日本一ソフトウェアは7月30日に『ほの暮しの庭』を発売しました。
『夜廻』シリーズのスタッフが制作する本作は、田舎でのほのぼのスローライフを謳っていますが、それで留まるはずがありません。
そんな話題作であるこのゲームは、いったいどのような出来になっているのでしょうか。本記事では、Game*Sparkレビューをお届けします。
※本記事の制作にあたって、パブリッシャーからSteamキーの提供を受けています。
怪しさ満点の村が舞台の唯一無二な生活シミュレーション

本作の舞台は山間部に位置する集落・彼ヶ津村(かがつむら)。主人公は山中を彷徨っていたところを村人たちに保護され、住居や土地を提供してもらう代わりに、田畑の整備や村仕事、住人からのお手伝いをこなしながら生活を送ることになります。
一見すると穏やかなスローライフ作品に思えますが、物語が進むにつれて村に隠された秘密や住民たちの思惑が少しずつ明らかになっていきます。生活シミュレーションでありながら、先の読めないストーリーがしっかりと用意されている点は、本作ならではの魅力です。


閉鎖的な村社会や昔から続く風習など、いわゆる「因習村」を思わせる不穏な雰囲気が作品全体を包み込んでおり、日々の生活の中でも「この村には何が隠されているのだろう」という好奇心が刺激されます。単にシミュレーションとして楽しむだけでなく、村人たちとの交流やイベントを通して真相へと近づいていく構成になっているため、物語そのものを目当てにプレイしても十分満足できる内容でした。生活シミュレーションと因習村という、あまり見なかった組み合わせを違和感なく融合させている点は非常に斬新で、本作ならではの個性と言えるでしょう。


生活シミュレーションとしても完成度は高く、農作業や採集、釣り、料理など日々の生活を彩る要素が充実しています。四季の移り変わりに合わせて季節イベントも数多く用意されており、「今日は何をしようか」と考えながら一日を過ごす楽しさがあります。さらに、1年目を終えたあとも継続して遊べるやり込み要素が豊富で、施設の発展やアイテム収集、家畜を飼育など、長く腰を据えて遊べるボリュームも魅力です。筆者が驚いたのは狩りもできること。他作では割と省かれがちな食料として動物を仕留めるという要素は、山間部の暮らしの再現性の高さと少しの不気味さを演出する上でいい働きをしているなと感じました。



村人たちも非常に個性的で、一人ひとりにしっかりとした背景や性格が設定されています。交流を重ねて好感度を上げることで新たな会話やイベントが発生し、それぞれの人柄や考え方が見えてきます。ストーリーと住民イベントが自然につながっているため、「この人のことをもっと知りたい」という気持ちで交流を続けられるのも良かったポイントです。

一方で、気になった点もいくつかありました。本作はストーリー進行に合わせて新たな要素が解放されるため、序盤はストーリーの進行がメインになるので行動範囲やできることが限られており、少々もどかしく感じる場面もありました。ストーリー重視の構成だからこそ仕方のない部分ではありますが、スローライフを目的とするとチュートリアル部分の長さが気になってくるかもしれません。
また、UIや操作性については改善の余地があります。例えば畑等に実った作物を一括で収穫できない点や、納品とアイテム使用のボタンが同じため操作が間違いやすい点など長時間プレイしていると細かな不便さが積み重なっていきます。ゲームシステム自体は非常に面白いだけに、こうした快適性の部分がブラッシュアップされれば、さらに遊びやすくなるのではと感じました。
ホラー嫌いでも大丈夫?ストーリー重視なら「ほの暮しモード」がおすすめ

普段ほのぼのとした作品が多い生活シミュレーションを遊んでいたり、あまりホラー作品をプレイしたことがなかったりする方々にとっては、今作のホラー要素がどれくらい怖いのかが気になるポイントではないでしょうか。
実際にプレイしてみると、序盤は夜になると怪異が姿は表さずとも話しかけてきたり、不穏な演出や意味深なイベントが続いたりするため、独特の緊張感があります。昼間の穏やかな生活とのギャップも相まって、夜を迎えるたびに「今日は何が起こるのだろう」と身構えてしまう場面もありました。


とはいえ、ゲームが進むにつれて印象は大きく変わります。新たな武器や手段が増え、怪異との戦闘が本格化すると、恐怖そのものよりも「どう立ち回れば効率よく倒せるか」といった戦略面に意識が向くようになります。毎夜現れる怪異はランダムな上、倒し方も各々異なります。もちろん不気味な雰囲気は最後まで続くものの、後半はホラーゲームというより、怪異との駆け引きを楽しむアクションゲームに近い感覚でプレイできました。

ジャンプスケアについても、突然大きな音や演出で驚かせるような場面は比較的少なめです。出てくる怪異も比較的デフォルメされているので、ホラーゲームが極端に苦手な人でも挑戦しやすい印象を受けました。ジャンプスケアの苦手な筆者は、どの怪異よりも夜のターンでランダムに画面いっぱいへ鳥の群れが飛び出してくる演出が、一番驚きました。

どうしてもホラー要素が苦手だという人のために、ホラー演出を抑えた「安心ぐらしモード」が用意されているのも嬉しいポイントです。怪異による恐怖演出をできるだけ避けながら、農業や採集、住民との交流など、生活シミュレーションとしての魅力をじっくり楽しめます。村人とのコミュニケーションやスローライフをメインに遊びたい人、夜ターンのストレスなくプレイしたい人にはぴったりのモードと言えるでしょう。

一方で、本作のストーリーは村に隠された秘密や怪異、因習を軸に展開するため、物語全体を通して不穏な空気感が大きな役割を担っています。そのため、「安心ぐらしモード」では恐怖演出が抑えられている分、シナリオが不自然になっている部分もあり、やや違和感を覚える場面もありました。ストーリーをより深く味わいたい人や、本作ならではの世界観を存分に体験したい人には、「ほの暮しモード」でのプレイの方がより一層この作品らしさをより強く感じられるはずです。

総評
総じて、本作はストーリーと生活シミュレーションの両方を楽しみたい人におすすめしたい作品です。因習村ならではの住人たちとのやりとりや先が気になる物語に引き込まれながら、四季折々の暮らしや村人との交流もじっくり味わえるため、生活シミュレーションとホラーのどちらか一方ではなく両方を高い完成度で楽しめます。多少UIの不便さや序盤のテンポの遅さはあるものの、それを補って余りある魅力を持った、印象に残る一作でした。
Game*Spark レビュー 『ほの暮しの庭』 ニンテンドースイッチ / ニンテンドースイッチ2 / PlayStation 5 / PC 2026年7月30日
因習村ならではの濃密な物語と、自由度の高い村暮らしが魅力の一作
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GOOD
- 日本の集落を舞台としたストーリーと生活シミュレーションという異色の組み合わせ
- シミュレーションとしてのボリューム満点
- ホラー演出のないモードも選択可能
BAD
- ストーリーがしっかりしている分チュートリアルが長め
- UI部分の不便さが少し目立つ













