気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Vanilla Sky Productions開発、PC向けに11月29日に早期アクセスが開始された乗馬アドベンチャー『Sound of Horses』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、馬と共に世界を冒険するアドベンチャーゲーム。穏やかな故郷から始まる冒険は、徐々に奥深い物語へと進展していきます。ライダーと馬をクリエイトし、日常の営みや不思議が満ちた世界を冒険し、個性的なキャラクターたちと出会い、物語を紡いでいきます。エピソード形式で配信がされており、現在はエピソード1をプレイ可能。記事執筆時点では日本語未対応です。
『Sound of Horses』は、1,200円で早期アクセス配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
AndersとLolaAndersとLola Åkerfeldtです。Vanilla Sky Productionsの創設者であり、『Sound of Horses』の開発者です。私たちは小規模なインディーチームで、テクノロジー、アート、ストーリーテリングの各分野で密に協力しながら開発を行っています。
Andersは25年以上にわたりゲーム開発に携わっており、Pixel Talesの共同創設者でもあります。『Barbie Horse Adventures: Riding Camp』、『Starshine Legacy』、『Star Stable』などの作品でリードプログラマーを務め、さらに現在も『Star Stable Online』の基盤となっているコアゲームエンジンと技術的基礎を構築しました。Lolaは、本作のアートディレクション、雰囲気づくり、そしてビジュアルアイデンティティ全体を担当しています。
お気に入りのゲームを一つだけ選ぶのは難しいですが、私たちはスピード感や競争要素よりも、時間をかけて雰囲気や感情、そしてキャラクター同士の関係性を丁寧に描くゲームに惹かれることが多いですね。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
AndersとLola『Sound of Horses』の最大の特徴は、パフォーマンスや効率性を中心に作られているのではなく、「そこにいる感覚」や「つながり」を大切にしている点です。私たちは、プレイヤーがゆっくりと、自然や静けさ、そして人と馬との絆を感じられるゲームを作りたいと考えました。
このアイデアは、より穏やかで個人的な体験を生み出したいという思いから生まれました。プレイヤーを常に先へ先へと進ませるのではなく、一旦立ち止まり、観察し、ただその世界の中に「在る」ための余白を与える…それがこのゲームの目指したものなのです。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
AndersとLola『Sound of Horses』は、特定の一つのゲームや作品から影響を受けたわけではありません。むしろ、共通する「感覚」や「ストーリーテリング」から生まれた作品です。私たちは、あえて静けさを受け入れ、雰囲気そのものに体験を委ねるようなゲーム、映画、音楽から強い影響を受けました。
また、自然や風景そのものも大きなインスピレーションの源であり、次々と起こる忙しない出来事ではなく、考える余白を残すような物語にも影響を受けました。私たちの目標は、流行に左右されない作品でありつつ、リズム、ムード、そして「そこにいる」という感覚を大切にした体験を届けることだったのです。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
AndersとLola開発中で最も印象に残っている瞬間のひとつは、本作の世界がはじめて「生きている」と感じられた時でした。何か大きな出来事が起きたわけではありませんが、馬、風景、光、そして音が一体となり、静かに噛み合った瞬間があったのです。
とても小さな開発チームなので、開発の多くは平日の夜や週末に行われていました。小さな趣味のプロジェクトだったものが、少しずつ形を持ち、ひとつのまとまりのある世界へと成長していくのを見届ける時間は、私たちにとって驚きでもあり、同時にとても個人的で大切な体験でした。
――早期アクセス開始後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
AndersとLolaリリース後の反応は、全体としてとても好意的です。多くのプレイヤーが、本作の静けさや「そこにいる」という感覚、そして馬や世界との強い感情的なつながりを感じたと語ってくれています。
中でも印象的だったのは、「このゲームのおかげで気持ちを落ち着け、リラックスできた」と言ってくれたプレイヤーたちの声です。そうした反応は、本作が私たちの狙いどおりの形でプレイヤーに届いていることを実感させてくれました。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
AndersとLolaプレイヤーたちからのフィードバックを踏まえ、私たちの主な方針は「今あるものを丁寧に磨き続けること」です。多くのプレイヤーが穏やかなテンポや雰囲気を高く評価してくれているため、今後のアップデートは方向性を大きく変えるのではなく、洗練、バランス調整、そしてゲーム体験をより深めることに重点を置いています。
同時に、物語の次のパートの制作もすでに始まっています。『Sound of Horses』はエピソード形式であり、プレイヤーの皆さんからの声は、この世界が今後どのように広がっていくのかを導く大切な指針になっています。
――本作の日本語対応予定はありますか?有志翻訳は可能ですか?
AndersとLola日本語対応について、現時点では明確なスケジュールは決まっていませんが、日本は『Sound of Horses』にとって非常に興味深いマーケットだと考えています。どの言語を優先するかは、プレイヤーの関心や反応が大きな判断材料になります。
また、有志翻訳についての相談にも前向きです。興味のある方は、公式チャンネルを通じてご連絡ください。私たちにとって大切なのは、日本語版であっても、オリジナル版が持つ雰囲気や体験の質がきちんと保たれることです。
――本作では、なぜ、そして具体的にどのように生成AIの生成物を使用しましたか?また、生成AIについてはどのような感情を抱いていますか?
AndersとLola開発における生成AIの使用は、非常に限定的かつ一時的な範囲にとどまっています。具体的には、仮のテクスチャ、一部の小さな室内ディテール、そして開発初期にコンセプトやキャラクター表現を検証するための仮音声などです。
私たちの意図としては、AIで人間のクリエイティビティを置き換えることでは決してありません。『Sound of Horses』の大部分は、人の手によって丁寧に作られています。仮で使用している生成音声についても、早期アクセス期間中にプロの声優による収録音声へと切り替える予定です。これにより、より豊かな感情表現が可能になります。
私たちはAIを、開発の特定の段階で役立つ「ツール」の一つとして捉えています。しかし、創作の中心にあるべきなのは、あくまで人間の技術、意図、そして感情であると強く信じています。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
AndersとLolaはい、プレイヤーの皆さんがYouTubeやTwitchなどのプラットフォームで『Sound of Horses』を配信し、収益化することは問題ありません。プレイヤーが自分の体験を他の人と共有してくれることは、とても前向きなことだと考えています。
昨今、コンテンツ制作はゲームが発見され、楽しまれるための重要な要素です。私たちは、本作に敬意を払いつつ、クリエイティブに活用してくださるすべての方々に感謝しています。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
AndersとLola日本の読者の皆さま、『Sound of Horses』にご関心をお寄せいただき、本当にありがとうございます。私たちの作品を皆さまと共有できること、とても光栄に思っています。
このゲームは、感情、つながり、「そこに在ること」を大切にしながら、丁寧に、そして穏やかなペースで開発されています。もしこの世界を冒険することを選んでいただけたなら、馬の声に、そしてご自身の心に静かに耳を傾けられる、そんな落ち着いた場所になれば嬉しいです。
皆さまのご感想や体験について聞けることを、心から楽しみにしています。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に900を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。








