
2026年2月14日、2018年発売の『キングダムカム・デリバランス』がPS5/Xbox Series X|Sといった現世代機に対応するアップデートが配信されました。
いくつもの新機能やグラフィックアップデートにより、体験が底上げされたことにより、本作の面白さにさらに磨きがかかった感じがしました。
次世代コンソール版『キングダムカム・デリバランス』どういうところが進化したのか?
まずは今回の移植で強化された点を箇条書きでおさらいします。
・日本語ボイスを新規追加、フルボイス対応(PC版は2023年に吹替対応済み)
・PS5/PS5 Pro/Xbox Series X|Sの全プラットフォームで最大60FPSに対応
・4K解像度+高解像度テクスチャによるビジュアル向上
・FSRアップスケーリング対応
・アンチエイリアス強化
・チェコ語ボイス追加
・トルコ語/ウクライナ語/ポルトガル語テキスト追加

特にグラフィックの強化と、日本語フルボイスはゲーム体験の質を底上げしてくれました。
ボヘミアの大自然や、暗い坑道の底、立ち並ぶ民家まで、PS5らしいビジュアルに進化しており、ゲームにグッと没入できました。

元々のゲームがPS4世代なので、最新のAAAタイトルに比べると見劣りする点はあるものの、このビジュアルで60FPSを保ち、問題なく冒険できる点は充分すぎるほどのアップデートと言えるでしょう。少なくとも筆者が遊んだ範囲では、酷いフレーム落ちや、著しい描画バグとは出会いませんでした。
悪友どもと一緒に民家の壁にう〇ちを投げるシーンも、高解像度でくっきりと見えます。

また、日本語吹替も素晴らしいものでした。ヘンリーやテレーザといった主役級はもちろんのこと、街の衛兵に至るまで、違和感のある配役はほとんど見当たらず、演技もばっちりです。
筆者が遊んだ限りでは吹替抜けもなく、その代わりにクマン人といった(主人公たちからすると)異教徒は完全に彼らの言語で喋るので、しっかり差別化が図られています。テキストにも遊び心があり、ローカライズは完璧といって良いでしょう。
多くの日本人プレイヤーには馴染みが薄い時代と土地でありながら、ちゃんと筋書きやキャラクターの考えがすんなり追えるようになっており、洋ゲーは難しいという先入観のある人にこそやってほしいと思いました。

気になる点としましては、オプション項目が少ないと感じました。特にグラフィック周りはHDテクスチャ、ガンマ補正、視野角しかなく、大作ゲームとしては足りません。キーコンフィグも設定できないため、一部の操作を押し間違えるプレイヤーもいることでしょう。
また、カットシーンでは字幕と吹替のタイミングがちょっとズレてしまうこともありますが、こちらは読み落とすほどではありません。

再訪したボヘミアで何を感じたのか……丁寧に描かれるボンクラ息子の成長譚
というわけで、7年ぶりにスカリッツを訪れてみました。
主人公は鍛冶屋の息子ヘンリー。英雄的な出自でも、力や頭脳に優れているわけでもない、ただの若造です。いい年こいてオカンに起こされる寝坊助で、なんとなく外の世界を見に行きたいと思っているが、悪友との付き合いも断り切れない、よくいるヤツ。

そんな彼も令和のJapanに生まれていたら、居酒屋でサークル仲間と騒いでいる立派な大学生になっていたでしょうが、生憎ここは中世ヨーロッパ。しかも、政治は乱れに乱れており、シギスムントの放った軍隊がヘンリーたちの住むスカリッツを襲います。
チュートリアル代わりに故郷で一日を過ごし、その後村焼きに遭うなんて、RPGじゃお決まりのパターンですが、何といっても本作の主人公はまともに剣も振れない青年なわけで、地平線の向こうから軍隊が近づいてくる絵面の絶望感はハンパじゃないです。

両親や恋人を殺され、命からがら隣の城下町まで伝令役を担うヘンリー。村を出た瞬間、現代のスカリッツがどうなっているのかがわかるロアが表示され、その歴史的な重みに唸りました。このゲームはフィクションですが、実際にここで戦争が行われたのは事実なわけです(ゲーム内では、村人たちが夜間の嵐に紛れて逃げ延びたという伝説を採用していますが)。

なんとか逃げ切ることに成功したヘンリーは、紆余曲折あり、中世社会を冒険しながら、両親の仇を討つことを目的とします。少しずつ力もついてきて、話術も巧みになり、窃盗やスリといった後ろ暗い手段も使いながら、逞しく生き延びる彼のドラマはまさしくRPGそのものです。
また、本作の長所として、ロアの豊富さが挙げられます。先述したスカリッツのその後もそうですが、本作ではさまざまな歴史的事実の間隙を縫ってドラマが進行していきます。「こう語られているが、そこから先はわかっていない」「実はこうだったかもしれない」と、ノンフィクションとフィクションの境界が誠実に書かれており、大河ドラマを副音声付きで観ているような気分になれます。

戦闘システムやセーブの仕様、時間制限のあるクエスト群など、徹底したリアリズムがゲームプレイの邪魔をしている部分もいくつかありますが、ひとりの男として中世社会でサバイブしていく体験はやはり唯一無二だなと感じました。
現世代機版『キングダムカム・デリバランス』は、PS5/海外Xbox Series X|S向けに発売中です。












