僕は、恐怖耐性がありません。そのくせホラー作品は大好きなので、これまで本連載でもビクビクしながらホラーゲームを取り上げてきました。
そんなことをしているうちに恐怖を和らげる対策を思いつきました。その対策とは……大盛りのご飯を食べる!
つまり、ホラーとは程遠い行動で恐怖感を紛らわせる作戦です。だって、ホラー映画で「白飯とともに横たわっている死体」ってあんまり見ないじゃないですか。ご飯の上にでっかい唐揚げなんかが乗っていると、ホラーとは程遠い雰囲気になってなお良しです!
今回は、Supermassive Gamesが手掛け、2K Gamesから発売された『クアリー~悪夢のサマーキャンプ』のPlayStation 5版。本作は、サマーキャンプに参加した9人の若者が、血なまぐさいハンターたちや正体不明の「何か」に追われる物語が描かれるホラーアドベンチャーです。
僕は、Supermassive Gamesが手掛けたホラーアドベンチャー『Until Dawn -惨劇の山荘-』のファンなので、プレイ前からウキウキです!「悪夢のサマーキャンプ」という、いかにもB級映画を匂わせるサブタイトルが良い感じですね~。
さあご飯も炊けたし、プレイしていきましょう!
死亡フラグには気をつけて!どう転ぶかは選択次第
ストーリーは、10のチャプターで構成されており、クローズアップされるキャラクターはチャプターごとに移り変わる。最初にクローズアップされたのは、車でキャンプ場に向かう途中のカップルのローラとマックスだ。
ホラー作品では、主人公が登場する前に、別のキャラクターの視点から始まることがある。
大抵の場合は、物語を盛り上げたり恐怖感を煽ったりする演出のために、殺人鬼や幽霊に殺されてしまう。このふたりももしかして……。
どうやらローラとマックスはキャンプ場への道のりで迷子になっていて、それが原因でケンカをしているらしい。
君達がケンカ別れをするのはメシウm……構わないんだけど、死なれると気分が悪いから今はやめてくれ!
頼むから和やかにいこうぜ!
プレイヤーは、様々な決断を迫られる。その積み重ねでエンディングが変化していくのだ。
今回の場合は、パンフレットと地図のどちらを手に取るか?という選択肢だ。
選んだ道に「間違い」はないが、「他よりも危険な道」はあるかもしれない。
無難な道を選んだつもりでも、あとあとどう転んでいくかは選択してみないとわからないな。
先程選択したパンフレットを読んでいると、目の前に何かが飛び出してきて事故を起こしかけてしまう。
喧嘩するカップル、迷子、事故ときたら、そりゃもう完全に死亡フラグじゃないか。
もしかしたら人か動物を撥ねたのかもしれない。そう思って周辺を調べていると……おっさんが突然ニュッと現れた!
心臓が止まるかと思うほどビビりまくるローラとマックスと僕。
このおじさんは警官らしく、ローラたちがハケット採石場のキャンプ場に行くことを知ると、別のモーテルに泊まるように勧めてきた。なんだか不自然だ。
ここが物語の分岐点なのだろう。警官の態度を見るに、ローラたちをハケット採石場に行かせたくないのは明らかだ。
ここはいっちょ逆らってみるか。「モーテルには行きませーん!」っと。
「私が駄目だと言ったら駄目なんです(ギョロッ)」
警官のおじさん、顔怖っ!
あ、白飯食べて恐怖を和らげなきゃ……!
見捨てる?助ける?生き残るにはどっちが正解だ!
モーテルへ向かうように言われたのに頑なに拒み続けた結果、警官の心象を著しく悪くしてしまった。
どうやら本当に重要な分岐点だったらしく、メニュー画面の「分岐」の項目にこのことが表示された。これが吉と出るか凶と出るかはまだわからない……。
結局、警官の指示を無視してハケット採石場にやってきたローラたちだったが、ロッジのドアを叩くも誰も出てこない。え~、宿泊予約してたんじゃないの?
仕方ないので、他の場所に誰か居ないかキャンプ場内を探し回ることにした。
本作は、基本的にムービーを見ながら時折挟まれる選択肢を選んだり、QTEをこなしたりして進めていくのだが、フィールドを自由に歩きまわる探索パートもある。
探索パートで拾得したアイテムはメニュー画面に記録される。ストーリー進行において必ずしも必要ではないが、物語を深く理解するための手がかりになるのだろう。
僕は、トロフィーや実績は可能な限りコンプしたい性格なので、たとえ殺人鬼に追いかけられている最中であってもアイテムは見逃さないぜ!
ロッジの周辺を探索していると、倉庫に人の気配を感じた。倉庫の鍵を開けるのにハンマーとレンチのどちらかを選ぶ。
もしかしたらこの選択もローラとマックスの生死に関わってくるのかもと、ビクビクしながらハンマーをチョイス。
ハンマーで鍵をぶっ壊して中を調べるも誰もおらず、外に出ようとしたその時、何者かにマックスが襲われる!
血まみれのマックスを前にして、助けるか見捨てるかの選択肢が現れた。
先ほどの探索パートでローラを操作したせいで感情移入してしまった。そこでなんとかしてローラの命を助けたい。マックスはどうでもいいや。
こういう時、どっちの選択肢の方が死亡フラグにならないのだろうか……。
駄目だ。どの行動をとっても死亡フラグのパターンになってしまう!
どれを選んでも駄目そうなら、面白い選択肢にしちゃえ!
ってことで、マックスを見捨てて1人で逃げてみた(死亡フラグ)。
ありゃ、ストーリーの分岐が確定したようだ。
怪我をした恋人を見捨てて逃げた薄情者の末路は……言わずもがな……。
パリピたちの青春白書は唐突に終わりを迎える……
あれから2か月が経過して真夏日になり、ジェイコブ達のチャプターになった。ここから本編か。
ジェイコブをはじめとしたサマーキャンプのメンバーは、みんなパリピっぽくてイラっとする。しかも男女混合のグループだと?
こんな青春イベント、僕の人生にはなかった。だからというわけではないが、「コイツらいけ好かないなあ」なんて気持ちが胸に少し芽生える。うん、少しじゃないな!
まあ彼らもすぐ死の恐怖に直面するだろうと思っていたのだが、なかなかそんな展開にならない。チクショウ、イチャつきやがって……!
全員死亡フラグな展開に導いてやるからな。
って、いつのまに殺人鬼サイドの思考に……いや、ただの非モテサイドの思考か。
映画感覚で楽しめるムービーモード!
本作には、QTEや選択肢、探索パートなどのプレイヤーが介入出来るシーンを省き、ムービーシーンのみを抽出したムービーモードが搭載されている。
ムービーモードでは、全員が生存するルートと全員が死亡するルート、そして、キャラクターごとに性格や行動の傾向を細かく設定するディレクターズチェアの3つのルートを事前に選択できる。
死に様が見たいキャラクターは、ピンチの時にパニックになりそうな性格にしちゃおう!
通常のモードは10時間、ムービーモードは4時間ほどでクリア出来ました。
サマーキャンプ+男女グループ+殺人鬼なんて、どう考えてもベタな展開しか起きないのですが、それがホラー作品が好きな僕にとって嬉しかったです。「お前らこんな所でイチャつくのは死亡フラグだぞ……!」なんてツッコミながら、最後まで楽しくプレイできましたね。グロテスクなシーンは『Until Dawn -惨劇の山荘-』と違って暗転表現はなく、しっかり描写されていたので安心しました。
ただ、全体的にムービーを見ているだけの割合が大きいので、途中ちょっとダレてきてしまいがちです。そのムービーもスキップはできないので、2周目をプレイする気力は湧きませんでした。せっかく分岐が気になるストーリーなのに勿体ないなあ……。
今後のアップデートでシーンごとのスキップや早送り機能が実装されることを強く願います!
『クアリー~悪夢のサマーキャンプ』はPC(Steam)/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox Oneを対象に配信中です。