再帰的一人称パズル『Maquette』―「世界の中の世界」という本作のアイデアは10年前に生まれた【開発者インタビュー】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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再帰的一人称パズル『Maquette』―「世界の中の世界」という本作のアイデアは10年前に生まれた【開発者インタビュー】

こういった体験ができるのはゲームならではですね。

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再帰的一人称パズル『Maquette』―「世界の中の世界」という本作のアイデアは10年前に生まれた【開発者インタビュー】
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気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Graceful Decay開発、PS5/PS4/PC向けに3月3日に正式リリースされた再帰的一人称パズル『Maquette』開発者へのミニインタビューをお届けします。

本作は、まるでジオラマのような小さな世界に何かすることで、それが自分のいる世界に影響を与える不思議な世界を舞台にした一人称パズルゲーム。これまでの関係を振り返る一組のカップルを通して、日常的な小さな問題を掘り下げる物語が語られます。日本語にも対応済み。

『Maquette』は、2,050円で配信中(Steam)


――まずは自己紹介をお願いします。

Hanford Lemoore氏(以下Hanford)Graceful Decayの創設者で、本作のディレクターのHanford Lemooreです。子供の頃からずっとゲームが大好きで、シリコンバレーにおいて様々な仕事を経験してきました。

いくつか挙げると、Netflixのユーザー・エクスペリエンス・デザイナーとしてテレビでの視聴を実現したり、ウォルト・ディズニー・イマジニアリングのためにアトラクションのデザインをしたり、そして私が一番好きなゲーム開発をしてきたりしました。過去にも小さなインディーゲームをいくつか作っていますが、本作のような規模のものをディレクションするのは初めてです。

――本作の開発はいつどのようにして始まったのでしょうか?

Hanford「世界の中の世界」という本作のアイデアは10年前に生まれました。まずはシステム面でこれを思いつき、様々な実験を行ったのです。しかし、開発当初は今のものとは大きく異なりました。当初2Dの俯瞰視点のゲームだったのです。それでも、本作のメインコンセプトであるプレイヤーが操作、探索できる世界というのはすでにありました。

2週間ほどかけ、どのような形が一番しっくりくるか試行錯誤を繰り返しました。そして最初のプロトタイプを作り、2011年、サンフランシスコで開かれたGDCに出展したのです。するとたくさんの人にこのコンセプトを気に入ってもらい、体験版をプレイした人たちからはぜひ開発を続けて欲しいという暖かい声をいただきました。そうして、それから10年間、私が何をするべきかが決まったのです。

本作のストーリーには結構悩まされました。様々なストーリーを考えては、本作のシステムとゲームプレイに合うかどうか検証していったのです。しかし満足がいくものは見つかりませんでした。諦めかけた頃、突然、本作に採用されているマイケルとケンジーのストーリーが生まれたのです。自分が本当に描きたいと思ったストーリーに焦点を当ててみると、まるでパズルのピースがはまるかのように、本作のあらゆる要素がピッタリとはまったのです。本作ではゲームプレイとストーリーの関係がはっきりとは描かれませんが、確かにそこにあり、それは一歩引いて見ることでわかるようになっています。

Annapurna Interactiveは、彼らの最初の作品がリリースされる以前の2016年に連絡をくれました。本作のようなゲームこそが、彼らの求めていたゲームだと言ってくれたのです。こうして、私たちは一緒に本作に賭けてみようということになりました。以来、彼らとはフルタイムで一緒に仕事をするようになり、本作のプロジェクトもチームも大きくなっていったのです。

こうして、本作は全世界で2021年3月2日(現地時間)に、PS5/PS4/PC(Steam)向けにローンチしました。

――本作の特徴を教えてください。

Hanford本作は「世界の中にその世界がある」という不思議な世界が舞台となっています。つまり、プレイヤーがいる世界の真ん中には、小さくなった同じ世界があるのです。プレイヤーがするあらゆることがもう一つの世界に影響を与えます。本作のパズルはこれを活かして作られており、2つの世界を干渉させながら先に進んでいきます。パズルゲーム好きにとっても挑戦しがいのあるゲームを目指しましたが、同時にこの「世界の中の世界」というシステムを使い、ユニークなラブストーリーを描きたいと思いました。

本作に登場では、ブライス・ダラス・ハワード(「ジュラシック・ワールド」「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~」「お気に召すまま」「ヴィレッジ」など)とセス・ガベル(「FRINGE/フリンジ」「Salem」「ジーニアス」「NIP/TUCK マイアミ整形外科医」など)が、それぞれケンジーとマイケルを演じています。2人は物語の中で自分たちの関係を振り返ります。プレイヤーは彼らの姿を直接見ることはできませんが、声が聞こえたり、彼らの思い出を見たりすることになります。

このようにプレイヤーは、ケンジーとマイケルがどんな人たちなのか想像することができるのです。ブライスとセスが本作のストーリーの鼓動を伝え、彼らの素晴らしい演技により、本作の伝えたいメッセージに命が吹き込まれたのです。

――本作が影響を受けた作品はありますか?

Hanford本作は私たちのオリジナルアイデアですが、舞台は間違いなく私がサンフランシスコのミッション・ディストリクトに住んでいた影響を受けています。建物のデザインからサウンドトラックまで、本作の様々な場所でサンフランシスコの断片を見ることができるでしょう。

私は主にサニーベール、マウンテンビューといった、サウスベイエリアで育ちました。それからサンフランシスコに移り、10年ほど住んでいました。

アートディレクターであるTim Doolenとアートチーム全体は、直接的に何かを真似ることなく、ベイエリアの雰囲気を取り入れることに成功しています。ミッションドロレスやペインテッド・レディを思い出させる要素も登場しますが、完全なるレプリカを作りたかったわけではありません。むしろ、夢の中のサンフランシスコのようなものになっているのです。自分がどこにいるのかはわかるのに、何もかもが現実とは異なっているような感覚です。本作のオーディオの一部はサンフランシスコ・コロンバリウムのドーム状の建物の中で作られましたので、本作の中でもまるでその中にいるかのように感じることができるでしょう。

本作のサウンドトラックに入っているすべての歌は、サンフランシスコのベイエリアと関係があります。歌のテーマ(例えばオープニングテーマのSan Franciscan Nights)や、アーティストのルーツ(参加ミュージシャンがベイエリア出身)がそうです。

――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?

Hanford驚くことに、開発への影響はほとんどありませんでした。パンデミック以前から、このプロジェクトに関わる人は全員自宅から作業をしていたのです。そのおかげで、才能あるアーティストやプログラマーを世界中から集めることができました。

――本作の配信や収益化はしても大丈夫でしょうか?

Hanfordもちろんです!

――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。

Hanford本作は少し変わったサンフランシスコを舞台にしていますが、本作のパズルとラブストーリーは誰でも楽しめるものです。ラブストーリーは多くの人が体験するグローバルなものですので、日本のプレイヤーの皆さんの心にも響くと良いなと思っています。

――ありがとうございました。

◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後インディーデベロッパーメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に400を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。

《Chandler》
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