やめて食べないであっあっあっ…食欲旺盛ドラゴン娘育成『ドラプリン』、選択肢の重さと凄みが唯一無二の体験でした【プレイレポ】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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やめて食べないであっあっあっ…食欲旺盛ドラゴン娘育成『ドラプリン』、選択肢の重さと凄みが唯一無二の体験でした【プレイレポ】

善行貯金を切り崩して悪事をフォローするのだ(?)

連載・特集 プレイレポート

今回は個人デベロッパーのカナヲ氏と、Vaka Game Magazineが、2025年6月30日にSteamにてWindows PC向けに早期アクセスとしてリリースした育成ローグライト『DRAPLINE(以降、ドラプリン)』をご紹介します。

カナヲ氏といえば、7年かけてシリーズ完結した人気アクションADV『被虐のノエル』でもお馴染みのゲームクリエイター。果たして今作では一体どんなストーリーを見せてくれるのでしょうか。

なお本稿において触れている本作の演出の一部は、初見だからこそ楽しめるものがあると思います。ネタバレではないものの、念のためご注意ください。

『ドラプリン』とは?

本作は世界の危機に際して、「神竜」と呼ばれるドラゴンの女の子クーリャ(デフォルト名)を、1年かけて育てていく育成ローグライトゲーム。ゲーム内時間で1週間ベースで進行し、定期的に発生する中ボス戦に向けて、各ステータスを強化しつつ、最終期限であるラスボス戦を目指します。

神竜の強化は、食べ物を与えることで行われます。食べ物にはそれぞれ「どのステータスが強化されるか」が設定されており、ランダム入手できる食べ物でステータスを上げ、これまたランダムで得られる様々なスキルと組み合わせて自分だけの強い神竜を育てていきましょう。

食いしん坊なクーちゃんはお肉も野菜も好き嫌いせず何でも食べます。まるで人間の子どものような無垢な振る舞いで硬い岩石も建物も食べます。もちろん動物だってペロリとひとくち。そういえば人間も動物ですよね(唐突)。

何を選んで食べるのか、ゲームから突きつけられる倫理感を問う選択肢。我々プレイヤーは「これも世界平和のためだから……」と震える指でいただきますを選ぶのか、それとも理性的に振る舞うのか……。

本作ではこの「食べる」ことが、世界設定だけにとどまらずゲームシステムにもガッツリ組み込まれているおかげで、「選択と結果」に重大な意味を持たせることに成功しており、それがゲームの何よりの持ち味になっています。

もちろん早期アクセス故、記事執筆時点においては、戦闘やイベント頻度などの影響から、「ちょっと難しくない?」と感じることもありますが、そこは今後のアップデートで調整が入ることに期待しつつ……いま筆者のプレイが下手だからでは?と思ったそこのあなたは神竜様の胃袋の中へ1名様ご案内。ともあれ早速紹介してまいりましょう。

操作・設定・言語について

基本的な操作はキーボード&マウスに対応している本作。コントローラーでも接続できましたが、筆者のみの環境によるものなのか、一部ボタン入力が入らなかったり。いずれにせよ、画面クリックして進行するタイプのゲームなので、デフォルトのキーマウ操作が遊びやすいと思います。

その他設定についてはオーソドックスな項目が並ぶので、こちらはお好みで調整していくとよいでしょう。また言語については、もちろん日本語にバッチリ対応。音声はありませんが、テキストベースで登場キャラクターたちを活き活きと描写されています。

本編開始

さあ始まりました『ドラプリン』。新規ゲームを開始するとこのようにプレイヤー名を決める画面になるので自らを「スパくん」と名乗ることにしました。前世のネット上で悪さをした咎で本作世界に転生したとかそんな脳内設定で参ります。

チュートリアルで学ぶバトルのやり方

名前の入力が終わると、のっけからラストバトル。いわゆるチュートリアルパートで、本作を構成するメイン要素の一つである「バトル」システムについて実際の操作から学んでいけます。シンプルなコマンド選択式のターン制バトルで、相手のHPをゼロにしたら勝利、その前にこちらがゼロになったら敗北というシンプルなルール。

そこへバフ、デバフといった効果、通常攻撃にスキル攻撃、さらにはそもそものパッシブスキルや装備品といった要素が絡まることで「バトルの駆け引き」が生まれます。クールダウンタイムギリギリで盤面をひっくり返して勝利を掴み取れた時の喜びはひとしおですね。

ちなみに今後のバトルでは、仮に負けてしまっても、即ゲームオーバー最初からやりなおしということにはならず、スキルや装備を付け替えて再チャレンジする選択肢が用意されています。ここらへん、気軽にリトライできる非常に良い設計だと思います。

そして本作は周回プレイ前提のゲームデザインなので、ゲームオーバーになってもそれまでのプレイからスコア換算され、次回に持ち越しできるCPというポイントが得られます。このCPを消費することでいくつかの特典がアンロックされ、「強くてニューゲーム」も可能になっています。

日常生活だってリスクとリターン、取捨選択なり

本作の基本的な流れはおおまかに「日常パート」と「ボス戦」を交互に繰り返すことで進行していきます。日常パートは、1ターン(ゲーム内時間で1週間ベース)で進行し、ターン開始時にランダムで出現する食べ物をひとつ選んで購入し、続いて行動・イベントをひとつ選択していくことで資金を稼ぎ、同時に神竜クーちゃんのステータスアップを行います。

彼女のステータスは体力、攻撃、防御、知能、抵抗、俊敏といったものが用意されており、与える食べ物・選択肢によってそれらのうちいくつかが変動。これが後々にひかえるバトルでの優位性に影響を与えます。

しかし食べ物の購入には「資金」を、行動・イベント選択には「体力」を消費するため、あれもこれもとイベントを巡ったら体力が尽きてしまいます。そうなると1ターンを休息に充てる以外に選択肢がなくなり、大抵そこからそれまで順調だった資金・体力の収支サイクルが崩れ始め、どこかで帳尻が合わなくなって資金難に陥ってしまいます。週明けの食物購入は強制なので、所持金ゼロだと借金してでも買わなくてはいけません。

そうなると今度は利子が膨れ上がる前に借金返済のために奔走する羽目になり、当初目指していたステータスアップが行えないまま数ターンが過ぎて、気づけばボス戦に突入するもあっけなく敗退ゲームオーバー……なんてこともあったり。

これら金策、体力管理、ステータスの育て方などは、それぞれの要素自体をみれば極めて単純なものです。しかしバトルでの勝利を考え始めると、それらは「先の先を読んで取捨選択しなければならない」要素になっていきます。

その意味において、日常でもボス戦(バトル全般)どちらについても、根底に流れるこの「リスクとリターン」そして「取捨選択」の要素が、やはり本作における最も面白い要素であると思います。

倫理的な選択肢を突きつける「性格変化」

この取捨選択をさらに悩ましい要素にするのが、本作の「性格変化」システムです。神竜クーちゃんはその行動の結果として、性格が野生的なWILDか、または理性的なRULEに寄っていきます。

この性格変化によって、食べ物から得られるステータスアップにバフがかかります。クーちゃんの強さだけに注目すれば、WILDであればあるほどステータスが大幅に上昇していくので、いいじゃんいいじゃんどんどん食べてこうぜとなります。

シカも地面も岩もなんでも食べな食べなと腕組み後方保護者面していた筆者もそうでした。

住民を食べ始めるまでは。

キャラクターイベントで、ほんわかふわふわなやり取りをしていたところへ突然挟まれるこの「食べてもいい?」という選択肢。それまで穏やかに流れていたBGMもピタッと止んで、緊張感だけが高まっていきます。

ほんとに食べちゃった……。

キャラクターを食べるとこのように、得られるステータスアップの量はとんでもねえことになりますが、以降そのキャラクターに関連するイベント・報酬が一切もらえなくなります。そしてヒトの味を覚えたクーちゃんがこちらに向ける視線に熱いものが混じったような気がします(幻覚)

ここらへん、実際プレイしていると「道を踏み外してどんどん堕ちていく感」が凄まじかったです。しかしよく考えると、短期的なステータスアップはたしかに魅力なものの、長期的に見れば機会損失によるデメリットのほうがじゃないのこれ?と頭ではわかっているんです。

キャラクターが1人また1人とクーちゃんのお腹の中へ行方不明になるにつれで、金策の手段が減っていきます。そうなるとまた前述の借金スパイラル。取り立てに来たキャラクターもいただきますごちそうさまできちゃってもう堕ちるところまで堕ちていくんですよね。

ちゃんとそういう方向性に進みだすと、他キャラクターたちとの会話にもピリついた雰囲気がでてくるのが、「あ、もう取り返しつかないことしちゃった」という思いを加速させますし、その行き着いた先でイベントが発生……なんてこともあります。

やるか……善行……

ともあれ目先の安易な強さを求めると、結果はロクなことにならないと身を持って学べます。じゃあ極力RULE側になるよう品行方正な行動を続ければよいのか、というと今度は長期的には恩恵が大きいけれど、「序盤で微妙に強さが育ちきらないままボス戦」からのゲームオーバーという憂き目に。

ここらへんの攻略としては、とりあえず善行を積んでRULEをなるべく多く「貯蓄」しておけば、たまの“つまみ食い”で住民が行方不明になっても、WILDに振り切れず、いい感じにバランスできるのではないでしょうか。筆者の倫理感は遠いところへ置いてきた。


本作について、強いて惜しい点を挙げるならば、2番目のボスをもう少し優しい難度にしてくれないかな……という感じですが、これは筆者のやりこみが足りないだけなので、精進していきたいと思います。

またチュートリアルについては、2回目以降はスキップできる機能もあれば嬉しいかなとも感じましたが……いずれにせよゲームの評価を損なうものではないですし、今後のアップデートに期待です。

ともあれ本作は世界設定とシステムが見事に合致して「取捨選択の重さ」を巧みに演出していながら、ゲームテンポはサクサク進むようデザインされているので、気軽に地獄を楽しめることでしょう(?)

そんな倫理も常識も飲み込んで突き進むドラゴン娘育成ゲーム『ドラプリン』は、2025年6月30日より、SteamにてWindows PC向けに早期アクセス版が配信中です。


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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
  • タイトル:『ドラプリン』

  • 対応機種:Windows PC(Steam)

  • 記事におけるプレイ機種:Windows PC(Steam)

  • 発売日:2025年6月30日

  • 著者プレイ時間:3.5時間

  • サブスク配信有無:Xbox Game Pass/PC Game Pass/PS Plus

  • 価格:1,200円(2025年7月14日まで996円のセール中)
    ※製品情報は記事執筆時点のもの

スパくんのひとこと

自分にとって都合が悪い相手を積極的に食べさせていく無法プレイしてたらシバかれたスパよ。何がいけなかったのか。

ライター:麦秋

ライター/お空の人。 麦秋

普段は仕事であちこち渡り歩いては飛んでます。自分が提供するものが誰かのお役に立てれば幸い。皆さんのこくまろなキャラに並べるよう頑張ります。

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  • スパくんのお友達 2025-07-17 19:10:43
    2番目のボスで強いのいたっけ...?3番目じゃなくて?
    2回ヤバめの食べるとモルさん討伐で終わっちゃうからそこも乱数にしたら食い食い悪の道に染まれてもっとエンジョイできるのに...
    0 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2025-07-14 3:59:21
    悪ルートの実装待ってます
    3 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2025-07-14 2:06:03
    このゲームは神ゲー。
    昔のパワポケのサクセスを思い出す感じでとてもおもしろい
    あとはハッピーエンドをください・・・
    10 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2025-07-13 21:32:39
    1周目は最終戦の手前くらいで「人の味」を覚えてもらい、大幅なステータス強化を図った上でラスボスへ挑む。願わくば堕ちるところまで堕ちる一歩手前が理想か。

    こんなプレイが出来たら面白いな。2周目は善行プレイ。
    0 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2025-07-13 12:25:43
    日本一が作ってたら住民が断末魔をあげる描写が入りそう
    早期アクセスだから今後追加される可能性もあるのかな・・・
    10 Good
    返信

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