ゲームイベントと聞けば、巨大な展示ホールにずらりと並ぶブース、最新作の映像、試遊を待つ長い列を思い浮かべる人も多いでしょう。もちろん、それは東京ゲームショウ(TGS)やGamescomといった巨大な見本市イベントの魅力です。しかし、ゲームを楽しむイベントの形は、それだけではありません。
2026年10月17日・18日、岐阜県各務原市の各務原市民公園で、第9回「全国エンタメまつり」(通称「ぜんため」)が開催されました。屋外でゲームを遊ぶという、文字にすれば単純な体験。けれども、そこには大規模な見本市ではなかなか味わえない豊かさがあります。

ゲームを遊びに、公園へ行こう
「ぜんため」は、秋のハロウィン&ピクニックをテーマに掲げる屋外ゲームイベントです。会場は展示ホールではなく、公園。ゲームのブースを訪ねることと、屋外で一日を過ごすこととが、自然につながっています。

ゲームイベントに足を運ぶとなると、つい「何を試遊するか」「どの発表を見るか」と予定を詰め込みたくなります。しかし、ぜんためでは少し違った楽しみ方ができます。目当ての作品を遊んで、次のブースへ。気になった展示で足を止め、合間には食事を楽しむ。あるいは、特に目的を決めずに会場を歩いてみる。それだけでも立派なイベントの過ごし方です。

青空の下を歩きながら次に遊ぶゲームを考える。たったそれだけのことが、いつものゲームイベントとは違う記憶になります。画面に向き合う時間と、空を見上げる時間が同居しているのです。

もちろん、のんびり過ごせるからといって、ゲームの展示が脇役というわけではありません。第9回の開催前に公表された出展情報では、企業17社とインディー34団体が参加予定とされていました。

例えば日本一ソフトウェアは『ほの暮しの庭』や『みんなでポイっと!プリニーすごろく』の試遊を案内していました。ハムスターは「アーケードアーカイブス」「コンソールアーカイブス」のプレイを交えた番組を会場から配信する企画などが実施。一方で、インディーや学生の出展も多数みられました。

こうした顔ぶれからも、ぜんためが単なる小規模版TGSではないことが伝わってきます。大手メーカーの作品も、個人や学生が作るゲームも、それぞれ違った動機で見に行けます。発売日や知名度だけでは測れない「ちょっと遊んでみたい」という気持ちを大切にできる場所なのです。


会場ではゲームの展示やステージだけでなく、グッズ販売やグルメエリア、“痛車”展示エリアなども展開されました。食べ物を買ったり、休んだり、気になったブースにもう一度戻ったり。こうした「ゲームを遊んでいない時間」に焦燥感がないのも、このイベントの面白さです。

ただ、実際ぜんためにはAAA大作や海外のゲームが多数並ぶイベントというわけではありません。TGSにはTGSでしか味わえない熱狂があるというものでしょう。しかし、ぜんためはその情報量や規模を競うところにはなく、ゲームを遊ぶことが、公園のゆったりさと地続きになっているのです。当然子どもたちや親子連れも多く、ワイワイと楽しみ姿が多くみられました。
そして、そのゆったりした空気は、ゲームとの出会い方も変えてくれます。次々に話題作を消化するのではなく、なんとなく気になった作品に触れてみる。何を見たかだけでなく、どんな気持ちで会場を歩いたかも強く印象に残ります。


気になったゲームたち
そんなふうにぶらぶらと歩きながら見つけたゲームをご紹介します。
『うんこ探偵』
『オバケイドロ』のフリースタイルと、元日本一ソフトウェアの新川宗平氏がプロデュースしながら開発している「ハイスピードうんこ推理アクション」です。もともとはアナログゲームでしたが、デジタルゲームとしても展開されます!


ゲームの流れは、フィールドに転がるさまざまなうんこ状のシルエットから、お題とぴったり合ううんこを見つけるというもの。似た形のうんこ状のものがたくさんあるので、わちゃわちゃした画面の中で意外に見間違いがち……!そして、正解のうんこを見つけても連打勝負に勝たなければなりません。

シンプルながらワイワイ盛り上がれるルールなので、さっと遊ぶのに楽しい作品です。さらなるルールの深化や他のモードも期待したいところ。そして大川ぶくぶさんデザインのキャラもめちゃめちゃかわいい。
『RULES OF RESIDENCE』


35年ローンで手に入れた夢の新居は、独裁理事長が支配する異様なマンションだった――そんなイヤすぎるあらすじの本作は、TRPGチックなシステムを搭載したアドベンチャーゲームです。さまざまなイベントで入手するカードがリソースとなり、訪れるイベントを各種カードを使用してこなしていきます。『シチズン・スリーパー』を少しシンプルにしたようなプレイ感覚でしょうか。

短いプレイ時間ではゲームプレイの醍醐味は味わいきれませんでしたが、全体的に閉塞感のあるデザインにドキドキ……。カードも住民もなんだか不気味ですし、とにかく「ここにいたくない」という感覚を強く味わせてくれます。

不動産広告風のチラシもナイス。よくみたら不穏ですね。「自助努力」って、不動産チラシに書いててほしくなさすぎる。
『PROJECT-CATCH』
『ぶっとバード』で知られるロコビットが送る本作は、キャッチボールをテーマにした作品。キャラによって異なるバトルスタイルと、魔球の繰り出しが特徴的なようです。

筆者が訪れた日程では常に人気で、残念ながら遊ぶことが叶わず……!『ぶっとバード』がコロコロコミックで連載していたこともあってか、子供からも人気を集めていました。
『セラフィーヌは空を行く』


前々からさまざまなイベントに出展されている作品ですが、やはりあらためて凄みのある作品です。やわらかいタッチと難しくない操作でありながら、空島を航行する飛行船を体験することができる作品で、そのグラフィックはおそらくすべて手描き。カメラの角度によってしっかり絵も切り替わるようになっていて、アニメのような見応えのあるビジュアルとなっています。そして、女の子が全員かわいい。

来年は、記念すべき第10回目。どういった催しが行われるかはわかりませんが、このゆったり感は保ってほしいもの……!まだ参加したことがない人には、ぜひ一度、この空気を味わってみてほしいです。目当てのゲームを決めて行ってもいいですし、何も決めずに訪ねてもいいのです。
ゲームのイベントに、青空とゆったりした時間がある。その当たり前のようで新鮮な体験こそ、私が「ぜんため」を勧めたい理由です。











