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“皇帝”と呼ばれても「気楽にやっていた」―DFM Cerosに「選手キャリア」の前日譚を訊いた【インタビュー・後編】

前編に続き、プロゲーミングチーム「DetonatioN FocusMe」所属の『リーグ・オブ・レジェンド』部門・Cerosコーチへのインタビューをお届け。今回は、「いちゲーマーとしてのCeros」や「DFM本格始動までの経緯」などについて話を訊きました。

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“皇帝”と呼ばれても「気楽にやっていた」―DFM Cerosに「選手キャリア」の前日譚を訊いた【インタビュー・後編】
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2022年2月6日、プロゲーミングチーム「DetonatioN FocusMe」『リーグ・オブ・レジェンド』部門に所属するCerosさんは、「LJL2022 Spring」から選手としての登録を辞めることを発表しました。あわせて公開された映像では、Cerosさんは9年間におよぶDFMでの出来事を振り返りながら、これからは同チームの“コーチングスタッフ”として活動していくことを明らかにしました。

Game*Sparkは、DFM所属選手へのコーチングやe-Sportsコミュニティーにかかわる新たな一歩目を踏み出したCerosさんにインタビューを実施。前編に続き、プロゲーミングチーム「DetonatioN FocusMe」所属の『リーグ・オブ・レジェンド』部門・Cerosコーチへのインタビューをお届け。今回は、「いちゲーマーとしてのCeros」や「DFM本格始動までの経緯」などについて話を訊きました。




いちゲーマーとしてもストイック。中学生時代から始まる「DFM Ceros」のプロローグ


ーー初めてプレイしたゲームの思い出について、お聞かせください。

Ceros家にスーパーファミコンがあったので4歳か5歳ぐらいからゲームをやってましたね。そこからは世代通りに、NINTENDO 64やPlayStationを買って遊んでいましたが、14歳ぐらいに『メイプルストーリー』や『サドンアタック』といったPC用オンラインゲームに出会いました。そこからは家庭用ゲーム機では遊ばなくなって、ずっとオンラインゲームで遊んでいました。

ーーこれまで『鉄鬼』や『スペシャルフォース2(以下、SF2)』などの大会に出場なさっていますが、当時の心境はいかがでしたか。

Ceros今とあまり変わらないです。当時から僕は大会に出て、大会に勝つために練習するということを行っていました。『SF2』の時は最初から「大会に出よう!」と決めたメンバーで練習していたので、LJLに出ているときと変わらないテンションでゲームをプレイしていましたね。

ーー当時から勝つためにストイックなプレイをしていたのですね。

Cerosむしろ、そのマインドがそのまま『LoL』に変わったという感じですね。

ーー『LoL』を始めたきっかけはなんでしょうか。

Ceros10年前くらいに、当時の知り合いから「新しいゲームがあるから一緒にやってみないか」と誘われて始めました。

ーー見下ろし方のMOBA(マルチオンラインバトルアリーナ、『LoL』などのゲームジャンル)に抵抗はありましたか。

Ceros抵抗は特にありませんでした。当時は『SF2』を練習のためにプレーしていて、息抜きとして『LoL』をプレーするという流れで、戸惑いよりも新鮮さのほうが大きかったですね。今となってはMOBAというジャンルが定着しましたけれども、当時は10年前で、プレイヤー達からするとゲーム性の違いの違和感よりも新鮮さのほうが強かったです。

ーー初めてプレイしたのは、シーズンで言うといつ頃でしたか。

Cerosちょうど10年前ぐらいでしたけど……シーズン1がシルバーでシーズン2がプラチナなので、シーズン1からやってますね(プラチナは当時最高ランク「ダイヤモンド」の1段階下)。

ーー他のFPSタイトルでなく『LoL』のプロを目指そうと思ったきっかけはなんですか。

Cerosまず、当時の僕はプロを目指してはおらず、チームがプロになるという話が出た瞬間からプロになるかどうかを考えていました。

『LoL』を本格的にやろうと思ったきっかけは、他のゲームと比べて人口が多いからでした。オンラインゲームに常に付きまとう問題なんですが、プレイ人口がある程度いないとゲームが盛り上がらないじゃないですか。当時までに出てきたどのオンラインゲームも、サービス開始時に人がたくさんいてそこからドンドン減っていく道を辿っていました。

それと比べると『LoL』は人口が増え続けている感覚がありましたし、なにより海外のプレイヤーとゲームができることが、当時の日本のゲームにはない感覚でした。
(※日本サーバーが立ち上がる2016年3月まで、多くの『LoL』日本在住プレイヤーは北米サーバーでプレイしてた)

多くの人がプレーしているグローバルなゲームなので、ランクを上げる価値が大きかったですね。当時、人がいないゲームよりも人がたくさんいるゲームで上位ランクになりたいと思い、『LoL』を本格的にプレーし続けました。

ーーチームがプロになった経緯を教えてください。

Ceros時系列順で言うと、当時僕はソロランクだけをプレーしていて、そろそろチームに所属してチームゲームをやりたいなと思っていた時に、「FocusMe」というチームがメンバー募集をしていました。チームに加入してからは、当時一番大きかった「JCG」という『LoL』の大会に出場していました。ちょうどその時、『CSO』で活動していた梅崎さんが選手活動に一区切りつけ、「DetonatioN」というマルチゲーミングチームを作ろうと思い立ち、『LoL』部門として僕たち「FocusMe」に声をかけました。

その後LJLが発足し、DetonatioN FocusMeをプロチーム化することになりました。当時のメンバーがプロになるかどうかを問われ、全員「YES」と答えたので、DetonatioN FocusMeが誕生したという流れですね。ややこしいんですけど(笑)。当時プロゲーマーという職業があまりメジャーではなかったため、僕ら自身選択肢には入っていなかったのですが、突然その選択肢が降ってわいてきました。そこで考えて「プロゲーマーになる!」と決めた流れですね。

ーープロゲーマーになると決めた心境と、周囲の反応はいかがでしたか。

Ceros僕自身は楽観的であまり先のことを考えていないタイプの人間で(笑)。他にやりたいこともなかったので「まあ、なるか」ってプロゲーマーになることを簡単に決めました。周りの反応は、『鉄鬼』と『SF2』でオフライン大会で東京に行っていて、それが下準備になって割と受け入れられましたね。

ーー実績があった、ということですね。

Ceros親から見ても、いきなりではなくてちょっとずつ段階を踏んでいたような形だったみたいです。でも、当時はやっぱり「騙されているんじゃないか?」という話も出ましたね。梅崎オーナーとも最近話のネタにしましたけど、僕の親から梅崎オーナーに、「ちゃんとしたチームなんですか?」という確認の電話があったりとか(笑)。でも最終的にOKはもらえました。僕は受け入れられたほうだと思います。

ーー梅崎オーナーと初めてお話しした時の印象は如何でしたか。

Ceros: 「熱意のありそうな人だな」と思いました。梅崎さんと出会った人はみんな似たような印象を持つと思いますが、熱量の高い人だなというのが第一印象でしたね。それと、梅崎さん自身もゲームをプレイしていたので、その点は信頼度が高かったです。やっぱり、プロだったゲーミングチームのオーナーと、そうでないオーナーでは、僕はプレイヤー経験のある人のほうが信頼できると思います。そういう意味では、梅崎さんを最初から信頼していました。

ーーYutapon選手との最初の出会いや印象はどういったものでしたか。

Ceros第一印象は変わり者だなというイメージです。最近はそれに慣れて何も感じなくなってきていますけど、そういった印象でした。でも、割と気が合うほうです。僕がDFMに入ってから、別のゲームでも一緒に遊んでいて、それがずっと続いていますね。

ーー出会いはDFMに加入した時が初対面ということですか。

Ceros北米サーバーでソロランクをプレイしていた時に何度か当たってはいたのですが、ちゃんと話したのはDFMに加入してからです。

ーー選手として一緒にプレーしていた時と、コーチとしてYutapon選手と関わっている現在では何か変わった点などはありますか。

Cerosあまりないかもしれないですね。僕が選手をしていた時も基本的には真剣な話をあまりしなくて、適当なふざけた話ばっかりしていて(笑)。そのなかで、いわゆる仕事の話というか……『LoL』の真剣な話をしないといけない場面では真剣なモードになる感じが、なんとなく雰囲気としてあったので。元からそこは切り替えていましたし、今も変わらないですね。基本的には適当な話をしていて、真剣な話をするときは真剣なモードに切り替えています

ーー長らく同じチームでプレーしていますが喧嘩やすれ違いなどはありましたか。

Cerosないこともないですけれども、特別大きなことはないですね。大きな衝突はなかったです。

プロとアマチュアの違い、そしてこれからの“Ceros”が進む道は……


ーーCerosコーチが長らくeスポーツ業界に携わって感じたプロとアマチュアの違いはなんだと思いますか。

Cerosそうですね……個人的にはゲームの強さはあまりプロとアマには関係ないと思っています。こういう話では、「責任を負えるか」どうかが一番の違いだと思います。もちろん大会の結果に対してもですし、SNSでの振る舞いなどもそうですね。プロとアマチュアの違いで一番求められるところだと思います。

ーー引退の発表からいくらか時間が経ちましたが、心境の変化や周囲の反応はいかがですか。

Ceros僕は去年から似たような立ち位置ですので割と落ち着いています。周りの反応としても……どうですかね。まだ選手としての面として見られていることのほうが多いのかなと思います。コーチというよりもCeros元選手みたいな……(笑)。

ーー“皇帝”という二つ名について、どう感じていましたか。

Ceros僕はあまり気にしていませんでしたね。「皇帝」という呼び名もネットから始まったミームみたいなものなので(笑)。プレッシャーも感じず、あくまで僕はゲームをプレイするだけでいいと、あまり重荷を背負ってプレイしていませんでした。どちらかというと気楽にやっていました。

ーーこの先の10年でやりたいことや、目標などはありますか。

Ceros現状、あまり思いつかないですね。ただ、現実性がある話ではないんですけれども……もし僕が目標をまた見つけるとしたら、違うゲームのトップを目指すことなのかなと。漠然と、何かプランがあるわけではないですが、そう思いますね。

ーーーここまできてそれが目標とは……また上を目指そうと思うのはすごいですね。

Ceros逆にそれしかないなって。それしかできないなって気がしています(笑)。

ーー最後にファンの方々に向けて一言お願いします。

Ceros今年からコーチとなりポジションが変わっているのですが、基本的には「DetonatioN FocusMeが勝つため」が僕の活動目的であって、やっていることは変わりません。選手からコーチに変わった僕のことも、チームのことも改めて応援していただければ、とても嬉しいです。応援よろしくお願いいたします。

ーーー本日はありがとうございました。

※ UPDATE(2022/04/18 15:34): インタビュー内でCerosさんが言及していたゲームタイトルを修正しました。正しくは『鉄騎』ではなく、『鉄鬼』となります。


《Closter1um》
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