日々たくさんのゲームがリリースされる現代。その分話題になる作品も多いわけですが、「どうしてこのゲームは人気なんだろう?」と思ったことはありませんか?
この連載では、ゲーマーから注目を浴びているゲームがなぜ人気になっているのかを分析します。記事を読んで、流行っているゲームに詳しくなっちゃいましょう。今回は、S-GAMEが開発・発売した『Phantom Blade Zero』をお届けします。
カンフーパンクな武侠アクション。とにかくモーションがスタイリッシュ!
本作は、武侠とパンクファンタジーを掛け合わせた、ダークな“カンフーパンク”アクション・アドベンチャーゲームです。主君殺しの濡れ衣を着せられた主人公の「魂(ソウル)」は、余命66日という僅かな時間のなかで、張り巡らされた陰謀を追う旅に出ます。

本作でまず目を見張るのは、なんといっても「モーションの豊富さ」と「カッコよさ」です。1対1の戦闘と多対1の戦闘では動きが変化し、武器ごとに固有のフィニッシュムーブも用意されています。
武器種ごとではなく、武器一つひとつにコンセプトやフィニッシュムーブが違う点も特徴。例えば、酔拳をモチーフにしたボス「剣痴・花千笑」を倒すと手に入る「痴者の残剣」。この武器は戦闘中に酒を飲むことで「ほろ酔い」「大酔」と状態が変化し、剣を空中に浮かせて遠くの敵を攻撃できるようになります。こうした武器ごとの独特なモーションや性能の違いが、戦闘のバリエーションを生み出しているのです。


かつての友であり宿敵でもある「左殤」との因縁や過去、立ちはだかるボスの登場シーンにも力が入っています。魂と左殤の過去を描くムービーでは、クオリティの高いアニメーション映像も使用されていたり。風景もダークでありながら美しく、中国ならではの文化やデザインを随所に感じられます。



また、音楽も冒頭から激しいロックが流れるなど、「昔の中国っぽい音楽が流れるのかな」となんとなく思っていたプレイヤーを、良い意味で裏切る個性的なサウンドがバトルを盛り上げます。歌詞のある曲では、その歌詞が表示されるといった非中国語圏ユーザーへの心配りもうれしいポイントです。

なぜ話題に?
まず理由として挙げられるのは、2023年に配信された「PlayStation Showcase」で公開されたアナウンストレイラーのインパクトが大きいでしょう。
中国の伝統的な美術とダークな雰囲気に、流れるような剣戟。特に1分26秒あたりで、左右から迫る敵に手脚を伸ばして攻撃するモーションに、心を掴まれたアクションゲーマーは多いはず。筆者も、当時このトレイラーを見て以来本作の発売を心待ちにしていました。

もちろん、この動きはゲーム本編でも実際にできるため、複数人と戦っている時に手脚を開くと「おおっ」と思わず声が出そうになります。

先ほどモーションについて触れましたが、本作は武器ごとに性能や動きが異なります。装備できるのは、メイン武器2つと回数制限のあるサブ武器2つの合計4つ。さらに武器は強化するごとに基本性能が上がり、一定レベルごとに新たな特性も解放されます。

すると、「この武器を最大まで強化して、これと組み合わせると強い」「サブ武器をこう挟むと良い」「ここのサブクエストのボスを倒してもらえる武器が面白い」など、プレイヤー同士で武器談義を交わしたり、お気に入りの武器について紹介したり、自分のプレイを見せ合いたくなります。そうした理由でコミュニティが活発になり、SNSなどでも目にする方が多くなっているのではないでしょうか。

また、開発元が強調してきた「ソウルライクではない」という姿勢も、本作が幅広いプレイヤーの関心を集めた理由のひとつかもしれません。
近年、中国発のダークな3Dアクションが注目を集めるなか、本作もそのビジュアルから「またソウルライクなのでは」と想像した人がいたでしょう。しかし、開発元はそうしたイメージとの違いを積極的に発信してきました。ソウルライクの要素を一部取り入れつつも、カンフー映画さながらの高速で華麗な戦闘を前面に押し出したことで、ジャンルに対する先入観を覆し、「これまでの作品とは違う体験ができそうだ」と期待させたことも、注目を集めた一因ではないでしょうか。
歯ごたえのある戦闘はそのままに、同じことを何度も繰り返すストレスを抑えた設計です。こうした特徴が、ソウルライクを好むプレイヤーだけでなく、高難度アクションを敬遠していた人にも「これなら遊んでみたい」と思わせ、人気の裾野を広げたのではないでしょうか。

メインストーリーから外れてサブクエストに寄り道していると、さらに広いエリアが現れる……といったボリュームの多さや探索を重視した設計も、驚きや意外性を共有したくなる魅力と言えるでしょう。
また、ハリウッドでも活躍する俳優であり、監督やアクション監督としても有名なドニー・イェンがクリエイティブコンサルタントを務めていることも、本作の「モーション」のこだわりをいっそう強く感じさせる点です。

こうした作り込みから、武侠やカンフー作品へのリスペクトや熱意が伝わり、もともと中国の文化や武侠に馴染みがある人はもちろん、そうでない人も「よく分からないけど、カッコいい」と惹きつける力があるのではないでしょうか。
その国ならではの文化や歴史あるジャンルは、異なる国で暮らすユーザーにとって新鮮に映ります。なかには、漢字が読めないことや用語の多さにつまずく人もいるかもしれません。しかし、本作から「武侠」について調べることで、新たな発見や作品にも触れるきっかけになるはずです。
今後も人気は続く?
本作は発売から72時間で400万本を突破。非公式データベースサイト「SteamDB」によれば、Steamでの最大同時接続プレイヤー数は83万人を超え、11月8日時点でも直近24時間のピークが55万人を上回るなど、発売から10日が経っても高い人気を維持しています。
秋の新作ラッシュに加えて『GTA6』の発売も控えており、ゲーマーにとっては大忙しの時期。ですが、こうした「武侠アクションのカッコよさ」が日本でも口コミが広がれば、手に取るユーザーもさらに増えていくのではないでしょうか。
新規コンテンツの予告は現状ありませんが、ボスとの再戦がやりやすくなる機能や、新たな武器が追加されれば、また違った動きで剣を交わすことができます。また、ボスをスタイリッシュに倒す動画などが共有され、そこから本作を知るきっかけになる可能性もあります。

『Phantom Blade Zero』は、PC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5向けに発売中です。













