異なるゲームの仕組みを組み合わせたら、どんな驚きが生まれるのでしょうか。Theklaが開発した『Order of the Sinking Star』は、倉庫番型のパズルを土台に、4つの世界が交わるパズルアドベンチャーです。
『Braid』『The Witness』を手がけたJonathan Blow氏は、Theklaの創設者であり、本作のディレクターを務めています。Game*Sparkではリリースから約2週間後、Blow氏にインタビューを実施しました。パズルを解く順番は自由でも、想定外の解法は修正する。自由な進行と厳密なパズル設計を両立させる狙いは、どこにあるのでしょうか。倉庫番を選んだ理由から、キャラクターと物語の役割、チームでの制作、現時点の手応えまでお話を伺いました。
異なる倉庫番を組み合わせて1つの大きなゲームに
――これまで2Dプラットフォーマーの『Braid』、3D一人称視点の『The Witness』を手がけてきましたが、今回はなぜ倉庫番型のパズルを作品の土台に選んだのでしょうか。倉庫番のどのような面白さや可能性に注目しましたか。
Jonathan Blow氏(以下、Blow氏):倉庫番には、少なくとも2つの魅力がありました。まず、とてもシンプルです。1マスに収まる物同士が作用し合うだけで、さまざまなパズルが生まれます。デザイナーとして、実によくできた仕組みだと感じます。
ゲームをデザインしていると、つい仕組みを複雑にしてしまうことがあります。一方、倉庫番は見れば状況がわかります。目に見えない仕組みがたくさんあるわけではなく、どこに物があり、どう動くのかを把握できます。
もう1つは、『The Witness』で取り組んだ、異なる仕組みを組み合わせる面白さを引き継ぎたかったことです。線を引くパネルにシンボルが置かれていて、シンボルごとにルールがありました。最初は意味がわからなかったシンボルも、ルールを覚えたあとで別のシンボルと組み合わさると、驚きが生まれます。
今回は、仕組みを組み合わせる試みをもっと大きな規模で展開しようと考えました。小さなシンボル同士ではなく、すでに存在しているゲームそのものを組み合わせるのです。いわば、ゲームデザインの巨大な衝突型加速器です。異なるゲームがぶつかり合い、大きな爆発を起こすようなイメージです。
ただ、組み合わせるゲーム同士の仕組みがかみ合う必要があります。倉庫番型なら、物の動き方に共通点があり、どれもマス目に沿って物が動きます。ですから、別々のゲームを組み合わせたらどう動くか、想像しやすいのです。
たとえば、『モンスターハンター』とレースゲームを組み合わせたら、かなり変わったものが生まれるかもしれません。面白い組み合わせかもしれませんが、今回目指しているものとは違います。倉庫番という形式は、思い描いていたゲームを形にするうえで助けになりました。
――本作は非常に大規模ですが、最初からこれほどの規模を想定していたのでしょうか。また、複数の作品に分けず、1つのゲームとして完成させたのはなぜですか。
Blow氏:最初は、異なる世界を組み合わせたら面白そうだと考えていました。当初の計画では、世界は4つではなく6つあったのです。計画どおりに進めていたら、完成させることすらできなかったでしょう。

このゲームで目指しているのは、世界同士を結び付け、その組み合わせの面白さをプレイヤーに示すことです。たとえば、ある世界の物と、別の世界の英雄の能力を組み合わせたらどうなるか。一つ一つ確かめていきます。面白くない組み合わせは省くとしても、面白い組み合わせはすべて確かめて、プレイヤーに見せなければ、目的を果たせません。
組み合わせを考えていくと、自然に規模が膨らみます。ある世界に7通り、別の世界に9通りの可能性があれば、組み合わせは63通りです。3つ目、4つ目の世界が加われば、組み合わせの数はさらに大きくなります。世界を組み合わせるという構想に沿って作るだけで、巨大なゲームになるのです。
これほど大規模になったのも、必然だったのでしょう。最初は自分をごまかしていたのかもしれません。これほど大きくなり、これほど時間がかかるとわかっていたら、おそらく完成させられなかったでしょう。
分割しなかったのは、分けてしまうと作品としての良さが損なわれると感じたからです。すべてが1つにまとまっていて、プレイヤーが好きなように巡り、自分の目で確かめられます。自由に探索できる形が、このゲームには合っています。分ける方法はあったとしても、作品の良さを損なってまで分割したくはありませんでした。
また、分けたところで、皆さんが思うほど開発期間を短縮できたとは限りません。どんな形で作るにしても必要な技術面の作業に、多くの時間がかかっていました。アート制作にも時間がかかりましたが、分割すれば、もっと早く終えられたかもしれません。最初の1本は3分の2ほどの期間で出せた可能性もあります。ただ、今と同じ完成度にはならなかったでしょう。私はいつも、できる限り良いものを作りたいのです。
自由に進めても想定外の解法は修正
――直線的に進むゲームのほうが、難易度の調整やストーリーテリングが容易になる面もあると思います。それでも本作で、プレイヤーが自由な順序でパズルに挑戦できる構造を選んだのはなぜでしょうか。
Blow氏:私が若い頃に遊んでいたゲームは、一本道のものがもっと多かったのです。パズルゲームが広まると、一本道の作りでは問題も出てきました。アクションゲームなら、難しくて進めなくても、少なくとも何をすればいいかはわかっています。繰り返し挑んで上達すれば、いずれは突破できます。
しかし、パズルは同じようにはいきません。答えを思い付かないまま、いつまでも解けないかもしれません。ゲーム業界が主に取った対策は、パズルを簡単にするか、そもそも作らないようにすることでした。
少なくとも欧米では、たとえば『ゴッド・オブ・ウォー』シリーズのように、部屋に入ってパズルに向き合うと、30秒ほどでキャラクターが答えを教え始めるゲームがあります。自分で考えるには短すぎます。すぐに答えを教えるやり方は広まっていましたが、私は好きではありませんでした。作りたかったのは、本格的なパズルです。解けない人もいるかもしれませんが、考える力と熱意、粘り強さがあれば解けるものを目指していました。
ただ、買ったゲームを10%ほど進めたところで行き詰まり、残りを一切遊べなくなるのは、良い設計ではありません。ヒントを出したり、パズルをスキップできるようにしたりする方法もありますが、私はどちらも好きではありません。ほかのエリアへ進めるようにしたいのです。
行き詰まったら別の道へ進めること。最後まで進むために、すべてのパズルを解く必要はないこと。この2つです。あるパズルで行き詰まっても、ほかをうまく進められればクリアできます。パズルに限らず、私はこうした作りのゲームが好きなのです。

――プレイヤーが想定外の方法でパズルを解いた場合、新たな解法として認めるか、修正すべき抜け道と考えるかは、どのように判断していますか。
Blow氏:本作では、すべて修正すべき抜け道として扱います。ただ、プレイヤーの創意工夫を評価していないからではありません。パズルゲームにも、さまざまな種類があるのです。
本作のパズルは、単にプレイヤーの知恵を試すためのものではありません。どのパズルにも、ゲーム内でまだ見せていないアイデアがあります。物が思いがけない振る舞いをする面白さを伝えたいのです。序盤はまず物の性質を知ってもらい、仕組みがわかってきたら、新しいアイデアを次々に見せていきます。世界が交わり、物同士が作用すると何が起こるのか。驚きや面白さを感じてもらえるように、ステージを設計しています。
もちろん、どれだけ丁寧に作っても、これだけ大きなゲームでは想定外の解法を見逃すことがあります。しかし、意図と違う方法で解けてしまうと、見せたかったアイデアに触れずに終わってしまうのです。しかも、多くの場合、解いたときの満足感も薄れます。適当に物を動かしてゴールには着いたけれど、手応えがない、といった具合です。本作では、そうした体験を避けたいのです。
ただ、パズルゲーム全般に当てはまる話ではありません。複数の解法があることを良しとするゲームもあります。本作では、複数の解法を認める方針を取っていません。
パズルだけでなく物語でも世界が交わる
――過去作と比べ、本作では物語が大きな比重を占めています。今回、これほど物語に力を入れたのはなぜでしょうか。
Blow氏:物語の扱いはゲームごとに違います。たとえば、『Braid』は『The Witness』より物語の比重が大きい作品でした。作品を重ねるごとに物語を増やそうとしているわけではなく、それぞれのゲームに合う形を選んでいます。
本作の中心にあるのは、世界同士が交わるというアイデアです。世界が交わる面白さをどうすればもっと伝えられるか、いつも考えていました。簡単に聞こえるかもしれませんが、開発初期には今ほど表現できておらず、遊んでいてもわかりにくかったと思います。
そこで役立つのが物語です。舞台がどんな場所なのかを描けば、世界の姿がはっきりします。ゲームの仕組みでもある程度は表せていますが、物語を加えると、さらに伝わりやすくなるのです。
英雄たちが良い例です。能力だけでなく、物語を通じて人柄もわかると、印象に残ります。ただの赤いキャラクターではなく、どのような人物なのかを理解できるようになるのです。
また、ゲームを進めるにつれて、物語の役割も大きく変わっていきます。物語は、ゲームデザインの面で本作が何を目指しているのか、その意図を直接伝える手段にもなっていくのです。
ゲームデザインの裏側にある考え方に、すべてのプレイヤーが興味を持つわけではないでしょう。しかし、そうした部分に興味を持つプレイヤーもいます。本作は、ゲームを進めるほど物語の世界への理解が深まるだけでなく、なぜこのゲームが作られたのかという理由も、物語を通じて見えてくる構造になっています。

――多くのキャラクターが登場することで、パズルの仕組みやゲームの設計に影響はありましたか。影響を与えた要素があれば教えてください。
Blow氏:まず、もとにしたゲームにも多くのキャラクターがいて、それぞれに1つ以上の能力がありました。仕組みだけを考えれば、物が持つ機能も、キャラクターが持つ能力も、同じように捉えられます。実際には、キャラクターの能力になっているほうが、個性を感じられて楽しいことが多かったのです。ただ、逆の場合もありました。
キャラクターの大半は、Jonah Ostroff氏の『Heroes of Sokoban』がもとになっています。『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のようなファンタジーの英雄たちです。原作はバランスが少し違い、どちらかというとパズル好きに向けた作りに感じました。
本作の何が面白くて、何がうまくいっていないのかを見直していくと、吟遊詩人で遊ぶときには、とてもストレスがたまるとわかりました。吟遊詩人には、ほかのキャラクターや物を魅了し、自分と一緒に動かせる能力があります。強力な能力なのに、パズルでは行き詰まってばかりで、次第にもどかしくなってきたのです。

能力がキャラクターと結び付いている以上、プレイヤーにはキャラクター自身も好きになってほしいです。嫌いになってほしくはありませんし、そもそも遊んでいてストレスがたまるのも困ります。
そこで、パズルの発想を逆にできないか、かなり力を注ぎました。行き詰まらないように何をどう魅了するかを考えるのではなく、もっと開けた場所で、物をある場所から別の場所へ運ぶには能力をどう使えばいいかを考えるパズルに変えていったのです。吟遊詩人は開発中に大きく変わったので、特にわかりやすい例です。
――『Braid』や『The Witness』でも、フィクションとノンフィクションの要素を融合させ、ゲームを進めるにつれてプレイヤーの見方や考え方が変わっていくような作りになっていると思います。フィクションと現実を結び付けるのは、何か理由があるのでしょうか。
Blow氏:確かに、3作品ともフィクションと現実を結び付けています。やり方は毎回違いますが、私は現実とのつながりを描くのが好きなようです。なぜなのかは、自分でもよくわかりません。うまく言えませんが、自分が語ることにおいて、ある種の「本物らしさ」を大切にしている、ということなのかもしれません。
自分が面白い、価値があると感じる現実の何かと結び付ければ、実際にあるものだからこその確かさが生まれます。もちろん、フィクションにも物語ならではの真実味はあります。ただ、描き方次第では、うまくいかないこともあります。
ゲームを遊んでいて、物語にすることで、真剣に扱うはずの話が軽くなっていると感じることがあります。「ただのゲームだし、出てくるのも架空の人物で、遠い世界の話だから、現実には関係ない」といった具合です。純粋に楽しい物語を描くゲームなら構いませんし、悪いと言っているわけでもありません。
ただ、真剣なことを語ろうとしているのに、「いや、冗談ですよ。気取っていると思われたかもしれませんが、ただのフィクションですから」と引いてしまうと、話をかえって軽くしてしまうことがあります。私は、フィクションを逃げ道にするのが好きではないのかもしれません。自分にも、そんな逃げ道を残したくないのかもしれません。
現実の要素を少し加えれば、作品のアイデアを現実と直接結び付けて考えられます。ただ、現実とのつながりや、何が起きているのかは、プレイヤーが自分で考えられるようにしているつもりです。「こう考えるべきだ」と決め付けたくはありません。ある意味では私の作風なのでしょうし、それ以上はうまく説明できません。

原作開発者との関係、チームでのパズル制作
――本作の土台となった4つの作品・ゲームシリーズとの関係は、「影響を受けた」「共同で制作した」など、どのように表現するのが適切でしょうか。原作の開発者がどう関わったのかも教えてください。
Blow氏:単に影響を受けただけではありません。それぞれのゲームのライセンスを取得したうえで、ステージの設計や一部の仕組みに手を加えています。
このゲームの面白さの1つは、世界同士が交わったときに驚きが生まれることです。驚きを生むために、原作の仕組みを取り入れながら、少し違った形にしています。ただ、原作の特徴はしっかり残っています。見比べれば、グラフィックは大きく違っても、ステージの構成などに共通点があるとわかります。

開発の初期には、原作のデザイナーたちとも少し話をしました。それぞれの部分で何をしようとしていたのか、何を大切にしているのか、なぜ今の設計になったのか、といったことです。私たちのアレンジが原作に忠実なものになっているか、確かめたかったのです。
ただ、原作のデザイナーたちが本作の開発チームに参加していたわけではありません。実際のパズルデザインは、別のメンバーが担当しました。
※編注 本作のもとになった4作品
『Skipping Stones to Lonely Homes』(Alan Hazelden氏)
水面に石を投げ、足場を作りながら進むパズルゲーム。
『Mirror Isles』(Alan Hazelden氏)
島々を舞台に、鏡に映る像と位置を入れ替えて進むパズルゲーム。
『Promesst』『Promesst 2』『Promesst 3』(未公開)(Sean Barrett氏)
不思議な光線が満ちる洞窟を探索するパズルゲーム。
『Heroes of Sokoban』『Heroes of Sokoban II』『Heroes of Sokoban III』(Jonah Ostroff氏)
移動や物を押す能力が異なる英雄たちを使い、出口を目指すパズルゲーム。

――今回、ほかのデザイナーと共同でパズルを制作するなかで、どのような発見や難しさがありましたか。
Blow氏:これまでとは、まったく違いました。『Braid』のデザインはすべて私が担当し、『The Witness』もほぼすべてを担当しました。ただ今回は、規模が大きく、1人では作りきれなかったのです。
もとにしたゲームがあるので、構想の段階から、ほかのデザイナーの仕事が関わっています。さらに、本作を作り上げるにも人の助けが必要でした。幸い、とても優れたデザイナーたちが集まってくれました。
補足 本作に大きく貢献したデザイナー3名と代表作
Zach Polansky氏:『Enigmash』
Patrick Traynor氏:『Patrick's Parabox』
Marc ten Bosch氏:『Miegakure: Hide & Reveal』
以前は1人で考えていましたが、今回は毎週話し合い、それぞれが作ったものを見せ合いました。話し合いながら作るのも楽しかったです。毎回違うゲームを作るなら、作り方も作品に合わせて変える必要があります。前作でうまくいった方法でも、今回は合わないかもしれません。作品に合わない方法を使い続ければ、ゲームの出来にも響きかねません。本作では、チームでデザインするのが適切だとはっきりしました。
もう1つ面白かったのは、開発中のライブ配信です。ステージを作っていると、視聴者がチャットで協力してくれることもありました。クレジットには、プロのデザイナーだけでなく、アイデアやパズル作りに協力してくれた視聴者の名前もかなり載っています。開発者とプレイヤーが、制作を通じてつながれたのも面白かったです。
――Twitchの配信も拝見していました。デザインなどの制作過程をライブ配信しようと思ったきっかけと、実現に至るまでの経緯を教えてください。
Blow氏:制作過程も、少しずつ配信するようになりました。ライブ配信が広まる前から、カンファレンスなどで講演をしていたので、人に向けて話すことには慣れていました。ライブ配信ができるようになると、自分がどうプログラミングしているのかを見せたくなりました。最初は技術的な内容が中心で、技術をテーマにした講演も配信していました。やがて、デザインの過程も見せるようになりました。
友人であるCasey Muratori氏の配信シリーズ「Handmade Hero」から受けた影響もあると思います。ゲームエンジンなどを使わず、何もないところからゲームを作る配信で、とても人気がありました。私にも似たことができると思ったのです。
ただ、「Handmade Hero」のようにすべてを見せるのではなく、ときどき開発の様子を見せるくらいのつもりでした。プログラミングをする日も、デザインをする日もありました。
Twitchでも、プログラミングの配信は多くないと思います。プロの開発者によるものとなると、なおさらです。会社に勤めていれば、さまざまな問題が起こり得るので、許可を得るのは難しいでしょう。私は自分の会社を経営しているので、配信できます。プログラミングならほかの会社の人の配信を見かけることもありますが、デザインの過程は、少なくとも私はあまり見たことがありませんでした。
今どのようなことで悩んでいるのかを話しながら、ステージを作っていきます。どうすれば良くなるかわからず、迷っているところも見せるのです。試行錯誤の過程を見せるのも面白いと感じました。視聴者の皆さんにも楽しんでもらえればうれしいです。
――毎回作るゲームが違うのも、ブロウ氏の魅力の1つだと思います。本作では独自のプログラミング言語「Jai」やゲームエンジンも開発されています。独自の開発環境は、ゲームデザインにどのような影響を与えましたか。
Blow氏:Jaiでプログラミングするのは楽しいですし、作業も速く進むので、間接的には役立っています。ただ、少なくとも私の場合、技術面とゲームデザインのアイデアは、かなり切り離して考えられます。
以前は、プログラミングができないデザイナーは、アイデアを伝えて、プログラマーに形にしてもらう必要がありました。プログラマーが実現に手間取ると、ゲームのデザインにも支障が出ることがあります。ただ、プログラミングができないデザイナーも、今ならAIで試作品を作れます。実装の難しさにデザインが左右される問題は、もうなくなっているのかもしれません。
次に作るゲームでも、同じエンジンと言語を使うつもりですが、もとになるアイデアは違います。またまったく別のゲームになるでしょう。毎回違うものを作るという点では、これからも変わりません。
発売後の手応えと将来
――発売から約2週間が経ちましたが、ここまでの手応えはいかがでしょうか。プレイヤーの反応で、予想外だったことや、特に印象に残っていることはありますか。
Blow氏:順調です。発売前は、どんな反応が返ってくるか予想できませんでした。毎回予想はつかないのですが、今回は特にわかりませんでした。『The Witness』は風変わりなゲームで、トレイラーを見ても線を引くパズルが並んでいます。「こんなの新聞のパズルみたいじゃないか。わざわざ遊ぶ意味があるのか」と思う人もいるかもしれません。受け入れてもらえるかはわかりませんでしたが、実際には多くの人に遊んでもらえました。
今回は、ゲームを遊ぶ人ならなじみのある形式です。ただ、倉庫番型のパズルは、特に人気の高いジャンルというわけではありません。なぜなのか、はっきりとはわかりません。私自身は多くの魅力を感じていますが、難しすぎることもありますし、慣れた人には面白さが伝わっても、初めての人にはうまく届いていないのかもしれません。
そこで、倉庫番型のパズルの面白さを、特に力を入れて伝えようと努めました。面白さは伝わったと感じています。Steamでもコンソールでも、レビューの評価が予想以上に高くて、うれしい驚きでした。
さらに遊び進めて、もっと気に入ってもらえればうれしいです。特にダウンロード販売のプラットフォームに寄せられた本作のレビューは、ゲームを評価できるくらいには遊んでいても、全体から見ればまだ一部しか遊んでいない人によるものが大半です。それほど規模の大きいゲームなのです。先へ進むほど楽しんでもらえているように感じますが、まだ発売から日が浅いので、これからです。
今は本当にほっとしています。インディーゲームでは、良い作品でも誰にも注目されないことがあります。実際に良い作品が埋もれてしまう例を見てきたので、心のどこかにはいつも不安がありました。ただ、今回は多くの人に遊んでもらえました。
多くの人に遊んでもらえた理由の1つは、パブリッシャーとの協力関係だと思います。Arc Gamesと契約した理由の1つは、ゲームが以前よりずっと増え、作品を見つけてもらうのが難しくなっていることです。私のゲームには良い評判があると思いますが、『The Witness』からは10年が経っています。今19歳の人なら、当時は8歳か9歳で、遊ぶには幼かったかもしれません。日本のPLAYISMや、ほかの地域のパブリッシャーに力を貸してもらえるのは、ありがたいです。
作品が良くなければ、どれだけ宣伝しても、プレイヤーにはわかります。一方で、良い作品でも、毎日あまりに多くのことが起きているせいで、存在を知ってもらえない場合があります。それでも、知らせる努力をすれば、届くと思うのです。見てもらえれば、作品に価値があると感じてもらえるはずですから。
発売から2週間が経ち、今は本当にほっとしています。少し肩の荷が下りましたが、まだ作業は続いています。先ほど話したようなステージ内の細かな問題を直し、さらに良くしているところです。
――最後に、本作のブラッシュアップも続くと思いますが、次回作の予定や構想について、現時点でお話しできることがあれば教えてください。
Blow氏:次回作の詳しい話をするには、まだ少し早いです。今は本作に集中していますし、早い段階で情報を出すと、開発中に内容が変わったとき、プレイヤーに「約束していたものと違う」と思われてしまうかもしれません。期待との食い違いは避けたいのです。
お見せできる段階になったら、改めてお話しします。今はまだ、十分に形になっていません。次回作の開発に本格的に取り組むのは、2027年に入ってからになります。

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