気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Hempuli Oy開発、PC/Mac/Linux向けに7月10日にリリースされた奇妙なソリティア集『A Solitaire Mystery』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、パズルゲーム『Baba Is You』の開発者が手掛けるソリティアカードゲーム集。Windowsのプリインストールゲームとしてよく知られたソリティア「クロンダイク」に近しいものや、ジャンルの枠を超えた実験的なもの、他のゲームをソリティアとして再構成したものなど、ユニークな30種類のソリティアを楽しむことができます。記事執筆時点では日本語未対応。
『A Solitaire Mystery』は、1,200円で配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Arviこんにちは。フィンランドのヘルシンキ出身のArvi Teikariです。20年以上ゲームを作っており、最初は趣味として始めましたが、2015年頃から仕事として取り組むようになりました。特にゲームジャムや小さな実験的なゲームに強い愛着を持っています。
1本だけ「一番好きなゲーム」を挙げるのは難しいですが、『ワンダと巨像』 は絶対的なお気に入りのひとつです。また、インディーゲームではNifflasの『Within a Deep Forest』 が、生涯を通じて最も好きな作品のひとつかもしれません。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Arvi本作は、30種類のソリティアカードゲームを集めた作品です。基本的なコンセプトは「それぞれのソリティアが何かしら変わっている」という点にあります。いくつかは一般的なソリティアルールに比較的近いものですが、その一方で、例えば電気回路を組み立てたり、カードを半分に破ったり、殺人事件を解いたり、といった仕掛けを取り入れたものもあります。
本作のユニークさは、おそらく「伝統的な一人用カードゲーム」というコンセプトをベースにしつつも、それを奇妙で多様な形に変化させた点にあると思います。基本的な考え方は共通していながら、体験としてはまったく違う感覚を楽しめるのです。
このアイデアを思いついたのは、Zachtronicsが開発した『The Zachtronics Solitaire Collection』をプレイしたのがきっかけです。このコレクションに収録されているソリティアは、より現実的で堅実な内容を目指していて、とても楽しむことができました。そして「自分でもオリジナルのソリティアルールを考えられるのでは?」と思うようになったのです。
実際に考え始めてみると、意外に多くの有望(少なくとも面白そう)なルール案が浮かんできました。ちょうどその頃、新しいツールの使い方を学んでいたこともあり、それらのアイデアが実際に機能するか試すこと、そしてそのツールの習得の両方を目的にやってみることにしたのです。

――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
Arvi上でも述べたように、本作は『The Zachtronics Solitaire Collection』に着想を得ていますが、収録されているいくつかのソリティアはさらに別の作品からの影響も受けています。例えば、ポーカーをテーマにしたソリティア、人狼系のゲームにインスパイアされたもの、さらには『Wordle』をモチーフにしたソリティアまで含まれています。
――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
Arviうーん、正直に言うと少し難しいですね。というのも、このゲーム自体は派手さのある作品ではなく、開発過程でも特に劇的な瞬間があったわけではないからです。ただ、一つ挙げるとすれば、ソリティアのひとつ(錬金術をテーマにしたもの)のために260種類のカードスプライトを描かなければならなかったことですね。結果にはとても満足していますが、本当に大変な作業でした!
私にとって一番面白かった驚きは、むしろ「こんなゲームに意外と多くの人が興味を持ってくれた」ということでした。2025年初頭には本作を取り上げてくれたとても丁寧な動画が公開されましたし、GDC 2025のExperimental Games Workshopにも選ばれました。ソリティアのコレクションに対して、こんなに関心を寄せてもらえるなんて全く予想していませんでした。もちろん、とても嬉しい誤算です。
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Arvi先ほども話したように、全体的に見て「こんなに多くの人がこのゲームに興味を持ってくれた」ということには本当に嬉しい驚きを感じています。リリース時にはかなりの数のバグがあったのですが、プレイヤーの皆さんはとても理解があり、丁寧に報告してくれて本当に感謝しています。
中でも一番嬉しかったフィードバックは、私の友人からのものでした。彼女は本作を完全クリアすることに特別な関心を持ってくれて、特に難しいソリティアについては、彼女のDiscordサーバーで人々が一緒に挑戦していたそうです。みんなでプレイしていることを聞けたのも嬉しかったですし、彼女自身がすべてのソリティアを攻略し、さらに全実績を達成してくれたことも本当に喜ばしいことでした。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
Arviまだ修正したいバグがいくつか残っているのですが、最近はあまりゲーム開発に集中できていません。残っているバグや、いくつかの機能追加の要望に対応する以外にも、頭の中にはいくつか考えていることがあります。
ひとつは、新しいソリティアをいくつか追加することです。いくつかアイデアがあるので、最終的には「追加コンテンツアップデート」として4~5種類ほど新作を入れる形になると思います。
もうひとつは、ゲームを他のプラットフォームに展開することです。例えばニンテンドースイッチやモバイルへの移植ですね。ただ、そうした追加プラットフォームには自分に十分なプログラミング知識がない可能性が高く、少し不安があります。特にコンソール版にする場合は、マウス操作を前提としたゲームにゲームパッド対応を実装する必要があるので、それもなかなか難しそうです。まぁ、やってみないとわかりませんね!
――本作の日本語対応予定はありますか?有志翻訳は可能ですか?
Arviぜひ様々な言語の翻訳を追加したいと思っています!実際、すでに有志による韓国語翻訳も存在しています。ただ、現状の大きな問題は、ゲーム内のテキスト表示がASCII文字セットのみに対応していることです。それ以外の記号や文字を扱えるようにするのは難しく、まずこの問題を解決しないと翻訳者に依頼することができません。しかし、このプログラミング上の課題をクリアできさえすれば、多言語対応の作業はずっと簡単になるはずです。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Arviはい、大丈夫です。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Arvi私の作ったゲーム、特に『Baba Is You』が日本のプレイヤーの皆さんから温かく受け入れられたことには、本当に感謝しています。そして、今後も自分のゲームのローカライズ対応をさらにサポートしていきたいと考えています。
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に700を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。









