Shapefarmが手掛ける2人協力専用ADV『オービタルズ Orbitals』が、2026年9月3日に発売されます。
一見しただけで80年代アニメへのノスタルジーが伝わってくる本作の発売を、心待ちにしていた人も多いのではないでしょうか。筆者もその1人です。
しかし一方で、2人プレイ専用ということは、一緒にプレイしてくれる人を見つけなければいけないということでもあります。
「誘った相手はこのゲームに興味を持ってくれるだろうか?」「2人そろってのプレイ時間の確保、できるかな?」「一緒に遊ぶことで、むしろ微妙な空気感になったらどうしよう……」などなど。1人プレイ専用ゲームや1人でもみんなでもプレイできるゲームとは、また違ったお悩みが生じます。
そこで本記事では、本作のGame*Sparkレビューをお届けします(執筆に際して、Shapefarmよりゲームキーの提供を受けています)。購入する際や誰かを誘う際の参考にしていただければと思います。

今回は、2人協力専用ということで、友人(以下相方)に一緒にプレイしてもらいました。
プレイヤーについて簡単に説明しておきますと、筆者が「ナラティブ好きでアクションの腕前はそこまで。1人用謎解きゲームもよくプレイする」、相方は「アクションが好きだし得意、ナラティブにはそこまで重きを置いていない(良いに越したことはない)」といったゲーマーで、2人で謎解きゲームもたまにやる、といった感じです。

●2人でプレイしているのに手を休める時間がない、リトライも容易でストレスフリーなアクション部分
本作のあらすじは,「崩壊寸前である宇宙ステーションを宇宙嵐から救うため、主人公の2人・マキとオムラは必要な物資を求めて銀河へ旅立つ」といったものです。
本作は水を噴出する「リキッドランチャー」や、熱レーザーを発射する「ビームキャノン」といったガジェットを使用して、時には協力して、時にはお互いがお互いを助けながら、2人でギミックを解いて道を拓いていきます。
旅には危険がつきもの。加えてマキとオムラが旅しているのは宇宙ですから、より一層です。旅の最中でマキとオムラも、何度も死ぬことになります。

しかし、2人の魂は「I.M.」という機械の中にあり、死ぬたびに体が「リプリント」されている、という作中設定があり、死んでもすぐに復活します。

非常にテンポよくリプリントされることや、リプリントされる際の台詞が非常に豊富ということもあり、「死んで相方に迷惑をかけてしまっている……」という罪悪感はありません。むしろフレンドリーファイアで死んだ際専用の台詞があるといった凝り具合で、プレイヤーによっては積極的に台詞パターンを回収するかもしれません。

謎解きに関しても「初見では難しいけれど、話し合うことで閃きやすい」といった難易度で、2人そろってわからないといったことは起こりにくいかと思います。
アクションの難易度はというと、これまた丁度良いくらい。登場するガジェットやギミックはたくさんあれど使用するボタンが限られている、ということも関係していると思います。
プレイヤー2人ともタイミングを合わせるためにディレイする時間はあれど何かを待つという時間はなく、常に動き続けており「一緒に冒険している」「一緒に謎解きしている」というワクワク感が常にあります。
プレイスキルの差も気になりませんでした。しいて言えば、ダンジョン内で「このアクション苦手だから、ここは役割交代」は出来ないので、アクションゲームを全くプレイしない層にとっては少し辛いかもしれません(ダンジョン突入前は可能)。常に新しいガジェットやギミックで、プレイヤーを楽しませてくれるゲームです。

相方の感想
基本操作が秀逸。移動とガジェット、ギミックのレスポンスが速く、操作も気持ち良い。難易度バランスも良かった。トライ&エラーがスピーディーで、狙って作った部分はしっかりハマっていると思う。
役割の非対称性・協力の必然性を設けて、頼る頼られるが必ず発生する設計になっており、自然と声掛けが発生している。と思えば、相方を邪魔してクスッと笑える遊び心もあって、本当に楽しかった。
●たまに挟まる気分転換。ミニゲームも遊べる、しかしセーブができないもどかしさがある
ステージの途中、時折ギミックの一部として、違うゲームジャンルがミニゲームのように登場することがあります。本編のアクション同様に使用するボタンは限られており、苦手なジャンルだとしても2~3回トライすればクリアできるくらいの難易度で、気分転換にもなります。

また、ステージを探索することでミニゲームを開放することができ、拠点でプレイできるようになります。


ステージにおける進行不能を阻止するためでしょうが、本作には手動セーブがありません。任意で発生させられるオートセーブもありません。ここでミニゲームに関連して1つ問題があり、ミニゲームのプレイ終了後にはオートセーブが入らないのです。
「キリが良いし解放したミニゲームをプレイしてから今日は終わろう……新記録が出た!」という場面で、いつ発生するかわからないセーブのために次の章に突入しなければいけない状況は少し辛く感じました(プレイ時間の関係もあり、結局セーブを諦めて終了しました)。ステージはできずとも、拠点内で手動セーブ出来れば……と思います。
●冒険への期待と不安に心が躍る序盤に対して……ノスタルジーだけではカバーしきれない終盤の展開
一見しただけで80年代アニメへのノスタルジーが伝わってくる本作は、勿論ストーリーも「あの頃」にありそうなものとなっています。
マキとオムラは、来る宇宙嵐に備えて、自分たちが住んでいる宇宙ステーションのシールドを強化できる「リアクターカセット」というアイテムを3つ探しに、既に滅びた別のステーションや惑星などへ冒険に行きます。2人は、ヒーローになる冒険に向かうのです。


しかし、ストーリー全体の配分の問題は、そのノスタルジーだけではカバーできません。リアクターカセット1つ目を手に入れるまでにはかなりの時間をかける一方で、その後は物語が急速に進んでいきます。1クール12話のアニメで例えるとするならば、1話から9話までじっくり物語を進めていたのに、残り3話でそれまで以上に多くの重要な展開を一気に描いていくような感覚です。
特に物語後半では、主人公たちの内面や人間関係に関わる重要なテーマまで、かなり短い時間の中で次々と提示されていきます。もし1クール12話アニメの最終盤に、それまで時間をかけて描いてもおかしくないようなドラマが次々と詰め込まれていたら、どう感じるでしょうか。筆者は終盤に近づくほど駆け足という印象を強く受け、ストーリー全体の配分にはもう少し余裕が欲しかったと感じました。
かといって、序盤から中盤にかけて、その尺を使って世界観や周囲の人物を深く描いているというわけでもありません。
名前のあるNPCであるキナココとトーゲンをはじめ、ステーションで暮らす人々とは、会話によるコミュニケーションをほとんど取ることができません。インタラクトでちょっかいを出せる人物は何名かいるものの、ストーリー上必要最低限のやり取りに留まっています。
インタラクトやミニゲームなどを通して主人公2人の性格の違いや関係性はよく伝わってきます。しかし逆に言えば、人間関係が2人の中だけで完結しているようにも感じられます。
インタラクトやミニゲームなどで主人公2人の性格の違い、2人の関係性はわかるものの、逆に言うと2人で完結していて、マキが大好きというキナココばあちゃんや、2人の育ての親であるはずのトーゲンとの関係性が見えてこないのです。2人が救いたいはずのステーションの人々の名前がほとんど分からないのです。
世界観そのものが魅力的だからこそ、「もっとこの場所や、そこに暮らす人々について知りたかった」という思いは、物語が進むにつれて大きくなっていきました。
また、本作が「2人主人公の2人専用ゲーム」であることを考えると、ストーリーにおける2人の扱いにも、やや引っかかる部分がありました。
アクションにおいては間違いなく、プレイヤー2人ともが主人公です。それぞれがマキとオムラを操作し、互いの能力を使いながら、一緒に冒険を進めていきます。
ストーリーにおいても2人は常に会話を交わしています。マキとオムラは広い宇宙を旅する唯一無二の相棒であり、どちらか一方が主人公でもう一方が付き添い、という関係ではありません。遊んでいるプレイヤー側にも、自然と「2人でこの冒険をしている」という感覚が芽生えてきます。
だからこそ、物語が大きく動く場面でドラマの比重が片方に寄っているように感じられる部分は惜しいところでした。ゲームプレイでは一貫して「2人で進むこと」が重視されているだけに、ストーリーでも最後まで2人が同じだけ物語の中心にいると感じられる構成であれば、より強く本作の冒険に没入できたのではないでしょうか。
相方の感想
ストーリーは良いとは言えない。読後にモヤモヤが残り、減点評価を与えてしまう大きな要因。全体を通して没入できず、置いていかれてる感じがあった。
●随所に見える、キャラや世界観への細かいこだわり
先ほども言った通り、インタラクトやミニゲームなどで主人公2人の性格の違いが分かります。例えばモップにインタラクトしますと、マキは勢いよくモップを手にして両手でしっかりと柄を握って広い範囲をお掃除するのですが、オムラはお洒落にモップを手に取ると立ったまま片手をポケットに入れて手の届く範囲をお掃除して終わります。


性格の違いは本編以外でもあり、開始時にマキとオムラのどちらを操作するか選べるのですが、その際にプレイヤー2人とも1人のキャラを選択していると、もう1人のキャラに対して自慢げな表情を見せる、という小ネタがあります。



ステージには各地の在来種であろう生物がいて、それぞれに対してインタラクトできるのですが、そのデザインはステージによって全く異なります。本編とは関係ない要素ではあるのですが気が付けば探しており、見つけるたびに「この星は寒いからこういう風に進化したのだろうか?」「この生物はどうしてこんなことするのかな?」なんて、会話もプレイ中に自然と発生しました。



また、主題歌を「機動戦士Ζガンダム」「機甲戦記ドラグナー」などで知られるシンガーソングライター・鮎川麻弥氏が担当しているというのも、魅力的な世界観の一因となっているでしょう。
恐ろしいほどの情熱で作られた本作、近年のレトロブームで生まれた作品の中でも特に作りこまれていると感じました。ノスタルジーに溢れたあの頃の空気は確かな魅力があり、世代でなくとも懐かしさを覚えます。おすそわけ通信やグローバルフレンドパスもあるため、比較的誘いやすいのではないでしょうか。
相方の感想
懐かしい雰囲気はとても良い。キモ可愛い生物が各ステージにいて、楽しみの一つだった。主題歌が挿入歌でもあり、要所で聴くことになる。結構ノリノリになれて好き。
Game*Spark レビュー 『オービタルズ Orbitals』 ニンテンドースイッチ2 2026年9月3日
日本産80年代アニメへの愛が詰まった、2人協力専用ゲーム
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GOOD
- ノスタルジーに浸れる、魅力あふれる世界観やキャラデザ
- 2人でプレイするノンストップアクション
- 2人「だからこそ」のゲーム体験(おすそわけ通信やグローバルフレンドパスもあり!)
BAD
- 進むにつれて違和感を覚えるストーリー
- ミニゲームプレイ後にセーブされない(あるいは手動セーブがない)
¥6,980
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)













