2025年11月9日、インディーゲームの展示会である東京ゲームダンジョン10が開かれました。
本記事では『P4ST3L』の試遊レポートをお届けします。

リミナルスペース×サバイバルFPS……角の先に何がいるかわからないシンプルかつリアルなホラー体験
本作はリミナルスペース(誰もいない廊下やロビーなどの不気味な空間)やサブメカノフォビア(水没した人工物に対する恐怖心)の要素をふんだんに盛り込んだサバイバルホラーFPS。のっぺりとしたどこへ行くともしれぬ連続した空間を、おっかなびっくり進んでいくゲームです。
主人公のNato Saionjiは、記憶をなくし、ぼろぼろの手術着を着て血塗れのエレベーターに倒れていました。最低限の操作方法以外にチュートリアルはなく、ただ闇雲に歩くしかないようです。唯一の武器はハンドガンで、なかなか心細い……。ちなみに三人称視点にもできます。
ネットミームでよく見かける黄色い廊下(バックルーム)が続き、なんだか背筋のあたりがゾワゾワします。割とこの手のホラーは見慣れてきた感じもしますが、ヘッドフォン装着かつ一人称視点で味わうとやはり恐怖心を覚えますね。

体力と引き換えに弾丸を生成する機械を眺めていたら、早速クリーチャーに襲われました。
本作は敵が近づいてくると画面上部に!マークが表示されますが、それでも度肝を抜かれました。これくらいのビジュアルと雰囲気のホラーがいっとうこえぇんだ……。
クリーチャーの見た目も、頭から手が生えているのに胸のあたりには穴が開いていて、オリジナリティを感じました。

ロケーションも黄色い廊下だけではなく、さまざまに用意されています。古いPCだらけの空間や、血塗れの日本人形が置かれているエリア、王道のユラユラとした光に照らされるプールなど、探索のし甲斐があります。
バックルームでおなじみの防護服の人が死んでいて、クスッと笑えました。

本作には体力・スタミナ・弾薬のほかに、空腹と渇きゲージがあり、たった6つしかないバックパックの中身を管理しなければなりません。サバイバルホラーFPSとしても良い塩梅の枯渇感を覚えるので、その手のジャンルが好きな人にもオススメです。
しかも、こんなおどろおどろしい空間で、四桁のパスワードを探さなければなりません。なんとか見つけて扉をアンロックした先で自動小銃を手に入れ、それで凶悪なモンスターを撃ちまくるところでデモ版が終了しました。

雰囲気のあるリミナルスペースを舞台にしつつも、しっかりとサバイバルホラーの緊張感もある作品でした。
本作の開発者であるうさぎのDJ氏にお話も聞いてきました。
――開発期間はどれくらいでしょうか?
うさぎのDJ氏:2年くらいですね。ひとりで制作しましたが、イラストと声優は人に頼みました。アンリアルエンジン4を使っていたのですが、機能の限界が見えてきたので、5を勉強しながら作っています。
――開発中に苦労したところは?
うさぎのDJ氏:ゲームっぽさを保ちつつ、アート性を出せるかという点を頑張りました。説明せずに伝えられるかという点にもこだわっていて、ビジュアルには力を入れました。レベルデザインも、実際のファウンド・フッテージを参考にしつつ、それでもゲームとして楽しめるものにしました。サバイバルFPSが好きなので、極限の環境でしか味わえない恐怖が出せないかなと。
それと、配信者さんにもリアクションしてもらいたいと思っています。ホラーゲームって、プレイは難しいけど実況は観るのが好きという人も結構いるので、そういった層にもリーチしたいと考えています。
――どうして作ろうと思ったのですか?
うさぎのDJ氏:ファウンド・フッテージが好きでゲームにしたいと考えていました。世の中には似たような作品がいっぱいありますが、アンチテーゼとして「空間への気持ち悪さ」を出したかったんです。ハイテンションで遊ぶような感じではなくて。
――リミナルスペースの魅力はどこにあると思いますか?
うさぎのDJ氏:単純に美しいなと思います。どこをとっても絵になる空間作りができるなと。最近のリミナルスペース系の作品は解明されすぎてるなと思うことがあります。
あと、日本を舞台にしたものはないので作りたいなと考えていました。どうしてここに来たのかというストーリーもありまして、たとえばこの子は眼鏡をかけて黒髪だったんですが、ここに来ると恰好が変わっているんです。それは何故か、というのを楽しんでください。
――いつ頃発売予定ですか?
うさぎのDJ氏:いま体験版を出しているのですが、年内にはアーリーアクセスを出したいですね。

リミナルスペースの魅力をじっくりと語っていただけました。うさぎのDJ氏なりのファウンド・フッテージの面白さをぜひともチェックしてみてください。
『P4ST3L』はPC(Steam)で配信予定です。









