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「日本でBlizzardゲームを出すのが夢だった」『Overwatch』開発責任者が熱く語る

BlizzCon 2015会期中、『Overwatch』の開発を指揮するゲームディレクターJeffrey Kaplan氏の合同インタビューに立ち会い、様々な話を聞くことができたので、その内容をお送りします。

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「日本でBlizzardゲームを出すのが夢だった」『Overwatch』開発責任者が熱く語る
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――『Overwatch』はBlizzard初のFPSです。プロジェクトをはじめるにあたって、新しい人材を雇いましたか?

Jeff Kaplan: はい。『Overwatch』の開発チームは、とても興味深い人材が集まっています。まず、『Medal of Honor』シリーズのエンジニアだったFPSの専門家Tim Fordを、リードゲームプレイエンジニアとして起用しました。FPS開発背景を持つたくさんの人材を雇用していて、彼のそのひとりでしかありません。『BioShock Infinite』や『Evolve』のアニメーターも在籍しています。そして、Blizzard社内からも、『StarCraft』シリーズ、『World of Warcraft』、『Heroes of the Storm』、『Hearthstone』の開発経験者がジョインしており、チームは大変多様性のあるバックグラウンドを持っています。

――アシスタントアートディレクターのArnold Tsangについて教えてください。

Jeff Kaplan: Arnold Tsangは、リサーチおよび開発段階でそのまま日の目をみなかったプロジェクトに取り組んでいました。彼はそれ以前、アート集団UDON Entertainmentにいて、『ストリートファイター』のアートブックに素晴らしい作品を提供していました。また、Red 5 Studiosで『Firefall』の開発にも参加しています。

Arnoldは、私がこれまで一緒に仕事をした中で最も才能あふれるキャラクターアーティストです。彼は、アートディレクターのBill Petrasと一緒に働いていています。Billは、『World of Warcraft』のワールドデザインを手がけ、現在は『Overwatch』のワールドを担当している人物。彼の手によって、『Overwatch』の各エリアは非常にカラフルで差別化されています。Arnoldは本当に先見性あるキャラクターアーティストです。彼が描くものすべて、それを誰かが目にするたびに、「これはゲームに取り入れよう」「なんてかっこいいんだ!」と即答します。「それ、プリントアウトしてデスクの壁に貼っておいてくれたら一日中眺めてるよ」と思うくらいです。彼がプロジェクトに関わっているのは本当に誇りでうれしく思っています。


BlizzConの開発者パネルではショートアニメやグラフィックノベルが制作発表

――PS4/Xbox Oneのコンソール版が発表されました。『Overwatch』の操作性をどのようにコンソールに最適化していますか?

Jeff Kaplan: コンソール版については、制作スタート時から3つのプラットフォーム向けに開発していて、とても興奮していたものです。「なんだ、PC版をコンソールに移植するのか」という誤解もあるようですが、実際は、コンソール開発が技術とデザインという側面においてPC版の開発を助けているのです。ゲームデザイナーが何も考えずに120種類の入力をキーボードに設定して、それをコントローラーに移し替えようとするのは災難です。リードゲームプレイエンジニアにも指示したのですが、操作性を素晴らしいものにするには、快適に感じられるのが何より重要です。

他にも皆さんに思い出してほしいのは、幸運にも我々はActivision Blizzardという巨大な組織の一部であるということです。その傘下には、TreyarchやInfinity Ward、Sledgehammerといった人気コンソールシューター『Call of Duty』シリーズの開発スタジオが存在します。Activisionは『Destiny』のスタジオBungieともパブリッシング契約を交わしています。Bungieの開発者のひとりは、私のところに来て、「やぁ、協力するよ」と言ってくれました。TreyarchとInfinity Wardのスタッフは、すでに『Overwatch』を何度かプレイしていて、コンソール版の操作性についてフィードバックをもらっています。そのように我々は、親会社Activision Blizzard内とパブリッシングパートナー会社の専門家から、ゲームがより良いものになるよう、存在する全ての素晴らしいリソースをいかしているのです。

――『Overwatch』は「6対6」での対戦に特化したシューターですが、その理由をゲームデザインとバランスの観点から教えてください。

Jeff Kaplan: 対戦人数を決めるのはとても楽しかったです。最初は決まっておらず、チームプレイに大きな意味を持たせるべきだと分かっていたので、開発初期段階に色々なチームサイズを試しました。「8対8」、「10対10」、「12対12」、「4対4」、「3対3」、「5対5」などなど、最大人数を決めるのはとても簡単なことでした。我々が求めていたのは、チーム内の最も上手なプレイヤーが、試合結果に影響を与えたと感じられるようにすることです。一方で、チーム内の最も下手なプレイヤーが、経験が無いためにチームメイトから責められて気を悪くしないようにも気をつけました。上手いプレイヤーは試合に大きなインパクトを与え、下手なプレイヤーはあまり影響を与えない、そのバランスを追求した結果、「6対6」に行き着いたのです。

「6対6」という数字は、大人数で一気に攻めるというシチュエーションもある一方で、人数が多すぎて常に横から誰かに殺されるということなく、「1対1」の戦いが生まれやすいという側面もあります。



――プレイヤー数の異なる、別のゲームモードを導入する予定は?(現在はPayloadとPoint Captureという2つのモードのみ存在)

Jeff Kaplan: 新しいゲームモードの追加要望は常にあって、将来的には導入したいとの考えで、検討を重ねています。『Overwatch』に新しいゲームモードを追加するのは大きな挑戦です。なぜなら、『Overwatch』を定義するのはヒーロー同士の戦いであって、ゲームモードを追加する際をそれを阻害しないようにしたいからです。「Capture the Flag」はいくつもプロトタイプを作りましたが、全くうまくいきませんでした。「CTF」だと、Tracerが旗を持ち、Blinkでジャンプしながらマップの反対まで一気に走ろうとするでしょう。すると、「よし、Tracerは旗を持てないようにしよう」だとか「Tracerは旗を持っている間アビリティを使えないようにしよう」といったルールを追加することになり、それは本来あるべきヒーローへのフォーカスに反すると感じました。ギミックが多すぎたり、複雑過ぎるゲームモードも考えものです。

とはいえ、将来的に新しいゲームモードを追加できるように、開発チームは信じて、前向きに取り組んでいます。それを証明できるプロトタイプも存在しますが、ボツになるかもしれないので、今は話せません。新たなゲームモードを追加する際、プレイヤーに知ってほしい重要な点は、それは元からデザインされたヒーローの役割にフォーカスした内容であるということです。


Origins Editionに同梱される専用ヒーロースキン

――なぜコンソール版には、スタンダートエディションが用意されていないのでしょうか?

Jeff Kaplan: コンソール市場は、価格設定という面においてPC市場と全く異なります。我々はOrigins Editionのコンテンツがとても刺激的だと感じています。昨年のBlizzConで『Overwatch』を発表した時、おそらく最も多かった質問は、「ヒーロースキンが欲しい」という声でした。Origins Editionに含まれる追加アイテムや他のBlizzard作品のアイテムは、とても説得力のあるオファーではないでしょうか。

――『Overwatch』はFree-to-Playだと思っていました。どのような理由からパッケージタイトルに決めたのでしょうか。

Jeff Kaplan: どのようなビジネスモデルでゲームを提供するか深く試行錯誤しました。ありがたいことに、Blizzardはほぼ全てのビジネスモデルを提供しています。『Hearthstone』や『Heroes of the Storm』はFree-to-Playでヒーローやカードを購入します。『World of Warcraft』はマンスリーサブスクリプション、『Diabo』はパッケージ販売モデルです。究極的に、『Overwatch』がボックスモデルになったのはゲームデザインとゲームバランスが理由です。ゲームの最もクールな要素は、チーム構成であり、試合中いつでも自由にヒーローを切り替えられるところです。

敵チームにWidowmakerがいたら、あなたはWinstonになり大きくジャンプして彼女を倒せます。ヒーロー切り替えは『Overwatch』の特徴であり、コア部分であるため、ゲームが完全に機能するにはプレイヤーがヒーローの基本セットを所持しているのはとても重要です。21人のヒーロー全員を使わないとゲームに対応できないというわけではなく、このキャラに対してはキャラという「じゃんけん」方式でもありません。プレイヤーに、ゲームプレイやキャラクタービジュアルにおいて幅広い選択肢を与えたいという強い考えから、ゲームの基本バージョンに全てを収録したのです。

――新しいヒーローを追加する予定はありますか? その際は有料で販売されるのでしょうか?

Jeff Kaplan: まだ分かりません。ベータテストの結果をとにかく見てみたいです。新たにD.VaとGenjiとMeiを追加するので、既存の18人のヒーローに対して、3人の新ヒーローがどう作用するのか。ベータを通して、ローンチ後も見ていくでしょう。発売日までにこれ以上ヒーローを増やす計画はありません。各ヒーローの対策など覚える情報量が多すぎてプレイヤーが混乱してしまうのか、あるいはプレイヤーがもっと多くのヒーロー追加を望むのか。もしそうなら、その配信形態はプレイヤーコミュニティーの理解の範囲で決定されるでしょう。

――PC版は日本語ローカライズされますか?

Jeff Kaplan: そう思いますが、まだはっきりした返事はできません。答えはイエスだと信じています。実際の成否は後日お知らせします。

UPDATE(2015年11月11日 12:00): スクウェア・エニックスの新たな発表によると、PC/日本語版はBattle. netにて発売予定とのことです。



――コンソール版のベータテスト予定は?

Jeff Kaplan: まだ未定ですが、コンソール版も大がかりなテストを間違いなく実施するでしょう。まずはActivisionとテストを行い、次にスクウェア・エニックスとベータテストを行います。内部的にベータやアルファテストを行うでしょう。さらに範囲を広げる必要があれば、コンソールでも行います。また、コンソールで大規模なストレステスト実施も計画中です。

――『Overwatch』の前身は、開発中止になったBlizzardのMMOプロジェクト『Titan』だと言われていますが、『Titan』からどのような部分が『Overwatch』に受け継がれたのでしょうか?

Jeff Kaplan: 実のところ、『Overwatch』はゼロから作られた新作ゲームです。その開発チームの中には、『Titan』に携わった人間が何名か存在します。Blizzard作品全てに共通することですが、それぞれのゲームが互いに要素を交換しあっています。『Titan』は大型のMMOで、『Overwatch』のそれとは全く異なるプロジェクトでした。しかし、『Titan』の要素や学んだ教訓は確かに取り入れられています。『Titan』の舞台が地球だったという共通点はありますが、『Overwatch』のアセットは全て新規に作られたもので、流用されているものは一切ありません。ただし、地球という惑星のどこがクールなのか、どうしたら興味深くなるか、といった考え方のプロセスは『Titan』からきたものです。『Overwatch』の開発をスタートした時に、『Titan』の要素は手元にすべてありましたが、実質的にゲームエンジンは全く新しく、コードの大半は書き直し、『Titan』のアートアセットはひとつたりとも使われていません。

――マッチメイキングは地域別になるのでしょうか?

Jeff Kaplan: はい、PC版のマッチメイキングは地域別になります。とはいえリージョンはとても大きく、北米、欧州、アジアと中国に分かれます。すでにベータテストでも採用していますが、ドロップダウンメニュー遊びたい地域に切り替え可能です。ただし、コンソール版に関しては地域の仕様は検討中の段階で、まだお答えできません。

――本日はありがとうございました。

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Game*Sparkでは『Overwatch』BlizzCon 2015プレイアブルデモのハンズオンプレビュー記事も掲載しているので、気になる方はご覧ください。
《Rio Tani》
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