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全米1位のパズルゲームを生んだ会社には“売上目標”がない!?ゲーミンキャットに聞く「世界のトップを取れる開発者」 に求められるモノとは

全米1位のパズル、300万DLのポイ活、Steam新作――。三者三様の少人数チームを率いる3人のリーダーに、いま世界で戦うために必要な力を聞きました。

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全米1位のパズルゲームを生んだ会社には“売上目標”がない!?ゲーミンキャットに聞く「世界のトップを取れる開発者」 に求められるモノとは
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AIとの向き合い方も三者三様

――開発におけるAI活用についても伺います。各チームでルールはありますか。

池田:うちはモバイルゲームかSteam向けタイトルかでルールを分けています。Steamの場合、ユーザーの目に見えるところにはAIを使いません。Steamのユーザーは生成AIをあまり好まないので。コードのような見えない部分はOKです。一方でモバイルの方は、ビジュアルから音楽まで、全部AIを使って作っていますが、ユーザーから特に大きな意見が寄せられたことは、今のところありません。SteamとモバイルではユーザーのAIに対する受け止め方が全く違うんです。

小林:僕のチームも、見えないところはフル活用です。エンジニアはみんなClaudeとCodexを併用していて、どちらも会社の経費で使えるので、フルに回している状況です。画像生成は最近UIパーツには使い始めましたが、コンテンツの中身にはまだ使っていません。クオリティ面で「AIっぽさ」が出るのが、僕は好きじゃないので。

原:私のチームもかなり使っていて、私自身が推進役です。Claude CodeやCodex、Copilotで実装のスピードがどんどん上がっているので、逆にそれ以外の工程が追いつかなくなる。チームのあり方や進め方自体が、AIありきで変わってきている感覚があります。細かい作業で自動化できるものは全部自動化しています。

3Dモデリングはまだ厳しいところもあるんですが、時代的に使えるようにならないといけないので、デザイナーにあえて時間を取って試してもらっています。「小物ならいける」「プロトタイプならぎりぎり使える」といった温度感を共有するために、2週間に1回「AI雑談会」もやっています。そこを揃えておかないと、企画を立てた段階のスケジュール感が実態とずれてしまうので。

――ゲームの企画そのものにAIを使うことはありますか。

原:企画は……考えさせてもあまり良いものが出てこないですね。頭は良さそうなんだけど「何が面白いの?」というアイデアが多い気がします。ただ、データ分析は別です。ユーザーの行動やプレイログは定量的にわかるものなので、AIとの壁打ちは結構やります。「ここに高額なアイテムを入れたらどうなると思う?」とか。高度なシミュレーターとして使っている感覚です。

池田:僕は数値バランスの設計ですね。仕様とパラメータを渡して、「平均的に遊んだ人と、上振れた人・下振れた人で攻撃力の差はどう出るか」を計算させて、高難度コンテンツの敵の強さを決めたりしています。テストプレイもAIにさせています。

小林:僕はアイデア出しには使いませんが、作りながら変えるタイプなので、「AIに作らせて、動かして、判断する」のをめちゃくちゃやっています。ジャストアイデアを今までは自分で2~3日かけて形にしていたのが、今は1日に5個とかテストできる。「あ、これはダメだ」「これはめっちゃいいじゃん」という取捨選択が圧倒的に速くなりました。

――エンジニアの働き方も変わりましたか。

原:気づいたら、みんなマニュアルでコードを書かなくなっていましたね。私自身も、たまに自分で書き出すと「面倒くさい」となって、AIに投げてしまう。自分で書くと考慮漏れだらけになるのに、AIは網羅的にやってくれるので。その分、仕様書を明確に作るようになりました。

小林:うちはエンジニアがめちゃくちゃドキュメントを書くようになったんですよ。AIに書かせた何千文字の、あらゆることを考慮し尽くした文章が「太一さん、これ見といてください」と毎日届く。確認に半日かかりそうな量なので、さすがに毎日は追いつかない(笑)。今はAIへのドキュメントの書かせ方をみんなで考えよう、と問題提起をしているところです。

ガッツリ使い始めて半年ほどですが、もう戻れないですね。ただ、まさに今作り方が変わっている途中なので、「これで本当にうまくいくのか」という不安はあります。それと、今までいいアイデアを持っていても作れなかった人が、これからはどんどん作れるようになる。競争は間違いなく激しくなると、本気で思っています。

世界のトップを取れる開発者に必要なこと

――さて、ここからは少し話題を広げて伺います。アイデアを世界規模の成果に変えられる開発者には、どんな共通項があるとお考えですか。

小林:難しいテーマで、どんどん抽象的になってしまうんですが……一つは「向上心」だと思っています。現状に満足せず、「もっと良くできるはずだ」「もっと効率化できるはずだ」と常に考え続けられること。

ゲームはエンタメなので、正解がないんですよ。正解が欲しくて仕事をするタイプの人は向いていない。正解を求め続けても、最後まで見つからない。それでも探求を続けられるか。向上心、探求心、知的好奇心――「どうやったらもっとお客さんが喜んでくれるか」を探求できることが、まず大事だと思います。

そして、それを諦めずに続けられること。僕自身、『TENKYU』を出してから『Jigsolitaire』で再び全米1位を取るまで7年なんですよ。普通なら途中で辞めていると思うんです。それでも「まだいける」「もっと良くできる」を繰り返してきた。好奇心を持って飽きずにトライできて、諦めが悪くて、向上心がある。そういうことな気がしています。

原:私は「チーム」の視点で考えました。仮にトップを取れる企画があったとしても、それを実現できるチームがなければ取れないと思うんです。では、それはどういうメンバーなのか。企画書のとおりに作る人ではなくて、意図を理解して実装できる人。自分で考えて、面白いものを作るために行動できる人です。そういうチームがないと、いくら企画が良くても、その後が続かない。

池田:「自分で学べる人」ですね。スマホゲームの世界では、ハイパーカジュアルが出てきてから(ブームが)終わるまでがすごく早かった。今はSteamに勢いがあって、『Roblox』もあって、環境が次々に変わります。その変化を自分で学んでキャッチアップしていける人でないと、難しいと思います。

――その力は、どうすれば身に付くのでしょう。皆さん自身はどうやってそうなったのですか。

池田:僕はスタートアップをやっていたので、「学ばないと死ぬ」んですよ。創業した時はコードを書けなかったんですが、エンジニアが全員いなくなってしまって、覚えるしかなかった。そうしたら、覚えられたんですね。やることが生命線だった、という環境の力は大きいと思います。

原:個人開発をしていた人は適性があると思います。「作りたいと思っていました」で終わらずに、実際にリリースまで持っていった人は、やっぱり違う。そういう人は世の中に結構いるんじゃないかという気はしています。

小林:議論になりそうですがあえて言うと、僕は「ゲームが好きかどうかは、そこまで重要じゃない」と思っているんです。そもそも、自分のスキルを目的に応じて身につけて、応用できて、「もっとお客さんに喜んでもらうにはどうするか」を創意工夫しながら仕事に取り組める人は、基本的にゲーム開発にも合うはずなんです。WebアプリやIT系で顧客改善をやってきて、「もっとお客さんに面白いものを提供したい、それを探求したい」という人なら合うんじゃないかと。だから採用もゲーム業界の経験者に絞らなくていいんじゃないか――というのは、実は今初めて言うんですけど。(笑)

原:現状の求人は実務経験や個人開発の経験が前提条件になっているので……これは社内で考えないといけないですね。

小林:僕自身、もともとゲーム業界志望じゃなかったんですよ。適性って、やってみないとわからない。「ゲームが好き」かどうかより、「自分達の作ったもので、多くの人を楽しませたい」という志向があるかどうかなんです。ゲームが好きな人でも、ゲーム作りには合わない可能性がある。逆もある。だから、そういう人を発掘したい気持ちがあります。


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池田:ああそうか。「『ファイナルファンタジー』を作りたい」という人よりは、「『ファイナルファンタジー』みたいなものを作って、ユーザーに喜んでほしい」という人の方がいい、ということですよね。

フルリモートでも開発が円滑に回る仕組みと自律的に動ける人が成長ができる文化

――独立したチームと大きな裁量の話に戻ります。メンバーの側から「この企画をやりたい」と手が挙がったときは、どうなるのですか。

原:規模によると思います。1~2週間で開発できるものなら、今までやったことのないことでも、やってみたらいいというのが個人的な考えです。

池田:もらった企画をチームでやるとして、期待値はどれくらいか、成功率はどれくらいか、やる価値があるか、という話はすると思います。ウェルカムですけど、ハードルは高い、という感じですね。

小林:僕は「普段の仕事ぶり」を見ますね。日頃からゲームや市場を理解しようと努力しているのが伝わってくる人なら、任せたいと思える。逆に、競合のゲームも遊んでいない、ゲームを作ったこともない人が急に「この企画をやりたいです」と来たら、まずは競合を触って、市場を見るところから始めてもらいます。そこができていれば経験の長さは関係なくて、その人が本気で面白いと思うものを作ってほしいんです。

池田:こうして聞くと、違う会社みたいですね(笑)。

――ちなみに業務はフルリモートなんですよね?出社回帰の流れもありますが、チームが孤立しないための工夫はありますか。

小林:うちのチームは週1回、必ず1時間みんなで集まる定例をやっているんですが、そのうち40分くらいは仕事の話をせずに雑談をするんです。「週末何やった?」「子供と遊園地に行った」「最近家を買いました」みたいな話をずっとする。リモートだからこそ、話しやすい関係を作ることに気をつけています。

会社全体の仕組みもいくつかあって、毎日の日報を全員に共有する文化があります。その日の仕事内容や気づきを書いて送るので、「あの人はこういうことをやっているんだ」という緩い横のつながりが生まれる。月1回の自由参加のシャッフルランチや、年2回の全社で集まる会もありますね。

原:私のチームの定例は週1回30分だけで、ものすごくコンパクトにやっています。小さいお子さんがいるメンバーもいて働く時間がまちまちなので、集まる時間は最小限にして、タスクを常に大量に積んでおき、各自がなるべく好きな時間に働けるようにしています。

あとは公式の場ではないんですが、社内のDiscordにゲームコミュニティがあって、新しく出たゲームを何人かで集まって遊んだりしています。一部のメンバーはほぼ毎日、夜の11時から2時ごろまでやっていますね(笑)。

池田:うちも定例は週1回で、あとは各自に任せています。管理ツールで誰が何をやっているかは把握していますが、何時に何時間働いているかは見ていません。チームで一度も会ったことのないエンジニアもいますよ。実在するのだろうか、という(笑)。

――一方で、「人を育てる」仕組みはあまりないとも伺いました。この環境で力を発揮できるのは、どんな人でしょうか。

原:教育する、人を育てるという文化はあまりないと思います。それでも「自分で頑張って学んでいきます」という人なら、ウェルカムなのかもしれません。

池田:教育制度を求めてくるタイプの方には、合わないと思います。1人がカバーする範囲が大きいので、言われたことだけやっていればいいというタイプの人は、たぶんどこかで溢れてしまう。全部は指示しきれないので。逆に、そこを自分で取りに行けるタイプの人なら、すごく活躍できるし、成長のチャンスも多いと思います。

小林:「私はUI/UXデザイナーだけど、広告や企画のスキルや知見ももっと伸ばしていきたい」――そういうウィルがある時点で、すごくゲーミンキャットに合っていると思うんです。なにせうちは開発からUA、マネタイズまで自社で全部やっているので、やりたい範囲は全部守備範囲になるので。大きな会社で一つの職能を突き詰めるのとは違う、広い視野でのスキルアップができるのがいいところです。大企業のような体系化された教育制度が完璧に整備されているわけではありませんが、チーム内で教え合ったり知見を共有したりしているので、必要なスキルは入ってから学べると思っています。

池田:採用の考え方も少し変わってきていて、たとえばデザイナーは以前「3DもUIもできる人」が前提条件だったんです。しかし、大きい会社では分業されているので、どれか一つしかやっていない人がほとんどで、全部できる人はそもそも少ない。だから最近は、どれか一つできなくても、入ってから覚えられる人ならOKという条件にしています。

――なるほど。

「自分が作ったゲームが世界中で遊ばれる」にワクワクする人へ

――今後の話を伺います。会社として、モバイルやハイパーカジュアルの枠にこだわらず領域を広げていく方向なのでしょうか。

池田:代表の林は「ゲームを含めて、もっといろんなことをやりたい」と言っていますね。いろんな方向へ行ける会社だと思います。実際、最近も『Roblox』に参入するかどうかを検討していました。プラットフォームを決め打ちする発想が、そもそもないんですよ。

原:採用条件にも「モバイルゲームの経験」は入っていません。プラットフォームを問わず、ゲームに広く関わっていきたい人に来てほしいです。

――最後に、それぞれのチームで今後挑戦したいことを聞かせてください。

原:今はポイ活とグローバルの二軸で進めています。ポイ活の市場では、非ゲームの領域に大きなユーザー数を持つサービスがすでにありますが、「ゲームのポイ活」でそれらに匹敵する規模を作りたいです。「ゲーミンキャットといえばこれ」と言えるものを育てたいという野望があります。

小林:面白いゲームを作って、それが世界中で遊ばれること。これからも、それをやり続けたいです。ただ、野心としては、もう一段上を目指したい。全米1位を取ったゲームは、そうでないゲームと比べて成果が何倍も違いました。ハイブリッドカジュアルはハイパーカジュアルと収益のスケールがまるで違う。1位を取れるゲームを、さらにハイブリッドカジュアルとして作れたら――そこに行きたいと思っています。

池田:僕はパブリッシングをやりたいんです。ただ、パブリッシングをやるには実績が要る。だから、まずうちのチームでSteamゲームを作って、実績を示そうという考え方をしています。「ゲーミンキャットとしてこういうゲームを作っていて、そのチームがパブリッシングも見ます」と言えれば説得力があるし、いいタイトルも集まりやすいじゃないですか。ここでもプラットフォームは限定しません。面白いゲームを見つけて、自分たちの手で世界に出していきたいですね。

――では締めに、この記事を読んでいる方、今日のみなさんのやりとりを見てゲーミンキャットに興味を持った方にぜひメッセージをお願いします。

池田:今日、これだけ各チームで違うことを言っていると、応募するときに「このチームに入りたい」と思ってしまうかもしれませんね。違うカルチャーが共存できている、懐の深い会社です。お気軽に応募してください。

小林:日本でゲームを作って、それをそのまま世界中に出せる事業をやっています。国内向けのタイトルやコアなゲームが多い日本の業界の中で、グローバル向けカジュアルという特徴がある会社です。「自分が作ったゲームが世界中で遊ばれる」と聞いてワクワクする人に、ぜひ来てほしいです。そういう人とは、きっとうまくやれると思うので。

原:まったく同意です(笑)。自分が作ったゲームを世界でヒットさせたい、その思いがある人を募集しています。それと、UAやマネタイズ、データ分析はうちの会社の強みで、トップクラスだと思っています。そのチームが開発を支えてくれるので、やりたいことがある人にぜひ入ってほしいですね。

「向上心と諦めの悪さ」「意図を理解して動けるチーム」「自分で学び続ける力」――3人の答えは一見バラバラですが、根はひとつです。正解のない市場で、自分で考え、学び、作り続けること。ゲーミンキャットは、それができる自立したプロフェッショナルたちに、目標もKPIも課さず、裁量と環境だけを渡して賭けています。それはまさしく売上目標がないことにも繋がっているといえるでしょう。

管理ではなく信頼で束ねられた5人前後のチームが、日本にいながら全米1位を獲る。大規模・分業型の開発が主流の国内モバイル業界にとって、この組織モデルは「世界で戦うためのもうひとつの解」を示しているともいえるでしょう。もし「自分が作ったゲームが世界中で遊ばれる」という未来にワクワクするなら、次に世界のトップを獲るチームに加わるのは、この記事を読んでいるあなたかもしれません。


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《宮崎 紘輔》


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