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私は如何にして『バトルフィールド 1』への愛を表現するためフィギュアを作ったのか―造形編

『BF1』の思い出と共にフィギュアの造形をお届け!

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突然ですが、『バトルフィールド(BF)』シリーズ好きですか?

ゲーマーの皆様はご存じとは思いますが、『BF』シリーズは2002年発売の『バトルフィールド1942』から続く人気FPSゲームです。歩兵はもちろん、陸海空の兵器が入り混じり、爆発物で建物が崩壊し、地形が変わる戦場で、大人数のプレイヤーが一堂に会する大規模戦闘を繰り広げます。これは、他のFPSには無い、唯一無二の特徴です。

そんな人気シリーズの中でも、筆者は『バトルフィールド 1(BF1)』が大好き。『BF1』が好きすぎて、登場する戦車のジオラマを作ってしまう程です。

第一次世界大戦(WW1)の重厚な雰囲気や歴史を知れるコーデックス(解説)、上下構造が少なく分かりやすいマップ、戦線が出来やすいゲームデザイン。最高の一体感だったオペレーション。好きだった要素を挙げるとキリがありません。

とりわけ、シングルプレイヤートレイラーからのキービジュアルを見た際の感動と興奮は今でも鮮明に思い出せますし、ゲームが発売されてからも有名な戦場からマイナーな戦場まで、各地で楽しませてくれました。

ただ、最近は忙しく『バトルフィールド 1』だけでなく、ゲームにすら触れていません。そんな時でも、楽しかったあの頃を形に残しておきたい!ということで、『バトルフィールド 1』への愛を、キービジュアルのフィギュア化という立体フィギュアで残そうと考えました。

フィギュア化するのはこのキービジュアル。左のハーレム・ヘルファイター連隊の兵士はフィギュア化されているのですが、右のドイツ兵はフィギュア化されていません。無い物はどうするか?作ってしまいましょう!

ということで、ここからは『BF1』の思い出と共にフィギュアの造形をお送りいたします。

キービジュアルを観察して小物を作っていこう!

キービジュアルで印象的なのは右手に持つルガーP08。WW1の塹壕戦で使用された拳銃のハンドグリップに付いた木製ストックや円形のスネイルマガジンが特徴的で、程よいマニアックさは『BF1』の期待感を高めてくれました。

銃はFusion360というCADソフトで制作しました。詳細については以前の『タルコフ』フィギュアをご覧ください。
よく見るとキービジュアルと少しタイプが異なるP08ルガーです

ただ、実際にゲームにP08 Artillerieとして実装された際は木製のハンドグリップが付いたタイプとなっていました。キービジュアルと違うのも割とゲームあるあるですよね。

Fusion360で銃を造形したらZbrushにて手を造形

ゲームに実装されたP08 Artillerieは戦車兵やパイロット専用武器で、筆者のように兵器にのらず、さらに乗り捨てが厳禁とされている『BF』シリーズではあまり使う機会が無くて悲しかったです。使わない兵科の武器はほとんど触らない、というのは『BF』プレイヤーにとって「あるある」ではないでしょうか?

ちなみに、造形の技術的な話をすると、筆者は一度ダイナメッシュ状態(粘土のような状態)で荒く手を作ってから、Zリメッシャーでリメッシュ。その後マスクした場所を「Ctrl+W」でポリグループを分け、ギズモ3Dで細かく関節を動かしつつ握らせていきます。

同じような方法で左手や弾薬ポーチを作り、フィギュアに使う部品を用意していきます。

顔を作ろう!

こちらはあらかじめZbrushに用意されている顔。今回はこれをベースに顔を造形します

『BF』シリーズの兵士の顔、憶えてますか?『BF1』まではキャラクター性があまり強調されなかったこともあり、記憶がおぼろげな方も多いのではないでしょうか。

改めて確認すると、あえて無個性な雰囲気にしているようです。この頃の無個性感が好きだったなぁ(『BF2042』を遠巻きに眺めながら)

顔はキービジュアルを参考にしつつ、フィギュアにした時に映えるように凹凸を強調して造形します。
カーブブラシで髪の大元を生やして
すじを入れていきます。この時、生え際のディティールを詳細にしておくのがポイント。

顔といえば、『BF1』の兵士はみんな割とイケメンだったのも良かったですね。

最後に、キービジュアル通りに首を回し、表情を作って完成!

昨今は議論を呼びがちな、人々の持つ属性への配慮のバランス感覚も素晴らしく、実際に動員されたインド兵やロシア帝国の女性兵士などが違和感なく登場。ロシア帝国の女性兵士は史実通りに丸刈りになっている等、細かなディティールも素晴らしかったです。

体を作っていこう!

こちらもあらかじめZbrushに入っているマネキンを間接ごとにポリグループ分けして、ポーズをとらせていきます

さて、各種部品を作ったところで体を作っていきます。キービジュアルの兵士はコートを着ており、この服を作っていくのが目標です。

コートはイニシャライズした立方体を伸ばして、底と境目のポリグループを分けて削除し、スカート状にします。

コートを着ているドイツ兵は『BF1』では援護兵と狙撃兵でしたね。援護兵のLMGは撃ち続けた方が精度が上がる珍しい仕様となっていましたが、それもLMGらしい雰囲気が出ていて好きでした。

上半身は厚さ0で抽出し、リメッシュしつつディバイドしてシワの流れを作っていきます。
あわせて、先ほど作っていた各種装備品を付けていきます。

『BF1』はグラフィックの雰囲気は最高ですが、改めて軍装の細部を見ていくと史実とは大きく異なることが分かります。特に装備品の装着は情報量を増やすためにホルスターや水筒などを正面に集中させているようです。

襟やサスペンダーなど服のディティールを加えていきます。

装備の改変は多くのプレイヤーがWW1という題材に触れる機会が少なく、軍装のイメージが固まっていなかったために受け入れられたように感じます。ただ、続編の『BFV』では軍服についてはもちろん兵士の性別まで、さらに史実から乖離します。この改変は反発も大きく、初報トレイラー多くの議論を呼びました。第二次世界大戦は既に映画などで多く描かれ、プレイヤー側に知識があったからこそ、反発が大きかったのでしょう。

あらかじめ作っていたガスマスクケースも装着、キーアートには描かれてませんが、ゲームで重要な装備なので追加。

今回の造形ではガスマスクも装着。WW1では毒ガスが大規模に使用され、兵士は防毒マスクを携帯しました。『BF1』でも重要な要素として登場しており、防毒マスクをかぶると腰だめ撃ちしかできなくなりました。腰だめ撃ちが強い銃が活き、MP18塹壕仕様を愛用していた筆者にとっては好きな要素でした。

途中経過

サスペンダーは『BF1』のキービジュアルでは胸側で二股に分かれ、ベルトにつなぐ形に見えます。ただ、WW1では二股には分かれていない単純なサスペンダーを使っており、このサスペンダーはWW2で使用されたサスペンダーに近いようです。今回の目標はキービジュアルだったので、ビジュアル通り二股状にして造形しました。

袖の折り込みも抽出で作ってから、綺麗なポリゴンの流れにリメッシュして造形していきます。
デジタル造形は無限に拡大して造形できるので、細かく作り過ぎてしまうことも。そこで、定期的に画面に定規を当てて確認した。下のキューブは50mmで、これを基準に作っている。

細部を仕上げよう!

ここからはキービジュアルを参考に、スリングやシワといったディティールを高めていきます。

ベルトのバックルはFusion360で制作。

今回作っているのは兵士ですが、『BF1』で忘れてはいけないのが美しく、かつ恐ろしい戦場のビジュアルです。

マップ構造については以前掲載した、『BF2042』の問題点にて説明した通り、『BF1』も満点とは言えない出来でしたが、グラフィックの雰囲気は歴代屈指といっても過言ではありません。

細かなシワも彫り込んでいきます。ただ、1/16サイズというのを忘れずに……

分割&3Dプリント!

ここからは3Dプリントするための最終仕上げです。完成まで一気に進めましょう!

部品にダボを付け、分割していきます。併せて、適宜デシメーションしてデータを軽くしていきます。

Zbrush上でデータが完成したらChituboxというソフトで3Dプリント用に加工していきます。

胴体もこの通り。これで計20時間ほど3Dプリンターを動かします。

デザインナイフなどで表面を綺麗にします

プリンターから出てきたら丁寧に支柱を切り取り、表面を処理していきます。

でもたまに失敗することも……分割を面倒くさがり、さらに支柱が足りなかった結果、出力物がずれてしまったのです。今回はベルトを境に胴上と足を分けて出力することで解決!3Dプリンターは意外と制約も多いのです。

いよいよ完成!

各部品を組み立てると……

分かりやすくするために暗色の油彩を凹部に流し込んでいます。

全身像が……

色に白が混ざっているのは、白色のレジンを出力途中で混ぜたからです

手の中に!フィギュア化完了です!


実は今回の作品は筆者がZbrushで作る初めての全身像フィギュアです。Zbrushを触り始めてから約4か月でここまで作れるようになります!皆様も次のゴールデンウイークあたりに挑戦してみてはいかがでしょうか?

さて、ここまで『バトルフィールド1』のフィギュア制作をお届けしてきましたが、ここからは塗装の工程に突入していきます。塗装もキービジュアルを参考に塗っていきたいところです。冒頭で述べたような愛を完成させる工程はまだまだ長いですが、少ししたら塗装編も公開予定ですので是非お楽しみに!


《大塩》
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