『サイバーパンク2077:仮初めの自由』オフイベにて「リズィー・ウィズィー」専用ヘッドギア製作者IKEUCHI氏へインタビュー!“望郷のサイバーパンク”とは | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『サイバーパンク2077:仮初めの自由』オフイベにて「リズィー・ウィズィー」専用ヘッドギア製作者IKEUCHI氏へインタビュー!“望郷のサイバーパンク”とは

「Takemura’s Favorite!」なおにぎり(鮭&梅)も配られました!

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『サイバーパンク2077:仮初めの自由』オフイベにて「リズィー・ウィズィー」専用ヘッドギア製作者IKEUCHI氏へインタビュー!“望郷のサイバーパンク”とは
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2023年9月2日、都内六本木にてCD PROJEKT REDがオフラインイベント「Phantom Liberty Tour 東京」を開催しました。『サイバーパンク2077:仮初めの自由』の試遊なども展示された本イベントでは「リズィー・ウィズィー」専用ヘッドギア「アミキリ・サウンドカッター」も披露されていました。

こちらを手掛けたのは、世界的に活躍するアーティストIKEUCHIさん。今回はなんと、そんなIKEUCHIさんご本人にインタビューさせていただける機会をいただけました!

『サイバーパンク2077』ファンイベントとあって、会場の随所にファンが喜ぶ仕掛けも山盛り! 最新DLC「仮初めの自由」にまつわるトークや「サイバーパンク エッジランナーズ」今石監督の登壇をはじめ、会場には今回の取材対象である「リズィー・ウィズィー」コスプレも闊歩するなどファンのテンションを上げてくれる演出が印象的でした。

おにぎりイラストの笑顔がかわいい!

会場では「おにぎり Takemura’s Favorite! 鮭&梅」というおにぎり(と唐揚げ)セットが配られ、バー・アフターライフで登場する「ジョニー・シルヴァーハンド」「ジャッキー・ウェルズ」「デイビッド・マルティネス」三種のカクテルも提供と、徹底的に『サイバーパンク2077』ファンを楽しませていました! まるで実際に「アミキリ・サウンドカッター」が存在していてもおかしくない『サイバーパンク2077』インスタレーションのような世界が展開されていました。

ここからは、そんなファン必見の会場で行われたIKEUCHIさんインタビューの模様をお届けしていきます。

◆サイバーパンクにある「望郷」「郷愁」……IKEUCHIさんへ「アミキリ・サウンドカッター」インタビュー!

そんな中で始まったIKEUCHIさんへのインタビュー。「アミキリ・サウンドカッター」制作秘話やテクノロジーをテーマとしたアーティストから見た「サイバーパンク観」について語っていただきました。

――まずは、アーティストのこれまでの簡単な経歴と「サイバーパンク」をテーマにした作品を作られたきっかけなどについてお教えください。

IKEUCHIさん:僕は1990年産まれで、美術大学でデザインなどを勉強した後に作品を作るようになりました。サイバーパンクな作品を作り始めたきっかけに関してですが……自分は意識して“サイバーパンク”を作っている気はないんです。

90年代産まれということもあって、「攻殻機動隊」やウィリアム・ギブスンの意思を継いだ日本人作家に多く触れていました。その時代に影響を受けているので、こういう作品になっているのではと思うのですけど「サイバーパンクを意図的に作っている」という気はあまりありませんね。もちろん、サイバーパンクとして見てくださるのはありがたいです!

――現在の作風に至ったきっかけなどあれば、お教え頂けますか?

IKEUCHIさん:きっかけは、美術大学に行っていたときの卒業制作です。美術大学にいたんですけれど、ずっと趣味で模型を作っていたりしました。4年間の集大成を作るというときに、趣味の模型と学校で学んでいたコンピューター的なデジタル技法を混ぜて卒業制作を作ったのが転換点ですね。

――“趣味の模型”から発展したということも含めて、どのような作品を好まれていたのですか。

IKEUCHIさん:大学時代ではないのですが「スターウォーズ」です。そこから、やはりウィリアム・ギブスンなどを好んで読んでいましたね。

――ありがとうございます。ウィリアム・ギブスンからはどのような影響を受けられたのでしょうか。

IKEUCHIさん:あらためてなんですけれど、ウィリアム・ギブスンはスプロール……つまり「中心」ではなくて「郊外」を舞台にしていて、そこに強く共感しました。

「サイバーパンク」は未来的だとよく言われるのですけど、僕としては「望郷」「郷愁」といった“懐かしさ”の方があると考えています。田舎の方にある懐かしさに実感を寄せる、という感覚なんじゃないかなと感じました。

小説「ニューロマンサー」の舞台は千葉でしたし、他のサイバーパンク作品でも埼玉などが舞台になっていたりする。「中心部ではない」という点が、サイバーパンクらしさを感じるところなんだろうなと思います。

――「リズィー・ウィズィー」ヘッドギア「アミキリ・サウンドカッター」制作前に『サイバーパンク2077』の世界に触れられたと思いますが、本作についてどのような印象を抱かれましたか?

IKEUCHIさん:『サイバーパンク2077』をみて感じたのは、「これが21世紀のサイバーパンクか!」という驚きですね! 主に色やガジェットといった形状ですかね。昔のサイバーパンク作品に見るデザインより、むしろ“今風”になったのかという点です。武器とかもリアルに影響を受けた形状だと感じます。

――今回のコラボが打診されたのはいつぐらいになるのでしょう。また、「アミキリ・サウンドカッター」制作期間などについても伺えれば幸いです。

IKEUCHIさん:3年前くらいにオファーを頂きまして、そこから始まりました。実際の制作時間は短めでしたが、やり取りは密にしていたので1、2か月くらいかかりましたね。

――“リズィー・ウィズィー専用ヘッドギア”のイメージはどのように広げていったのでしょうか。

IKEUCHIさん:あらかじめ確固としたデザインがありまして、それになるべく寄るようなアイテムを集め、あとは自分のこだわりを入れていく形でしたね。先方のイメージも3Dモデルが出来ているほどでしたので「寄せる」方向性で作っていきました。

――特に時間をかけたポイントとなると、どこになるのでしょうか。

IKEUCHIさん:最も時間をかけたのは塗装ですね。ヘッドホン内側の黒い箇所以外は塗っているのですけど、イメージを細かいところまで頂いており「ゲーム内ではこれくらいの画質で」と教えてもらっていたので、塗れば塗るほど反映してもらえると、特に力を入れました。

――ありがとうございます!あわせて、こだわりのポイントなどもお伺いしたいです。

IKEUCHIさん:デザイン自体は先方から頂いたものですけれど、そこに入れた自分のこだわりとしてヘッドギアの変形機構があります。元を活かしたまま加えたいなと頑張りましたね。箱の中にしまうときには折りたたんで小さくできるので、その点にもこだわりました。

――IKEUCHIさまはこれまで様々なIPや企業とコラボレーションされてきましたが、『サイバーパンク2077』との制作では特にどのようなことを意識されましたか。

IKEUCHIさん:「元のイメージスケッチがしっかりあった」というのは、他と比べて特殊だったと思います。「ゲーム内に作品が入る」というのも新しい経験でした。写真じゃなくて360度の視点から見られるので、そういうところも強く意識しましたね。

特に今回は「サイバーパンクの世界の中」のものとして作ることができたのが、新鮮でした。今までは、自分からはサイバーパンクと言わないものの、そう認知していただくという状況でしたが……今回はいわゆるジャンル指定というか(笑)。

そして「サイバーパンク」というジャンルは何でもありだと思ってます。ですので、それじゃあ今回の製作も「何でもあり」でやっていいんじゃないかなと。懐の広い“サイバーパンクというゆりかご”の中で自由に作れたのが新鮮でした。

――ジャンル指定がむしろ自由度を広げたのですね!

IKEUCHIさん:「ランボルギーニ」さんでしたら「ランボルギーニ」さんのイメージに合わせようという企画があったんですけど、今回は“サイバーパンクというジャンルだからこその自由”があったのは確かです。

いつもはヘッドフォンひとつ作るにも、一個一個の部品に意味を持たせなきゃと思うのですけど、「サイバーパンク」は意味のないものがあったとしても「意味を持たせられる」と感じます。たとえばひとつの穴にも、意味があるように思える。ユーザー側の想像力やリテラシーが高いんだと思います。こちら側が促さなくても、そこに想像を入れてくれる世界だと思います。

――「サイバーパンク作品を作っている」という意識はないということでしたが、、現在の技術の進歩などを含めて気をつけてられていることはありますか?

IKEUCHIさん:「自分がサイバーパンクをやっていることは意識していないものの、結果そう見られている」というのが良い点だなと感じています。自分が“サイバーパンクを作る”のではなく“本物を作る”と、中立的な立場で行きたいです。2023年の段階ならこういうものがあるよ、と提示していきたいですね。

――これから挑戦したいことや、今現在で取り組まれていることがあれば教えてください。

IKEUCHIさん:今はコラボレーションやクライアントワークではない、どこにも依らない個人的なものを作っています。本当に自分がやりたいもので、面白いかどうかもわからないです。作る動機やアウトプットの方法が全く変わった「自分がやりたいもの」になると思います。実験ですね。

そして、個人的な実験とは別に今回の『サイバーパンク2077』で「アミキリ・サウンドカッター」をつけた「リズィー・ウィズィー」をみて、世界観と作品が合わさったものも良いなと感じましたね。自分でも、世界観の段階から作ってみたいです。

――IKEUCHIさまはテクノロジーをテーマとしてアートを作られていますが、現在や近未来のテクノロジーがもたらす社会の変化などについて感じていることをお教えください!

IKEUCHIさん:まさに『サイバーパンク2077』の劇中では新しいテクノロジーが犯罪など、本来意図した形でなく使われていると思うんですよ。同じようにリアルの新しいテクノロジーも意図通りに使われないはずです。ですのでそういうものがある程度広まった後に「どう動こうかな」と考えます。

テクノロジーの進化には良いイメージもなければ悪いイメージもなく。ゆっくりゆっくり、いい落としどころで進んでいくんだろうなと感じています。

―― 最後に、読者の方に向けてコメントをお願いします。

IKEUCHIさん:自分が作ったもの、アウトプットへの見方などは自由だと思っていますので、見た印象のままに感じていただければ嬉しいです!

――今回はありがとうございました!


『サイバーパンク2077』拡張パック「仮初めの自由」はPC/PS5/Xbox Series X|S向けに9月26日発売予定です。


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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
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《高村 響》

ゲームライター(難易度カジュアル) 高村 響

最近、ゲームをしながら「なんか近頃ゲームしてないな」と思うようになってきた。文学研究で博士課程まで進んだものの諸事情(ゲームのしすぎなど)でドロップアウト。中島らもとか安部公房を調べていた。近頃は「かしこそうな記事書かせてください!」と知性ない発言をよくしている。しかしアホであることは賢いことの次に良い状態かもしれない……。

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