ゲームフリークは8月4日、完全新作となるアクションRPG『Beast of Reincarnation』をリリースしました。本作では記憶と感情を失った「エマ」と、犬の相棒「クゥ」による、“一人と一匹”がコンセプトの物語が描かれます。
本稿ではそんな『Beast of Reincarnation』のストーリーやグラフィック、相棒とともに戦うバトルシステムとフィールド探索要素など、あらゆる要素に注目したレビューをお届け。
なお、レビューにあたってはコードの提供を受けており、記事内のスクリーンショットおよびプレイ内容はPS5版、グラフィックモードのものとなります。また、内容にはネタバレを含みますのでご注意ください。
文明崩壊後の日本で、一人と一匹の旅路を描く『Beast of Reincarnation』
『Beast of Reincarnation』は、ゲームフリークが手掛けるアクションRPG。文明が崩壊し、千年以上経過した西暦4026年の世界を舞台に、主人公の「エマ」と相棒の「クゥ」の戦いの旅路が描かれます。

突如として現れた「腐食体」と呼ばれる存在と、そのなかでも強大な力を持つ「輪廻の獣」が世界を侵食し、かつての都市を植物が支配するなか、“穢れ”を祓うべく生き残った人類は挑み続けていました。
エマもまた腐食体に侵された“穢れ人”という存在で、蔑まれて育った過去を持ちながら、犬の相棒クゥとともに移動式の拠点「浄化船」に乗り込み、穢れの元凶を断つための旅に出発することになります。


物語は小河内(奥多摩地域)から始まり、渋谷や相模といった関東、松川(長野)、富士山、犬上川(滋賀)など、東から西の“都”を目指す旅が描かれているのも特徴です。
本作のディレクターである古島康太氏はこれまでに、「季節とともに旅をするロードムービーのようなストーリー」であると語っています。



探索ではエマの穢れ髪の能力を活かし、跳躍や即席の足場として活用することができるほか、相棒のクゥはアイテムや敵の発見などサポートを行います。
戦闘では「一人と一匹」のコンセプトを活かし、エマがリアルタイムで剣戟アクションを行う一方、クゥはコマンド形式の指示によって回復や弱体化などを支援。


なおGame*Sparkでは本作について、筆者が執筆した先行体験イベントでの様子や、古島氏への単独インタビューも掲載中です。こちらもぜひ、あわせてご確認ください。
記憶と感情を失った主人公「エマ」と、物言わぬ「クゥ」の物語―演出面や探索要素には不満点も
本作では記憶と感情を失った主人公の「エマ」、そしてその相棒である腐食体の「クゥ」をはじめ、エマにだけ見える謎の少女「ヴァイオレット」、移動式拠点「浄化船」を操縦する技師の「ブラッド」、そして内気な少女「カグラ」といった人物をメインに旅物語が描かれます。

さらに、エマと同じく穢れ人で腐食体を連れているという共通点のある剣士「クナイ」や、知識の秘められた琥珀を探し求める「ミコト」、エマの動向を常に監視している浄化兵「シドウ」など、個性豊かなキャラクターたちの過去やそれぞれの思惑がストーリーをより深みのあるものに仕上げています。



ストーリーはエマとクゥの出会いなど、過去の回想を挟んで丁寧に序盤から伏線を張りつつ、世界設定についてもエマとブラッドの会話などでフォローがなされています。
全体としては起承転結を意識した構成で、大きなどんでん返しこそないものの、終盤では断片的に語られていた物語の謎が一気に解けていくような盛り上がりも見せており、王道な展開ながらも引き込まれる構成です。



記憶と感情を失ったエマという設定も活かされており、物語のなかでは人々との交流や旅の中での経験を通じて、「大切なもの」や「帰るべき場所」を見つけたり、最後には涙を流すようになったりと、内面的な成長や葛藤がしっかりと描かれているのは良い点だと感じました。
また、相棒のクゥも喋りこそしないものの、エマに常に寄り添うことで、感情や雰囲気を表現するのに重要な役割を果たしています。


しかし一方で、物語の中盤あたりでは過去の回想やキャラクター同士の掛け合いなど、ただの会話のシーンが多く、単調さを感じてしまうような場面も。
寡黙なエマという設定も災いし、「うん」「わかった」と返事をするだけで間が生まれてしまい、気まずさや少しぎこちない感じがあります。

カットシーンや演出においても同様のことが言えるでしょう。石川由依さん(エマ役)や大塚明夫さん(ブラッド役)、小林ゆうさん(クナイ役)など、豪華な声優陣によるフルボイスなのは良い点で、それぞれのキャスティングもピッタリとハマっています。
ですが、カットシーンの大部分はキャラクター同士の棒立ちの会話を聞いているだけ。口が動くだけで全体的にモーションや演出が弱く、動きのぎこちなさも相まって没入感やテンポ感を損なってしまっています。


また、カットシーンのほとんどは早送りやスキップができないような設定になっているのも、テンポ感の悪さに拍車をかけてしまっています。
本作のカットシーンのなかでスキップできるのは主にボス戦前後の演出ぐらいで、「New Game+」など周回要素もある本作にとっては特に痛手といえます。

グラフィックや空気感の表現については良好で、多彩な植生がありながらも“どこか見慣れた感じ”がうまく表現されており、日本らしい環境を描写。
木々の生い茂る森をはじめ、洞窟や駅の遺構、崩れた建物など豊富なロケーションがあるのも探索していて楽しく、飽きが来ないような工夫が施されています。
さらには紫陽花やセミの声、紅葉など、季節感を感じられるようになっているのもポイント。


エマの古風な侍のような和風の装いをはじめ、自然の壮大さと神秘、同時に脅威を表現しているヌシなど、デザインについてはかなりのこだわりを感じました。退廃的な世界と秀逸なデザイン、さらにはボーカル入りのサウンドが融合することで、本作は唯一無二の雰囲気を確立しています。



しかし、風景など作品の雰囲気は良いものの、キャラクターのモデリングなどグラフィックのクオリティについてはあと一歩といったところ。
今回筆者は主にPS5のグラフィックモードでプレイしましたが、全体的に「ぼやっとしている」と感じることが多く、カットシーンでキャラクターがアップになる場面では顕著に感じました。

マップデザインはステージごとに分割されており、基本的には一本道に近い構造です。フィールドの探索ではエマの穢れ髪の能力を活かし、高いところへ跳躍したり、橋のように足場を伸ばしたり、その足場から下の敵を強襲したりと、さまざまな使い方ができるようになっています。
とはいえ、探索ではこの能力を存分に発揮できない場面も多く存在しています。エマは崖を掴んで上がることはできても壁をよじ登ることはできないため、例えば「髪を伸ばして飛翔し、険しい岩山を登って大幅なショートカット」といったような移動はできませんし、結局は道なりに進むしかありません。飛翔は他の作品でいうジェットパックのような操作性で、頭上や足場に注意しながら行う必要があります。


また、探索においてもクゥは頼もしい相棒です。クゥは嗅覚を活かして敵の居る位置やアイテムなど、さまざまな情報をエマに与えてくれます。
しかしここには本作の探索において、一番の不満点ともいえる落とし穴も同時に存在しています……。それは、「ミニマップが存在していない」ということ。
クゥから得た情報はマップや画面にも表示されるようになりますが、目標地点を追跡するためには一度マップを開いて指定する必要がありますし、敵の位置も薄くハイライトされるだけで、どの方向に何体の敵がいるのかを直感的に把握できません。

さらに、壁を隔てた向こうの宝箱などを感知することもあり、表示されている距離で見ると近いのに、結局は回り道をしなければいけないといったケースに遭遇することもありました。
アクションは難しすぎず、爽快感も抜群。カメラワークの改善やレスポンスは今後の課題か
これまでストーリーや探索要素などについて触れてきましたが、本作の醍醐味ともいえるのはやはり戦闘でしょう。戦闘ではエマによるリアルタイムのアクションと、クゥによるコマンドRPGの要素が融合した独自のバトルシステムが特徴で、攻撃や受け流しを行いながらゲージを貯めて指示を出します。

エマは通常攻撃のコンボにくわえて、旅の中で各地のヌシを討伐し、その力を体内に取り込むことで新たなアクションを習得できます。ヌシの技はコンボの新しい段階として追加されるものもあれば、特定のアクションから派生するものも。
さらに、時間の流れをスローにできる“共鳴加速”を駆使することで瞬時に相手に大ダメージを与えたり、少し距離を取って回復アイテムで体勢を立て直したりと、状況に応じた柔軟な対応が可能です。


立ち回りのメインとなる受け流しの判定はシビアすぎず、ある程度の余裕が設けられているため、いわゆる“死にゲー”よりはカジュアルに楽しむことができます。また、攻撃を受け流したときの「カキン!」という効果音が心地よく、ボスの連続攻撃を全て捌き切ったときにはかなりの爽快感があります。
さらに、エマが受け流しを行うことでクゥのコマンドに使用するゲージが蓄積していくほか、受け流しとは別に見切り回避も存在し、反撃に出ることも可能です。

戦闘でのクゥもしっかりと頼もしい存在になっており、状態異常の付与や拘束など、コマンドの指示によってあらゆる面からエマをサポートしてくれるだけでなく、飛び移れる植物の足場を生やすなど、立ち回りにも役立ちます。
QTEに成功することでエマのHPを回復する効果も得られるほか、特に頼もしさを感じたのは「確殺」や「暗殺」の場面。
スキルツリーの中盤では「エマが確殺や暗殺に成功した時、クゥが追加でもう1体敵を仕留める」というスキルをアンロックできます。戦闘開始時から頭数を減らしたり、防戦一方に陥りやすい複数体の戦いを打破する大きな起点になったりと、積極的に狙いにいくほど重宝しました。


そのほかにも、スキルツリーや装備によってビルド構築に幅を持たせられます。スキルツリーではエマとクゥの基礎ステータスを上昇させることで段階的にスキルもアンロックされていくほか、3つの系統に分かれているため、プレイスタイルに合わせてどのスキルを取るか、何を優先するかなど試行錯誤が楽しめるのも特徴です。
刀にはそれぞれ受け流し発生時に発動する効果が設定されており、相手の弱点となる属性のものを装備したり、防具に装着できる装飾品を付け替えたりと、エマとクゥそれぞれでビルドを構築していくかたちです。



難易度は物語を楽しむための「ストーリー」、手応えのある戦闘の「ノーマル」、さらに敵が強化される「ハード」、クリア後にアンロックされる「REINCARNATION+」の4段階が用意されています。筆者は主にノーマルでプレイし、行き詰まった場合にはストーリーに切り替えていました。
プレイ中にいつでも難易度の設定は変更できるほか、セーブポイントとなる野営地も各所に設置されているため、初心者から緊迫した戦いを求めるプレイヤーまで、あらゆる層が気軽に楽しめるといえるでしょう。今回、エンディングまでのプレイ時間は20時間弱といったところでした。

しかし、本作の戦闘面でもやはり課題や“あと一歩”の惜しさを感じてしまうポイントがいくつかあります。まず挙げられる課題として、カメラワークの問題は避けられないでしょう。本作のエマのカメラ距離はやや近く、視野角を設定できるオプションは確認できませんでした。
探索では斜面や高低差のある場所などで多少の見づらさを感じるほか、特に致命的に感じてしまうのは大型のボス戦。ボスにロックオンをすると画面のほとんどが敵やその脚に埋もれてしまい、肝心の攻撃が見極めにくくなってしまっています。
受け流しであれば多少はなんとかなるものの、赤い予兆を見て回避する必要がある見切りに関しては一瞬しか予兆が見えないような場面も。また、終盤では土煙で攻撃が見にくくなってしまうなど、視認性に問題があります。


特にカメラワークとボス戦の相性を悪く感じたのは、チャプター7の「ヌシ・カラス」戦。
このボスは空から酸性の爆弾を落としてくるため、限られた足場を飛び移りながら対処する必要があるのですが……ロックオンをしてしまうと常に画面がボスのほうを向いてしまい、酸に汚染された足元が全然見えず、かといって回避に専念すると今度は見失って反撃のチャンスを逃してしまうなど、とにかく現在のカメラとの相性は最悪です。


なお、ゲームフリークはユーザーからのフィードバックを真摯に受け止め、継続的なアップデートを行っていく姿勢を見せています。まずはカメラ調整やストーリーのテンポ感など、これまで触れてきた部分の改善などを含むパッチが近日中に配信されることがアナウンスされています。
特にカメラワークや視野角の設定は戦闘をはじめ、“プレイしやすさ”に大きく関わる部分でもあるため、今後のアップデートでどのように改善されるのかにも期待したいところです。
そのほかの問題点として、アクションのレスポンスの悪さも挙げられるでしょう。
受け流しの判定は緩く設定されているものの、アクションは先行入力が効かないような設計になっており、戦闘のなかで咄嗟に回復薬を使用できない場面があるほか、一度攻撃によってリズムが崩されてしまうと、その後の受け流しが難しくなって連続で被弾してしまうといった問題点もあります。
また、複数体に囲まれた中での戦闘の難しさや、道中の雑魚敵やボスを含め、敵のバリエーションが少ないという点も気になる部分です。常に登場するのは暴走したゴーレムと野生の腐食体ばかりで、ステージや季節が変わっても少し武装や攻撃方法が変わるだけ。


本作は13のチャプターから構成されていますが、ラスボスを含めて登場するボスは10体。数で見ると問題はないような気もしますが、チャプター内で同じボスと何度も戦ったり、数チャプター後に同じボスと再び戦うことになったりと、味気ない展開が目立ちます。
戦う度に少し行動が増えたり、色の異なる別個体として現れたりしますが、基本的な行動は変わらないので驚きもなく、「またこいつか……」という感想を抱かざるを得ません。


総評―ストーリーなど良い部分もあるが、「あと一歩」足りない部分も多い
今回は『Beast of Reincarnation』のレビューをお届けしてきました。古島氏のインタビューにもあったように、記憶と感情を失った主人公のエマ、そして犬の相棒クゥの「一人と一匹」のコンセプトはあらゆる場面に表れています。

探索や戦闘ではクゥの「頼もしさ」を感じられますし、ストーリー面ではエマの内面の成長とともに、大切なものを失う「寂しさ」もしっかりと描かれています。
戦闘面は難しすぎない難易度でカジュアルに楽しめるのも特徴で、特にリアルタイムの受け流しとコマンドでの指示を組み合わせたバトルシステムは、どちらか一辺倒になることもなく、お互いがお互いを必要としていることを肌で感じられます。

しかし、さまざまな要素であと一歩な惜しさを感じる場面が多々あるのもまた事実。ストーリーではカットシーンの動きのなさなど演出面が、探索面ではミニマップやアクション性が、戦闘面ではレスポンスやカメラワーク、敵のバリエーションなど、無視できない気になる点が挙げられます。
さらに、個人的に惜しさを感じたのは「フォトモード」が未実装な点です。エマやクゥの旅の中の記録、浄化船での何気ない一枚など、「一人と一匹」の旅を形として残せるものが欲しかったな……という気持ちもあります。

ストーリーや雰囲気など作品の良いところももちろんありますし、今後のアップデートで今回挙げた点が改善されるようなことがあれば、本作の評価も今回のレビューの点数以上のものになっていくことは間違いないでしょう。
Game*Spark レビュー『Beast of Reincarnation』 PC(Steam)/PS5/XBOX Series X|S 2026年8月4日リリース
あらゆる面で「一人と一匹」の旅を忠実に表現。しかし足りない「あと一歩」も
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GOOD
- 記憶と感情を失った「エマ」の成長物語
- 戦闘や探索で頼りになる相棒「クゥ」の存在
- 手触りが良く爽快なアクション
- 唯一無二のデザインや雰囲気
BAD
- カットシーンや演出面の弱さ
- ミニマップやフォトモードがない
- 戦闘のカメラワークとレスポンス
- ボスや敵のバリエーションの少なさ














