
7月18日から20日にかけて今年も行われた「BitSummit the 13th(以下、BitSummit)」。祇園祭のすぐ後に、京都・みやこめっせで行われる本イベントには、今後話題となるであろうゲームがずらりと並びます。
本稿では、その中のひとつ『Awaysis』のプレイレポートをお届け。本作は物理演算が特徴のアクションゲームで、サウンドをChip Tanaka氏(たなかひろかず氏)が手掛けるなど、ゲーマー注目の一作です。
後半では、開発者であるジェイク・カズダル(Jake Kazdal)氏へのインタビューも実施しているので、あわせてご覧ください。
ぶっ飛ばしてぶっ飛ばされる!ミスも面白い“操作そのものが楽しい”物理演算の世界
『Awaysis』は、物理演算をベースにしたゲームです。並み居るエネミーや立ちはだかるボスたちを相手に、“ぶっ飛ばして、ぶっ飛ばされる”ようなアクションが行われるタイトル。この“物理演算”がキモで、独自のツールで実現したという「プレイしているだけで楽しい世界」が最大の魅力です。
ちょうどいいタイミングで敵を切りつけるとポーンと遠くに吹っ飛ぶのはもちろん、自分も攻撃を食らえば吹っ飛んでしまいます。ちなみに、間違えて味方に攻撃を当ててしまうと、仲間も(ダメージはないものの)吹っ飛んでいきます。
味方への誤爆があるため、“いかに誤爆を減らすか”ということが重要そうに思えますが……試遊したところ、この考えは早々に諦めることとなりました。というのも、本作では仲間への誤爆は比較的避けにくくなっています。必死に戦っていると、いつの間にか仲間を攻撃してしまうような塩梅なのです。
もちろん気を付けて突きを繰り出し、味方を避け敵のみを攻撃することもできますが、いずれはわちゃわちゃとしたフレンドリーファイアな“飛ばし合い”が発生することになるでしょう。事実、物理演算をベースとした“飛ばし飛ばされ”が楽しいのです!

もちろん、敵の攻撃を捌き戦っていくためにガードやアタックを上手くこなしていくことは必須で、その達成感も間違いなくあります。ガードもスティック操作で行うので、敵の攻撃をうまく見切り、溜め攻撃を返していくアクション面での面白さも体験できました。上手くなれば、どんどん達人のような動きになっていくでしょう。
そして筆者が感じた『Awaysis』最大の魅力は、物理演算ベースの大混戦です。敵の群れを追いかけ蹴散らして、時には倒れて仲間に助けてもらう「ミスすらも楽しいゲーム体験」が味わえました。
16bitのその先へ!『Awaysis』を作るうえで重視した“遊び”の精神とは?
続いては、本作の開発元・17-BITの創設者であり、開発者でもあるジェイク・カズダル氏へのインタビューをお届けしていきます。

――まずは自己紹介をお願いします。続けて、『Awaysis』がどういうゲームかについて、改めてお聞かせください。
ジェイク・カズダル氏(以下、カズダル氏):ジェイク・カズダルです。2009年に17-BITを設立してから2025年で16年目で、12年前から京都に住んでいます。『Awaysis』のようなゲームをずっと作りたくて、チームが強くなるまでタイミングを見計らっていました。
本作は物理演算にこだわったゲームです。物理演算の反応が心地良いゲームといえば、例えば任天堂さんが作るゲームなどが挙げられますが、「そのようなゲームを自分たちでも作れないか」とオリジナルのツールを使いつつ開発しています。
僕は日本の昔のゲームが凄く好きで、ファミコン時代に遊んでいたようなゲームを作りたいというスピリッツ、精神性でいます。17-BITという社名は、「16bitの時代からプラスアルファで未来的な要素を加えて面白さを届けたい」という意味なのです。
本作の制作を通じて、作曲家・たなかひろかずさんと出会うことができました。僕の子供時代の、思い出のゲームの楽曲を多数手がけている方です! たなかさんに『Awaysis』の音楽を承諾いただけたのは、夢のようですね。
――たなかひろかずさんが楽曲を手掛けたゲームで、お好きなタイトルを教えてください。
カズダル氏:『メトロイド』です。ちょうど13歳の時に買ってもらって、夏休みにずっとやっていたからもう忘れられない。あとは『バルーンファイト』に、『エキサイトバイク』です。
やっぱり僕は、その時代のゲームに一番影響を受けています。これらを、たなかさんがほぼ全部作っていらっしゃるのがちょっと信じられないですね。彼は本当に天才です。今もなお、どれだけ聴き続けても飽きない音楽だというのは素晴らしいことです。
――今回、実際に『Awaysis』を触ってみると「操作しているだけで面白い」という印象を受けました。物理演算をベースにするにあたっては、どのようなことを意識されたのでしょうか。
カズダル氏:最近の物理演算ゲームは面白い作品もありますが、どことなく同じような感覚になってしまいがちです。なので、『Awaysis』では物理演算を「ゲームの面白さ」の中にしっかり織り混ぜるように心がけました。その分、開発は時間がかかりましたし、難しかったですね。
でも問題としては、遊んでもらわないと面白さがわからないということです。実際にプレイしないと「操作感の面白さ」ってわからないですよね。スクリーンショットや動画だけで見ると、普通のゲームに見えちゃうと思うんです。でも、そこから一歩進んで、ちょっと触ってみてほしいですね。

――「プレイしないとわからない」という点はよくわかります。ただ、その中で“少し操作感が違う、本作に近いゲーム”をあえて挙げるならどういった作品になるでしょうか。
カズダル氏:このゲームに似ているのは、『聖剣伝説2』ですね。『聖剣伝説2』は操作している感覚がほかのゲームと少し違うじゃないですか。チャージにちょっと時間がかかるとかが、操作感で言うと似ていると感じます。
――確かに似ていますね!
カズダル氏:ファミコンだけでなく、ゲーセンで触っていたようなゲームを物理演算で再現できないかということに挑戦し、成功したのが『Awaysis』です。僕が一番初めにゲームクレジットに入ったのはクインテットとエニックスによる『ガイア幻想紀』なのですが、その時期にあったゲームの面白さを表現したいのです。
――今回のBitSummit以外での出展などは考えていらっしゃいますか?
カズダル氏:今回が初出展で、もっと色んなイベントに出たいので今後も色々と出していく予定です。でも会社が京都にあるので、BitSummitはすごく楽ですね(笑)。
――『Awaysis』にはストーリーもあるとのことですが、その内容についてお聞かせください。
カズダル氏:ストーリーがメインとなる作品ではないですが、もちろん物語は存在しています。『Awaysis』の世界では雨が降らず、唯一、空に浮かぶ寺院のような山「アウェイシス」から水が生まれるようになっています。
これが世界中に流れることで人々は恩恵を受けているのですが……しかし、そこをゴブリンが占拠してしまいます。この状況を打開するために、様々な種族の戦士たちが集まって協力するという物語です。始めは歪み合っていたメンバーが、徐々に結束していきます!

――今回の試遊ではCo-opプレイでしたが、他にはどのようなゲームモードが実装されるのでしょうか。
カズダル氏:ソロモードもありますし、オンラインでフレンドとも遊べます。さらに言うと、PvPモードも存在していますよ。『大乱闘スマッシュブラザーズ』のようなイメージですね。今回の出展では水のステージしかプレイできませんが、多種多様なマップも用意されています。
また、『Awaysis』では“遊ぶ”ことを重視しています。協力プレイでも、パワーアップのジェムとかお金とかを「自分が欲しいから」という理由で友達より先に取ってしまったり、間違えて仲間を叩いてしまったりすることもある。
そこで、「お前ふざけんなよ!」とゲーム中で叩き返す小競り合いも起きてしまうかもですが、これは特にメリットのない“ゲームだからこその遊び”になりえるのです。
物理演算なので、注意していてもたまにそういった味方への攻撃ミスがあったりします。「わざとじゃないけれど、ごめん!」みたいなことも多々あるでしょう。『Awaysis』は、物理演算をベースにした“生きている世界”です。ぜひ、この世界でそんなプレイヤー間のやり取りも含めて自由に遊んでください!

――プレイが楽しみになるお話をありがとうございます。リリース日はいつになる予定ですか?
カズダル:まだまだ色々考えて、ガンガン作りたいので、2026年初頭から春までを想定しています。遅くても夏前くらいにはリリースしたいです!
対応プラットフォームは既に決定しているPC/PS5/Xbox Series X|Sのほかに、将来的にはニンテンドースイッチ2でも出したいです。初代スイッチではパワーが足りないから、ちょっと無理なんですよね。スイッチ2に向けても頑張っています。
――最後に読者に向けてコメントをお願いいたします。
カズダル:『Awaysis』は、今までにないタイプのゲームです。昔のゲームでの好きなポイントがいろいろと集まっています。実際にプレイしないとわからない要素が多いので、ぜひ“遊んで”感じてみてください!
――ありがとうございました!
試遊レポート&開発者インタビューをお届けした『Awaysis』は、PC/PS5/Xbox Series X|Sにて配信予定。Chip Tanaka氏の楽曲もあわせて、リリースを楽しみに待ちましょう!
¥2,600
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
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