Game*Sparkの人気コンテンツ・stggc先生の漫画「じゃんげま」は、2025年8月24日で10周年を迎えました。本記事では、「じゃんげま」が歩んだ10年の歩みを振り返るほか、stggc先生への特別インタビューもお届けします!
「じゃんげま」のはじまり
漫画「じゃんげま」の連載が告知されたのは、2015年8月1日のこと。8月中旬より連載開始という情報とともに、2015年当時のゲーム機やソフトを思わせるアイテムと積み上がったデカいレトロなPCゲームが対比となっており、すでに「じゃんげま」の雰囲気はできあがっていたのです。
第1話「電子遊戯同好会」の巻が掲載されたのは、2015年8月24日。ゲームの同好会に入ったデーモン殺す系FPS好き女子「伊戸ろめ子」と、現代FPS大好きな「永霧えいむ」の2人というギャップが楽しく描かれています。ハードコアゲーマーのためのWebメディア、そしてとりわけ海外ゲームの取り扱いが多かった当時のGame*Sparkらしさもありつつ、新たな風を吹かせるコンテンツとなりました。
ちなみに、同じ2015年にはエキセントリックな漫画「ゲーみん*スパくん」も連載がスタートしていました(現在打ち切り?中)。漫画連載としては、「じゃんげま」は最長です。
ゲムスパ10周年、単行本、クラウドファンディング…
ここからは、いくつかのイベントにわけて振り返りましょう。
100万PV記念でクラファン始動
2016年8月には、Game*Sparkとニコニコ静画の合算で累計PV数が100万PVを突破。それを記念して、クラウドファンディングが実施されました。開始24時間で目標金額の50万円を突破し、サポーターは合計489人、金額は354% 177万1,000円という記録を達成しました。
Game*Spark 10周年記念回
2016年12月19日に公開された「10周年!」の巻では、Game*Sparkが開設から10周年。ろめ子がちょっと不穏なことも言っていましたが……そこから9年続きましたね。
クラウドファンディングと読み切り「じゃんげま DEEP SPHERE」
クラファンの特典として制作された読み切り15P漫画「じゃんげま DEEP SPHERE」。電子遊戯同好会の海合宿をテーマにした内容になっており、ろめ子が合宿所から謎めいたゲーム機を発見する……というあらすじです。
現在でもKindleにて購入が可能です。水着もあるよ!
単行本第1巻発売!
2017年6月15日には連載は100回を突破し、単行本の計画があることを発表。2018年9月に販売を開始しました。表紙は『D◯◯M』風。
加筆修正された100話分が楽しめるほか、描きおろしの温泉回も。現在は物理版がGame*Spark Shop(BASE)、電子書籍版がKindleにて購入できます。
連載200話!第2弾クラファンで単行本第2巻
2019年9月9日には、連載が200回を突破。これを記念し、第2巻とグッズ制作のためのクラウドファンディングが実施されました。こちらは200万円と第1弾よりも高い目標金額でしたが、675名もの方々からの支援により、159% 318万6,500円もの支援を集めました。
そして、第2巻は約1年半後の2021年4月27日に発売。加筆修正された101話~200話に加え、描きおろしや番外編もたっぷりはいった内容となっています。表紙は『H◯lf-L◯fe 2』風!?
えいむとろめ子、ロサンゼルスに行く
2019年6月13日には、今はなきゲーム業界最大(だった)見本市「E3」に出張。オニセンも引率として登場しました。普段よりテンションマシのろめ子も見られます。
全3回公開されているので、ぜひご覧ください。コロナ禍直前のE3の雰囲気も垣間見えます。
PR記事もたくさん。じゃんげまに歴史アリ
10年もの長期連載、そしてWebゲームメディアではやや珍しい美少女4コマ漫画ということもあってか、これまでたくさんのPR記事も公開しています。
『NieR: Automata』『オーバーウォッチ』『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』『シヴィライゼーション VI 文明の興亡』『トロピコ6』『サイバーパンク2077』『デス・ストランディング ディレクターズカット』「PayPal」などなど……。「じゃんげま」に歴史アリ。ゲーム関連のみならず、XPPenの液タブ「Artist 16セカンド」のPR記事を担当したこともありました。
10年もの歴史のなかで、さまざまなイベントがありました。記事執筆時点では、連載485回目と500回目も見えてきたというところ。次の10年はどのようなことが待ち受けるのでしょうか……!?
stggc先生にインタビュー!連載が始まったきっかけは?ネタはどうやって仕入れてる?
ここからは、stggc先生へのインタビューをお届けします。編集者である筆者が、完全にファンの目線でさまざまな気になることをお訊きしました!
――10周年を迎えた感想を教えて下さい。
stggc: まずは10周年を迎えさせていただきありがとうございます!これもひとえに見守ってくださってる読者の方々と色々度外視でやらせてくださってる編集部さんのおかげです。
始めさせていただいた頃はよくて2、3年かな?と現実的というか悲観的というかビビリというかそういう気持ちで頑張ってはいたのですが、まさかここまで続くとは……やっぱり驚きが一番ですね。
Game*Sparkさんの10周年の時に少しネタにもしましたね(笑)
――そもそも、Game*Sparkで連載を始めたのはどういった経緯でしたか。当時と今の編集部は中身がほぼ違うので、実は私は全然知らずでして……。
stggc: Game*Sparkさんとの初コンタクトは2013年に行われた「スパくんお正月イラストコンテスト」でした。
勝手に盛り上げ要員になれればな~、と応募したおふざけイラストに優秀賞をいただき……。恐らくその一年以上あとに急にいただいたツイッター上でのやりとりで話が進んだように記憶しています。
確かそのあたりで自分のツイッターにじゃんげまの前身となるFPS女子漫画を上げていて、それを見ていただいてのお話だったような……。

ちなみにコンテストでもらったスパくんTシャツ、外に着ていく勇気がなく部屋着にしていたら割とすぐヘタっちゃったので、また作って送ってください。
――『じゃんげま』以前にも漫画を描いていらっしゃいましたが、ゲーマーをテーマにした内容にしたのはなぜでしょうか。
stggc: もともと好きなものとして「ロック音楽(バンド)」と「ゲーム」と「プロレス(+格闘技)」があるのですが、唯一漫画として直球で扱ってなかったのがゲームだったというのがありますね。
当時色々な出版社の編集者さん相手にコンペ用の漫画を作ったりしていたもののどれも自分の好みを活かせるものではなく……先に述べたように自分の趣味を出せる個人制作の漫画としてやってみようかなとネットに上げてみたのが始まりです!
――stggcさんのゲーム遍歴を教えて下さい。特に、クラシックなPCゲームに関する造詣が深いようにお見受けします。
stggc: ファミコンで子供向けのゲームを始めたところから始まり……今考えると『けろけろけろっぴの大冒険』と同時に『わくわく南北戦争』を買い与えられたのはなかなか狂ってる感はありますが……そのあとは順当にスーパーファミコン、PS、PS2、PC……と辿り色々なタイトルに触れてきた感じですね。
PSの『サイフォン・フィルター』と『エイブ・ア・ゴーゴー』で海外ゲームと暴力描写に衝撃を受け、そのあたりで結構存在していたコンテンツCDつきのPC雑誌の影響で徐々にPCゲームになびいていきました。特にPC雑誌「TECH Win」にはかなりお世話になりました。奇跡が起きて復刊して何か描かせてくれないかな。
グラフィックボード搭載のPCで初めてプレイしたのは『Max Payne』だったかと思います。その後『GTA III』でさらなる衝撃を受け、『Medal of Honor: Allied Assault』で完全にFPSに狂いましたね!(笑)
実際にオールドスクールFPSをプレイするのはさらにそのちょっと後、齧り程度にDOSの知識を得てからです。ベッタベタですがやっぱり『Duke Nukem 3D』『Blood』『Shadow Warrior』が最高でした。まったくじゃんげまに関係ないところで言えば、Xbox360の『ギターヒーロー』シリーズは特段遊びまくっていました。
今は海外ゲームやFPSもそこまでコアなものいうわけでもなくなったので、ここ10年くらいはヒジョーにフツーな……プレイ時間少なめのゲーマーとして過ごしている気がします。
――いま注目しているゲームは何ですか。
stggc: 間違いなく『GTA6』ですね!どメジャー・ど直球ですが、自分の中でも特別なシリーズです。『バトルフィールド 6』もベータが楽しかったので信じて買ってみるか~、となっています。
……基本的に全然ハードコアゲーマーではないので、超大作に惹かれてしまうところが大きいですね。ベセスダの新作もいつ出るのかわかりませんが楽しみです!
――ゲーム業界の時事ネタから普遍的なネタまで毎話ネタを楽しめる本作ですが、どのように着想を得て、ネタとして昇華していますか?
stggc:まったく面白みがない回答で恐縮ですが、やっぱりゲームニュースや担当編集との打ち合わせで共有していただいたトピック、自分でプレイしたタイトルを大本にネタを考えはじめることが多いですね。恥ずかしながら最近はあまり取材としてゲームをやれておらず…反省ですが!そういえばここ数年は動画サイトで観たものから着想を得ることも多くなってきていますね。
用意した題材候補群に絡められそうな別要素……キャラの愉快な行動だったり別視点のオチなどが見つかれば本格的にコンテに起こしてみるという流れでやっています。
逆にどうしてもゲーム関連からネタが広がらない時などは、学生イベントや見せたいキャラクターの行動を先に用意してなかば無理矢理にゲームを絡めることもありますね!(笑)
担当編集とはまったくゲーム関係ない回もやってもいいだろうという共通認識ではあるのですが、それなりにレアになるような按排にしているつもりです。
――これまでの連載で特に印象深かったことがあれば(いくつか)教えて下さい。
stggc: 読者の方の反応とか単行本制作とか、そのあたりは除くとすると……所謂普通の出版社の普通の形態での連載ではないため、良くも悪くも自分が思っていた漫画描きライフではなかったなと感じますね。「悪くも」とは書きましたが、良い部分の方がダンチに多かったですが!
一番印象深いのはE3に連れていただけたことです。GameStopでの「ポイントカードはありますか?」との店員の問いすら聞き取れない英語ヌーブなので、一人で行くなんてことは絶対ありえませんでした。同行いただいた他のライター・編集の方々には大変ご面倒をおかけしてしまいましたが!! 一応頑張って睡眠時間取れないまま現地で漫画描いて現地で上げるというヘド出そうな作業はしたので許していただきたい!
また、間接的にはですがいくつかのPR案件を憧れのゲーム企業の方々とやらせていただけたのもいい経験でした。これもゲームメディア連載ならではのことだと思います。
そして縁あってやらせていただいているメガミマガジンさんでの連載「じゃんげま ALTFIRE」……実はちゃんと誌面に漫画本編が載るのはこれが初めてだったのでこちらも印象深かったりします。マジで続けさせてもらってて大丈夫なのか!?と思ったりもしますが、やらせてくださるらしいので今も毎度頑張って描いています。タイミングあればどこかで見てみてね!
――この10年で柔軟に変えていったところ、また逆に「これは変えない」と守ったものは何でしょう?
stggc: 柔軟に変えたというか、変わってしまったと言えばやっぱり絵柄でしょうか。できるだけ綺麗で可愛い絵にしたいなあと常に調整してきましたが、今初期のエピソードを見るとまるっきりキャラの見た目が違って自分でもちょっと困惑します。
今よりヘタではあるけど、当時の絵柄の方が好みだった方もいるのかなあと勝手にちょっとブルーになったりもしてます。
また、多少その時期の反応を見てハードコアゲームネタを押し出してみたり、所謂「百合」的な匂いもなくはないエピソードを差し込んでみたりはしてますね!みんなはどっちが読みたいんだ!?
「変えない」部分は……実際どこまでできているかわかりませんが、作品の「なるべく多くのゲーマーが読んで癒される」「毒にならない・何かを過度に貶さない」というスタンスでしょうか。おこがましいですが、月曜の、そしてGame*Sparkさんの癒し枠みたいなものを維持したいと考えています。
当然多少は毒気のある内容や表現も必要なこともありますが、雰囲気をマイルドにしたり対抗の表現を出したりしっぺ返しが発生するなど、全体としてはイーブンになるように作っているつもりです。
登場キャラ全員、好きなジャンルやスタンスが違う人物を配置しているのもそういうところからですね。なのでネタとしては興味深いけどやっぱり扱うのは難しいよね、と打ち合わせ時点でボツになっているトピックも結構ありますね!(笑)
あとは大前提として「フレンドリーファイア4コマ」というコンセプトなので、多くのエピソードで誰かが軽めに受難してしまうという内容は一貫して続けています!
――特に反響がよかった話と、特にご自身でよく描けたと思う話を教えて下さい。
stggc: 難しい質問ですね!(笑) 単純な反響ですとやっぱり連載開始から数年くらいのエピソードは全体的に反応が良くてノレていた感じがありますね。
ちょっと番外になりますが、じゃんげま EXTEND(β).「エピソード0」は思いのほか反響があったような気がします。
よく描けたというか狙いと完成品と読者の反応が割と合致したなあ、と印象深いのは175話や433話ですね。百合っぽさがある話は反響強めの気がします!
いまパッと浮かぶ中で個人的に好きなのは336話や343話でしょうか……毎度気合入れて描いてるので改めて見るといくらでもお気にエピソードが出てきそうです。
あと……ちょっと苦言をいただいてたこともあるので堂々と言うのもどうかというところはありますが(笑)、えいむがしおしおになってるエピソードは正直どれもお気に入りです。
――キャラクターにおいてはいかがでしょう。
stggc: 主人公二人を除けば、ダントツで「オニセン」がいいキャラといえると思います!個人的な満足度でも読者の方々の反応を見ても……。
サブキャラではあるのであまり出せる機会はないものの一番「癖」が強いキャラなのカモ~と感じます。今後も色々と隠し通すキャラクターにしておきたいですね(笑)。
また、クラウドファンディングのプランにて制作された「ハトさん」「はるべん」も僕の想定にない立ち位置を補完してくれた感じです。基本的に自分一人でキャラを動かしている漫画だったので、別の方の意向が強く反映されたキャラが入ってくれたのはありがたかったですね。
――キャラクターの誕生秘話があれば、教えて下さい。
stggc: 特にすごい話があるわけではありませんが(笑)やっぱりろめ子とえいむは完成形になるまでかなりウロウロしました!連載にあたって本格的にキャラを固めるまでは名前すら全然定まらずで。実はALTFIREの「三次りるむ」はろめ子の名前案のひとつだったりもします。
迷いもあるなかでのローンチとなった記憶もありますが、今個人制作版のキャラ案や漫画を見るとなんだかんだで「ろめ子」と「えいむ」は自分ができる中で一番正解に近いものになったのかなあ、と感じます。

オニセンもルックス案をいくつも出して編集さんと相談して決めたキャラですね。今連載においてはサブキャラの外見はなんとなく流れで固まっていったパターンがほとんどだったので異例です。
――読者の反応や印象深かったものはありますか。
stggc: とにかく読者の方々が本当に良い方ばかりで救われております!! 作品の知名度の部分もあるでしょうが、ムリヤリなドギツい批判などもほとんど見たことないんですよね。
クラウドファンディングの際にも思ってたよりずっと多くの方が参加してくださってめちゃくちゃ感動しました。 コメント欄でもノリよく楽しんでくださったり盛り上げて下さったり元ネタの補足をしてくださったり……いつも楽しく拝見させていただいてます。
元ネタといえばみおさん(聞き手)がやってくださっていたじゃんげま元ネタ考察も精度高すぎて楽しく拝見してましたよ!
あと、ファンアートをくださる方も多く、毎度感激しながら保存させていただいてます。何名か継続的にすごい枚数描いてくださっていた方もいて何もお返しできないのがもどかしかったくらいです!
基本的には絵をいただくのですが、媒体の特性上?過去にはキャラの3Dモデルやクラフトやゲームまで(?!)作ってくださる方々もいらっしゃって本当に恵まれているなあと感じます。本当にありがとうございます!そして今後もどんなものでも遠慮なく作って見せてくださると嬉しいです!強欲!! 捕捉可能なファンアート類は公式アカウントや僕の方でご紹介させていただくようにしています。
――今後の連載において、やっていきたいことはありますか。
stggc: 読者数の落ち着きや連載の規模的にめちゃくちゃ大きいことはもうやれないとは思っています。基本的には引き続き癒し文化枠としてできるだけ続けさせていただくのがプライマリ・オブジェクティヴになりますね!
とはいえ単行本化や番外編等現実的な範囲ではこれからも色々やっていきたいですし、何かの間違いで大きな企画ができそうであれば全力で臨みたい所存です。逆に、小さくても読者の方々が参加できる何かをやってみるのもいいですね。アンケートで次週でのキャラの行動を左右させるとか…?
もちろん、その他Game*Sparkさんが何かやるという時には全面的に協力してマスコット漫画群の一角として存在をアピールしていきたいです!(笑)
――最後に、長く読んでくれている読者にメッセージをお願いします。
stggc:みなさんのおかげで10年続けさせていただけました。楽しいイベントもいくつも経験させていただき、本当に感謝しています。
プロフェッショナル的視点で見れば僕なんかがこの長期間ちゃんとした形で漫画を描かせていただけるなんてまさに運がいいとしかいいようがなく、その運も読者の方が繋いでくださったようなものです。
引き続きじゃんげまにゆるゆるとお付き合いいただけることを願っています。僕も引き続き月曜の夜の楽しい要素のひとつを維持できるよう頑張ります。
――ありがとうございました!
『じゃんげま ALTFIRE』メガミマガジンに連載中!※UPDATE:本文内の誤字、リンクのミスを修正しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございました。




























