白いシステムです。

単純なホラーゲームとしての怖さだけでなく、異なる文化圏をリスペクトするための機能を持っている、オススメの一本です。

◆ベトナム:90年代サイゴンの都市伝説へ

★『霊の災 The Scourge』

最後に紹介するのは、ベトナム産のホラーゲームです。

『霊の災The Scourge』は、1990年代のベトナム・サイゴンを舞台にした、一人称視点の都市伝説ホラーアドベンチャーゲームです。

プレイヤーは、1990年代のサイゴンを舞台に、過去の罪により呪われた主人公ニャット・フイとなって、現実と悪夢の境界があやふやな世界を探索し、家族に起こった悲劇の真相を追うことになります。

本作は、ベトナム独特の文化背景と、プレイヤーの心理を揺さぶるリアルな恐怖演出が特徴的で、1990年代のサイゴン(現ホーチミン)に実在したアパートや、現地で語り継がれる凄惨な怪談・民間伝承をモチーフにしています。

独特な東南アジアの建築様式、レトロな家具、現地特有の祭壇や装飾品が細部まで作り込まれており、異国情緒と不気味さが同居しています。仏教や民間信仰の要素: 呪い、因果応報、お札や儀式といった東南アジアならではのジメジメとした恐怖が全編に漂っています。

また、徐々に空間が歪み、超常現象がエスカレートしていく演出や、当時のベトナム歌謡や伝統的な音楽などの語感を刺激するサウンド、隠された過去を解き明かす探索要素、異形の存在から逃げ惑う緊迫感のあるチェイスパートがバランスよく配置されているのが魅力です。

東洋ホラー・アジアンホラーが好きな人や異国の文化や都市伝説に興味がある人など、海外のディープな文化に触れたいプレイヤーにとっては最適なホラーゲームになることは間違いない、オススメの一作です。


ここまで10作品を紹介してきましたが、並べてみると「アジアンホラー」という一言では括れないほど、多種多様それぞれの違いがあって面白いですね。

欧米ホラーや日本のホラーとはひと味違う恐怖を探しているなら、ご紹介したタイトルを一度触れてみてはいかがでしょうか。

《ライター:DOOMKID,編集:みお》


ライター/心霊系雑食ゲーマー DOOMKID

1986年1月、広島県生まれ。「怖いもの」の原体験は小学生の時に見ていた「あなたの知らない世界」や当時盛んに放映されていた心霊系番組。小学生時に「バイオハザード」「Dの食卓」、中学生時に「サイレントヒル」でホラーゲームの洗礼を受け、以後このジャンルの虜となる。京都の某大学に入学後、坂口安吾や中島らもにどっぷり影響を受け、無頼派作家を志し退廃的生活(ゲーム三昧)を送る。その後紆余曲折を経て地元にて就職し、積みゲーを崩したり映像制作、ビートメイクなど様々な活動を展開中。HIPHOPとローポリをこよなく愛する。

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編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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