1990年に第1作が発売された『James Pond』シリーズ最新作とそのプロモーション手法について、“生みの親”であるChris Sorrell氏は、開発元であるGamewareに対し「彼らのやっていることのほぼ全てが大嫌いだ」と激しく批判しました。
愛された“お魚スパイ”ジェームズ・ポンド
『James Pond』シリーズはその名が表す通り、英国秘密情報部のスパイを主人公とする作品「ジェームズ・ボンド」のパロディとして生まれた、パズル&アクションゲームです。
主人公「ポンド」は、擬人化されたトビハゼ。英国情報部に所属し、海を守り人魚を誘惑するほどの魅力もあるという設定で、1990年に発売された『James Pond: Underwater Agent』をはじめ、翌年発売の続編『James Pond II: Codename RoboCod』など3タイトルがリリースされました。
本シリーズのジェームズ・ポンドは「マリオ」「ソニック」のように時代のアイコンになるほどではないけれど、当時のAmiga、Atari ST、メガドライブといったゲーム機で遊んでいた世代には親しまれ、幼少期を懐かしく思い出すキャラクターとして親しまれています。

現在『James Pond』の権利を有するGameware Europeは、新作『James Pond: Rogue AI』を制作中。2025年第4四半期にPC、iOS、Android向けにリリース予定と7月に発表しています。
FacebookとYouTubeでプロモーション動画を公開していますが、ポンドの全作品でリードデザイナーを務めた“生みの親”Chris Sorrell氏は、「Time Extension」のインタビューで、強い批判を行っています。
AI生成の「くだらない」プロモ映像
Sorrell氏は「私は彼らのやることなすこと、ほぼすべてが大嫌いだ」とし、その主な理由が先述の動画です。生成AIで作られたと思われるゲームのイメージ動画を、「AIによる安っぽいくだらないプロモーション映像」と一刀両断しました。
「ゲームの動画は楽しそうに見えます。有能なレベルデザイナーの手にかかればもっと楽しそうです(そんな人材はGamewareにはいないでしょうが)。残念だが彼らが見せてきたものは、34年前のゲームの焼き直しで、30年の技術の進歩がなかったかのように見える」とかなり辛らつです。

また、『James Pond』のIPをGamewareとSystem 3が共同所有しており、System 3はゲームのアートワークの大部分をAIで制作している企業という点からも「これ以上ないほど悲しい」としています。
ただ、同氏は既に『James Pond』の権利を保持しておらず、制作を止める術はありません。
「率直に言って、ジェームズ・ポンドという名前はGamewareによってあまりにも貶められたと感じています。ですから、私はただ距離を置きたいだけです。ここ数年、ポンド関連のインタビュー依頼はすべて丁重にお断りしてきました」と、Time Extensionに語り、最後に「オリジナル版のファンの方々の幼少期の思い出が、わずかな利益のために掘り起こされ続けていることを、本当に残念に思います」と述べています。









