今やPC/コンソール/モバイルそれぞれのプラットフォームでサバイバルジャンルの作品は定着していて、多くのプレイヤーがさまざまな世界を舞台にサバイバルを楽しんでいます。
Game*Sparkでは【クラフトサバイバル名鑑】として、同ジャンルが好きな筆者が、定番作品を中心にクラフトサバイバルジャンルの作品の魅力を紹介・解説しています。今回紹介するのは、2025年4月25日に正式リリースを迎えたコロニー構築シミュレーション『Survivalist: Invisible Strain』です。

未曾有のゾンビアポカリプスから10年
『Survivalist: Invisible Strain』は、インディー開発者のBob氏が手がける作品(パブリッシャー:Ginormocorp Holdings)。Bob氏は2015年にシリーズ前作とも言える『Survivalist』をリリースしていて、こちらもSteamユーザーレビューにて「非常に好評」と高い評価を受けています。
本作が発表されたのは2018年(当時は『Survivalist2』名義)。2019年からアルファテストを開催しながら開発を進め、2020年月にSteam早期アクセスをスタートしています。早期アクセス期間中も精力的にアップデートを行い、およそ5年間を経てついに正式リリースされました。
ゲームの舞台は、謎の感染によって文明崩壊が始まって10年後の世界。生き残った人々は、感染者や野盗の襲撃から身を守るために、それぞれのコミュニティを形成しています。プレイヤーは、この地を訪れた難民として生活していくことになります。
ゾンビ版『The Sims』とも言われる本作は、登場するNPCすべてに性格や人間関係が設定されています。プレイヤーの行動や会話、他のキャラクターへの態度によっても評価が変化するので、協力も敵対も起こり得ること。さらに、自身のコミュニティの維持も考えねばなりません。


正式版に向けては、さまざまな不具合の修正や各種言語のローカライズ修正などを実施。本作はパブリックベータでコミュニティとテストしながらメインブランチに適用する方式を採用していて、現在はV243が採用されています。現在テスト中のv244では、日本語を含むさらなるローカライズ更新も予定されているようです。


まずはストーリーモードで世界を知ろう
本作に用意されているゲームモードは、基本的なゲームプレイを体験しながら進めていくストーリーモードと、好きな設定でプレイできるサンドボックスモードの2つが用意されています。モードと難易度の選択後は、最初のプレイキャラクターを作成しましょう。
キャラクター作成は名前や見た目のほか、服装や所持品、スキルなどを定められたポイント内で変更できます。いくつかのプリセットも用意されているので、まずは職業のイメージで選択しても問題ありません。最後に性格を決定しますが、こちらで会話の内容なども変化していきます。



ストーリーモードでは、難民である主人公が「ムースバレー」の地へとたどり着いたシーンから始まります。しばらく道を進むと道端に死体の山を発見。調べていると、死んだふりをしていた女・ケリーが近付いてきて「金を出せ」と脅してきます。
ケリーとの会話ではさっさとお金を渡したり、抵抗したりする選択肢はありますが、基本的には戦うことになります。戦闘後は(どういう結果であっても)ケリーと協力するかどうかを選択し、仲間にした場合は新しいコミュニティとして行動することになります。





ストーリーモードは、さまざまなコミュニティと関わり合いながら、自身が生き残る道を探すことになります。多くの目的達成の手段は取引も暴力も可能で、ゲームの楽しみ方を理解しながらも、しっかりと厳しい世界でのサバイバルをたっぷり味わえます。



コミュニティとして生きるために
プレイヤーがムースバレーで生きるためには、最低限の衣食住を手に入れることは必須です。幸いこの世界では住むところを見つけるのは難しくありません。木を切って小屋を立てたり、道具を揃えて空き家を改築すれば、住処としてではなくコミュニティとしての拠点としても利用できます。
コミュニティを築くためには、プレイヤーが世界で生き残っている人物を勧誘する必要があります。当然の話ですが初対面の人間に付いていこうという人は少ないので、重要になるのが関係性を構築することです。そのため、まずは出会った人間とは会話を重ねて人となりを学んでいくことが大切です。




話したり、個人的なクエストを達成することで関係性は深くなっていきます。中には「〇〇は感染しているに違いない」などの情報もあり、それを調べることでただの痴話喧嘩だったりすることも。こういった人間関係の観察も『Survivalist: Invisible Strain』の楽しみのひとつです。
もし無事にコミュニティのメンバーを増やせたら、次は安定した生活を考えねばなりません。NPCはそれぞれの欲求や性格があり、もし空腹になったら勝手に外に出歩いて食料を探しに行きます。もし、お金もなかったら他の集落のNPCを脅すこともありますし、最悪の場合それで喧嘩になって死ぬことだってあり得るのです。


食料は狩りや農業で確保したり、色々な道具を作って金策して購入することも。NPCはそれぞれスキルの差があって仕事の指示もできるので、得意な分野に合わせて狩りや建築、探索などを行っていきましょう。なお、コミュニティ内メンバーはいつでも操作キャラクターに切り替え可能です。




気になる彼は「隠れ感染者」?
過酷な世界で限界サバイバルする『Survivalist: Invisible Strain』では、慣れない内はあっという間に死んだり、コミュニティが壊滅することもめずらしくありません。もし安定した生活を送っていても、突然のゾンビや野盗の襲撃でぼろぼろになってしまうこともあるのです。
感染者対策も重要で、もしゾンビに噛まれてしまったら感染に応じてワクチンを投与しなければなりません。また、仕事させすぎたり関係性が悪化すればNPCは「無気力」状態になるので、しっかりケアも考えましょう。とにかく生活の質を上げることがコミュニティ安定の秘訣です。



そして、本作で最も恐ろしいのが「隠れ感染者」の存在です。これはこの世界に現れた新種の感染者で、普段はコミュニティに馴染んでいるようで、少しずつ他の人間を感染させようとしてくる恐ろしい存在です。もし自分のコミュニティにいた場合は、気がつけば全員襲われていることもありえるのです。
「隠れ感染者」は言動や性質に影響が出るので、会話の中で見分けるしかありません。もし発見したら追放するだけでなく、なるべく殺してしまわないと他のコミュニティへ入っていく危険性もあります。もっとも、嫌いなコミュニティに向かうようだったら放置する、というのもひとつの選択肢ですが……。



日本語に対応している本作ですが、それでも「隠れ感染者」への対応は決して簡単ではありません。まずは何度もプレイしながら、コミュニティの壊滅を見届け、少しずつプレイヤー自身が学んで成長していくのが大切ですね。


自由なプレイもMod導入も!
もうひとつのモード・サンドボックスでは、プレイヤーが自由に設定した世界でのサバイバルを楽しめます。ワールド設定は難易度から感染者の割合、集落やイベントの数、そして「隠れ感染者」の割合まで細かく設定できます。設定次第では、かなり緩めのサバイバル生活も楽しめます。
また、本作にはエディタ機能も搭載されていて、ストーリーやアイテム作成、会話の種類なども自由に設定することができます。製作したものはSteamワークショップにアップロード可能。ワークショップには記事執筆時点で300を超えるストーリーやゲーム内容に関するものが用意されています。

Modsには新しい武器を追加するもの、釣りなどのアクションを追加するものなどから、ゾンビ自体を出現させなくするものなど、非常に多彩な種類があります。人気のオーバーホールMod向けの日本語翻訳Modなどもあり、ゲーム内からも導入できるので、本編だけでなく色々な楽しみ方ができるのも大きな魅力ですね!


ゾンビアポカリプス世界を舞台にしたコミュニティ構築が楽しめる『Survivalist: Invisible Strain』では、会話や暴力、ときには自分自身を使う取引など、さまざまな生き方を使ったサバイバルが楽しめます。単純に食料厚めやクラフトといったサバイバル要素だけでなく、人間関係にこだわったゲームシステムも大きな魅力のです。
コミュニティに仕事を指示しながら、仲間たちの成り行きを見守るのもひとつの面白さ。主人公が新たに作り出したコミュニティは貧弱で、すぐに不満や危険だらけになってしまいますが、東奔西走しながら対応し、コミュニティを成長させ、やがて訪れるさらなる危機を必死に乗り越えていくのも醍醐味ですね。それでも崩壊する時はあっさり崩壊します。

難易度設定よってはセーブにも制約があるなど、プレイヤーごとのスタイルも楽しめます。プレイスタイルの豊富さはもちろん、サンドボックスによる自由な遊び方、Mod導入でのさらなる選択肢などもあるので、じっくりと世界を作り上げる事ができますよ!現在はPC(Steam)/Xbox Series X|Sにてプレイ可能です。
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