2人の男女の交流と葛藤描くADV『Road 96: Mile 0』は『Road 96』の前日譚として文句なしの出来!ただし前作のプレイは必須かも【プレイレポ】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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2人の男女の交流と葛藤描くADV『Road 96: Mile 0』は『Road 96』の前日譚として文句なしの出来!ただし前作のプレイは必須かも【プレイレポ】

出自も立場も異なる2人の少年少女が織りなす、独裁国家での物語。

連載・特集 プレイレポート
2人の男女の交流と葛藤描くADV『Road 96: Mile 0』は『Road 96』の前日譚として文句なしの出来!ただし前作のプレイは必須かも【プレイレポ】
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世界中から高い評価を得たアドベンチャーゲーム『Road 96』の前日譚を描く『Road 96: Mile 0』が4月4日にリリースされました。開発は前作に引き続きDigixartが担当し、Ravenscourtと共同でパブリッシングしています。

本作は、独裁国家「ペトリア」を舞台に、出自も信念も異なる2人の男女の交流を描く作品で、2021年に発売されたロードトリップアドベンチャー『Road 96』の直前の出来事を描く前日譚。前作に登場したキャラクター“ゾーイ”と、同社のリズムゲーム『Lost in Harmony』の“カイト”をメインに物語は進んでいきます。

本稿では『Road 96』に熱中した筆者が『Road 96: Mile 0』のプレイレポートをお届けしていきます。果たして新作の内容やいかに……!?


◆独裁国家で描かれる男女の友情と葛藤の物語

本作の舞台となるペトリアは、タイラック大統領が絶対的な権力を持つ独裁国家。ペトリアは荒野に囲まれた国家ですが、その中でも緑あふれる公園や広場のある高級住宅街である「ホワイト・サンズ」を中心に進んでいくことになります。

物語の始まりは1996年5月。10年前にテロリスト“黒い旅団”が起こしたとされる衝撃的な事件が人々の心に大きな傷と影響を残し、街では今もそこらじゅうに警察官が配備され、少しでも怪しいと思われたら尋問が当たり前の状況で、人々が窮屈な思いをしています。

主人公のひとり・ゾーイは大臣の娘で、裕福な生活をしている立場。もう一人の主人公・カイトはホワイト・サンズでも貧困層向けの、労働者エリアに両親と住んでいます。立場がまったく異なるものの2人は親友の関係で、いつも街の外れにある「隠れ家」で遊んでいるようです。

ゾーイは10年前の事件を目撃した過去が、カイトは国のせいで親友を失った過去があり、それぞれの心に“闇”を抱えています。この作品は、その2人の過去と国の秘密、そしてその立場の変化と結末を描く物語として進行していきます。

◆革命的に生きる?国を信じる?プレイヤーが運命を決める

本作は複数の章に分かれ、各章ともにプレイヤーがキャラクターを操作して物語を進めていくアドベンチャーパートと、最後に発生するリズムゲームパートに分かれています。どちらのパートも進めていく中で「信念や行動」を選ぶ分岐があり、その選択によってキャラの精神的な立場が変化していくのです。

例えば街中に貼ってあるポスターが剥がれかけているのを見つけたときに、プレイヤーには「直す」「破る」という選択肢が表示されます。ゾーイの場合は直せば思想が国を信じるか、国に疑問を抱くかというように思想ゲージが変化していきます。

ちなみにゲーム内では「隠れ家」から広場や公園、大統領も住んでいる住宅地など、いくつかの場所へと移動することでストーリーが進行。各エリアにはストーリー状況によってイベントが用意されており、プレイヤーが自由な順番で選べます。

作中で明かされていく2人の過去と、心に抱えた闇の動きを視覚化するゲージは、プレイヤー自身が2人の運命を導く要素です。会話シーンもゲームシステムと心情を上手に表しており、空中に現れる選択肢が、キャラクターの視線を表現する位置になっていることも。感情の機微や動揺、決意など、多くの場面での表現の上手さが光ります。

また、各ステージには「ステッカー」「テープ」「塗料スプレー」などのアイテムが隠されています。集めることで隠れ家に追加され、次回プレイ時に少しずつ見た目が豪華になっていきますよ。

心に闇を抱える精神を表現・導くリズムゲーム

各章の最後に用意されているリズムアクションゲームは、ゾーイとカイトの精神世界を表現しています。カイトであれば導入部に失った親友の思い出が映し出されるほか、物語が進み「とある疑念」が出てくることで、この国の状況を比喩しているようなステージが登場します。

リズムアクションゲームはコース移動とジャンプ、しゃがみを使いながら障害物を避け、マップ内にある星を集めてスコアを稼いでいくシステムです。連続で星を取ることでコンボも発生し、ステージ内に3つある大きな星を取ることでボーナスも発生し、最終的なスコアはオンラインランキングで確認できます。

このリズムアクション部分もゲームとしてやりごたえがあるだけでなく、精神世界らしく突如として「今の心情を選択する」パートが発生することも。この選択も思想に大きく影響するので、反射神経も必要ですがよく考えて道を決めましょう。なお、リズムアクションはいつでも再プレイしてスコアチャレンジできます。

また、アドベンチャーパート内でも突然レールシューターや釘打ちアクション、4目並べなどのミニゲームが始まることがあります。これらは大きくストーリーに関与するものではないのですが、どれもなかなか楽しい内容です。特に新聞配達のレールシューターは人や物にぶつけ放題ですごく楽しいですよ!

◆前作『Road 96』も是非プレイしてほしい

本作は単独でも遊ぶことができる作品なのですが、やはり前作『Road 96』の前日譚という立ち位置なので、前作をプレイしておくことで、この独裁国家「ペトリア」に関わる多くの発見ができる内容になっています。

そもそも「ゾーイ」は、前作では主人公がペトリアから脱出する旅の途中に出会う重要NPCの一人です。彼女との出会いはとても印象的で、ゲームトレイラーやストアページでもゾーイと焚火しているシーンをクローズアップしています。彼女がなぜ裕福な街から旅に出たのか、それが『Road 96: Mile 0』での主題なのです。

前作『Road 96』のゾーイ。ゲームをプレイしたことがなくても見覚えがある読者も多いはず。

ちなみに前作『Road 96』は、今作の1か月後となる1996年6月からゲームが始まります。そのため、アナウンサーのソーニャなど、前作に登場したキャラクターの多くがそのまま登場しているのです。もちろん、その立場や国の状況は前日譚ゆえに少し異なることもありますが、前作をプレイしていると「ここに繋がるのか!」となる場面も多く登場します。

そしてなにより、前作は「国外脱出を目論む不特定多数の若者」が主役だったので、物語の舞台は国外へと続く道路・ロード96がメインでした。今作では、独裁国家の内面、それも大統領の居住区に近い場所が舞台で、人々たちの様子からその国の内面描写も描かれています。

大臣の娘という立場から住民に恐れられることもあるゾーイや、国の仕打ちによって親友を失ったカイト。ランダムな出自の主人公たちだった前作と比べ、しっかりした背景を主人公としたことで、前作とまた違うペトリアの姿が見えてくるのです。

前作『Road 96』は、多くの若者の運命を自分で作り出すロードトリップアドベンチャーで、何度も何度もプレイしてその世界の運命を見届ける作品です。是非ともこちらの作品もプレイしてみてください。

カイトとゾーイが遊ぶ4目並べ
こちらは前作にも登場。
このゲームも前作で遊べました。

ここまで紹介してきた『Road 96: Mile 0』ですが、これまで多くの高評価作品を生み出してきたDigixartらしい上質なシナリオ、プレイヤー自身が運命を導く前作『Road 96』から受け継がれたシステム、やりごたえのあるリズムアクションなど、さまざまな要素が非常に高いバランスで楽しめます。出自も立場も違う2人の少年少女の友情と対立、やがて訪れる大きな決断など、上質な小説や映画を見ているような印象です。

しかし本作をプレイしていて、あくまで『Road 96』の前日譚だということは強く感じてしまいます。ゲーム本編自体は単独のストーリーとして楽しめるのですが、キャラクターやちょっとした小物、ニュースなど、多くの部分が“前作をプレイしていないと理解できない”ことでしょう。ゲーム内でも明らかに「前作プレイヤー向け」のサービスが多い印象です。

なお、本作『Road 96: Mile 0』終了から『Road 96』開始までの期間のゾーイのストーリーを描くゲームブック「Road 96: Mile 0 - About a Girl」が、本作のDLCとして販売されています。こちらは現時点で英語とフランス語のみに対応していますが、いずれ日本語でも楽しめるように祈りたいところです。



名作ADV『Road 96』の前日譚!まずは前作をプレイすることで最高に楽しめるスパ!



《Mr.Katoh》

酒と雑学をこよなく愛するゲーマー Mr.Katoh

サイドクエストに手を染めて本編がなかなか進まない系。ゲーマー幼少時から親の蔵書の影響でオカルト・都市伝説系に強い興味を持つほか、大学で民俗学を学ぶ。ライター活動以前にはリカーショップ店長経験があり、酒にも詳しい。好きなゲームジャンルはサバイバル、経営シミュレーション、育成シミュレーション、野球ゲームなど。日々のニュース記事だけでなく、ゲームのレビューや趣味や経歴を活かした特集記事なども掲載中。

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