アングラ音楽の猛者が集ったインディーゲーム音楽5選!『SIGNALIS』の1000 Eyes、ブレイクコアの雄Lauren Bousfieldなどご紹介【音楽からゲームをはじめてもいいんだよ #5】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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アングラ音楽の猛者が集ったインディーゲーム音楽5選!『SIGNALIS』の1000 Eyes、ブレイクコアの雄Lauren Bousfieldなどご紹介【音楽からゲームをはじめてもいいんだよ #5】

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アングラ音楽の猛者が集ったインディーゲーム音楽5選!『SIGNALIS』の1000 Eyes、ブレイクコアの雄Lauren Bousfieldなどご紹介【音楽からゲームをはじめてもいいんだよ #5】
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「ゲームをプレイしていなくても、サウンドトラックだけを聴いていい」。この連載は、そう言い切るところから始まりました。

ゲームの音楽を作るコンポーザーにも、ゲーム開発者と同じように確固たる作家性が存在します。そして、彼ら/彼女らが生み出す特有のサウンドが、ゲームのトーンやシステムそのものを大きく左右することも決して珍しくありません。お気に入りの開発者やスタジオを追うのと同じように、「コンポーザー」を一つの選択基準に据えてみる。その面白さを、今回もたっぷりとお届けします。

第5回(2026年8月分)は、いつにも増して“暗くて鋭い”一か月になりました。打ち捨てられたテーマパーク、崩れゆくブルータリズム都市、血と骨の飛び交うダンジョン、そして少女の甘く毒々しい悪夢——。ホラーやディストピアを舞台にした作品が集まり、それを彩る音楽もまた、アンダーグラウンドの深部から掘り起こしてきたものばかりです。

ブレイクコアの荒野を切り拓いてきたLauren Bousfield、ノイズポップの極北を往くAda Rook、あの『SIGNALIS』で忘れがたい音響を築いた1000 Eyes。普段は各々のシーンで先鋭的な音を鳴らす作り手たちが、ビジュアルノベルやパルクールアクションといった舞台で、その作家性をいかんなく発揮しています。

ノイズや実験音楽の耳に馴染みがない方にとっても、これほど「入り口」に恵まれた月はそう多くないと個人的には思います。

誰もが知るヒット作から、多くの人が取りこぼしてしまった作品まで、「ゲーム音楽」という評価軸で紹介していきます。Steamではなく、Bandcampからゲームを探す面白さを是非ご堪能下さい。

(※もし、さらに深くゲーム音楽のディグに勤しみたいという方がいらっしゃいましたら、筆者の著書『海外ゲーム音楽ガイドブック ビデオゲームからたどる古今東西の音楽』もぜひお手に取っていただけると幸いです。)

『The One Fish』(8月12日発売)

1~6人のオンライン協力プレイで、ひたすら釣りをして「The One Fish」という巨大な魚を満たし続ける——その底なしの食欲に応えるべく、あらゆる形・大きさ・奇妙な効果を持つ魚を釣り上げていく、脱力系の協力フィッシングゲーム『The One Fish』。

サウンドトラックを手がけるのは、アメリカ・ナッシュビルを拠点とするインディーアーティスト兼コンポーザーのGarrett Williamson。4歳から作曲を始め、10歳で初録音したという筋金入りの音楽家で、『No Straight Roads』『Omega Strikers』といった音楽面が高く評価されているゲームにも参加しています。

本作のOSTは、海釣りがテーマなだけあって、爽やかでトロピカルな印象のサウンドが勢ぞろい。00年代R&B、ヒップホップ、ジャズフュージョン、そしてヨットロック(=ソフトロックにジャズフュージョン、R&B、ソウルの要素を組み合わせた、落ち着いた雰囲気のロックミュージック)までを横断する、ゆるくも洒脱なサウンドです。

のんびりした釣りゲームに、軽やかで洗練されたグルーヴとチルな空気感を持ち込んだ一枚。本物の釣りにもピッタリなこと間違いなしです。

『Twisted Tower』(8月18日発売)

打ち捨てられた1950年代のテーマパークを舞台に、おとぎ話のマスコットたちが徘徊する塔を駆け上がっていくホラーFPS『Twisted Tower』。インディー開発者/短編ホラー映画監督として知られるThomas BrushのスタジオAtmos Gamesが開発を手がけ、パブリッシングは3D Realmsが担当。

開発者自ら『BioShock』からの影響を公言する通り、崩壊したユートピアがその廃墟自身に顛末を物語らせる構造が持ち味です。

メインでサウンドトラックを手がけるのはQuinten Coblentz。ほかにもChandler Anderson、Matt Rexford、そして開発者Thomas Brush自身も数曲に参加しています。

1950年代テーマパークという舞台にふさわしいレトロで不穏な色彩と、FPSとしての疾走感を併せ持つスコアで、まさに『BioShock』よろしくといったところ。ダークな世界に紛れるトイサウンドが不気味で、退廃したテーマパークの雰囲気をしっかりと演出しています。

そして、ラストトラック「Your Love Was Never Mine」は、ヴァイオリンとブラスセクション、女性ボーカルの生歌で構築された1940年代のジャズソングという仕上がり。開発者のThomas BrushがメロディーのハミングをChandler AndersonとMatt Rexfordに送り、それを一曲にまで練り上げたという制作秘話も、いい味を出しています。

『Vholume』(8月24日発売)

崩壊したブルータリズム建築のディストピア都市を舞台に、たった一つの些細な用事が官僚主義によって果てしない旅路へと変わっていく——そんな物悲しい世界を駆け抜ける一人称パルクール・アドベンチャー『Vholume』。

壁を走り、勢いを乗せて跳ぶ『ミラーズエッジ』ライクの疾走感が核で、他プレイヤーのゴーストと競うタイムアタック性も相まって中毒者を続出させています。開発は、ひたすらタイマンを繰り返して同じく中毒者を生んだ対戦FPS『STRAFTAT』のチーム。それを聞くと大いに納得の一作です。

そして本作のサウンドトラックを手がけるのが、1000 Eyes。あの名作インディーサバイバルホラー『SIGNALIS』のサウンドを共同で作り上げたことで知られる、ドイツの音楽家Tom Schley(『The Stanley Parable』にも参加)のプロジェクト名義です。ベルリンを拠点とするKonstantin Schimanowskiも数曲参加。この冷たい建築にドイツの作曲家。もう最高に決まっています。

疾走するゲームプレイとは裏腹に、鳴り響くのはどこまでも冷たいアンビエントと金属的なノイズ。しかし穏やかでメランコリックなその音響が、繰り返されるコンクリートの景色に独特の緊張感を与えます。

そこにアコースティックギターやグリッチ、レコードノイズのような音が差し込まれ、ブルータリズムの冷たい世界にパルクールという肉体的な体温を吹き込んでいく。金属とコンクリートに息づく呼吸のようなテクスチャーこそが、この作品の忘れがたい個性として昂然と輝いています。

『Money for Girls: Amortized』(8月24日発売)

少女探偵が「母を借金地獄から救う」という人生最大の謎に挑む、ホラー×ロマンスのビジュアルノベル『Money for Girls: Amortized』。開発はエクスペリメンタルな作家として知られるPorpentine(Xrafstar名義でライティング・コード・ディレクションを担当)、アートはVich。

美しい南国のランドスケープの裏に罪の世界が隠れ、学校の人気者が主人公に不穏な関心を寄せ、母を襲う略奪的ローンが牙を剥く……という、不穏な物語が描かれます。16種のステッカーで少女をカスタマイズし、7つの衣装を着替えられる女児心をくすぐるファッション要素も搭載。

サウンドトラックを手がけるのはLauren Bousfield。ブレイクコアの金字塔的アルバム『Nero's Day at Disneyland』で知られ、複雑怪奇に切り刻まれたビートと生楽器的な旋律を融合させるコンポーザーです。加えて、Ada Rook、ESPer99、Ash Nerveといったアンダーグラウンド・エレクトロニカ/ノイズ系のアーティストが楽曲を提供。

なかでもAda Rookは、ノイズポップバンドBlack Dressesのメンバーとして最も知られる存在。ほかにも多数のバンドやユニットを兼任。なにより筆者が2025年に最も聴いた音楽は、そのAda Rookが在籍するブルータル・ユーフォリア・ウェーブ・バンド、Angel Electronicsでした。しかもこのAngel Electronicsで組む相方こそ、本作にも参加しているAsh Nerveその人。Ada Rookは音楽活動にとどまらず自身でインディーゲームも開発しており、2021年には『Fallow』をリリースするなど、多彩な才能を発揮しています。

ブレイクコア、グリッチポップ、ノイズポップ、ドローン、アンビエントが入り乱れる先鋭的な一枚は、作品の毒々しくも甘い世界観を音の面から増幅。あまりに破壊的で心臓を突き破るような、恐怖と愛にまみれた憎しみの発露が、内へ内へと向かうこのゲームの異常な感情とマッチしています。

ノイズが得意でない方には、比較的聴きやすさという点で、まず24~26曲目あたりから触れてみるのをおすすめします。

『Blood Dungeon』(8月25日発売)

10年代のインディーゲーム好きであれば一度は名前を聞いたことがあるであろう、『Nidhogg』のMesshof(Mark Essen)が手がける2Dプラットフォーミング・オートシューター『Blood Dungeon』。

『Vampire Survivors』的な避けながら戦う自動戦闘に、『Nidhogg』譲りの超軽やかでアクロバティックな2Dアクションを掛け合わせ、そこへ壁登りと探索を加えた高難度ローグライクとして世に解き放たれました。100種を超える敵がひしめくダンジョンを、血と骨を集めながら駆け抜け、ランの合間に強化していきます。Mark Essen自らが描いたラフでプリミティブなピクセルアートと、悪趣味なユーモアが横溢する新たな注目作です。

サウンドトラックを手がけるのは、『Wheel World』に続いての起用となるThomas Hooey。開発陣が「dungeon dnb(ダンジョン・ドラムンベース)」と呼ぶそのスコアは、90~00年代に隆盛し、音楽シーンとゲームシーンで呼応し合ってきたジャンル——ジャングル、ブレイクビーツ、ドラムンベースを下敷きにしたものです。

タイトル画面で流れるのは、ハープシコード/チェンバロのような音色と、オペラ調の女性ボーカルに、ぐにゃぐにゃのアシッドベース、そしてザクザクと刻まれるドラムがミドルテンポで展開するかなり奇妙なサウンド。

その音のルールはゲームプレイ中にも引き継がれ、古典楽器と高速なドラムマシンが交錯し、巨大なミイラの頭を飛び越えながら聴くにはあまりにスタイリッシュなグルーヴを生み出しています。激しい戦闘の疾走感と、静かな探索パートのアンビエンスを両立させた、緩急の効いた一枚です。

《ライター:タナカハルカ,編集:みお》

ライター/気さく タナカハルカ

インディーゲームデベロッパー・よんとんトマチンのメンバー(ヤムニャン学園)として『ふりかけ☆スペイシー』を開発。著書『海外ゲーム音楽ガイドブック ビデオゲームからたどる古今東西の音楽』『楽曲派アイドル・ガイドブック ももクロ以降のアイドルソング再考』。寄稿『ユリイカ2025年12月臨時増刊号 総特集=大貫妙子』『DAWN N°2』など。毎週新高円寺で会える。

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編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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