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中華ゲーム見聞録:台湾の不動産会社が放つ武侠ARPG『天命奇御 Fate Seeker』天下を駆け巡り、己の運命を決めよ

台湾産武侠アクションRPGの大作『天命奇御 Fate Seeker』のプレイレポートをお届け!開発者の思いが籠ったシングルプレイのPCゲームです。

連載・特集 特集
中華ゲーム見聞録:台湾の不動産会社が放つ武侠ARPG『天命奇御 Fate Seeker』天下を駆け巡り、己の運命を決めよ
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「中華ゲーム見聞録」第4回目は、台湾産武侠アクションRPGの大作『天命奇御 Fate Seeker』をお届けします。

本作で楽しめるのは、金庸の描く武侠小説のような世界観の、武林(武芸者たちの世界)で繰り広げられる武芸者たちの物語。無数に存在するクエストやストーリーライン、そして主人公の選択によって結末が変わるマルチエンディングシステムを採用。自由度が高く、ボリュームたっぷりの武侠RPGです。余談ですが、中国で武侠小説家として有名な金庸は、10月30日に香港の病院で亡くなりました。享年は94歳だったそうです。

『天命奇御 Fate Seeker』の公式PV

本作の開発元は、台湾の甲山林機構のグループ会社、甲山林娯楽股份有限公司(甲山林娯楽)です。甲山林機構は、建設や内装設計、広告、旅館、マンション賃貸など、おもに不動産業が中心。それがなぜ畑違いのゲーム業界に手を出したのかと不思議に思って調べてみると、そこにはグループ二代目・祝藝さんのゲームに対する熱い思いがありました。

不動産グループがゲーム開発?


『天命奇御 Fate Seeker』のゲーム画面。人々の生活が活き活きと描かれている

甲山林娯楽が設立されたのは2016年。当時でも「不動産業の甲山林機構がなぜゲーム会社を?」と話題になっていました。しかも、甲山林娯楽の作ろうとするゲームは、中華圏では採算が取れないといわれるシングルプレイのPCゲームやスマホゲーム(以下、シングルゲーム)です。

シングルゲームが中華圏でうまくいかない理由としては、やはり海賊版問題が挙げられます。一から苦労してつくったゲームも、発売と同時にコピー品が出回るような状況。開発費の回収ができなくなる恐れもあるため、企業が手を出せなくなるのも無理はありません。ネットゲームばかりがリリースされるのも、これが理由です。

公式サイトにあるイメージイラスト

甲山林娯楽は甲山林機構のグループ会社。あくまで営利活動を目的としています。それがなぜ無謀とも思われる畑違いのゲーム会社を設立し、しかもシングルゲームに投資をしたのかについて、2016年当時の祝藝さんのインタビューを参照してみました。
※参照記事は中時電子報《産業分析》(2016年12月15日)蘋果日報《財経》(2017年2月06日)三立新聞網(2016年08月23日)GNN新聞(2016年12月29日)等。

理由の一つは、甲山林機構のブランドを広めるため。不動産業は単価が高く、顧客の少ない商売です。それに対し、ゲームなら単価も低いので多くの人に買ってもらうことができ、同時に甲山林機構のブランドを広めることもできます。しかし、それだけなら別にネットゲームでもいいはず。そこで挙がるもう一つの理由、祝藝さん自身のゲームに対する熱い思いです。

ゲーム開始時の村の北にある崖

祝藝さんは子どものころからゲームが大好きで、シングルゲームもネットゲームも遊びます。ただ中華系ゲーム会社は収益を出すために似たようなネットゲームばかりを作るので、物足りなさを感じているとのこと。

また、中華圏で開発されるシングルゲームの数は、先ほど述べた海賊版問題の影響が大きく、業界全体の1%にも満たない状況です。しかし、あくまで「企業が開発しなくなった」というだけで、国産シングルゲームを渇望するユーザーがいるのもまた事実。それゆえ、そこにブルーオーシャンがあると祝藝さんは語っています。

戦闘シーン。アクションRPGなのでリアルタイムバトルです

祝藝さんはシングルゲームを成功させ、中華圏からIPを生み出すことを目標としています。中国には昔から「武侠もの」という強いコンテンツがあり、本作でもそれが取り扱われています。「武侠もの」については第1回目の『太吾絵巻』で説明したので、ここでは割愛します。

以上の事情をまったく知らずに本作を遊んだとき、「非常にしっかり作られた大作ゲーム」というのが第一印象でした。背景の書き込みや音楽、キャラクターの動き、声優の演技、システム面でのプレイヤーに対する細かい気配りなどどれもクオリティが高く、Steamにおいて92%ものユーザー(2000人以上)が「好評」をつけたのも納得の出来です。ということで、ここからプレイレポートをご紹介します。

訓練嫌いの主人公と酒好きな師匠



ゲームが始まると、まず主人公の名前を決めます。ここは「遊戯閃光」で。それから卜卦(占い)を行うことで、ステータスに追加ポイントがランダムで加わります。何度でもやり直せますが、育てる方向をとくに決めていないので、振り直しなしのランダムまかせで。

ムービー中のシーン

開幕ムービー。謎の多い物語

主人公の設定が終わると、武侠映画が始まるかのようなナレーションとともに、動くイラストによるムービーが。開幕から大作感を醸し出してくれます。ストーリーですが、画像の武人は旧友との約束を守るため、戦乱の中へと飛びこみます。敵を蹴散らしながら、旧友の子どもを助けに向かいますが、子どもはすでに瀕死の状態。この時点ではまだ謎だらけで、いったい武人が誰なのか、子どもが何者なのかはわかりません。

遊戯閃光登場。梁師父との訓練シーン

梁師父との剣で戦う遊戯閃光。迫力のある剣術の動き

ムービーののち、主人公の遊戯閃光が登場。先ほどの重苦しい雰囲気はなくなり、梁(りょう)師父(師匠)とのコミカルな訓練シーンが始まります。キャラクターの剣術がなかなかの迫力(上の動画参照)。このあたりはさすが中華です。遊戯閃光は訓練嫌いで、「真面目にやらんか」と梁師父に叱られます。しかし先ほどのムービーは過去の話でしょうか。それとも……。


遊戯閃光の親代わりの存在であるおば……お姉さん(年齢不詳)、劉漓(りゅうり)の登場。梁師父は用事があるので去らねばならず、遊戯閃光が訓練をサボらないよう劉漓に見張りを頼みます。「えー、まだ続けるの?」と遊戯閃光は面倒くさがっています。


梁師父が去ったのち、近所の子どもたち2人がやってきました。生意気なキッズどもで、しかもなにか隠し事をしている様子。ここで選択肢が出現。選択結果によって物語が変化することもあります。

ちなみに選択肢は下キーを入力してからでないと選ぶことができません。「会話でボタン連打したら、間違って選択肢を選んでしまった!」という悲劇を防げます(よくありますよね)。こういうシステム上の細かい気配りがあちこちで見られるのは、やはりゲーマー視点で作られているからなのかもしれません。


子どもたちに対する選択肢は、「生意気しないよう教育してやる」「おば……劉漓さんの顔に免じて許してやる」の二択。ここは許してやりましょう。すると子どもたちはどこかへ行ってしまいます。そして劉漓に「さっさと武術の訓練を始めなさい」と。ここで戦闘のチュートリアルです。

戦闘は、実際に主人公を動かして戦うアクションバトル。パッドの4つのボタン(Xboxコントローラーの場合はABXYボタン)が4種類の技に対応しています。技を繰り出すと、その技にクールダウン時間が発生(別の技は使えます)。またY→X→Aボタンと順番に押すことでコンボに、LTボタンを押しながらだとABXYボタンの技が変化します。アイテムは十字キーで使用。RTボタンで宙返りでき、敵の攻撃をかわせます。


訓練後、劉漓は食事の支度で家に帰りました。次は八卦の使い方のチュートリアル。ポイントを割り振ることで、主人公の8種類のパラメータを伸ばすことができます。各卦で一定のポイントに達すると、スキルを覚えます(最大で3つ)。

パラメータは戦闘だけでなく、ストーリーにも影響します。たとえば「智謀」が低かったら、カラクリに気付けなかったりなど。現在、「智謀」「直覚(直感)」「警覚(察知能力)」がゼロなので、これに振っておきましょう。しかしどれか一つに全部振って、早めにスキルを覚えるのもありでしたね。

個性ある村人たちと無数のクエスト


筋肉ムキムキのマッチョマン、鍛冶屋の蘇大福登場


訓練が終わってひと息ついていると、やけにガタイのいい男、鍛冶屋の蘇大福がやってきました。酒屋で杜建(とけん)と龐大娘(ほうだいじょう)がケンカをしているので止めてほしいとのこと。「その筋肉なら自分で止めたほうが……」と言いたいところですが、どうもケンカの原因は蘇大福にある様子。止めに行くと逆にこじれそうなので、遊戯閃光に任せたいとのこと。今回は選択に時間制限があります。急いで選び、引き受けましょう。

LBボタンを押すことで現在のクエスト一覧が表示されます


ここからさまざまなクエストが出現し、物語に影響を与えていきます。また、ひとつのクエストでも、達成までいくつかの段階をこなさなくてはならないものも。クエスト達成に必要なアイテムを途中で手に入れ、酒屋へ行って杜建と龐大娘のケンカを止めます。


家に帰ると、サプラーイズ!なんと村のみんなが誕生日パーティーの用意をして待っているではありませんか!遊戯閃光は今日で18歳、成人です。先ほどの生意気なキッズたちも準備を手伝っていたようです。

修行も、先ほどの酒屋でのことも、すべて遊戯閃光が家に戻らないよう足止めするための芝居。この村の人たち、本当にいい人たちばかりです。以前プレイレポートをお届けした世紀末街づくりゲーム『Atomic Society』で「カニバリズムが云々」などとポストアポカリプス化した心を癒してくれます。なんだか涙が出てきました。


成人になった遊戯閃光は、今後の抱負を聞かれます。「大富豪になる」「武芸の達人になる」「平凡に暮らせればそれでいい」の三択。せっかくの武侠RPGですし、ここは武芸の達人を目指しましょう。


「料理が冷めるから早く食べましょう」と劉漓が言います。そして「あれからもう10年。この子が18歳の誕生日を迎えられるなんて」と意味深なことを考え始めました。いったい10年前に、主人公になにがあったのでしょうか?謎は深まるばかりです。

ヒャッハーな山賊どもとの戦い



誕生日パーティーが終わって外をぶらつくと、村の入り口でなにやら騒ぎ声が。早速向かいます。途中、折れた剣を見つけ、修理をするクエストが発生。さらに女の子から爆竹を探してほしいと頼まれます。サブクエストが本当に多くてボリュームがあります。やるかやらないかはプレイヤー次第。


女の子の爆竹は、おそらく誕生日パーティーの会場で落としたとのこと。探して届けてあげると、爆竹は護身用の暗器(隠し武器)とのこと。あの生意気な二人の子どもたちに対抗するために持ち歩いているそうです。こんな小さな子が暗器使いとは末恐ろしや。


村の入り口へ向かう途中、医者に話しかけれられました。傷薬の種類がわからないので教えてくれとのこと。「おまえ医者だろ」とツッコミを入れましたが、ここで遊戯閃光のステータス能力発動。見聞のパラメータが高かったため、なんの薬か答えることができました。褒美として傷薬を入手。


村の入り口へ行くと、ヒャッハーな山賊たちの登場。若い娘がこの村に逃げこんだそうで、差し出すよう要求しています。さもなければ村を焼くと。「この山賊どもめ!」と思いましたが、よくよく話を聞くと、その娘を山の砦に招き入れたときに、銀子を盗まれて逃げられたとのこと。どっちもどっちのようです。しかし村を焼かれるわけにはいきません。ここは徹底抗戦で。

3人の山賊相手に戦闘

戦闘動画。操作がまだよくわかってないので、グダグダに。それでも派手なアクションが可能

山賊たちとのバトルです。初戦闘ということもあり、焦ってコンボが繋がらずグダグダな感じになっていますが、なかなか爽快感があって楽しいです。宙返りをして攻撃回避したり、コンボ後に上位の技を使うこともできます。体力をずいぶん減らされましたが、なんとか勝利。そして山賊をどうするかについての選択肢。ここは主人公らしく、許してやりましょう。

謎のヒロイン登場



山賊たちを倒したのち、先ほどの爆竹を探してあげた女の子がやってきます。知らないお姉さんが村に入ってきたとのこと。女の子の案内でその場所へ行くと、若い娘がいました。山賊の探していた娘です。

娘は趙シン(ちょうしん。シンは申に女へん)という名前で、玉珮(ぎょくはい。腰に付ける装身具)を探しに都・開封から来たとのこと。「山賊の襲撃がまたあると迷惑なので村から出ていってくれ」と遊戯閃光は言いますが、「玉珮が見つかるまで絶対に出ていかない」と。二人が争っているところへ劉漓が登場。ひとまず家に戻って話をすることに。


家で趙シンから話を聞きます。玉珮は幼いころ、婚約者の男の子からもらったもの。しかし男の子の家が没落すると、趙シンの両親は婚約を破棄。玉珮も質に入れてしまいました。

年月が経ち、元婚約者と再会したとき、彼はやせ細った姿で物乞いをしていました。どうやら家が没落したのは、趙シンの父親が彼らを罠に嵌めたのが原因。趙シンとの婚約の件も、罠の一環でした。

趙シンは不憫に思い、手持ちの銀子をすべて渡します。しかし元婚約者は受け取らず、「玉珮を返してほしい」とだけ言います。責任を感じた趙シンは、玉珮を取り戻そうと、質屋をたずね回ります。そしてこの村に品が流れたことを突き止めました。ただ、村のどこにあるかはわかりません。

趙シンが仲間に加わります


「いつも都へ買い出しに行くのは龐大娘。彼女なら知ってるかもしれない」と劉漓が言います。龐大娘に会いに行くため、趙シンがパーティメンバーに加わりました。しかし建物を出たとたん、先ほど倒した山賊の仲間が出現。またもや戦闘です。

LBボタンで仲間を呼び出します

戦闘シーン。最初の戦闘よりはちょっとマシな動きに。最後に趙シンを呼び出し、攻撃してもらっています

仲間がいる場合、戦闘中にLBボタンを押すことで助けてもらうことができます。どのようなスキルで助けるかは仲間ごとに違い、趙シンの場合は敵に斬撃を繰り出します。

また、仲間には主人公との友好度があり、高ければ助けに入ったときのスキルもより強力に。今回の戦闘はコンボがつながり、コンボ後にLTボタン+Xで発動する「地流」も出せました。攻撃力を増加させる技です。趙シンの斬撃でフィニッシュを決め、戦闘に勝利!(上の動画参照)

犯人は劉漓さん?


村の南にある肉まん屋。酒は売り切れていて、肉まんだけ売っています

趙シンは村に逃げこんだとき、銀子をくるんだ包みをどこかに落としたとのこと。銀子はなくしてもいいのですが、問題は包みの布。見る人が見れば、素性がばれてしまうとのこと。趙シンはそのことを遊戯閃光に内緒にし、ただ「銀子の入った包みを落とした」とだけ言います。ここで選択肢。「先に玉珮を探すか」、それとも「包みを探すか」。ここは包みを探しましょう。

民家に入ることもできます。生活感があって雰囲気が出ています


包みを探す途中、別件のクエストも増えていきます。それにしても本当にクエストが多い。サブクエストばかりこなしてメインクエストが進まないのは「オープンワールドあるある」。しかし風景がきれいだし、村の人々との会話も面白いし、蝶が飛んでいたり猫や犬がうろついていたりと、歩き回るだけでも楽しいゲームです。


いろいろ調べていくうちに、趙シンの落とした包みの模様が、劉漓の部屋にあった布と一致することに遊戯閃光が気付きます。劉漓がネコババするとは考えられないので、あえて隠しているのでしょうか。

「劉漓をかばって内緒にする」「正直に袋の場所を教える」。これは難しい選択です。今後もこういう困難な選択がたくさん出そうな予感。本当にどうしよう……。


本気で数分悩んで、結局正直に言うことにしました。やはり真実が知りたいですしね。趙シンは焦った様子。「隠しているということは、きっとあの包みから素性がばれたのでは」と思っています。趙シンは包みの布をいったん諦め、玉珮を探すことにしました。

誰も彼もが疑わしい



龐大娘の薬局へ向かいます。玉珮のことを聞くと、「外から流れてきた品は、私が知らない物だったら、おそらく梁大侠(梁師父)が知っている」と言います。梁師父が趙シンの玉珮を持っているのでしょうか?しかしなぜ。

先ほどの包みの布の件といい、身内がそろって隠し事をしている様子。そういえば梁師父は訓練のあとにいなくなり、誕生日パーティにも参加していません。いったいどこへ行ったのでしょうか?しかも趙シンは梁師父を知っているようで、遊戯閃光が弟子だったことに驚いています。謎は深まっていくばかり。


梁師父の倉庫を探しに行きます。しかし玉珮は見つかりません。代わりに手紙が見つかりました。「開封にいる王老頭に玉珮を渡せ」とあります。梁師父は開封へ行ったのでしょうか?手紙を持って、劉漓に事情を聞いてみます。


劉漓の話だと、王老頭は梁師父の友人。趙シンは「開封に戻る」と言い、パーティーから外れます。去り際、劉漓は隠していた包みの布を趙シンに返します。結局素性がバレたかどうか、わからずじまいのまま、趙シンは布を受け取って去りました。


探し物であちこち走り回って疲れた遊戯閃光。自分の部屋で休もうとすると、別の建物から何かが割れた音がしました。しかしここでステータス能力が発動。音は遊戯閃光を部屋から遠ざけようとする罠。部屋に向かいます。


部屋には、先ほど別れたはずの趙シンが!いったいなにをしにきたのか、と遊戯閃光は壁ドンで問い詰めます。趙シンは逃げようとしますが、遊戯閃光は逃がしません。


そしてまさかの趙シンとの戦闘。しかも強い。こちらの攻撃をガードし、出血ダメージを与えてきます。こちらもガードブレイク属性のあるBボタン攻撃で相手の防御を弾き、Y→X→AコンボからのLT+X「地流」発動で攻撃力アップを図ります。相手も攻撃力強化を使うので、気を抜くと普通に負けます。ガチでやり合っています。


なんとか勝利。部屋を探っていた理由を聞き出します。じつは趙シンは、梁師父が玉珮を持っていることを最初から知っていて、この村に来たとのこと。「玉珮が村にないことの最終確認に来ただけ。これから開封へ向かう」と言いました。これ以上問い詰めても仕方ないので、逃がしてやります。

梁師父の帰還と戦闘スタイル


戻ってきた梁師父。素手での戦いを遊戯閃光にレクチャー


趙シンが去ってから、梁師父が戻ってきました。遊戯閃光がなにかを聞こうとする前に、有無を言わさず素手での戦い方を教えてくれます。このゲームは剣だけではなく、拳(素手)、長柄、刀に戦闘スタイルを切り替えることも。それに合わせて技やコンボも変化します。


梁師父との実践訓練。戦闘スタイルを拳に変更。先ほどの剣と違ってコンボがないようですが、蹴りや拳など発生の速い技ばかりなのでそのまま連続攻撃を仕掛けることができます。また遠距離から気合い弾を飛ばすことも可能。超人バトルっぽくなってきました。


訓練が終わって夜になると、梁師父が十年前のことを語ってくれました。とある武侠者と戦って勝ったのですが、その者がまた現れたとのこと。彼を追うため、しばらく村を離れなければならないそうです。「あとのことは任せた」と言い残します。


梁師父は劉漓とも会います。10年前に戦ったのは柴曜(さいよう)という者で、「柴教主」と名乗って摩尼教団(ササン朝ペルシャのマニを開祖とする宗教。中国には唐代のころに伝わり、魔教としてたびたび弾圧された)を率いています。「以前よりも強い力を得て復活したため、次は勝てるかわからない」と。また同門の師弟(弟弟子)がその教団に入ったとも。朝廷も絡んできて、話は大きく動き出します。

借金を残していく梁師父



梁師父が去った翌日、遊戯閃光は酒屋の杜健に呼び出されます。なんでも梁師父が多額のツケをしていて、それを返してほしいとのこと。そうでないと家賃が払えないようです。梁師父、昨日まで格好よかったのに、借金残していかないでください。


師匠の不始末は弟子の不始末。仕方がないのでバイトをします。西域から運ばれてきた酒を、開封まで運ぶ手伝いです。途中、酒を奪おうと山賊たちが襲ってきました。激しい戦闘の末、酒壺の一つが地面に落ちて割れます。中に入っていたのは薬草。酒ではないと知った山賊は、さっさと引き上げていきました。


遊戯閃光は山賊たちとの戦いで傷を負いました。仲間が手当てしようと近づくと、なぜか傷が治っているではありませんか。幼いころからこういう体質だったとのこと。やはり遊戯閃光、只者ではなさそうです。

酒の代わりに薬草が壺に入っていたことは、運送業の人たちも知りませんでした。なんの薬草かもわかりません。「話が違う!密輸の片棒を担がされたかもしれない!」と憤っています。

麗しき都・開封


開封に到着。荷物を引き渡します


開封に辿り着いた遊戯閃光たち。引き渡し先に、「なぜ壺の中が酒ではなく薬草なのか」と聞いたところ、「酒の材料になる草だ」とのこと。なんか怪しいのですが、深く追及もできません。

バイト代の支払いまで少し時間がかかるようなので、その間に開封の街を観光します。しかし背景が本当にきれいで、見ていて飽きません。中国の雰囲気や、武侠小説の世界観がよく表れています。

料理大会が開かれるそうなので参加してみます

橋の上に並ぶ屋台。にぎやかで見ていて楽しいです

開封を歩き回っていると、料理大会が開催されるとの話。せっかくなので参加してみます。料理に使う材料を集めるため、街を散策。途中、民をいじめる無頼漢どもをこらしめたりも。こういう勧善懲悪も武侠ものの醍醐味ですね。ちなみに料理大会は3位でした。

強敵出現!



時間も経ったので、バイト代をもらいに荷馬車のところへ戻ります。すると謎の女性が登場。「壺の中身を見ましたね?」と不穏なことを聞いてきます。「壺の中身が説明と違うぞ!」とクレームをつけた仲間が、その場で女性に斬り殺されました。女性は厳楽(げんがく)という名前。「壺の中を見た者は皆殺し」と言い出しました。


厳楽は、武芸に通じた運送業の仲間たちをあっという間に倒してしまいます。しかも生き残った者は、薬の実験材料に使うとのこと。厳楽だけならまだしも、そばにいる鎧を着た男はさらに強そうです。勝てないと判断した遊戯閃光は、残った一人とともに撤退します。


二手に別れて開封内を逃げ回ると、山賊たちが現れました。村で戦った連中です。まさかの再登場に遊戯閃光もびっくり。どうやら先ほどの戦いを見ていたようで、村で許してもらった恩を返すため、敵の足止めをしてくれるとのこと。人を許すって大切ですね。せっかくなのでお言葉に甘え、今のうちに逃げましょう。山賊たちは壺の中身を知らないので、殺されることはないでしょう(たぶん)。


村に戻った遊戯閃光。以前、梁師父から「危急のときがあったら、私の部屋のタンスを調べろ」と言われていました。今こそ、そのときのようです。いろいろ調べていくうちに、剣を見つけました。しかしこの剣をどうすればいいのかがわかりません。


先ほど別れた運送業の人がやってきました。様子がおかしいです。すると突然、遊戯閃光に襲いかかってきました。遊戯閃光は蹴り飛ばされ、壁に叩きつけられます(最初の公式PVの中にこのシーンがあります)。


殺されそうになったとき、劉漓が助けに来てくれました。梁師父の妹弟子だけあって強く、運送業の人をノックアウト。遊戯閃光は、「仲間なのでとどめを刺さないでほしい」と頼みます。気を失っただけのようなので、ベッドに運びました。

劉漓、死す



劉漓が調べた結果、運送業の人はどうやら「三生三死飲」という禁忌の毒薬を飲まされたようです。飲めば痛みをも忘れ、狂暴化してしまう薬。さらに飲ませた者の命令に絶対服従します。

先ほど運んでいた謎の薬草を劉漓に見せると、「これこそが“三生三死飲”の材料のひとつ“一品紅”」と言います。少量でも効果のある毒草。なのに荷馬車一杯もの量を密輸したということは、なにか大きな企みがあるからでしょうか。

劉漓は過去を語ります。劉漓と梁師父は「御蒼派」の門弟でした。もう一人、門弟がいたのですが、師父と意見が合わず、御蒼派を去ってしまいました。その者が“三生三死飲”を作っていたのとのことです。

「とんでもない悪者だな」と遊戯閃光が言いますが、「そうとも言い切れない。善悪は立場によって変わるもの。自分の目で確かめるべき」と劉漓に言われます。この世界は善悪の二元論ではできていません。これから先の選択も、「自分にとって正しい道」を選ばなくてはならないのでしょう。それが他人を傷つけることになっても。


「とりあえず村から離れたほうがいい」と思った矢先、厳楽がやってきてしまいました。そしてそばにいる鎧の男こそが、先ほど話した門弟の闕蒼鷹(けつそうおう)です。摩尼教に入信し、柴教主に従っているとのこと。「教団に入れば命は助けてやる」と、劉漓を勧誘してきます。

闕蒼鷹と劉漓の会話を聞くと、過去に湘児(しょうじ)という女性を守れなかった話が出てきます。劉漓は「あなたは摩尼教に利用されている」と言いますが、「互いに利用しているだけだ」と言われます。入信するかどうかを聞かれ、劉漓が断ると戦闘が発生。遊戯閃光は助けに入ろうとしますが、厳楽が立ちふさがります。


厳楽との戦い。「ちょっと斬らせてくださいな」と軽口を叩きながら、スリップダメージのある炎属性の攻撃を放ってきます。防御もしっかりしてくるので、ガードブレイク技で崩していかないといけません。被ダメージが大きいので薬を使って体力を回復しつつ、なんとか勝利。劉漓を助けに向かいます。


しかし間に合わず、劉漓は闕蒼鷹の毒手に。「これを……」と劉漓は梁師父からあずかった石を遊戯閃光に渡し、息を引き取ります。復讐に燃えた遊戯閃光は闕蒼鷹と戦います。が、まったく歯が立たず。敗れて気を失ってしまいます。

新たな旅立ち


目を覚ましたとき、見知らぬ家の中に


気が付いたとき、どこかの家のベッドに横たわっていました。斬り殺されたはずなのに、体には傷がありません。ただ痛みは残っています。外に出てみると、見たことのない山の風景が広がっていました。仙人のような老人が橋の上にいたので話しかけてみます。

老人は幼いころの遊戯閃光と面識があるようです。十年前にも遊戯閃光の傷を癒したとのこと。傷の治りが速いのも、そのときにかけた術のおかげだとか。内功を鍛えれば、治癒能力もさらに上がるそうです。遊戯閃光は殺された劉漓の復讐のため、老人について修行を始めます。

老人から内功を学ぶ遊戯閃光


修行を終え、パワーアップした遊戯閃光。老人のもとを去り、中国全土を舞台にして冒険をすることに。いったん村に戻ってみんなの安全を確かめるか、それとも殺された劉漓の復讐のため、教団の野望を阻止するため「三生三死飲」について調査するか。すべてはプレイヤー次第です。ここからがゲームの本番。遊戯閃光の戦いはこれからです。

シングルプレイ中華RPGの底意地を見せた大作


武侠小説を読んでいるかのようなストーリー展開、書き込まれた背景やユーザーに親切なシステム設計、無数に存在するクエストと分岐するストーリーラインなど、非常にボリュームのある作品です。登場人物ひとりひとりが地に足のついた存在であり、会話の内容も面白く、実際にそこで生活しているかのようです。J・R・R・トールキンの『指輪物語』序盤を読んでいるかのごとく、「物語の中に入る」というのを実感できました。

甲山林娯楽の祝藝さんはこう語ります。「資金のある企業はゲームを好きで作っているわけではないし、本当にゲームを好きで作っている人たちは資金がない」。資金のある甲山林グループがしっかりした大作ゲームを作らないでどうする!といった気迫が本作から感じられました(主に不動産業のグループですが)。

無料配信予定のDLC「伏虎迷蹤」

また、現在はユーザーへの感謝の印として、無料ダウンロードコンテンツ「伏虎迷蹤」も開発中とのこと。課金ネットゲームがメインな中華ゲーム界において、反骨精神のようなものを見せてくれます。「好きでゲームを作っている」という気持ちがひしひしと感じられる作品でした。

現在はSteamの登場によって、ある程度は海賊版問題も防げています。最近では中華圏ユーザーの意識も変化し、正規版のゲーム買う人が増えています。特にSteamは自動アップデートもありますし、購入によってゲームリストが増えるので、コレクター気質のある中華圏の人たちにマッチしたクライアントかと思います。「Steamはゲームリストを増やすゲーム」という人もいるほど。ちなみに筆者も似たようなもので、Steamの所有ゲーム数は2,182本でした。DLCも含めると、いくら使ったかは考えたくないです(ちゃんと全部遊んでいます。数分で止めるものもありますが……)。

祝藝さんは、「最初から成功できるとは思っていない。ユーザーのフィードバックを受けながら、少しずつ成長したい」とも語っています。ネットゲームメインの中華ゲーム界に風穴を開け、将来、中華圏発のIPが生み出されること、そして本作が日本語を含む他言語にも翻訳され、多くの人たちに遊ばれることを切に願っています。

製品情報



※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、繁体字・簡体字を日本の漢字に置き換えています。
《渡辺仙州》

歴史・シミュ・ボドゲ好き 渡辺仙州

主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。

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