
2015年、ゲームスタジオDestructive Creationsは『Hatred』をリリースしました。本作は、社会に憎しみを抱く主人公が、罪のない一般市民や警官を大量虐殺していく作品です。そのあまりに過激な内容から、当時のSteam Greenlightから一時的に削除されるなど、発売前後には大きな論争を巻き起こしました。

そんな『Hatred』の発売から、すでに10年以上が経過しました。当時はどうしても、その残虐な設定やインモラルな内容ばかりがセンセーショナルに取り上げられた本作。しかし、そうした騒動から距離を置いて改めて一本のゲームとして遊んでみると、単に走り回って虐殺するだけではない、意外なゲーム性も見えてきます。
特に興味深いのが難易度によるプレイ感の変化です。選択する難易度によっては、本作は世間に広く知られた「無差別に破壊を繰り返すゲーム」というイメージとは、かなり異なる顔を見せます。本記事では発売当時の論争も踏まえつつ、10年以上を経たいま、『Hatred』を改めてひとつのゲームとして、最高難易度で遊んだときに見えてくる魅力を紹介します。
最高難易度(Insane Difficulty)の特徴
敵の射撃から受けるダメージ量が甚大に。数秒間射撃を受けると主人公は死亡する
敵の視認距離の強化。遠くからでもプレイヤーを視認し銃撃しながら近づいてくる
民間人や敵の処刑時に回復できるライフ量が極端に低下
ミニマップ上に敵の位置が表示されなくなる
リスポーンシステムの削除。1度でも死ぬとステージの最初からやり直し
上記の特徴により、最高難易度では「いかに効率的に敵を虐殺できるか」ではなく、「どうすれば自分が殺されずに敵を処理し続けられるか」を考え、試行錯誤するゲームへと変貌します。そう、本来は“人を狩る側”であった主人公が、最高難易度においては“人に狩られる側”へと回ることになるのです。

では、最高難易度Insaneにおいて具体的なプレイはどのようになるのか?高難易度においてはとにかく被弾率を減らすことが大切で、そのためにはしゃがみながら交戦する必要があります。しゃがみながら銃撃を行うことで、ただ立って射撃している状態よりは大幅に被弾率を軽減できます。
それでもInsaneでは、複数の敵から集中砲火を食らうとあっという間に死亡します。したがって、地形をうまく利用し、一対多数の状況を極力作らないことが重要です。
建物を最大限に利用するプレイスタイル

警官やSWATの波が押し寄せてくる気配を感じたら、周囲を警戒しつつ急いで手近な建物に転がり込みます。建物に籠城することで、大きな遮蔽物を得るとともに敵の侵入口を限定することができます。立てこもりの始まりです。
敵の大軍がなだれ込んでくる出入口を防衛し、減った体力は死にかけの敵を処刑することで回復しましょう。身体が燃えている状態の敵は処刑出来なくなるため、籠城中に火炎瓶や火炎放射器の使用はオススメしません。

ロケーションによっては、一度に40人を超えるSWATや海兵隊を相手にするタイミングもあり、四面楚歌な状況を楽しめます。
敵が沸くトリガーを把握する
それぞれのステージでは、「〇〇名の民間人を殺害する」「××店を襲撃し焼却する」といったいくつかのミッションが課せられます。警官、SWATといった増援は、通りすがった人々を射殺するだけでもスポーンしますが、ミッションを遂行したタイミングで凄絶な勢いで大量に現れることが多いです。そのため、行き当たりばったりでミッションをこなしていると、屋外でSWATの大軍と出くわし蜂の巣にされてしまいます。

Insaneを攻略する上でのコツは、「このミッションを達成すると大量の敵が沸く」といったように敵がスポーンする条件を把握しておくことです。そうすることで、ミッション達成前に市民を処刑し回復したり、籠城に向いた建築物に予め目星をつけたりして、押し寄せる敵の群れに余裕をもって対処することができます。
このように、最高難易度では緻密な下準備やストラテジー要素ともいえる作戦を要求されます。
圧倒的な難易度の高さが、ある種のリアルさも生んでいる
Insaneで敵の視認距離が伸びた結果、屋外ではプレイヤーの画面に敵が映ったか映ってないかの瀬戸際で銃撃を受け、また非常に精密な射撃をされることから、プレイヤーは被弾を避けることはできません。それでいて、基本的に多人数の敵が同時に現れることにより、為す術もなく射殺されることもあり、率直に言って理不尽さを感じるタイミングがあります。

しかし、主人公は悪人であり、テロリストであるというストーリー上の背景があります。たった一人の人間で国に楯突くという立場の危うさ、絶望的な戦況の悪さが、ゲームバランスにも反映されているようにも思えます。市民を好きなだけ虐殺しテロ行為を行うという野望を、そう簡単に果たせるはずがないのです。
“理不尽”を攻略した時の達成感が気持ちいい
理不尽にも思える難易度だからこそ、攻略できた時の達成感もひとしおです。後半のステージは、数回のリトライで攻略できるほど甘くはありません。
何度も死を繰り返しながら「このタイミングで敵があの方向から来る」「この建物に立てこもって敵を減らす」といった戦略を確立させ、実行に移しながら洗練させていく。そうして苦労して練った作戦が実を結び、大量のSWATや海兵隊を相手に生き残れた時、通常難易度で味わえる爽快感とはまた違った達成感があります。

ゲームとしての総評
『Hatred』は、その過激なテーマだけに注目してみると、ただ民間人や警官を撃ち殺すだけのゲームだと思われがちです。実際、下の難易度では受けるダメージが少なくゲームバランスが寛容なことから、気兼ねなくトリガーハッピーできる爽快感ある見下ろしシューティングといった内容です。
しかし、最高難易度のInsaneでは、敵の増援のタイミング、立ち回り、籠城戦、建物を出る頃合い等を計画しながら、慎重に行動する必要があります。Insaneの存在が結果として、本作を単なる殺戮ゲームではない、独特なストラテジー・見下ろしシューティングへと変化を遂げさせたのです。
『Hatred』は、Steamにて定価620円で配信中。「非常に好評」を維持しています。











