気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Grey Alien GamesとNight Signal Entertainment開発、PC向けに5月1日にリリースされたソリティアパズルホラー『Forbidden Solitaire』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、世間で論争を巻き起こした過去を持つとされている1995年のCD-ROMから発見された1本のゲームに挑む、という設定のホラーゲーム。90年代風のゲーム画面で、プレイヤーは謎の地下迷宮を探索しながら画面上のカードを取り除くソリティアに挑みます。記事執筆時点では日本語未対応。
『Forbidden Solitaire』は、2,050円で配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Grey Alien Games&Night Signal Entertainment『Forbidden Solitaire』は、2つの小さなインディーゲームスタジオによって開発されました。「Grey Alien Games」は、イギリスのドーセットを拠点とするJake BirkettとHelen Carmichaelの夫婦チームです。私たちのスタジオは20年にわたりインディーゲームを開発しており、これまでにもいくつかのソリティアゲームを手掛けてきました。そして今年、息子のCallum Birkettがプログラマー兼デザイナーとしてチームに加わったのです。詳しくはこちらをご覧ください(英語)。
「Night Signal Entertainment」はアメリカのユタ州を拠点としており、Nick LivesとDavid Johnsenの2人からなるスタジオです。私たちは、大ヒットホラーゲーム『Home Safety Hotline』を手掛けた開発チームでもあります。詳しくはこちらをご覧ください(英語)。
私たち全員、PCやコンソール、そしてスマートフォンまで、本当に幅広いジャンルのゲームをプレイしています!最近Grey Alien Gamesのメンバーがプレイした作品をいくつか挙げると、『SILENT HILL 2(リメイク)』、『TR-49』、『バイオハザード レクイエム』、『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』、そして『Strange Antiquities』などがあります。
――本作の特徴を教えてください。
Grey Alien Games&Night Signal Entertainment『Forbidden Solitaire』は、全く異なる作風を持つ2つのインディーゲームスタジオによるコラボレーションです。一方は、ストーリー重視のホラーゲームを得意とする「Night Signal Entertainment」。もう一方は、20年以上のキャリアを持ち、『Regency Solitaire』や『Ancient Enemy』、『Spooky Bonus』といった数多くのカジュアルインディーゲームを世に送り出してきた、夫婦チームの「Grey Alien Games」です。
本作は、1990年代の定番カジュアルゲームである「ソリティア」をベースに、カードバトルとホラーの要素を融合させて独自の進化を遂げた作品です。1990年代特有の質感のグラフィックで描かれたダンジョンを舞台とするこのゲームは、捨てられたCD-ROMの中から発見され、2019年にWill Robertaという人物によってプレイされる、という設定です。さらに作中には、実写映像や謎めいた音声クリップが盛り込まれており、それらを通じて『Forbidden Solitaire』がどのようにして作られ、そしてなぜ禁じられたのかという暗い歴史が明かされていきます。
このような試みは間違いなく前例がありませんが、幸運なことに、プレイヤーの皆さんにはとても気に入っていただけているようです!
――そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Nick Lives(Night Signal Entertainment)私は、Grey Alien Gamesとコラボレーションをするための「口実」をずっと以前から模索していました。同スタジオの創設者であるJake Birkettによる、非常に刺激的なGDC(Game Developers Conference)の講演「How to Survive in Gamedev for Eleven Years Without a Hit(ヒット作なしで11年間ゲーム開発を生き抜く方法)」を初めて聞いて以来、彼らの活動をずっと追いかけていたのです。
彼らが当時の最新作である『Shadowhand Solitaire』をリリースしたのを見た時、私はそれを購入してすっかり気に入り、インスピレーションを掻き立てられました。そして、呪われた90年代のCD-ROMを巡る『Forbidden Solitaire』という作品の、わずか1ページの企画書を彼らに送ったのです。最高に嬉しかったことに、彼らはそのアイデアをとても気に入ってくれて、なんと次のプロジェクトを一時中断し、私たちと一緒にそのアイデアを具体化する作業に着手してくれたのです。
Grey Alien Games私たちは、それまで面識のなかったデベロッパー(名前は知っていました)であるNight Signal Entertainmentから謎のメッセージを受け取りました。そこには「プロジェクトでコラボレーションをする気がないか聞いてみようと、ずっと考えていました」と書かれていたのです。それを読んだ私たちは、2人とも強く心を動かされました。好奇心、ワクワク、そしてクリエイティブなアイデアが嵐のように次々と湧き上がってきたのです…。

――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
Jake Birkett(Grey Alien Games)私は最近、屋根裏部屋からPCゲームの箱をいくつか発掘したのですが、その中には『Realms of the Haunting』(1996年)などの90年代の名作がたくさんありました。『Forbidden Solitaire』のインスピレーションの源となった他の作品としては、『The 7th Guest』や、Roberta Williamsがデザインした『Phantasmagoria』などが挙げられます。これらのゲームが発売された当時、私はパソコンショップで働いていたのですが、店頭で販売するPCのCD-ROMドライブの性能をアピールするためのデモ用として、よくこれらの作品が使われていたのです。当時はこの新技術がもたらす可能性にとてもワクワクしたものですが、ゲーム自体の評価は必ずしも高くありませんでした。
また、1996年にPlayStationで初代『バイオハザード』をプレイしたのですが、あれは本当に恐ろしい体験でしたし、素晴らしいゲームでした。この作品は数多くの続編を生み出し、今でも高い人気を誇っています。プリレンダリングされた3D背景の中にアニメーションする3Dキャラクターを配置するという手法をとっており、これまでにない新しい形でプレイヤーをその世界へと没入させてくれました。
Nick Lives(Night Signal Entertainment)90年代の作品の中で私がまず再プレイしたゲームの一つは、Steamで見つけた『Harvester』でした。このゲームは、誰かのおぼろげな悪夢のような「デヴィッド・リンチ風」の不穏な空気が全編に漂っていますが、それは『ダークシード』や『Phantasmagoria 2: A Puzzle of Flesh』、『Sanitarium』にも共通しています。
そして、私がこれまでの人生でプレイした中で最も怖かったゲームは、1995年の『The Dark Eye』だと断言できます。エドガー・アラン・ポーの小説をベースにしたストップモーションと実写が融合したアドベンチャーゲームなのですが、子どもの頃にこれのせいで悪夢を見ましたし、今なお私の心に強烈に焼き付いています。
『The 7th Guest』や『Phantasmagoria』、『Realms of the Haunting』といった作品には、どれも否定しがたい「B級ホラー映画的な、大げさで不気味な魅力」があり、映画「クリープショー」のような私のお気に入りの定番ホラー作品を彷彿とさせます。こうした「楽しいホラー」という側面は少し見落とされがちですが、私にとってはホラーというジャンルの核となるDNAだと感じています。映画に関して言えば、1997年の「ウェス・クレイヴンズ ウィッシュマスター」が『Forbidden Solitaire』の主要なインスピレーション源の一つになっています。
――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
Grey Alien GamesGrey Alien Gamesにはコスプレをするという伝統があり、過去の作品では追いはぎや摂政時代の恋人たちのコスプレをしたこともあります。今回の『Forbidden Solitaire』には、Night Signal Entertainmentが制作した素晴らしい写真や実写シーンが使われているため、彼らから「開発チームの死に顔写真を提供してほしい」と頼まれたとき、私たちはノリノリでした。
運が良いことに、私たちの屋根裏部屋にはiiyama製のブラウン管モニターが眠っていました。ただ、これが信じられないほど重くて、下ろすのには人の手を借りなければならない程だったのです!私たちはそのモニターを中心に、当時の様々な書籍やアクセサリーを配置し、さらにCD-ROMのPCゲームの箱を並べて「ステージ」をセットしました。また、ITサポートの仕事をしている友人が古いキーボードとマウスを見つけてきてくれたほか、カセットレコーダーまでおまけで付けてくれたのです。
セッティングが完了した後は、自分たちが満足のいく1枚が撮れるまで、机の上で代わる代わる死体のようにひっくり返り、それぞれ凄まじい恐怖の表情を浮かべながら撮影を繰り返すだけでした。
Night Signal EntertainmentXalavier Nelson Jr.が、自己中心的なキャラクターであるLucas B. Hartを演じてくれています。彼はテキサス州に住んでいるため、ユタ州にいるNight Signalのチームメンバーたちからは少し離れた場所にいたのです!
そのため、Lucasが登場するすべてのパートにおいて、私たちはXalavierに撮影用のグリーンスクリーンを送りました。そして、彼が作中の様々な実写映像で登場する際、背景にうまく馴染むよう、私がポストプロダクションで背景を差し替え、色調やライティングを調整したのです。
皆さんがそれに気づいていなかったなら嬉しいです!もし気づいていたという方がいたら…あー、それは「あえて狙った90年代風のチープさ」ってことで、ひとつよろしくお願いします。うん、そういうことにしておきましょう。
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Grey Alien Games&Night Signal Entertainment本作は本当に素晴らしい反響を呼んでいます。Steamでのレビュー評価は「圧倒的に好評」を獲得しており、このインタビュー回答時点で1,700件近くものレビューが寄せられています!
また、メディア各社からも嬉しいコメントをたくさんいただきました。
さらに、非常に多くの配信者やYouTuberの皆さんにも本作をプレイしていただきましたし、いくつかの賞も受賞することができました。これらは私たちのSteamページでご確認いただけます!ちなみに、普段ゲームをしない友人たちに説明する時は、The Guardian(訳注:イギリスの大手新聞)で星5つのレビューを獲得したことを伝えています。みんなこれには驚いてくれますね。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
Grey Alien Games&Night Signal Entertainment本作のローンチ以降、「New Game+難易度モード」を追加しました!これはすべてのジェムとジョーカーを所有しているプレイヤー向けにバランス調整が行われており、より難易度の高いパズルやバトルステージが登場します。また、購入者の皆さんへの限定特典として、アートブック「Forbidden Solitaire: The Making Of」をリリースしました。
『Forbidden Solitaire』の物語は、ここでは終わりません。私たちはすでに次なるものの開発に取り組んでいます…が、これについてはまだ秘密にしておかなければなりません。
――本作の日本語対応について教えてください。有志翻訳は可能ですか?
Grey Alien Games&Night Signal Entertainmentこのゲームは、現時点では英語以外の言語へのローカライズを行っていません。有志の方々がご自身で翻訳データを制作・配布することは歓迎しますが、私たちが公式に推奨・保証することはできませんので、ご了承ください。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Grey Alien Games&Night Signal Entertainmentはい、どのプラットフォームでの配信も大歓迎です!
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Grey Alien Games&Night Signal Entertainment『Forbidden Solitaire』の開発に携わった、すべての「人間の手」による仕事に興味を持っていただき、ありがとうございます!Grey Alien Gamesはフルタイムで営む家族経営ビジネスであり、Night Signal Entertainmentは、ビジネスの皮をかぶったフルタイムの地域劇団のような存在です。
私たちは『Forbidden Solitaire』の開発が本当に楽しかったので、将来的にはまた一緒に仕事をしたいと考えています…今後の展開も、ぜひ楽しみにしていてください!
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に1,000を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。








