
9月17日から20日まで幕張メッセなどで開催された、日本最大級のゲーム展示会「東京ゲームショウ2026」(21日は台風25号の接近によりリアル開催中止)。
Game*Sparkでは、シティコネクションの代表取締役・吉川延宏氏にインタビューを実施しました。2026年は、同社が手掛ける過去IPを活用した新作が相次いで登場した1年。それぞれの反響や開発を通じて見えた課題、海外市場での手応え、そして今後の展開について話を訊きました。
――現在の9月までに様々なタイトルをリリースしてきましたが振り返ってみてどうでしたか?
吉川延宏氏(以下、吉川): 前回のインタビューでもお話ししましたが、移植タイトルの本数をなるべく抑えながら、シティコネクションが出すタイトルのバランスを少しずつ変えていきたいと思っていました。今年は、まさに前回お話しした通りの形になった1年だと思っています。
シティコネクションは、そもそも『そるだむ 開花宣言』や『ぺんぎんくんギラギラWARS』といった、かなり尖ったタイトルからゲーム事業をスタートしました。その結果、「このやり方では続かないな」と感じて、一度慎重に動く時期があったんです。
そこから7~8年が経ち、2026年は『ラッシング・ビートX』に始まり、『R-TYPE DX: Music Encore』『FZ: Formation Z』と、移植一辺倒ではないラインナップを展開できました。
特に『ラッシング・ビートX』と『FZ: Formation Z』は、シリーズの新作として一から作ったものなので、そうしたタイトルを発売できたことは本当に良かったと思います。
ローンチ時からスマッシュヒットしたわけではありませんが、結果として良いコメントをいただけていますし、手応えを感じています。

――『ラッシング・ビートX』について、ユーザーからの反応はいかがでしたか?
吉川氏: とにかく、爽快感を評価していただいている印象です。ほかのベルトスクロールアクションにはあまりない、コンボが次々につながっていく感覚や、格闘ゲーム寄りのコマンド操作なども含めて、操作性の部分はライト層からコア層まで幅広く支持していただけたと思っています。
――ちなみに、ライト層とコア層では、どちらからの反応が多かったのでしょうか?
吉川氏: 意外と、ライト層の方からの声が多く届きました。
ただ、トータルの数字については、まだまだこれからという部分もあります。新規の方には届いた一方で、スーパーファミコン時代から知っている古参の方の中には、逆にまだ遊んでいない方も多いように感じています。
その点については半分くらい予想していましたし、作品を大きく変えたことが、こうした結果につながった部分もあると思います。それでも、これまでシリーズに触れてこなかった一般層へ少しでも届いたことは良かったですね。
――ライト層にも届いたというのは意外でした。では、5月に発売した『FZ: Formation Z』の反応はいかがでしたか?
吉川氏: 『FZ: Formation Z』は、『ラッシング・ビートX』とは少し傾向が違いました。ファミコン世代の方からの反応が多いタイトルですね。
「初めて遊んだゲームが『フォーメーションZ』だった」という方はたくさんいる一方で、『フォーメーションZ』そのものをずっと追い続けているコアなファンは、そこまで多くない印象があります。
だからこそ、九条一馬さんやちゃんたけ(江田岳浩)が考えた「これが令和の『フォーメーションZ』だ」という方向性を、素直に受け入れてもらえたのだと思います。
僕自身は派手なゲームが好きなので、開発中は「ここまでオリジナルから遊び方やルールを大きく変えなくて大丈夫かな?」と思うこともありました。ただ、最終的には開発チームを信じましたし、結果として非常に良い評判をいただけました。
規模として大ヒットというわけではありませんが、『FZ: Formation Z』は成功したタイトルだと思っています。
――『FZ: Formation Z』は、発表から発売までかなり時間がかかっていた印象があります。何か理由があったのでしょうか?
吉川氏: 『ラッシング・ビートX』も『FZ: Formation Z』も、かなり難産でした。どちらも開発に3年くらいかかっています。
新作開発そのものの難しさもありますし、自社開発の場合、スケジュールを早めてリリースすることは簡単ではありません。特に自転車操業のような状態では、開発期間をどこまでタイトにできるかというのは、今後の課題として残っています。
ただ、この2作品でアクションゲームとシューティングゲームを実際に作り切った経験値はかなり蓄積できました。今後、新たにリブート作品を作る場合は、さすがに今回よりも効率的に進められるのではないかと思っています。
なので2026年は、「ようやく発売までたどり着けた」と感じるタイトルが多かった一年ですね。

――個人的な感想でもありますが、『FZ: Formation Z』はグランゼーラのシューティングゲームとして、かなり完成度の高い作品だと感じました。この完成度は、パブリッシャーとしてやり取りを重ねた結果なのでしょうか?
吉川氏: あれは、グランゼーラの九条氏が作ったものに対して、ちゃんたけが九条氏をあまり気にせず手を入れていく(笑)、というキャッチボールを繰り返したプロジェクトなんです。
なので、グランゼーラの濃度100%というよりは、最終的にグランゼーラとシティコネクションが50%ずつくらいの作品に落ち着いたと思っています。
ちゃんたけはプレイヤー目線が強く、一方で九条氏はクリエイター目線が強い方です。『FZ: Formation Z』は、その両方が合わさった作品という印象があります。
――先ほど挙がったタイトルについては、Steamレビューなどで厳しい意見も複数見られました。そうした反応を受けて、シティコネクションとして今後取り組むべき課題はありますか?
吉川氏: 『FZ: Formation Z』については、仮に次を作るとしても、ゲームとしてのアプローチ自体を大きく変える必要はないと思っています。そのうえで、今回の評判を踏まえて次に何を改善するかを考えていく形ですね。
たとえばレスポンスについては、改善する必要があると思っています。一方で、ゲーム性やコンセプトについては、次回作があったとしても基本的にはクリエイターたちに任せたいと思っています。
『ラッシング・ビートX』については、アクションゲームとして目指していた部分は、自分たちなりに達成できたと思っています。ただ、難易度や不具合、バランス調整などには、もっと時間をかける必要があったかもしれません。
1本のゲームを作り上げた経験は得られましたが、作品全体を総合的に調整していくという部分には、まだ課題があると思っています。
もちろん、あのコンセプト自体が好きか嫌いかという好みの問題もあります。そこは、好きな人に向けてもっと尖らせていけばいいとも思っていますね。
――数あるベルトスクロールアクションの中から、『野球格闘リーグマン』のフルリメイクも発表されました。この切っ掛けは何だったのでしょうか?
吉川氏: ちょうど『ラッシング・ビートX』の開発後半くらいの時期に、「ベルトスクロールアクションは、きっと市場に受け入れられる」と感じていて、スタッフとも「何本か続けてやりたいよね」と話していました。
その中でも、IPとしてかなり尖ったものを選んだ方がいいという話は以前からしていて、『野球格闘リーグマン』も候補のひとつに入っていました。
加えて、韓国や台湾、香港といったアジア地域では、僕らが想像していた以上に知名度と人気が高いんです。感覚としては、こちらが思っていた10倍くらいですね。
「ほかのベルスクは知らなくても、『リーグマン』だけはみんな知っている」と言われるくらいで。そういう方たちに「復活します」というニュースと新作を届けられれば、かなりいい仕事になるんじゃないかという盛り上がりがありました。
――海外市場をかなり意識したタイトルでもあるのでしょうか?
吉川氏: もう完全にマーケティングありきのタイトルですね。「ノリで決まりました」というようなものでは、ほとんどないです。
――海外市場といえば、『じゃじゃ丸の百鬼夜行伝』はドイツのgamescomにもプレイアブル出展していました。現地での反応はいかがでしたか?
吉川氏: 日本以上に、「キャラクターが可愛い」という反応が多かったですね。それに加えて、アクションゲームとしての手触りも評価していただいて、かなり良いコメントをもらえました。
欧米でのパブリッシングを担当しているClear River Gamesのスタッフからも人気が高くて、ビデオレターを撮ってもらったり、「じゃじゃ丸LOVE❤」みたいな熱いメッセージをもらったりしました。キャラクターそのものの新たな展開としても、かなり手応えを感じています。
――日本で想像していた以上に、海外での反応が良かったのですね。
吉川氏: そうですね。やっぱり、ぱっと見たときの受け入れやすさや可愛さは強いと思います。
それに加えて、気軽に遊べることや、試遊でも5分、10分触ればすぐに楽しさが伝わるところも、海外の方に受け入れてもらえた理由だと思います。
前作の『じゃじゃ丸の妖怪大決戦』も、実は今でもじわじわ売れ続けているんです。
シティコネクションはSteamで50タイトル以上を展開していますが、その中でも特に高い評価を得ているタイトルのひとつです。『デススマイルズI・II』や『R-Type Delta: HD Boosted』と並ぶレビュー数で、「非常に好評」の評価をいただいています。
――シティコネクションのタイトルは海外ではどのように受け止められているのでしょうか?
吉川氏: もともとは、「シューティングゲームの会社」というイメージが強かったと思います。
ただ、ゲーマーが求めているタイトルって、人によってかなり違うじゃないですか。そうした中で、「この作品を出してほしい」とリクエストしたり、待っていたりすれば、いつか届けてくれるかもしれないメーカーだと思ってもらえている感覚があります。
尖ったタイトルでもシティコネクションならやってくれる可能性があるんじゃないか、と期待してもらえているのかなと。
最近では、移植作品だけでなく、過去のIPを新しい形で蘇らせるメーカーというイメージも付いてきたと思います。
毎年海外のイベントへ出展しているのですが、年々、知名度や現地で交わす会話の内容が変わってきています。気が付けば、コミュニティの中で「よく知らない会社」という雰囲気はかなり薄れてきた印象があります。

――海外での知名度も徐々に高まっているのですね。各国へ出展した際の反響には、どのような違いがありますか?
吉川氏: 国ごとの正確な数字までは分かりませんが、今回で言えば『野球格闘リーグマン』は韓国、『じゃじゃ丸』は北米で特に反応が大きかったですね。
『じゃじゃ丸』については、「前から知っているよ」という声もありました。一方、『リーグマン』は韓国で、まるで国民的タイトルが復活したかのようなお祭り騒ぎでした。
――そこまで反響が大きいと、開発にもさらに熱が入りそうですね。
吉川氏: そうですね(笑)。ただ、冷静に分析もしています。どういった層にどういった部分が望まれているかを見極めながら、自分たちの信じるものをしっかり届けていけたらと。
――今年のシティコネクションのタイトルは昨年末にインタビューした通り移植の比率が下がり、完全新作が増えたと思いました。来年はどう取り組んでいくのでしょうか?
吉川氏: 今のスタイルに変わったのが比較的最近なので、すぐに大きくは変えず、基本的には今年の延長線上になると思います。
一方で、扱うIPのバリエーションはさらに広がっていくと思います。
実は今現在、十数ラインも走っているので、2年半くらいはネタに困りません。
なのでサプライズの勢いが弱まることはないと思っています。毎年、皆さんに喜んでもらったり、驚いてもらったりできるような展開を、絶え間なく続けていきたいですね。
――最後にシティコネクションへ注目しているユーザーへメッセージをお願いします
吉川氏: シティコネクションは、皆様のおかげでゲーム事業を本格化してから今年で9年目を迎えました。
ここまで来て、ようやく地に足をつけながら、さまざまなIPと向き合えるようになってきました。移植だけでなく、リメイクや新作といった形でも、展開の幅を広げることができています。
特に2027年は、今年以上に多くのIPを、さまざまな“調理法”で皆様へ届けていきたいと思っています。
これまで以上に注目していただければ幸いです。その期待を裏切らず、これからも皆様に楽しんでもらえるようなサプライズを届けていきますので、よろしくお願いします!
――ありがとうございました!









