気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Rusty Lake開発、PC/Mac/Android向けに8月13日にリリースされたポイント&クリック式アドベンチャー『Servant of the Lake』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、数多くのポイント&クリック式アドベンチャーゲームを手がけてきたRusty Lakeの最新作。舞台となるのはシリーズ作品『Rusty Lake: Roots』の数十年前で、主人公は悪名高きヴァンダーブーム一族に仕える使用人です。パズルを解いて日々の仕事をこなし、家事を済ませ、訪問者を迎え、彼らが快適に過ごせるよう気を配りながら、一族が錬金術の野望を達成するのを手伝います。日本語にも対応済み。
『Servant of the Lake』は、1,050円で配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Robinこんにちは。まず何より、私たちRusty Lakeおよび『Servant of the Lake』を取り上げていただけき、ありがとうございます。読者の皆さんに私たちの声をお届けできることに、とてもワクワクしています!
私はRobin Rasで、自分たちが創り上げたユニバースにちなんで名付けた小規模インディースタジオRusty Lakeの共同設立者です。11年前にMaarten Loiseと共にRusty Lakeを立ち上げ、本作『Servant of the Lake』は19本目の作品となります。
好きなゲームを一つだけ選ぶのは非常に難しいのですが、私という人間を最も決定づけた作品を挙げるとすれば、9歳の頃にプレイした『ゼルダの伝説 時のオカリナ』です。この作品で味わった冒険、パズル、そして隠し部屋の数々といった要素は、今なお私たちが生み出す作品に大きなインスピレーションを与え続けてくれています。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Robinヴァンダーブーム邸へ再び戻ってくるというアイデアは、2016年に『Rusty Lake: Roots』をリリースして以来、私たちの頭の中にずっとありました。あの邸宅はラスティレイクユニバースにおいて非常に重要な場所であり、不老不死の薬の錬成プロセスや、ジェームズが『Rusty Lake: Roots』で到着する以前にそこで暮らしていた兄弟の歴史には、まだまだ明かされていない物語が多く残されていると感じていたのです。
『Servant of the Lake』の特徴は、様々な要素の融合です。徐々に難易度が上がっていくパズルを通じて紡がれるシュールでミステリアスな物語や、素晴らしい声優陣が演じる印象的なキャラクターたちが作品を彩ります。また、私たちは本作において、細部に至るまで徹底的なこだわりを詰め込みました。ゲーム内のアートは、Maartenによるシンプルで太いラインのビジュアルと、オランダのアーティストJohan Scherft氏による水彩・パステル描きの美しい風景画が見事に融合しています。
そして、『Servant of the Lake』の持つシュールな世界観をより一層引き立てているのが、Victor Butzelaar氏が手掛けるサウンドトラックです。21世紀を代表する多才なハープ奏者の一人であるLavinia Meijer氏による素晴らしい演奏も収められています。
本作を成すすべての要素を一つにまとめ上げることができたからこそ、私たちは『Servant of the Lake』が自分たちのこれまでの創作活動における最高傑作のひとつであると大きな自信と誇りを持って言えるのです。10年前の私たちには無理だったと思えるほどのクオリティを実現することができました。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
Robin本作は『Rusty Lake: Roots』の前日譚にあたるため、『Rusty Lake: Roots』こそが『Servant of the Lake』の最大のインスピレーションの源です。さらに、「日の名残り」や「パワー・オブ・ザ・ドッグ」といった映画からも影響を受けています。
本作のゲームプレイは、Rusty Lakeお馴染みのポイント&クリック型パズルアドベンチャーです。しかし今回は、複雑なパズルの手かがりや情報を追うことができるゲーム内手帳機能を導入したほか、ポイント&クリックの中に『8番出口』や『Chants of Sennaar』、『Don’t Escape』シリーズといった異変察知・推理解析ゲームから着想を得た新たなゲームシステムを組み込んでいます。
そして何より、私たちは二人ともデイヴィッド・リンチ監督作品の大ファンです。特に「ツイン・ピークス」からは多大な影響を受けており、ラスティレイクユニバース全体の空気感や雰囲気を形作る上で、極めて大きな役割を果たしてくれました。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
Robin開発中における最も印象深いエピソードのひとつが、馬車に乗ってヴァンダーブーム邸へと到着する冒頭のシーンです。このシーンはゲーム内にとどまらず、本作のプロモーションにおける象徴的なものとなりました。
私たちは、gamescomやTwitchConといった大型イベントで本作を宣伝するため、本物の馬車を購入したのです。会場では、御者役の人と共に馬車の内部で本作のデモをプレイでき、ファンやプレイヤーの皆さんを驚かせると同時に、唯一無二の忘れられない体験をお届けすることができました。
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Robinリリース直後にバグが発生するというちょっとしたアクシデントはありましたが、開発チームによる迅速な修正を経て、すべてのプラットフォームにおいて『Servant of the Lake』へのフィードバックは驚くほどに好意的なものばかりです。また、数多くの建設的なご意見もいただいており、アクセシビリティに関する懸念事項についてはあるプレイヤーの方と協力しながら速やかに修正・対応を行いました。
全体的に、これまでにコミュニティから寄せられたフィードバックには非常に感動しています。私たちは2年半以上もの歳月をかけてこのプロジェクトに取り組んできたため、これほど多くの方々に『Servant of the Lake』を楽しんでいただけているのは、何よりの喜びなのです。このインタビューへの回答時点で、Steamでは7,500件以上のレビューのうち98%が好評価を獲得しており、モバイル版においても数千件のレビューの中で「4.9 / 5.0」という評価をいただいています。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
Robin現在私たちは、すべてのプレイヤーの皆さんにより快適で素晴らしいプレイ体験を提供できるよう改善を進めているほか、数ヶ月以内にお披露目予定の「嬉しいサプライズ」の準備に取り組んでいます!さらに、それと並行して『Servant of the Lake』のニンテンドースイッチへの移植作業も進行中であり、近いうちに発売日をお知らせできることを大変楽しみにしています!
――本作の日本語対応状況について教えてください。実装の内容や大変だった点、日本からの反応はどうでしたか?
Robin『Servant of the Lake』を含むRusty Lakeの全タイトルは、ゲーム内テキストが日本語を含む多数の言語へとローカライズされています。『Servant of the Lake』において一番大変だったのは、その圧倒的な会話のボリュームでした。翻訳テキストは1,000行を超えており、間違いなく当スタジオの歴史の中で最もテキスト密度の高いタイトルのひとつです。
しかし、私たちの公式Xアカウントの運営も手掛けてくれている日本語翻訳者のMegumiさんが、迅速に本作の翻訳とテストプレイを完璧に終わらせてくれたため、非常にスムーズに進行することができました!
日本のファンの皆さんは、いつも私たちの作品を温かく歓迎し、ラスティレイクユニバースを日本語で体験できることへの感謝の声を届けてくださっています!日本のファンの皆さんをはじめ、世界中のできる限り多くのファンの方々に遊びやすい環境を提供することは、私たちにとってとても重要なことなのです。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Robinもちろんです。プレイヤーの皆さんが私たちのゲームを心から楽しみ、ご自身の視聴者やコミュニティと共有したいと思ってくださることは、私たちにとって大変光栄なことです。そのため、私たちのゲームをプレイしてみたいとお考えのコンテンツクリエイターの方々に対しては、ご自身用はもちろん、視聴者の皆さんへプレゼントするための無料ゲームキーの提供をいつでも喜んで行っています!
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
RobinすでにRusty Lakeの作品をご存知で、私たちのファンだという方がいらっしゃいましたら、最新作『Servant of the Lake』をはじめ、長年にわたる温かいご支援とご愛顧に、心から感謝申し上げます。皆さんの存在がなければ、今の私たちはあり得ませんでした。これからも何年にもわたって皆さんに楽しんでいただけるような作品を届け続けてまいります!
そして、この記事で初めてRusty Lakeの名を知り、シュールな物語に包まれたパズルに興味を持ってくださったという方は、ぜひこの機会に私たちのゲームをプレイしていただけることを願っています!貴重なお時間を割き、本インタビューをお読みいただき、本当にありがとうございました!
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に1,000を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。








