10月23日に発売されたシリーズ最新作『Call of Duty: Modern Warfare 4(コール オブ デューティ: モダン・ウォーフェア 4)』。朝鮮半島で勃発する全面戦争と、プライス大尉をめぐる陰謀を描くキャンペーンに加え、進化したマルチプレイヤー、脱出シューター「DMZ」など、多彩なゲームモードを収録しています。
本稿では、そんな本作のキャンペーンモードに焦点を当て、緊迫した戦争描写や迫力のミッション、グラフィック・演出の完成度、そして物語の結末まで、じっくりとレビューしていきます。
なお、レビューにあたってはActivisionからコードの提供を受けており、記事の内容およびスクリーンショットはPC(Steam)版のものとなります。また、内容にはキャンペーンの大きなネタバレを含みますのでご注意ください。
2つの軸で展開されるキャンペーンの物語―緊張感のあるリアリティが生む没入感

『CoD: MW4』は『CoD』シリーズの最新作。2023年にリリースされたリブート版『MW3』の続編にあたり、キャンペーンでは「韓国・北朝鮮をめぐるストーリー」と、「プライス大尉とタスクフォース141」の2つの物語が描かれます。
まず、なんといっても本作のキャンペーンで注目したいのは、韓国・北朝鮮を舞台にした点。現実においても韓国と北朝鮮は現在進行形で朝鮮戦争の休戦状態にありますし、最近では軍事境界線付近で韓国兵が地雷によって負傷する事件も発生するなど、かなりデリケートな題材でもあります。


本作はフィクションでありながらも、そのデリケートな題材を扱うことで、物語に独特の緊張感が生まれています。韓国側のストーリーでは主に韓国軍のパク二等兵の視点から物語が描かれます。部隊の仲間と軽口を叩き合う何気ない場面、コンビニでの買い出しから物語は始まり、北朝鮮軍による侵攻によって突如として破壊される日常。
現実の朝鮮半島の情勢と照らし合わせても、完全なフィクションとは言い切れないような緊張感があり、等身大の兵士の一人であるパクの葛藤や心情描写にもリアリティが生まれ、物語の没入感を引き立てます。


北朝鮮側においてもそれは同様です。亡くなった父の後任として指導者に就任する穏健派の「リ・スンホ」、対照的に過激な思想を持つ姉の「リ・ジュヨン」。ふたりの思想の違いやクーデターに揺れる北朝鮮国内の情勢を描いており、「きっと、こうなる未来もあるはずだ」と思わされます。
特に姉によるクーデターが巻き起こる最中、「人間の神」とまで崇められた亡き父を回想しつつ、スンホが「なぜ我が人民は、これほど必死に朝鮮から脱出しようとする?」と問いかけるシーンは印象的です。



また、作品の没入感を高めているのは、細部まで作り込まれた演出です。特にグラフィックはかなりクオリティが高く、市街地や寒空、地下施設などの空気感がそれぞれリアルに再現されていますし、街では道にいる人、村ではそこに暮らす人々までもが細やかに描かれています。
カットシーンやイベントでは爆発や銃撃戦も迫力たっぷりに表現されています。特にストーリー終盤の韓国軍が大規模な上陸作戦を行うシーンや、空軍基地を爆破するチャプターは、今回かなりお気に入りのシーンでもあります。



部隊の仲間が、単なる戦友を超えた“兄弟”や“家族”のような存在として描かれていることも、カットシーンや各所のこまかな会話のやりとりの中にも散りばめられています。北朝鮮軍の猛攻によりパクの部隊にも序盤から犠牲者が出てしまいますが、寄り添ったり、冗談で場を和ませようとしたりと、それぞれの人間らしさが出ているのもポイント。

さらにゲームプレイ面においてもただの市街地を突き進む銃撃戦だけでなく、迫撃砲を操作したり、スポッターとして砲撃を支援したり、ヘリコプターから航空支援を行ったりといった操作も用意されています。
リアルタイムでキャラクターを切り替えながら戦う場面なども存在し、それぞれのポジションから戦局や部隊のピンチに対処していくなど、前述の“仲間”の表現はここにも現れています。



また、本作では北朝鮮の様子を描くシーンについて、日本版では表現規制が行われていたことについても触れる必要があるでしょう。チャプター「従うのみ」では村の反逆者の処刑や、隠れていた住民を見逃すかどうかで演出が変化するようになっていますが、筆者のプレイしたPC(Steam)版では一部のシーンがカットされ、反逆者を吊るすかどうかの操作部分がスキップされているだけでなく、隠れている住民を見逃した場合の展開も変化しません。
また、海外版では見られた表現に関するオプションも、そもそも設定項目が存在しません。

北朝鮮の過酷な統制社会を描くにあたっても重要なシーンでもあり、一部がカットされてしまうことで、そのシーン自体が持つ意味や、そこから得られるゲームプレイ体験も大きく異なってしまうため、この仕様は残念と言わざるを得ません。
プライス大尉の新たな物語を描くストーリーパートでは、かつての仲間であるタスクフォース141、彼らにとって因縁の相手でもあるマカロフも登場します。パリやムンバイなど世界各地で“兵器”をめぐるストーリーとなっており、韓国・北朝鮮以外にも世界を巻き込んだ騒動であることが分かります。



プライス側のキャンペーンミッションの内容も多岐にわたり、収容所から脱出を図るステルス、パリ市街地のカーチェイスや車庫での壮絶な銃撃戦、ハイウェイでC4を駆使して車両を爆破するなど……ボリューム感もあり飽きの来ないような設計になっています。



ストーリーの展開やキャラクターの掘り下げ、別モードありきな展開には物足りなさを感じる

一方、本作では『MW』シリーズにとっても集大成といえるような物語になっているものの、ストーリー展開や構成についてはいまひとつと言わざるを得ません。全体的にやや駆け足気味で、それぞれのキャラクターをうまく描ききれていない点も気になるところです。
まず、ストーリーでは序盤のミッションでプライスが潜入中のマカロフを追い詰め、雪が降りしきる路地裏で彼を拳によって仕留めることになります。追い求めた因縁の相手であるマカロフも結果として駒の一つに過ぎず、その裏にはもっと大きな陰謀が張り巡らされている……ということを表現するシーンでもありますが、かつてのマカロフと比べて見れば、“小物感”がどうしても否めません。

プライスが取引によって協力関係を結ぶことになるヴァレリア、シャドウカンパニーのグレイブスなどのキャラクターたちもあっさりと退場。タスクフォース141についても同様のことが言え、ギャズはあっさりとアーチャーに殺されてしまいます。
全体的に見ても、キャラクターを退場させるペースがやや駆け足気味で、物語のたたみ方が雑なように感じられます。このあたりは各キャラクターともに、もう少し掘り下げがあっても良いと感じました。



プライスとアーチャーについてもやや疑問の残る最期で、特にアーチャーはロシアや北朝鮮など国をまたいで暗躍するような巨悪としての存在を描こうとしたものの、いまいち印象に残りにくいのもまた事実。マッツ・ミケルセンを起用しているということもあり、オーラのある悪役にもなり得ましたが、実際にはあっけない幕切れを迎えます。


また、掘り下げに関して惜しいと感じたのは、北朝鮮の兵士、コ・ジンヒョク。意志を持って現在の体制に反抗し、作中でも欠かせないキーマンとして強い存在感を放っていましたが、欲を言えば彼を操作するミッションや場面も用意してほしいと感じました。
最高指導者の息子であるリ・スンホを操作するステルス主体のミッションでの指示や、パクたちの作戦のサポートなど、ジンヒョクは重要な役割を担っていますが、実際に操作できる機会はなく、カットシーンや無線を通じて登場するだけにとどまります。
本作ではミッションや場面ごとに操作できるキャラクターが異なるシステムのため、たとえばジンヒョクを操作して「北朝鮮の施設に潜入して“切り札”となる兵器を持ち出す」ミッションや場面などが用意されていれば、彼の心境を掘り下げつつ、活躍の場面をしっかり描けたのではと思います。


ストーリー構成でさらに気になる点は、DMZモードとの繋がりです。本作ではキャンペーンの他にPvPvE脱出シューターの要素をもつゲームモードDMZが存在しますが、このモードはキャンペーンのラストから繋がり、プレイヤー自身が後任のエージェントとして“その後の世界”に突入し、さらなる真相に迫ることになります。
DMZにはDMZのストーリー要素が用意されていますが、それはあくまでもストーリーを補完するフレーバー程度にとどめておいて、別モードありきではなくキャンペーンはキャンペーンだけで完結してほしいという気持ちも否めません。


総評

今回は『CoD: MW4』のキャンペーンに焦点を当てたレビューをお届けしてきました。グラフィックや演出など全体的なクオリティは高く、ミッションの種類や操作できるキャラクターも豊富です。韓国と北朝鮮を題材としたシナリオやテーマは挑戦的ながらも緊張感のある仕上がりで、リアリティに溢れています。
一方、プライス大尉やタスクフォースをめぐる物語の部分は展開が駆け足気味で、それぞれのキャラクターについては掘り下げが不十分だと感じてしまう部分や、他のモードありきになってしまっている部分も。ミッション単位で見れば良いものも多くありますが、『MW』シリーズとして積み上げてきたものを締めくくるにあたっては、あと一歩の物足りなさが感じられます。
Game*Spark レビュー『Call of Duty: Modern Warfare 4』キャンペーン PC(Steam、Battle.net、マイクロソフトストア)/PS5/XBOX Series X|S/ニンテンドースイッチ2 2026年10月23日リリース
リアリティあふれるシナリオは演出もクオリティ良好。しかし、『MW』の続編としては物足りなさも……
-
GOOD
- 韓国と北朝鮮の情勢を描く挑戦的なシナリオ
- 場面で切り替わるキャラクターたちの豊富なゲームプレイ
- 圧倒的なグラフィックによるカットシーンや演出
- 細部までこだわった表現による没入感
BAD
- やや駆け足気味な構成
- キャラクターの描き方や掘り下げの不足
- 表現規制によるゲームプレイ体験の差












