
ビサイドを旅立ったユウナたちはワッカ率いるブリッツチームと共に、シンに襲われたキーリカ、トーナメントが行われるルカを目指します。このパートでは異界送り、指笛、笑顔の練習と『ファイナルファンタジーX』を代表する名シーンが続きます。
Dialogue/Kilika~Luca


The dead need guidance.
Filled with grief over their own death,
they refuse to face their fate.
They yearn to live on, and
resent those still alive.
You see, they envy the living
And in time, that envy turns to anger, even hate.
Should these souls remain in Spira,
they become fiend that prey on the living.
The sending takes them to the Farplane,
where they may rest in peace.
Grief:嘆き
Refuse:拒絶する
Yearn:あこがれる
Resent:恨む
Envy:妬む
Farplane:異界

死者には導きが必要なのよ
彼らは自分の死への嘆きに満ちて
定めを受け入れるのを拒絶する
生に未練を残し 生者に妬みを抱く
やがて妬みは怒りへ そして憎しみに変わる
魂がスピラに留まり続ければ
生者を喰らう魔物になってしまうのよ
「送り」は彼らを異界へ連れて行くの
安らかに眠れるところへね

Hey, use that if we get separated.
Then, I'll come running, okay?
Well, guess we should just stick together,
then, till you can do it.

はぐれたときはそれで呼んでくれ
そしたらすぐに駆けつけるからさ
できるまでは離れずにいた方がいいよな

You know what?
It’s embarrassing to say this myself...
But summoners and their guardians
are kind of like Spira's ray of light.
A lot of people in Spira depend of us.
I learned to practice smiling
when I'm feeling sad, you know?
I know it's hard.
I want my journey to be full of laughter.
If we should get separated, just whistle.
I'll come running. I promise.
Embarrassing:恥ずかしい
Light:灯火、希望
Depend:頼りにする

あのね、自分で言うのも恥ずかしいんだけど…
召喚士とガードはスピラの希望の光なんだとおもう
スピラのたくさんの人が頼りにしてる
だから悲しいときでも笑顔でいる練習してるの
結構大変なんだけどね
わたしの旅は笑顔で満たしたいんだ
もしも離ればなれになったら口笛を吹いて
きっと駆けつけるから 約束だよ
日本語版では「笑顔の練習」はユウナが思いつきで言い出す形ですが、英語版では少し位置をずらし、召喚士として強くあるために以前から「笑顔の練習」をしている表現に変わりました。

今回取り上げた3つの場面に出てくるのが「Should」、うち2つが仮定法です。推量や“You should ~”のような命令は学校でもやりますが、仮定法については特定の分野以外で実際に見かける機会はそう多くありません。
Should these souls remain in Spira,
Well, guess we should just stick together,
If we should get separated, just whistle.
そもそもShouldとは「Shall」の過去形で、「Shall」は自然の流れ、あらかじめ決められた通りならそうなるべき、というニュアンスがポイントです。ロマンチックな文脈では神の意志や運命の意味合いも乗ることがあります。法律の文脈では契約上の義務として使うことが多く、約束事など「当事者の望む望まないに関わらず」起きること、行われるべきことを意味します。そのため“You should ~”の命令形にも使われるのですね。最初のティーダの「Should」は、指笛をユウナが練習している間の約束として登場します。
逆にユウナからティーダに教える「笑顔の練習」の場面、指笛をマスターしたところでユウナから"If we should get~"で返します。この2つのシーンが「Should」で対になるように台詞が書かれているんですね。
仮定文では助動詞を過去形にすると確度が低くなる法則があります。「Should」の場合だと万が一、もしかしたら、くらいの確度です。文自体は助動詞を抜いても成立するのですが、「Should」を入れることで「不可抗力」「運命的に」はぐれてしまっても、必ず指笛のもとに駆けつけるよ、と絶対の約束をここでするわけです。これが後々2人の運命に大きく影響に関わることを考えれば、すごく示唆的だと思うのは勘ぐりすぎでしょうか。
この"If A should~”の形を変えてShouldを文頭に持ってくる倒置にすると文語的になり、やや畏まった表現になります。そのため、今回はルールーの台詞を言い伝えの雰囲気で訳してみました。

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